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Project Server 2010 の IT 担当者向け新機能

 

適用先: Project Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-30

この記事では、Microsoft Project Server 2010 に含まれる主要な新機能の概要を示します。具体的には、以下の機能について説明します。

  • アーキテクチャの 64 ビット化によるパフォーマンスの向上

  • SharePoint Server との統合

  • プロジェクト管理とポートフォリオ管理の統合

  • 需要管理

  • プロジェクト詳細ページ (PDP)

  • ワークフローの統合

  • ビジネス インテリジェンス

  • 部署ユーザー設定フィールド

  • ユーザー委任

  • 複数の OLAP キューブのサポート

  • JS グリッド コントロール

  • Project Web App のリボン ユーザー インターフェイス

  • タイムシートの単一入力モード

  • Exchange Server との統合

  • クレームベース認証

  • アップグレード用の下位互換性モード (BCM)

  • Project Server 2003 データを移行するための仮想移行環境 (VME)

  • Windows PowerShell

アーキテクチャの 64 ビット化によるパフォーマンスの向上

Project Server 2010 は、Microsoft SharePoint Server 2010 (この製品はインストール要件になっています) と同様に、64 ビット版で提供されます。Project Server 2010 が 64 ビット アーキテクチャに移行したことで、次の要件が適用されます。

  • Project Server 2010 は、64 ビット版の Windows Server 2008 SP2 または Windows Server 2008 R2 にインストールする必要があります。

  • Project Server 2010 ファーム展開用のデータベース サーバーには、64 ビット版の SQL Server 2005 または SQL Server 2008 を使用する必要があります。

サーバーとデータベース サーバーの両方に 64 ビット アーキテクチャを使用することで、パフォーマンスとスケーラビリティが向上します。また、64 ビット アーキテクチャには、32 ビット アーキテクチャのような 4 GB のアドレス空間の制限がないため、より多くのメモリをアドレス指定できます。

注意

要件の詳細については、「ハードウェア要件およびソフトウェアの要件を決定する (Project Server 2010)」を参照してください。

注意

Microsoft Project Professional 2010 および Microsoft Project Standard 2010 は、32 ビット版と 64 ビット版の両方で提供されます。

SharePoint Server との統合

Project Server 2010 は、Microsoft Office SharePoint Server 2007 の後継バージョンである Microsoft SharePoint Server 2010 を基盤にしています。Microsoft Project Web App の新機能 (レポートの保存と表示に SharePoint Server レポート センターを使用するページ、需要管理に必要なワークフロー、レポート用のビジネス インテリジェンス機能など) を使用するには SharePoint Server 2010 が必要です。ポートフォリオ分析も SharePoint Server ワークフロー アーキテクチャと広範囲に統合されています。Project Server 2010 をインストールする前に、SharePoint Server 2010 Enterprise Edition をインストールする必要があります。Project Server 2010 のアーキテクチャの詳細については、「Project Server 2010 のアーキテクチャ」を参照してください。

SharePoint Server 2010 の機能の詳細については、TechNet の「Microsoft SharePoint Server 2010 の新機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189569\&clcid=0x411) を参照してください。

プロジェクト管理とポートフォリオ管理の統合

Microsoft Office Project Portfolio Server 2007 のきわめて重要な機能が Project Server 2010 内に統合され、拡張されています。PSI Web サービスが拡張されて、ポートフォリオ分析、ワークフロー、およびビジネス ドライバーが組み込まれています。Project Server 2010 にポートフォリオ分析機能が組み込まれたことによる利点として、次のようなことが挙げられます。

  • Project Web App で、一貫性と拡張性のある SharePoint Server ユーザー インターフェイスを通じて、プロジェクト管理とポートフォリオ管理の両方の機能を 1 つのアプリケーションで利用できます。

