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SharePoint ファームへの PowerPivot の配置の計画

このトピックの内容は次のとおりです。

ファーム トポロジへの PowerPivot の追加

ファーム内のサーバー コンポーネント

サービス アカウントと管理アカウントの計画

データベース ストレージとディスク領域の計画

PowerPivot データの転送の計画

機密データの安全な格納のための計画

PowerPivot データの作成と表示のための計画

ファーム トポロジへの PowerPivot の追加

SharePoint ファーム トポロジは、スタンドアロン サーバーから大規模なマルチサーバー インストールまで多岐にわたります。小規模な配置に PowerPivot を追加するための基本をマスターすれば、同じ概念と手法をより複雑なトポロジにも応用できます。

スタンドアロン サーバーへの PowerPivot の追加

1 つの SharePoint 2010 サーバーで実行される専用の PowerPivot for SharePoint サーバーを作成することができます。スタンドアロン サーバーを使用する利点は、配置が簡単なことです。SQL Server セットアップには、そのまま使用できる PowerPivot for SharePoint サーバーをインストールして構成するインストール オプションが用意されています。サーバーで PowerPivot のデータ処理やクエリ処理を実行するために必要な (または推奨される) SharePoint 機能、しきい値、およびセキュリティ設定も構成されます。また、Excel Services と Secure Store Service のアクティブ化およびプロビジョニングが行われ、より大きいファイルを SharePoint 環境でサポートできるようにファイルのサイズの上限が拡張されます。SQL Server セットアップによるサーバーのインストールと構成の詳細については、「PowerPivot for SharePoint の既定の構成」を参照してください。

この方法の利点を活用するには、SharePoint 2010 のインストール メディアを使用して、コンピューターに SharePoint を構成せずにインストールする必要があります。"構成せずにインストール" するには、SharePoint をインストールし、インストール プロセスの最後に起動する SharePoint 構成ウィザードを実行せずに構成の前の段階で終了します。

この種類の配置では、サーバーの選択が重要になります。すべての処理とホスティングが 1 つのサーバーで行われるため、できるだけ高性能なサーバーを使用する必要があります。定義上、PowerPivot for SharePoint インスタンスは 1 つだけインストールされるため、1 つのサーバーに負荷が集中します。そのため、大量のデータを処理する他のアプリケーションを既に実行している既存のサーバーを使用するのは避けて、大量のデータセットや (PowerPivot の処理に特徴的な) 実行時間の長いクエリに対応できるだけのメモリ リソースや処理リソースを備えた新しいサーバーを使用するようにしてください。

重要な注意事項重要

[新しいサーバー] インストール オプションを使用すると、後でスケールアウトを実施するときに制限されません。基になる SharePoint サーバーでファームへのサーバーの追加がサポートされていれば (つまり、SharePoint セットアップでサーバー ファーム オプションを使用して SharePoint をインストールしておけば)、SharePoint サーバーや PowerPivot サーバーを追加して PowerPivot の処理能力を高めることができます。

システム要件およびスタンドアロン サーバーのインストールの詳細については、「ハードウェアとソフトウェアの要件 (PowerPivot for SharePoint)」および「新しい SharePoint サーバーへの PowerPivot for SharePoint のインストール」を参照してください。

サーバー ファームへの PowerPivot の追加

ファーム内に複数の SharePoint サーバーがある場合は、PowerPivot for SharePoint を新しいアプリケーション サーバーにインストールすることも、ファーム内の既存のアプリケーション サーバーにインストールすることもできます。

ピボットテーブルを使用した SharePoint ファーム トポロジ

スタンドアロン サーバーの場合と同様に、インストールには SQL Server セットアップを使用します。ただし、既存のファームへの配置では、SQL Server セットアップを実行する前に、SharePoint 2010 のインストールと構成の両方が完了している必要があります。セットアップを実行すると、PowerPivot サーバー コンポーネントのインストールのみが行われます。PowerPivot for SharePoint の構成や、既存の SharePoint Web アプリケーションや SharePoint サービス アプリケーションの構成 (使用可能な機能、上限、セキュリティ設定など) の確認は行われません。したがって、この種類の配置では、インストール後の構成の作業や、PowerPivot の構成と既存のサービスとの互換性を確認するための追加の評価作業が必要になります。

PowerPivot for SharePoint は、Web フロントエンドの処理だけを実行する専用のサーバー以外であれば、どの SharePoint サーバーにも追加できます。

