次の方法で共有


Outlook Web Access の拡張機能の管理

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-07-30

Microsoft Exchange Server 2007 の Microsoft Office Outlook Web Access の高度な機能は、Exchange 管理コンソールおよび Exchange 管理シェルを使用して管理できます。Exchange 2007 では、セグメンテーションを使用することで、組織全体または個別ユーザーに対して Outlook Web Access の機能を有効または無効にすることができます。スパム発信者からの保護を強化するために、Outlook Web Access の Web ビーコンを無効にすることができます。初期ログオン時の Outlook Web Access の既定の言語と文字設定がユーザーに合っていない場合は、言語と文字の設定で変更することができます。ユーザーが低速のネットワーク接続で Outlook Web Access を使用する場合、クライアント コンピュータで Outlook Web Access のパフォーマンスを向上するために Gzip 圧縮を有効にすることができます。

Outlook Web Access のセグメンテーション機能

セグメンテーションを使用すると、Exchange 2007 Outlook Web Access でユーザーが利用できる機能を有効または無効にすることができます。既定では、Exchange 2007 組織内でメールが有効なユーザーは、Outlook Web Access を使用して各自のメールボックスにアクセスできます。組織のニーズに応じて、セグメンテーションを使用してユーザーのアクセスに次のような制限を構成することができます。

  • 特定のユーザーに対して Outlook Web Access へのアクセスを制限します。
  • 特定のユーザーに対して一部の Outlook Web Access の機能へのアクセスを制限します。
  • Outlook Web Access の機能を完全に無効にします。

Exchange 管理コンソールを使用すると、Outlook Web Access 仮想ディレクトリに対して多くの機能を設定できます。Exchange 管理シェルで Set-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用すると、Exchange 管理コンソールで行うのと同じ機能を有効または無効にできます。加えて、Outlook Web Access 仮想ディレクトリに対してさらに多くの Outlook Web Access の機能を設定できます。たとえば、Outlook Web Access で [アラーム] 機能を無効にするには、RemindersandNotificationsEnabled パラメータを使用します。[アラーム] 機能を使用すると、新着メールの通知を受け取ることができます。また、タスク、連絡先、テーマなど、他の Outlook Web Access 機能を変更することもできます。

すべてのユーザーに対してセグメンテーションを構成するために使用できるパラメータの詳細については、「Set-OwaVirtualDirectory」を参照してください。

Exchange 管理コンソールで構成できる機能の詳細については、「Outlook Web Access でセグメンテーションを管理する方法」を参照してください。

特定のユーザーに対する機能を有効または無効にする方法の詳細については、「Set-CASMailbox」を参照してください。

Exchange Server 2003 と Exchange Server 2007 のセグメンテーション機能

表 1 は、Exchange Server 2003 と Exchange 2007 の Outlook Web Access セグメンテーションの違いを示しています。

表 1   Exchange Server 2003 と Exchange Server 2007 の Outlook Web Access セグメンテーション

種類 Exchange Server 2003 Exchange Server 2007

セグメンテーションの基準

セグメンテーションは個別ユーザーおよび個別サーバーに対して実行できます。Outlook Web Access の各機能に対するセグメンテーション設定は、レジストリに DWORD 値として格納されます。

DWORD 値が 1 である場合、Outlook Web Access 機能は有効です。DWORD 値が 0 である場合、Outlook Web Access 機能は無効です。

既定では、すべての機能が有効です。

セグメンテーションは個別ユーザーおよび個別の仮想ディレクトリに対して実行できます。Exchange 管理シェルを使用することで、Outlook Web Access の各機能に対するユーザーおよび仮想ディレクトリのセグメンテーション設定を管理できます。

Exchange Server 2003 とは異なり、Exchange 2007 のセグメンテーション設定は、レジストリの編集では構成されません。

セグメンテーション値の保存

ユーザーおよびサーバーに対して設定されている DWORD 値は同じです。ただし、それらは別の場所に保存されます。

  • サーバーの DWORD 値はレジストリ キーに保存されます。
  • ユーザーの DWORD 値は、ユーザー オブジェクトの msExchMailboxFolderSet Active Directory 属性に保存されます。