  • 共通のデータ ストアを使用することで、Project Server Gateway が不要になります。

  • 管理が一元化されます。

  • プロジェクト要求を取得するためのモジュールなど、重複する機能がなくなります。

  • 共通のオブジェクト モデルを使用することで、拡張性が向上し、他のアプリケーションとの統合が強化されます。

  • レポート キューブと OLAP キューブによって、ビューの統合が容易になります。

Office Project Portfolio Server 2007 のコア機能がオプティマイザーです。Project Server 2010 との統合は、次のような利点をもたらします。

  • ビジネス ドライバーの優先度に基づいて、一連のプロジェクト提案を分析できます。

  • オプティマイザーの使いやすさが向上すると共に、Project Server の権限との統合セキュリティ、国際的な展開、および展開の容易さが実現します。

  • Project Server と Portfolio Server に分かれた製品の機能とデータの重複がなくなります。

  • Web パーツおよび SharePoint Server 2010 のリストを通じて、ビジネス ドライバー ライブラリ、コスト制約、および関連するプロジェクト エンティティにアクセスできます。

需要管理

需要管理とは、すべての作業提案を 1 か所で取得し、それらの提案を複数のステージのガバナンス プロセスにかけ、どの提案を承認するかについて決定を下し、作業が完了するまで提案実施の進行状況を追跡することです。需要管理内の主要コンポーネントであるワークフロー ガバナンス モデルが Project Server に実装されるようになりました。

Office Project Server 2007 の提案機能では、需要を 1 か所で取得することはできますが、この機能は柔軟性に欠けており、背後に本格的なガバナンス ワークフローがありません。Office Project Portfolio Server 2007 の "Builder" モジュールは柔軟性のある需要管理パラダイムですが、外観と操作性が Office Project Server や Office SharePoint Server と異なり、使いやすさとスケーラビリティにも多少問題があります。Project Server 2010 の需要管理機能は、柔軟性と使いやすさの両方を念頭に置いて設計されています。

需要管理の詳細については、「ワークフローおよび需要管理」を参照してください。

プロジェクト詳細ページ (PDP)

プロジェクト提案の需要管理、および Project Web App のポートフォリオの計画プロセスでは、ワークフローと統合できるプロジェクト詳細ページ (PDP) が使用されます。PDP は Web パーツ ページです。SharePoint Server インフラストラクチャを使用して作成され、プロジェクト情報、リソース、スケジュール、戦略的影響度など、プロジェクト計画のエンティティの詳細を表示または編集するために使用されます。Project Server 2010 では、PDP の追加のインフラストラクチャに Office Project Portfolio Server 2007 の Builder コンポーネントのビジネス ケース機能が組み込まれています。

PDP は、Project Server がある SharePoint Server ファーム内の Project Web App やその他のアプリケーションで、さまざまな方法で使用できます。Project Web App の [プロジェクト詳細ページ] ページ (https://ServerName/ProjectServerName/Project%20Detail%20Pages/Forms/AllItems.aspx) では、3 種類の PDP を作成できます。ページの [ドキュメント] タブを使用して PDP を作成します。

  • プロジェクト   ワークフロー以外のエンタープライズ プロジェクト テンプレート、または他のアプリケーションでプロジェクトの詳細を編集するときに使用します。

  • 新しいプロジェクト   プロジェクトを作成するときに使用します。ポートフォリオ分析用のワークフローがあるエンタープライズ プロジェクト テンプレートでは、この種類の PDP が必要になります。

  • ワークフローの状態   プロジェクト提案の現在のステージと状態が表示されます。

Web パーツとリボン インターフェイスを使用して、PDP をカスタマイズできます。Project Server 2010 には、PDP 用に次の新しい Web パーツが用意されています。

  • ボタン Web パーツ   プロジェクト詳細ページを編集、保存、発行、または閉じること、あるいはワークフローの次のステージに移動することができます。長いページには、複数のボタン Web パーツを含めることができます。

  • ワークフローの状態 Web パーツ   Project Server ワークフローの状態を確認できます。

  • プロジェクト フィールド Web パーツ   PDP のプロジェクトのユーザー設定フィールドを選択または編集できます。コスト、実績作業時間など、プロジェクトのサマリー タスク フィールドは読み取り専用です。プロジェクト名、部署、ワークフロー管理、開始日、所有者など、ユーザー設定フィールドは読み取りと書き込みができます。

