次の方法で共有


データベース メール

データベース メールは、SQL Server データベース エンジンから電子メールを送信するためのエンタープライズ ソリューションです。 データベース メールを使用すると、データベース アプリケーションからユーザーに電子メールを送信できます。 メッセージにはクエリ結果を含めることができ、ネットワーク上にあるリソースのファイルも含めることができます。

このトピックの内容

  • データベース メールの使用の利点

  • データベース メールのアーキテクチャ

  • データベース メールのコンポーネントの概要

  • 関連コンテンツ

データベース メールの使用の利点

データベース メールは、信頼性、スケーラビリティ、セキュリティ、およびサポート性を念頭に置いて設計されています。

信頼性

  • データベース メールでは、標準的な簡易メール転送プロトコル (SMTP) を使用してメールを送信します。 SQL Server を実行するコンピューターに拡張 MAPI クライアントをインストールしなくても、データベース メールを使用できます。

  • プロセスの分離。 SQL Server への影響を最小限にするために、電子メールを配信するコンポーネントは SQL Server 外部の別個のプロセスで実行されます。 SQL Server は、外部プロセスが停止または失敗しても、電子メールのキューを続行します。 キューに登録されたメッセージは、外部プロセスまたは SMTP サーバーがオンラインになると送信されます。

  • フェールオーバー アカウント。 データベース メール プロファイルを使用すると、複数の SMTP サーバーを指定できます。 ある SMTP サーバーが使用できない場合は、別の SMTP サーバーにメールを配信できます。

  • クラスター サポート。 データベース メールはクラスターに対応しており、クラスターで完全にサポートされています。

スケーラビリティ

  • バックグラウンド配信: データベース メールでは、バックグラウンド配信または非同期配信が提供されています。 sp_send_dbmail を呼び出してメッセージを送信すると、データベース メールによって Service Broker のキューに要求が追加されます。 ストアド プロシージャが直ちに返されます。 外部の電子メール コンポーネントが要求を受信し、電子メールを配信します。

  • 複数のプロファイル: データベース メールを使用すると、SQL Server インスタンス内に複数のプロファイルを作成できます。 オプションで、メッセージを送信するときにデータベース メールが使用するプロファイルを選択できます。

  • 複数のアカウント: 各プロファイルに、複数のフェールオーバー アカウントを含めることができます。 別々のアカウントを持つ別々のプロファイルを構成して、複数の電子メール サーバーで電子メールを配信できます。

  • 64 ビット互換性: データベース メールは、SQL Server の 64 ビット インストールで完全にサポートされています。

セキュリティ

  • 既定でオフ: SQL Server の外部からのアクセスを縮小するために、データベース メールのストアド プロシージャは既定で無効になっています。

  • メールのセキュリティ: データベース メールを送信するには、msdb データベースの DatabaseMailUserRole データベース ロールのメンバーである必要があります。

  • プロファイルのセキュリティ: データベース メールでは、メール プロファイルにセキュリティが適用されます。 データベース メール プロファイルにアクセスする msdb データベース ユーザーまたはグループを選択することによって、 特定のユーザーまたは msdb のすべてのユーザーにアクセスを許可できます。 プライベート プロファイルでは、指定した一覧のユーザーにアクセスが制限されます。 パブリック プロファイルは、データベースのすべてのユーザーがアクセスできます。

  • 添付ファイル サイズ ガバナー: データベース メールでは、添付ファイル サイズの制限を構成できます。 この制限は、sysmail_configure_sp ストアド プロシージャを使用して変更できます。

  • 禁止するファイル拡張子: データベース メールでは、禁止するファイル拡張子の一覧が保持されます。 ユーザーは、一覧に含まれている拡張子を持つファイルを添付できません。 この一覧は、sysmail_configure_sp を使用して変更できます。

  • データベース メールは、SQL Server エンジン サービス アカウントで実行されます。 フォルダー内のファイルを電子メールに添付するには、SQL Server エンジンのアカウントに、対象ファイルのあるフォルダーへのアクセス権限が必要です。