既定では、msExchMailboxFolderSet 属性は存在しますが値は構成されていません。

  • Outlook Web Access 仮想ディレクトリに設定されているセグメンテーション値は、仮想ディレクトリ オブジェクトに保存されます。
  • ユーザーに設定されているセグメンテーション値は、ユーザー オブジェクトの msExchMailboxFolderSet Active Directory 属性に保存されます。

既定では、msExchMailboxFolderSet 属性は各ユーザーごとに存在しますが値は構成されていません。個別ユーザーの値を構成するには、Set-CASMailbox コマンドレットを使用します。

Exchange 2007 の Outlook Web Access のセグメント可能な新機能。

  • 該当なし
  • 次の新しい Outlook Web Access 機能に対してセグメンテーションを適用できます。
    • ユニファイド メッセージングの統合
    • Microsoft Windows SharePoint Services および Windows のファイル共有統合
    • [オプション] ページの [モバイルの設定] からの Microsoft Exchange ActiveSync 統合

Web ビーコンについて

Web ビーコンは、透明なグラフィックや画像などの、Web サイト上や電子メール メッセージ内に埋め込まれるファイル オブジェクトです。通常、Web ビーコンは HTML Cookie と組み合わせて使用され、Web サイト上でのユーザーの動作を監視したり、Web ビーコンを含む電子メールが開かれるときに受信者の電子メール アドレスを検証したりします。Web ビーコンの構成は、組織内の Outlook Web Access 仮想ディレクトリごとに、仮想ディレクトリ単位で設定されます。

Web ビーコンは多くの場合、ユーザーが迷惑メール メッセージを開いたときに、画像の形式でユーザーのコンピュータにダウンロードされます。画像がダウンロードされると、迷惑メールの送信者に Web ビーコンの通知が送信され、受信者の電子メール アドレスが有効である旨を送信者に通知します。迷惑メールの送信者に Web ビーコンの通知を返すメッセージをユーザーが開くと、このユーザーにはさらに多くの迷惑メールが送信される可能性があります。迷惑メールの送信者は、ユーザーの電子メール アドレスが有効であることを確認しているからです。Web ビーコンには有害なコードが含まれることもあり、スパム発信者のメッセージを配信するように電子メール フィルタを変更するために使用されることもあります。

note注 :
既定では、Outlook Web Access では電子メール メッセージ内のすべての Web ビーコン コンテンツが無効になっています。

Outlook Web Access では、Web ビーコンとして使用される可能性があるコンテンツを含むすべての受信メッセージに対し、実際に Web ビーコンが含まれているかどうかにかかわらず、コンテンツがブロックされたことをユーザーに通知する Outlook Web Access の警告メッセージが表示されます。ユーザーがそのメッセージの正当性に確信が持てる場合は、ブロックされたコンテンツを有効にすることができます。送信者またはメッセージにユーザーの心当たりがない場合、コンテンツのブロックを解除せずにメッセージを開き、ビーコンを起動せずにメッセージを削除できます。組織でこの機能を使用しない場合は、Outlook Web Access のブロック オプションを無効にすることができます。

Web ビーコンの無効化

Web ビーコンのフィルタの構成設定は、Active Directory ディレクトリ サービスに保存されます。Exchange 管理シェルで Set-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用することで、Web ビーコンに対するフィルタの適用方法を構成できます。構文およびパラメータの詳細については、「Set-OwaVirtualDirectory」を参照してください。

次の一覧は、Outlook Web Access での Web ビーコンのフィルタに対する FilterWebBeacons プロパティのパラメータを示します。

  • UserFilterChoice   UserFilterChoice パラメータを使用すると、ブロックされた Web ビーコン コンテンツを有効にするか、または無効のままにするかをユーザーが決定できます。Outlook Web Access では Web ビーコンの可能性があるすべての電子メール メッセージ コンテンツがブロックされます。ユーザーが Web ビーコンの可能性があるコンテンツを含む電子メール メッセージを受信すると、情報バーには次のメッセージが表示されます。"プライバシー保護のため、イメージ、サウンドやその他の外部コンテンツはブロックされています。復元するには、ここをクリックしてください。"ブロックされた Web ビーコン コンテンツを表示するには、[ここをクリック] オプションをクリックします。

    note注 :
    既定では、UserFilterChoice パラメータが Outlook Web Access に対して有効になっています。
  • ForceFilter   ForceFilter パラメータを使用すると、Web ビーコンの可能性があるすべてのコンテンツをブロックできます。ユーザーが ForceFilter パラメータを上書きして、ブロックされた Web ビーコン コンテンツを表示することはできません。