  • 戦略的影響度 Web パーツ   1 つ以上の部署によってフィルターされたすべてのビジネス ドライバー定義が含まれます。この Web パーツを使用すると、各ドライバーに対するプロジェクトの影響度を評価できます。

  • 依存関係 Web パーツ   プロジェクト間の依存関係を定義できます。

PDP によるプロジェクト管理は、Office Project Server 2007 のプロジェクト提案機能よりも使い勝手が向上しています。Office Project Server 2007 の Office Project Web Access には、プロジェクト提案用のページが 2 ページ (プロジェクトのすべてのユーザー設定フィールドをアルファベット順の一覧で示すページ、および提案されたプロジェクトのタスクのページ) しかなく、ページをカスタマイズできません。Project Server 2010 では、無制限の数のページを作成し、各ページで利用できるプロジェクト データの種類を正確に制御できます。

たとえば、ユーザーはプロジェクト フィールド Web パーツを使用して、ワークフローで制御されたページを作成し、詳細なプロジェクト情報とビジネス ケース情報を取得できます。ページにはリッチ テキストを含めることができ、PDP インフラストラクチャを使用して、ページからプロジェクト タイムライン Web パーツおよびスケジュール Web パーツにアクセスすることができます。PDP には、リッチ テキストとイメージを表示するコンテンツ エディター Web パーツなど、単純な Web パーツを含めることも、外部の基幹業務 (LOB) システムからのデータを取得または表示するカスタム Web パーツを含めることもできます。

PDP は、きわめてカスタマイズ性に優れたプロジェクト作成環境を提供します。Project Web App のリボン ユーザー インターフェイスと統合すること、個々のプロジェクト データ別のサイド リンク バー ナビゲーション要素を提供すること、およびユーザー設定フィールドを部署の関連付けによって動的にフィルターすることができます。

PDP を使用すると、Project Web App を次のようなさまざまな種類のプロジェクト管理シナリオと統合できます。

  • 戦略的目標のプロジェクトの影響度を評価する。

  • プロジェクト提案でワークフロー主導型の詳細の取得を提供する。

  • ワークフロー主導型の戦略的アライメントを提供する。たとえば、特定のステージに進む前に役員の同意を取り付けるなど。

  • コストおよびリソース最大利用可能時間の制約に基づいてポートフォリオ分析を行う。

  • プロジェクト コストの予算管理を行う。

  • カスタマイズされたリソース計画を実行する。

  • 段階ごとの詳細なタスク スケジュールを提供する。

これらのシナリオの多くは需要管理と関係しています。詳細については、MSDN ライブラリ オンラインの「ワークフローおよび需要管理」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189587\&clcid=0x411) を参照してください。「 ワークフローとプロジェクト詳細ページの設定 (Project Server 2010)」も参考になります。

ワークフローの統合

ワークフローは、プロジェクト ポートフォリオ管理のコア機能です。プロジェクトのライフ サイクルには、多くのフェーズにまたがる長期のプロセスを含めることができます。ガバナンス フェーズには、プロジェクト提案、ビジネスに及ぼす影響の分析、選択、作成、計画、管理、および追跡が含まれます。

Office Project Portfolio Server 2007 にはワークフローが含まれていますが、Project Portfolio Server 自体は拡張性がなく、ワークフローを作成することは困難です。Project Server 2010 にポートフォリオ管理とプロジェクト管理が統合されたことで、SharePoint Server 2010 ワークフロー プラットフォームに基づいたワークフローを作成するための豊富で拡張性のあるプラットフォームが提供されます。

Project Server 2010 ワークフローでは、SharePoint Server ワークフローのセキュリティ モデルが拡張されており、SharePoint Server ファーム全体にわたるインストールや、適切な Project Server の権限を持つ複数のユーザーからのアクセスができるようになっています。ワークフローは、特別な Project Server ユーザーの偽装によって実行されます。偽装、およびプロキシ アセンブリの使用により、Project Server ワークフローのユーザーは、フロントエンド Web サーバー (Project Web App) 経由で Project Server Interface (PSI) を呼び出す代わりに、アプリケーション サーバー上の PSI を呼び出すことができます。