Excel Services 専用のアプリケーション サーバーや、SharePoint サーバーの全体管理専用の Web フロントエンド サーバーを含むファーム トポロジは、新しい Analysis Services ライブラリを使用するように更新する必要があります。詳細については、「Excel Services コンピューターに Analysis Services OLE DB プロバイダーをインストールする方法」および「サーバーの全体管理を実行している Web フロントエンド サーバーに ADOMD.NET をインストールする方法」を参照してください。

ファーム内の PowerPivot for SharePoint インスタンスのインストールおよび構成の方法については、「既存の SharePoint サーバーに PowerPivot for SharePoint をインストールする方法」および「構成 (PowerPivot for SharePoint)」を参照してください。

PowerPivot のスケールアウト配置

スケールアウト配置では、ファーム全体の処理能力を高めるために、ファームに複数の SQL Server PowerPivot for SharePoint をインストールします。PowerPivot クエリ処理を実行する各アプリケーション サーバーに PowerPivot for SharePoint をインストールする必要があります。たとえば、アプリケーション サーバーが 5 つあり、そのうちの 3 つで PowerPivot クエリ処理をサポートする場合は、その 3 つのサーバーに PowerPivot for SharePoint をインストールします。

スケールアウトとは、物理サービス インスタンスがファーム内で使用される方法を表します。ファーム内では、PowerPivot のクエリ処理やデータ処理に対する要求を、使用可能な任意の PowerPivot for SharePoint サーバーに割り当てることができます。サーバーが使用可能かどうかは、割り当て方法によって決まります。既定では、要求を順番に割り当てるラウンドロビンが使用されますが、代わりにサーバーの状態を使用するように割り当て方法を変更することもできます。

ファームに PowerPivot for SharePoint サーバーを追加すると、その機能を使用するすべての Web アプリケーションの処理能力が向上します。一部の Web アプリケーションの PowerPivot 処理のみを拡張したり、物理サービス インスタンスを特定の Web アプリケーションに関連付けたりすることはできません。追加する新しいサーバーの処理能力は、任意の PowerPivot サービス アプリケーションへの接続を共有するすべての Web アプリケーションで使用できます。

ファームに PowerPivot for SharePoint サーバーを追加するときに、PowerPivot クエリ処理を必要としない Web アプリケーションがあることに気づいた場合は、それらのアプリケーションに対して、PowerPivot サービス アプリケーションを除外するカスタム サービス関連付けリストを作成できます。これにより、それらのアプリケーションは、PowerPivot データに対する要求を送信したり受信したりしなくなります。

処理や構成の要件が異なる複数の Web アプリケーションがある場合は、カスタム PowerPivot サービス アプリケーションを作成して、PowerPivot サービスの処理や構成設定を Web アプリケーションごとに変えることができます。サービス アプリケーションは、PowerPivot 処理の実行時コンテキストを設定します。多数の PowerPivot サービス アプリケーションを作成すると、さまざまな Web アプリケーションの実行時の操作を分離できます。

ファームに複数の PowerPivot for SharePoint インスタンスをインストールする方法については、「SharePoint ファームへの PowerPivot サーバーの追加」を参照してください。

PowerPivot for SharePoint を含むファームへの新しい Web アプリケーションの追加

新しい SharePoint Web アプリケーションを作成するときは、PowerPivot Web アプリケーション ソリューションを配置し、サイト コレクション レベルで PowerPivot 機能をアクティブ化する必要があります。

詳細については、「PowerPivot ソリューションの配置」および「サイト コレクションを対象とした PowerPivot 機能の統合のアクティブ化」を参照してください。

PowerPivot for SharePoint を含むファームへの新しい Web フロントエンド サーバーの追加

ファームに新しい Web フロントエンド サーバーまたはアプリケーション サーバーを追加しても、PowerPivot for SharePoint には影響はないため、特別な構成を行う必要はありません。新しい Web フロントエンド サーバーで実行する既存の Web アプリケーションのソリューションを配置すると、そのアプリケーションによって PowerPivot データ アクセスがサポートされます。

ただし、SharePoint サーバーの全体管理 Web アプリケーションのみを実行するように Web フロントエンド サーバーを構成する場合は、追加の構成が必要になります。PowerPivot for SharePoint によってそのアプリケーションに管理ダッシュボードが追加されるため、そのダッシュボードのレポートや Web パーツがダッシュボードのデータ ストアに接続できるようにするためにクライアント ライブラリをインストールする必要があります。クライアント ライブラリのインストール方法またはソリューションの配置方法については、「サーバーの全体管理を実行している Web フロントエンド サーバーに ADOMD.NET をインストールする方法」を参照してください。