  • DisableFilter   DisableFilter パラメータ設定を使用すると、Outlook Web Access ですべての Web ビーコン コンテンツを有効にできます。

Web ビーコンを無効にする方法の詳細については、「Outlook Web Access の Web ビーコンおよび HTML フォームのフィルタを制御する方法」を参照してください。

言語設定

Exchange 管理シェルで Set-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用すると、Outlook Web Access 仮想ディレクトリに対して次の言語パラメータ設定を構成できます。

  • DefaultClientLanguage   DefaultClientLanguage パラメータは、地域に関するプロパティ設定であり、[オプション] ページで特定の言語を選択していないユーザーが Outlook Web Access にログオンしたときに使用される Outlook Web Access 言語を指定します。これにより、タイム ゾーンと言語を設定する初期ページはユーザーに表示されなくなりますが、ユーザーがログオン後に Outlook Web Access の [オプション] ページでこれらの設定を変更することはできます。このパラメータは、Microsoft Exchange 2000 Server または Exchange 2003 仮想ディレクトリには適用されません。
  • LogonAndErrorLanguage   LogonAndErrorLanguage パラメータには、ユーザーの現在の言語設定が読み取り可能ではない場合に、Outlook Web Access でフォーム ベース認証およびエラー メッセージに使用される言語を指定します。このパラメータは Exchange 2003 仮想ディレクトリに適用します。

ユーザーは、Outlook Web Access セッションに認証された後、[オプション] メニューの [地域の設定] オプションを使用することで、Outlook Web Access で使用される言語を構成できます。LogonAndErrorLanguage パラメータを構成できるのは、管理者のみです。管理者は、ユーザーが Outlook Web Access に認証される前に LogonAndErrorLanguage パラメータを構成する必要があります。

note注 :
アラビア語、アジアの諸言語、ヘブライ語、およびウルドゥ語を Outlook Web Access で適切に表示するには、右から左に読む言語のサポートとスクリプト言語をクライアント コンピュータにインストールする必要があります。その他の言語でも、適切な言語パックをクライアント コンピュータにインストールすることが必要な場合があります。

構文およびパラメータの詳細については、「Set-OwaVirtualDirectory」を参照してください。

Outlook Web Access 仮想ディレクトリの言語設定を構成する方法の詳細については、「Outlook Web Access の言語設定を構成する方法」を参照してください。

文字設定

Charset パラメータには、Web ブラウザによるデータのデコード方法を指定し、Web ページの Response オブジェクトに ISO-8859-15 のような content-type ヘッダーの文字セットを追加します。この Response オブジェクトを使用して出力をクライアントに送信できます。

Exchange 管理シェルで Set-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用すると、Outlook Web Access 仮想ディレクトリに対して文字設定を構成できます。Outlook Web Access 仮想ディレクトリには次の文字設定を構成できます。