ポートフォリオ管理に加えて、Project Server 2010 ではリソース、タスク、およびタイムシート管理のワークフローを作成することもできます。詳細については、「ワークフローおよび需要管理」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189587\&clcid=0x411) を参照してください。操作手順に関する一連の記事については、「Project Server ワークフローを開発する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189598\&clcid=0x411) を参照してください。ワークフローの統合の詳細については、「ワークフローとプロジェクト詳細ページの設定 (Project Server 2010)」を参照してください。

ビジネス インテリジェンス

ビジネス インテリジェンス機能を使用すると、融合されたデータを顧客の質問への回答として視覚化できます。Project Server 2010 では、Excel Services が Project Server に統合され、カスタム レポートの作成が容易になっています。この統合の一環として、未入力のデータ接続スプレッドシートと定義済みのレポートが提供されています。さらに、レポート機能に使用できるデータが拡張されて、タイムシート ユーザー設定フィールド、プロジェクトのプロパティ、およびポートフォリオのプランナーとオプティマイザーのデータが含まれるようになっています。また、PWA を使用して、定義済みのキューブをカスタマイズし、特定の部署のデータだけを含めることもできます。

Office Project Server 2007 のビジネス インテリジェンスの詳細については、ブログの投稿「Project 2010: Business Intelligence Overview (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189600\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。その他の参考資料については、TechNet の「Business Intelligence in Project Server 2010 Resource Center (英語)」を参照してください。

部署ユーザー設定フィールド

多くの企業ユーザーが、複数の部署のプロジェクトを Project Web App の 1 つのインスタンスで管理しています。部署ごとに異なるエンタープライズ ユーザー設定フィールドの要件にどのように対処するかは重要な問題です。Office Project Server 2007 では、たとえユーザー設定フィールドの一部が 1 つの部署にしか適用されない場合でも、すべてのユーザーがすべてのエンタープライズ ユーザー設定フィールドを表示できます。企業によっては、ローカルのユーザー設定フィールドと追加のカスタム プログラミングを使用して、この問題を回避していますが、長期的にはうまい解決策とは言えません。

Project Server 2010 では、部署ユーザー設定フィールドが導入されています。部署ごとに独自のエンタープライズ プロジェクト、タスク、およびリソースのユーザー設定フィールドを使用できます。また、指定したユーザー設定フィールドを複数の部署で共有することもできます。Project Server では、特定の部署に割り当てられていないユーザー設定フィールドを除外できるので、ユーザーには関連性のあるユーザー設定フィールドだけが表示されます。

Project Server 2010 では、特定の部署のユーザー設定フィールドを編集する権限を持つユーザーが、権限のない別の部署のユーザー設定フィールドを Project Web App で編集しないように制限できます。Project Professional を使用するとすべてのユーザー設定フィールドにアクセスできますが、プロジェクトの部署に基づいてリストをフィルターすることができます。部署のメンバーでない場合は、グローバルな必須フィールドに入力するだけで済み、他の部署フィールドに入力する必要はありません。

PSI は、部署を指定するように拡張されており、部署別のユーザー設定フィールドと権限の設定が追加されています。また、PSI では、部署のコレクションを作成すること、コレクション内のプロジェクト、リソース、参照テーブル、ユーザー設定フィールドを関連付けること、および部署のコレクションで必須のユーザー設定フィールドを定義することもできます。コレクションは既定の Collections 参照テーブルで定義されます。Collections 参照テーブルは変更できますが、削除はできません。PSI を使用すると、他の部署が所有するコレクション内のユーザー設定フィールドを編集できます。