PowerPivot for SharePoint を含むファームへの新しいアプリケーション サーバーの追加

PowerPivot クエリ処理を実行する新しいアプリケーション サーバーをファームに追加する場合は、SQL Server セットアップを実行して、そのサーバーに PowerPivot for SharePoint を追加する必要があります。これにより、そのアプリケーション サーバーで PowerPivot サーバー操作を処理できるようになります。PowerPivot のプログラム ファイルは、ソリューションや別のアプリケーション サーバーから新しいサーバーに自動的にコピーされません。

ファーム内のサーバー コンポーネント

SharePoint ファームは、Web フロントエンド サーバーとアプリケーション サーバーで構成され、構成データベースとコンテンツ データベースを提供するバックエンド データベース サーバーにアクセスします。マルチサーバー ファームでは、多くの場合、これらのコンポーネントが複数のコンピューターに分散されます。通常は、最初に専用のコンピューターに移動されるコンポーネントはデータベース サーバーです。Web フロントエンドもよく専用のコンピューターで実行されます。Web フロントエンドを専用のコンピューターで実行すると、Web フロントエンド サーバーとアプリケーション サーバーをそれぞれに最適化できるようになります。

マルチサーバー ファームを使用している場合は、SQL Server PowerPivot for SharePoint のインスタンスをファーム内の 1 つ以上のアプリケーション サーバーにインストールできます。PowerPivot for SharePoint をインストールすると、SQL Server セットアップによって、ファーム内の Web フロントエンド サーバーにプログラム ファイルをコピーするソリューション パッケージが配置されます。

まず最初に、ファーム内の各コンポーネントの目的と場所を把握しておく必要があります。

PowerPivot コンポーネント

目的

場所

PowerPivot System サービスと Analysis Services サービス

PowerPivot データは、コンテンツ データベース ストアの Excel ブックに格納されます。

アプリケーション サーバーで、共有サービス アプリケーションおよび Windows サービスとしてそれぞれ実行されます。

これらのサービスは、SQL Server セットアップでインストールされ、サーバーの全体管理で構成されます。

PowerPivot Web サービス

ファーム内の PowerPivot サーバーへの HTTP 要求をインターセプトして転送します。

SharePoint ファーム内の Web フロントエンド サーバーで実行されます。

専用の Web フロントエンド サーバーがある場合は、そのサーバーに PowerPivot ソリューション パッケージが配置されます。

PowerPivot サービス アプリケーション

PowerPivot System サービスの構成済みインスタンス。

PowerPivot データに対する要求の受信時にアプリケーション サーバーで実行されます。サービス アプリケーションは、ファームに対して 1 回定義され、物理 PowerPivot サービス インスタンスがある任意のアプリケーション サーバーで実行されます。

PowerPivot アプリケーション データベース

アプリケーションでのみ使用される内部データを SQL Server データベースに格納します。複数の共有サービス アプリケーションを作成した場合は、それぞれに個別の PowerPivot サービス アプリケーション データベースがあります。

ファームで使用されているデータベース サーバーでホストされます。

データベースは、PowerPivot サービス アプリケーションを作成すると生成されます。

PowerPivot コンテンツと PowerPivot ライブラリ

PowerPivot コンテンツには、埋め込み PowerPivot データを含む Excel ブックや、データ フィード ライブラリや PowerPivot ギャラリー ライブラリの Atom データ サービス ドキュメントおよびテンプレートなどがあります。これらのコンテンツは、個々の SharePoint Web アプリケーションに対して作成される SharePoint コンテンツ データベースに格納されます。

データベース サーバーのコンテンツ データベースに格納されます。

PowerPivot ブックの格納は、コンテンツ データベースのディスク領域の要件に大きく影響する可能性があります。組織のストレージの要件を特定する間、データベースのサイズの増加を緊密に監視するための計画を立ててください。

サービス アカウントと管理アカウントの計画

PowerPivot for SharePoint の配置を計画するときには、次のサービス アカウントと管理アカウントについて計画する必要があります。

  • Analysis Services サービス アカウント。Analysis Services は、PowerPivot のクエリおよびデータ更新のジョブをファームで処理します。このアカウントは、SQL Server のセットアップ中に、PowerPivot for SharePoint をインストールするときに必ず指定します。