サポート性

  • 統合された構成: データベース メールでは、電子メール アカウントの情報が SQL Server データベース エンジンに保存されます。 外部クライアント アプリケーションでメール プロファイルを管理する必要はありません。 データベース メール構成ウィザードでは、データベース メールを構成するための便利なインターフェイスが提供されています。 また、Transact-SQL を使用して、データベース メール構成を作成および維持することもできます。

  • ログ記録。 電子メールの利用状況は、SQL Server、Microsoft Windows アプリケーション イベント ログ、および msdb データベースのテーブルに記録されます。

  • 監査: データベース メールでは、送信したメッセージおよび添付ファイルのコピーが msdb データベースに保存されます。 データベース メールの利用状況の監査や、保存されているメッセージの確認を簡単に行うことができます。

  • HTML のサポート: データベース メールを使用すると、HTML 形式の電子メールを送信できます。

[先頭に戻る]

データベース メールのアーキテクチャ

データベース メールは、Service Broker テクノロジを使用するキュー アーキテクチャを基に設計されています。 ユーザーが sp_send_dbmail を実行すると、アイテムがメール キューに挿入され、電子メール メッセージを格納したレコードが作成されます。 メール キューに新しいエントリが挿入されると、データベース メールの外部プロセス (DatabaseMail.exe) が起動します。 外部プロセスは、電子メール情報を読み取り、電子メール メッセージを適切な電子メール サーバーに送信します。 また、送信操作の結果の状態キューにアイテムを挿入します。 状態キューに新しいエントリが挿入されると、電子メール メッセージの状態を更新する内部ストアド プロシージャが起動します。 データベース メールは、システム テーブルに送信済み (または未送信) の電子メール メッセージを格納するだけでなく、電子メールの添付ファイルも記録します。 データベース メール ビューには、トラブルシューティングのためにメッセージの状態が表示されます。また、ストアド プロシージャにより、データベース メール キューの管理が可能になります。

msdb から SMTP メール サーバーへのメッセージ送信

[先頭に戻る]

データベース メールのコンポーネントの概要

データベース メールは次に示す主要なコンポーネントで構成されています。

  • 構成およびセキュリティ関連コンポーネント

    データベース メールは、msdb データベースに構成情報とセキュリティ情報を格納します。 構成オブジェクトおよびセキュリティ オブジェクトは、データベース メールで使用されるプロファイルおよびアカウントを作成します。

  • メッセージング関連コンポーネント

    msdb データベースは、データベース メールでの電子メール送信に使用されるメッセージング オブジェクトを保持するメール ホスト データベースとして機能します。 これらのオブジェクトには、sp_send_dbmail ストアド プロシージャと、メッセージに関する情報を格納するデータ構造が含まれています。

  • データベース メール実行可能ファイル

    データベース メール実行可能ファイルは、msdb データベース内のキューからメッセージを読み取り、電子メール サーバーにメッセージを送信する外部プログラムです。

  • ログおよび監査関連コンポーネント

    データベース メールは、msdb データベースおよび Microsoft Windows アプリケーション イベント ログにログ情報を記録します。

データベース メールを使用するためのエージェントの構成:

SQL Server エージェントは、データベース メールを使用するように構成できます。 警告通知およびジョブ完了時の自動通知には、この構成が必要です。

注記注意

また、ジョブ内の個別のジョブ ステップでは、データベース メールを使用するように SQL Server エージェントを構成しなくても、電子メールを送信できます。 たとえば、Transact-SQL ジョブ ステップでは、データベース メールを使用してクエリ結果を受信者の一覧に送信できます。

SQL Server エージェントを構成して、次のような場合に電子メール メッセージが指定のオペレーターに送信されるように設定できます。

  • 警告が発生した場合。 特定のイベントが発生したときに電子メールによる通知を送信するように警告を構成できます。 たとえば、すぐに対処しなければならない可能性がある特定のデータベース イベントまたはオペレーティング システムの状態がオペレーターに通知されるように、警告を構成できます。 警告の構成の詳細については、「警告」を参照してください。

  • データベースのバックアップやレプリケーション イベントなどの定期タスクが成功または失敗したとき。 たとえば、SQL Server エージェント メールを使用して、月末に実行する処理でエラーが発生した場合にオペレーターに通知できます。

[先頭に戻る]

データベース メールのコンポーネントのトピック

[先頭に戻る]