ユーザー委任

Office Project Server 2007 では、代理タイムシート機能を使用して、1 人のタイムシート ユーザーがタイムシートの管理を別のユーザーに任せる (たとえば更新を送信してもらう) ことができます。しかし、Project Web App には、可能であれば操作を別のユーザーに委任できると便利な部分が他にも数多くあります。Project Server 2010 では、このニーズに応えるために委任機能が導入されました。委任機能を使用すると、1 人のユーザーが別のユーザーの役割を果たすことができ、両者の間の権限レベルの違いは無視されます。たとえば、1 人のチーム メンバーを管理者の代理人にすることができます。この場合、チーム メンバーが代理人になると、そのユーザーは管理者が持つすべての特権を取得します。

委任の使用に関する詳細については、「ユーザー委任のための権限を設定する (Project Server 2010)」を参照してください。

複数の OLAP キューブのサポート

Project Server 2010 のキューブ作成サービス (CBS) では、部署別のキューブ、および複数のデータスライスされたキューブの作成がサポートされています。エンタープライズ プロジェクト管理 (EPM) のサイト コレクション管理者は、次のような複数のカスタマイズされたキューブを作成できます。

  • 管理するプロジェクトとリソースのデータのみが含まれるキューブ。

  • 選択するファクトとディメンションのみが含まれるキューブ。

"マルチキューブ" を使用すると、データのグループを選択し、各グループのフィールドを追加して、キューブ内のデータをスライスできます。管理者は、キューブへのアクセスを部署によって制限できます。Project Server 2010 では、翻訳者によるキューブ内のデータのローカライズもサポートされています。すべてのデータにローカライズされたフィールド名の別名を付けて、展開先のロケールの言語でフィールド名を表示する PDP を作成できます。キューブでは、"手動でスケジュールされたタスク" データがサポートされており、タスクがタスク ディメンションに表示される代わりにプロパティとして表示されます。手動でスケジュールされたタスクは Microsoft Project Professional 2010 の新機能です。Project Professional では、自動的にスケジュールされたタスク モード (従来のモード) と、手動でスケジュールされたタスク モードを選択できます。キューブは既定で非アクティブなタスクを除外しますが、タスク割り当てのディメンションを追加して、アクティブまたは非アクティブなタスクを表示できます。

Project Server 2010 の CBS では、キューブ作成開始時の RDB 更新のブロックも減少します。Office Project Server 2007 の大規模な展開における OLAP キューブの問題の 1 つは、再作成によって引き起こされる遅延に関係しています。RDB を使用するプロジェクト レポートでは、中央のキューブが再作成されるのを待つ間、新しいデータの表示が遅れることがあります。適切な管理権限を持つ Project Server ユーザーは、選択の時点でより小さいカスタム キューブを作成できます。Project Server 管理者は、新しいユーザー設定フィールドとカスタム キューブを作成する管理上の負担を部署のチームに押しつけて、キューブ内のデータとレポートのタイミングに関する意見の衝突を軽減できます。

OLAP マルチキューブでは、Microsoft SQL Server Analysis Services 2000 や意思決定オブジェクト (DSO) はサポートされません。最小要件は 64 ビット版の Microsoft SQL Server 2005 SP2 と分析管理オブジェクト (AMO) マネージ コード API です。64 ビット版の SQL Server では AMO も 64 ビットの実装で、アップグレードに伴うバージョン構成の問題が軽減されます。

PWA の新しいグリッド コントロール

Project Web App ユーザーは、新しい Project Server 2010 AJAX グリッド コントロールを使用してページを表示します。これは読み取り操作と書き込み操作の両方をサポートする JavaScript グリッド コントロールです。以前のコントロールよりも高速で、セルの検証、豊富なカラー パレット、および対話型のフィールドの選択機能を備えています。Office Project Server 2007 で以前に使用されていた ActiveX コントロールと異なり、AJAX グリッドはローカルにインストールする必要がなく、署名のないコントロールをダウンロードするというセキュリティ上の懸念を回避できます。