  • PowerPivot サービス アプリケーション プール。PowerPivot サービス アプリケーションは、PowerPivot System サービスに関連付けられ、ファーム内の PowerPivot クエリ処理に SharePoint 統合と SharePoint インフラストラクチャを提供します。PowerPivot サービス アプリケーションに対して指定するアプリケーション プールは、PowerPivot System サービスのサービス ID です。1 つのファームに複数の PowerPivot サービス アプリケーションを作成できますが、それぞれのサービス アプリケーションを、固有のアプリケーション プールで実行する必要があります。

  • 自動 PowerPivot データ更新アカウント。SharePoint サーバーで PowerPivot データ更新を有効にする場合は、データ更新ジョブを実行する際に PowerPivot ブックの所有者のアカウントの代わりに使用する自動 PowerPivot データ更新アカウントを作成する必要があります。このアカウントは Windows ドメイン ユーザー アカウントであることが必要です。組織内の個人のアカウントは使用しないでください。自動 PowerPivot データ更新アカウントの定義と格納は、Secure Store Service で行います。このアカウントとその作成方法の詳細については、「PowerPivot データ更新用の保存された資格情報の構成と使用」を参照してください。

注意

[新しいサーバー] オプションを使用して PowerPivot for SharePoint をインストールする場合は、ここに示したもの以外のアカウントも指定するように求められます。詳細については、「新しい SharePoint サーバーへの PowerPivot for SharePoint のインストール」を参照してください。

Analysis Services サービス アカウント

要件

説明

プロビジョニングの要件

このアカウントは、SQL Server セットアップで指定する必要があります。ユーザー名やパスワードは、サーバーの全体管理を使用して変更できます。その他のツールでのアカウントやパスワードの変更はサポートされていません。

ドメイン ユーザー アカウントの要件

このアカウントは Windows ドメイン ユーザー アカウントであることが必要です。ビルトイン コンピューター アカウント (Network Service や Local Service など) は禁止されています。SQL Server セットアップは、コンピューター アカウントが指定された場合にインストールをブロックすることで、ドメイン ユーザー アカウント要件を適用します。

権限の要件

このアカウントは、ローカル コンピューターの SQLServerMSASUser$<server>$PowerPivot セキュリティ グループまたは WSS_WPG セキュリティ グループのメンバーである必要があります。これらの権限は自動的に付与されます。権限を確認する方法や付与する方法の詳細については、「サービス アカウントとパスワードの変更 (PowerPivot for SharePoint)」および「既存の SharePoint サーバーに PowerPivot for SharePoint をインストールする方法」を参照してください。

スケールアウトの要件

ファームに複数の PowerPivot for SharePoint サーバー インスタンスをインストールする場合は、すべての Analysis Services サーバー インスタンスが同じドメイン ユーザー アカウントで実行されている必要があります。たとえば、最初の Analysis Services サービス インスタンスが Contoso\ssas-srv01 として実行されるように構成した場合は、それ以降に同じファームに配置したその他のすべての Analysis Services サービス インスタンスも Contoso\ssas-srv01 (または現在の任意のアカウント) として実行される必要があります。

すべてのサービス インスタンスが同じアカウントで実行されるように構成すると、PowerPivot System サービスで、クエリ処理やデータ更新のジョブをファーム内の任意の Analysis Services サービス インスタンスに割り当てられるようになります。また、Analysis Services サーバー インスタンスに対してサーバーの全体管理のマネージ アカウント機能を使用できるようになります。すべての Analysis Services サービス インスタンスに同じアカウントを使用すると、アカウントまたはパスワードを 1 回変更するだけで、これらの資格情報を使用するすべてのサービス インスタンスを自動的に更新できます。

SQL Server セットアップでは、同一アカウント要件が適用されます。PowerPivot for SharePoint インスタンスが既に SharePoint ファームにインストールされているスケールアウト配置では、指定した Analysis Services サービス アカウントとファーム内で既に使用されているアカウントが異なる場合、セットアップによって新規インストールがブロックされます。

PowerPivot サービス アプリケーション プール

要件

説明

プロビジョニングの要件

サービス アプリケーション プールは、サービス アプリケーションの作成時に指定する必要があります。

[新しいサーバー] インストール オプション: [新しいサーバー] インストール オプションを使用して PowerPivot for SharePoint をインストールすると、既定のサービス アプリケーションが作成され、ファーム アカウントに指定したものと同じ Windows ドメイン ユーザー アカウントがアプリケーション プールとして設定されます。サービス アプリケーション プールは、PowerPivot for SharePoint のインストール後にサーバーの全体管理で変更できます。