  • OutboundCharset   OutboundCharset パラメータには、ユーザーから特定の Outlook Web Access 仮想ディレクトリに送信されるメッセージに使用される文字セットを指定します。設定できる値は、autodetect、alwaysutf8、および userlanguagechoice です。Autodetect を設定すると、Exchange ではテキストの最初の 2 KB (キロバイト) が検査され、使用する文字セットが推定されます。これは優先方式です。AlwaysUTF8 を設定すると、Exchange では送信メッセージに常に UTF-8 エンコードの UNICODE 文字が使用されます。UserLanguageChoice を設定すると、Exchange ではメッセージのエンコードに Outlook Web Access ユーザー インターフェイスで使用される言語が使用されます。これは、優先言語と個別のメッセージで使用される言語が同じでない場合に問題が起きる可能性があります。
  • UseGB18030   UseGB18030 パラメータとは地域に関するプロパティ設定を指し、これは文字セット GB18030 をいつ使用するかを指定します。このパラメータは、OutboundCharset レジストリ キーと連動する Active Directory の文字処理用のキーです。USEGB18030 がオンで OutboundCharsetAutodetect に設定されている場合、Outlook Web Access では GB18032 が検出されると常に GB18030 が使用されます。
  • UseISO8859-15   UseISO8859-15 パラメータは地域に関するプロパティ設定を指し、これは文字セット ISO8859-15 をいつ使用するかを指定します。このパラメータは、OutboundCharset レジストリ キーと連動する Active Directory の文字処理用のキーです。USEISO8859-15 がオンで OutboundCharsetAutodetect に設定されている場合、Outlook Web Access では ISO8859-1 が検出されると常に ISO8859-15 が使用されます。

構文およびパラメータの詳細については、「Set-OwaVirtualDirectory」を参照してください。

Outlook Web Access の文字設定を構成する方法の詳細については、「Outlook Web Access の文字設定を構成する方法」を参照してください。

Gzip 圧縮設定

Gzip 圧縮により、データ圧縮が有効になります。データ圧縮は、低速のネットワーク接続を経由した応答時間の最適化に役立ちます。Outlook Web Access では、選択する圧縮設定の種類に応じて、静的、動的、またはその両方の Web ページが圧縮されます。Gzip 圧縮は、クライアント アクセス サーバーによって実行されます。

Exchange 管理シェルで Set-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用することで、Outlook Web Access 仮想ディレクトリに対する Gzip 圧縮設定を構成できます。Get-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用すると、Outlook Web Access 仮想ディレクトリの現在の設定に関する情報を取得できます。構文およびパラメータの詳細については、「Set-OwaVirtualDirectory」を参照してください。

表 2 では、Outlook Web Access のデータ圧縮設定の 3 つのレベルについて説明します。

表 2   Outlook Web Access のデータ圧縮設定

データ圧縮設定 説明

この設定では、静的なページと動的なページが圧縮されます。

この設定では、静的なページのみが圧縮されます。

既定では、Exchange 2007 仮想ディレクトリ、およびクライアント アクセス サーバーの役割のみをホストしている Exchange 2007 サーバー上の Exchange 2000 と Exchange 2003 の仮想ディレクトリでは、Gzip 圧縮は Low に設定されています。メールボックス サーバーの役割がインストールされている Exchange 2007 サーバー上の Exchange 2000 と Exchange 2003 の仮想ディレクトリでは、圧縮はサポートされません。

Off

圧縮は行われません。

Gzip の設定を構成する方法の詳細については、「Gzip 圧縮設定を構成する方法」を参照してください。

Outlook Web Access のテーマの作成

1 つ以上のテーマを作成することで、組織の Outlook Web Access の外観をカスタマイズできます。テーマを作成したら、セグメンテーションを使用して既定のテーマを設定できます。また、セグメンテーションを使用して、Outlook Web Access オプションのテーマ選択へのユーザーのアクセスを有効または無効にすることができます。

フォーム ベースの認証ログオン ページのカスタマイズ

元のフォーム ベースの認証ログオン ページと同じ HTML フォームを Outlook Web Access アプリケーションに送信するログオン ページの新しいバージョンを記述することで、フォーム ベースの認証ページの外観をカスタマイズできます。

フォーム ベースの認証ページは、匿名アクセスに対して有効になっています。このため、Outlook Web Access ログオン ページにどのコンテンツを表示するかを決定するときに注意する必要があります。組織をセキュリティ リスクにさらす可能性がある機密性の高いデータは、Outlook Web Access ログオン ページには表示しないでください。

ログオン ページをカスタマイズする場合、ログオン ページを表示しているクライアント アクセス サーバーに修正プログラムと Service Pack をインストールするときに、変更内容が上書きされる可能性があります。

詳細情報

Outlook Web Access の高度な機能の詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。