Project Web App ユーザーが Project Server 2010 にアクセスするには、Internet Explorer 7、Internet Explorer 8、または Internet Explorer 9 を使用する必要があります。また、Project Server 2010 の Service Pack 1 更新プログラムによって、チーム メンバーが頻繁に使用する Project Web App ページへのアクセスに、追加のブラウザー (Firefox、Google Chrome、および Apple Safari) の特定のバージョンがサポートされます。ブラウザーの詳細については、「ブラウザー サポートを計画する (Project Server 2010)」を参照してください。

Project Web App のリボン ユーザー インターフェイス

SharePoint Foundation 2010、SharePoint Server 2010、および Project Server 2010 の Project Web App では、リボン ユーザー インターフェイス コンポーネントが採用されています。Project Web App の操作性が Project Professional 2010 の操作性に近づいて、プロジェクト マネージャーは両方のクライアント アプリケーション内で同じような方法で操作を行うことができます。リボン インターフェイスの採用により、他の SharePoint Server アプリケーションを使い慣れたユーザーが Project Web App に移行することも容易になります。

プロジェクト マネジメント オフィス (PMO)、プロジェクト マネージャー、リソース マネージャー、およびチーム メンバーが頻繁に使用する Project Web App のページでは、Server リボン インターフェイスが使用されます。[サーバー設定] の管理用ページ、[個人用の設定] の一部のページなど、ほとんど使用されない他のページにはリボンは必要ありません。

リボンはカスタマイズおよび拡張ができます。Office Project Server 2007 では、サード パーティの開発者が Project Web App の多くのページをカスタマイズすることは困難か不可能でした。Project Server 2010 では、非管理用ページのカスタマイズと拡張が容易になっています。詳細については、「Project Server の開発シナリオ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189618\&clcid=0x411) の「Project Web App のリボンをカスタマイズする」を参照してください。

タイムシートの単一入力モード

Project Server 2010 では、Project Web App のタイムシートと状態ページを使用して入力されたデータを統合する新しい時間管理モードが導入されています。タイムシートの単一入力モードは、PSI の Timesheet メソッドによって実装され、管理用時間に対する統合されたアクセスを提供します。単一入力モードは、以前の Timesheet スキーマでは利用できなかったアイテムの転送に必要な追加のデータで強化されています。

タイムシートの単一入力モードの詳細については、「概要: 1 つのビューで時間とタスクの進捗状況を入力する (Project Server 2010)」を参照してください。

Exchange Server との統合

Office Project Server 2007 は Microsoft Office Outlook 2007 クライアント アプリケーションと統合され、チーム メンバーは Outlook アドイン経由で割り当ての作業時間を表示および報告できます。これに対し、Project Server 2010 は Outlook ではなく、Exchange Server 2007 SP1 (以降) と直接統合されます。このため、チーム メンバーは Exchange Server にアクセスできる場所であればどこにいても Outlook や Microsoft Outlook Web アプリケーション で割り当てデータを操作できます。

Project Server は最新のタスクと割り当て情報を Exchange Server に送信し、Exchange Server が Outlook や Outlook Web App クライアントとのやり取りをすべて処理します。Outlook クライアントが割り当てデータを変更すると、Exchange Server は Project Server に通知します。Project Server は Exchange Server からデータを取得するキュー ジョブを生成し、Statusing パブリック API を使用して Project Web App の情報を更新します。

Project Server 2010 と Exchange Server の統合の詳細については、「Project Server 2010 を Exchange Server と共に展開する」を参照してください。

クレームベース認証

クレームベース認証は、SharePoint Foundation 2010 および SharePoint Server 2010 を通じて Project Server 2010 で利用できる新しい認証方式です。

クレームベース認証システムは、Active Directory フェデレーション サービス (ADSF)、シングル サインオン機構など、フェデレーション認証サービスに利用されます。クレームベース認証システムにはセキュリティ トークンが存在し、認証されたユーザーに関する一連の ID アサーションで構成されます。アサーションは、ユーザーの ID に関連付けられた属性です。アサーションには、ユーザー名、ロール、社員 ID など、承認の判断に使用できるさまざまな属性を含めることができます。Security Token Service (STS) が認証要求に応答し、さまざまな属性ストアのアカウント情報に基づいてトークンを作成します。このトークンがアクションの認証に使用されます。実質的に、クレームベース認証は、従来の Windows NTLM/Kerberos 認証方式に比べて柔軟性に優れています。