[既存のファーム] インストール オプション: [既存のファーム] インストール オプションを使用して PowerPivot for SharePoint をインストールする場合は、サーバーの全体管理でサービス アプリケーションを作成します。サービス アプリケーションを作成するときにアカウントを設定します。

ドメイン ユーザー アカウントの要件

アプリケーション プール ID は Windows ドメイン ユーザー アカウントであることが必要です。ビルトイン コンピューター アカウント (Network Service や Local Service など) は禁止されています。SQL Server セットアップは、コンピューター アカウントが指定された場合にインストールをブロックすることで、ドメイン ユーザー アカウント要件を適用します。

権限の要件

このアカウントには、コンピューターのローカルのシステム管理者権限は必要ありません。ただし、同じコンピューターにインストールされているローカル Analysis Services サービスに対する Analysis Services のシステム管理者権限が必要です。これらの権限は、SQL Server セットアップを実行したり、サーバーの全体管理でアプリケーション プール ID を設定または変更したりすると、自動的に付与されます。

管理権限は、Analysis Services サービスにクエリを転送する場合に必要です。また、状態の監視、非アクティブなセッションの終了、およびトレース イベントのリッスンにも必要です。

このアカウントには、PowerPivot サービス アプリケーション データベースに対する接続、読み取り、および書き込みの権限が必要です。これらの権限は、アプリケーションの作成時に自動的に付与され、サーバーの全体管理でアカウントやパスワードを変更した場合にも自動的に更新されます。

PowerPivot サービス アプリケーションでは、ファイルの取得前に、データを表示する権限が SharePoint ユーザーにあるかどうかを確認しますが、ユーザーの権限の借用は行いません。そのため、権限の借用に関する権限の要件はありません。

スケールアウトの要件

なし。

データベース ストレージとディスク領域の計画

ディスク領域とデータベース ストレージの要件を見積もるときには、運用環境を忠実に再現したテスト環境を使用して見積もりを行う必要があります。

場所

説明

データベース ストレージ

SharePoint ファーム内のデータベース サーバーは、PowerPivot ユーザー データをコンテンツ データベースに格納します。そのほか、次の種類のドキュメントも PowerPivot のインストールに関連します。

  • PowerPivot データを含む Excel ブック。そのサイズは最大で 2 GB になります。このサイズの上限は、コンテンツ データベースへのアップロードのサイズの上限によって決まります。データは圧縮され、同等の元のソース ファイルよりはるかに小さくなります。

  • PowerPivot データ ソースを使用する Reporting Services レポート。データはリンクされるため、レポートのファイル サイズは、レポートで使用されるグラフやマップを始めとする視覚要素の量など、他の要因によって決まります。

  • データ担当者が SharePoint にパブリッシュする Atom データ サービス (.atomsvc) ドキュメント。これらのファイルはデータを含まないため、データベース ストレージの要件の要因にはなりません。

注意
アプリケーション レベルで設定するバージョン管理やリサイクルのポリシーにより、同じデータベースに同じ大きなファイルが何度も格納されると、ディスク領域の消費が大幅に加速するので注意してください。バージョン管理を有効にすると、ユーザーが変更したドキュメントをチェックインするたびにドキュメントの新しいコピーが作成されて格納されます。データベース ストレージへの悪影響を考慮して、PowerPivot for SharePoint を使用する Web アプリケーションではバージョン管理を使用しないことをお勧めします。

データベース サーバーは、サーバーの全体管理のコンテンツ データベースもホストします。PowerPivot for SharePoint で、次のファイルを格納するために使用されます。

  • PowerPivot 管理ダッシュボードで使用される Excel ワークシートと PowerPivot データ ファイル。使用状況データ収集とデータ更新の履歴を 365 日間保持する既定の設定を使用する場合、データをダッシュボードに提供する内部レポート データベースのサイズは、1 年間にわたって増加し続けます。

データベース サーバーは、そのほか、構成された各サービス アプリケーションの PowerPivot アプリケーション データベースもホストします。このデータベースには、次のデータが格納されます。

  • キャッシュされているか読み込まれている PowerPivot データ ファイルの場所。

  • データ更新スケジュール。

  • 中央の使用状況データ収集データベースからコピーされた PowerPivot 使用状況データ。

アプリケーション サーバーのディスク領域

PowerPivot for SharePoint は、同じファイルをコンテンツ データベースから転送するときの待ち時間をなくすために、ファイルをアプリケーション サーバーにキャッシュします。ファイルをディスクにキャッシュすると、読み込み要求を受け取るたびにコンテンツ データベースから取得する必要がなくなるため、データ ソースをすぐに読み込めるようになります。