クレームベース認証および STS の詳細については、以下の各記事を参照してください。

アップグレード用の下位互換性モード (BCM)

Project Server 2010 にアップグレードした後で、下位互換性モード (BCM) 機能を使用すると、Microsoft Office Project Professional 2007 Service Pack 2 ユーザーがサーバーに接続できるようになります。この機能によって、ネットワーク管理者は Office Project Professional 2007 クライアントから Project Professional 2010 へのアップグレードをある程度柔軟に計画できます。アップグレードを直ちに実行する必要がなくなるからです。BCM が有効になっている場合、Project Professional 2010 ユーザーは Project Server 2010 に接続できますが、新しい機能の一部が有効になりません。Project Professional クライアントをすべて Project Professional 2010 にアップグレードし終わったら、BCM を無効にすることができます。これにより、Project Professional 2010 ユーザーはすべての機能を使用できるようになります。BCM の詳細については、「下位互換性モード (BCM) (Project Server 2010)」を参照してください。

重要

BCM を無効にすると、再度有効にすることはできません。BCM を無効にする前に、本当に無効にできる状態になっているかどうかを確認してください。

重要

BCM が有効になっても、Office Project Professional 2003 ユーザーは Project Server 2010 に接続できません。

Project Server 2003 データを移行するための仮想移行環境 (VME)

Project Server 2003 環境を使用している場合は、Project Server 2010 にアップグレードする前に、データを Office Project Server 2007 に移行する必要があります。仮想移行環境 (VME) は、Hyper-V イメージ内の Office Project Server 2007 環境であり、データを Office Project Server 2007 に移行するための一時的な通過環境として機能します。VME はスタンドアロン環境としてインストールでき、ネットワークに接続されている必要はありません。VME から外部ハード ディスク ドライブ経由で Project Server 2003 データにアクセスできます。データの移行のみを目的として使用する限り、追加のライセンスは必要ありません。VME の詳細については、「Project Server 2010 の仮想移行環境 (VME) ガイド」を参照してください。

Windows PowerShell

Project Server 2010 では、展開と管理が容易になるように Windows PowerShell サポートが提供されています。Windows PowerShell は、Windows 用の比較的新しい対話型コマンド ライン シェルおよびスクリプト言語です。IT 管理者は、Windows PowerShell の強力なタスク自動化機能とスクリプト機能を利用して、Windows オペレーティング システムとアプリケーションを管理できます。Windows PowerShell は 2006 年にリリースされ、現在は Windows XP SP2/SP3、Windows Server 2003、Windows Vista 用に提供されており、Windows Server 2008 にはオプション機能として付属しています。Windows 7 にも Windows PowerShell が付属しています。

SharePoint Server 2010 は、管理用のインターフェイスとして Windows PowerShell が統合された最初のバージョンの SharePoint Server です。IT 管理者は Windows PowerShell を使用してバッチ ファイル (スクリプト) を作成し、日常的なタスクを自動化したり、複雑な問題を解決したりできます。スクリプトによって機能が強化され、特に組織内の他の管理者に配布すると一貫性が確保されます。

SharePoint Server 2010 をインストールするための前提条件の 1 つは、Windows PowerShell を機能として、またはオペレーティング システムの一部としてインストールすることです。SharePoint コマンドレットは Windows PowerShell 1.0 用に作成されていますが、Windows PowerShell 2.0 でも既定で動作します。SharePoint Server は独自のシェルを作成せず、代わりに Windows PowerShell で提供される機能を拡張します。これは SharePoint 固有のスナップインとプロバイダーを登録して行われます。この拡張されたシェルを SharePoint 管理コンソール (SMC) と呼びます。

注意

Windows PowerShell の詳細については、「Windows PowerShell for Project Server 2010」を参照してください。また、「Running Windows PowerShell Scripts (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189628&clcid=0x411) (英語) でも詳細な情報を参照できます。