サーバーのメモリに読み込まれたすべての PowerPivot データ ファイルは、同じサーバーのディスクにもキャッシュされます。PowerPivot データ ファイルが最後に読み込まれた場所によっては、同じファイルが複数のアプリケーション サーバーにキャッシュされることもあります。

キャッシュされたファイルは、無期限に格納されるわけではありません。使用されていないファイルは 14 日後に削除されます。また、PowerPivot サービスによって行われる毎日の同期チェックにより、コンテンツ データベースの元のファイルが変更されたり削除されたりしたファイルも削除されます。

PowerPivot のファイル キャッシュに必要なディスク領域は、配置トポロジによって異なります。シングル サーバー配置では、すべてのファイルが 1 つのサーバーにキャッシュされます。マルチサーバー配置では、キャッシュされるファイルが多数のサーバーに分散されるため、個々のサーバーで使用されるディスク領域は少なくなると考えられます。

PowerPivot データの転送の計画

データの転送速度は、ファームの PowerPivot クエリ処理の重大なパフォーマンス ボトルネックです。たとえば、接続速度が 100 MB/秒だとします。この転送速度では、2 GB の Excel ブックを SharePoint サイトからクライアント ワークステーションにダウンロードするのに 20 秒以上かかります。また、SharePoint はダウンロード操作用に最適化されているため、同じファイルをサーバーにアップロードする場合は、より多くの時間がかかる可能性があります。

PowerPivot サーバーでは、ファイル転送を最小限に抑えるために、ファイル キャッシュの手法が使用されます。これにより、サーバーで以前に読み込まれたデータ ソースを保持して再利用することができます。

ファイルがキャッシュされていないと、ファイルがネットワークで転送されるため、データ ソースが非常に大きい場合には読み込みにかなりの時間がかかることになります。ファイル キャッシュおよびデータ要求の詳細については、「PowerPivot System サービス」を参照してください。

機密データの安全な格納のための計画

PowerPivot に組み込まれているデータ更新機能を使用するには、ファームで Secure Store Service を有効にする必要があります。Secure Store Service は、SharePoint インフラストラクチャに組み込まれている共有サービスで、資格情報を格納します。PowerPivot for SharePoint で Secure Store Service を使用すると、自動データ更新アカウント、Windows 資格情報、またはデータベース資格情報を定義したり格納したりできます。詳細については、「PowerPivot データ更新用の保存された資格情報の構成と使用」を参照してください。

PowerPivot データの作成と表示のための計画

PowerPivot データは、次のクライアント アプリケーションで使用できます。

  • Web ブラウザー。SharePoint ライブラリにパブリッシュされた PowerPivot ブックを表示します。Excel Services を使用してブラウザーでブックを表示できるほか、いくつかのピボット操作もサポートされます。たとえば、並べ替えやフィルターを行ったり、ピボットテーブルやピボットグラフの領域を展開したり折りたたんだりできます。ピボットテーブルやピボットグラフを変更したり、リンクをクリックして詳細データにドリルダウンしたりすることはできません。ドリルダウンの完全なサポートには、Excel デスクトップ アプリケーションが必要です。

  • SQL Server PowerPivot for Excel アドインを含む Excel 2010。PowerPivot ブックを作成する場合や、ピボットテーブルやピボットグラフを操作するすべての機能を使用する場合は、Excel 2010 とこのアドインの両方が必要です。これより前のバージョンの Excel でも静的な PowerPivot データは表示できますが、データをピボットすることはできません。Excel アドインと他のバージョンの Excel に対するサポートの詳細については、「PowerPivot for Excel」を参照してください。

  • SQL Server Management Studio。接続を確認したり PowerPivot データ構造を参照したりするための診断ツールとして使用できます。データ ソースに接続するには、[サーバーへの接続] ダイアログ ボックスで、パブリッシュされた PowerPivot ブックの SharePoint URL を入力します。

Excel 2010 で大規模なデータをサポートする場合は、32 ビット アーキテクチャのメモリの制約を考慮に入れる必要があります。32 ビットのワークステーションを使用しているインフォメーション ワーカーがいる場合は、この制約が問題になる可能性があります。そのため、組織の配置の計画に、クライアント ワークステーションの性能の評価を含める必要がある場合もあります。豊富なリソースを持つサーバーを導入する場合は、ファームにパブリッシュされる大規模なデータの操作のために、クライアント ワークステーションも 64 ビット アーキテクチャにアップグレードすることを検討してください。