【IIS7】 MSC2008 セッションより (第一話)
それでは早速 第一話。
{IIS7.0 を検討する際に見ておきたいこと}
●技術的な概要は押さえておこう!
IIS7と一言で言ってもWebサーバーというのは本当に多くの機能を備えており、IISの場合は用途が多様化を続けています。コンテンツがビデオにも及ぶことを考慮した色々な機能や先進的なFTPであったりと機能を列挙するだけで本当に数多いです。ということを踏まえると、何ができるのか? それぞれどういうことなのか?を大まかでもいいので、捉えておくことが重要になってきます。そこでこのパートでは現在入手できる概要を勉強するためのリソースをご紹介することにしました。以下がスライドに書いてあったリンクそのものです。
読み物:Web記事、ブログ
@ITサイト:柔軟性と機能性を大幅に高めたIIS 7.0
https://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/winsv2008/index/index.html
※これも以前ご紹介した通り、奥主が書いた記事です。全体像を捉える読み物としてご利用ください。
講師ブログ:タグでIIS7.0を選んで絞って見ることも可能
https://blogs.technet.com/hirookun
※ここですな。。。
IISコミュニティサイト(英語)
https://www.iis.net
※英語です。わかってます、日本語化についても一生懸命動いています。少しずつでも出していけるように努力します。
ビデオ形式で学ぶ:Webcast
ベータ3セミナー収録、Tech・Ed 2006 収録 のウェブキャスト
https://www.microsoft.com/japan/seminar/lhs/beta3_seminar/t301/play.aspx
https://msevents.microsoft.com/CUI/EventDetail.aspx?EventID=1032339580&culture=ja-JP
※過去に実施してきたセッションで、使っているバージョンが古いですが、全体コンセプトを学ぶにはよろしいかと。
体験して学ぶ:バーチャルラボ
IIS7.0 をテーマに順番に公開予定
https://www.microsoft.com/japan/technet/traincert/virtuallab/default.mspx
※もう少し詳細に下に書きます。
質問をする:Microsoft TechNet フォーラム
IIS7.0 だけでなく、IIS5.x と IIS6.0 のフォーラムも
https://forums.microsoft.com/TechNet-JA/default.aspx?ForumGroupID=495&SiteID=36
※ぜひ お試しください。私も参加して情報提供できることはします。
●TechNet バーチャルラボ
新しいテクノロジーを学ぶ際に大きな障害になるのが環境の準備です。その意味ではこのインフラが登場した時、私は「画期的だ」と関心したものでした。IIS7については長く毎回セミナーを実施するたびにお約束してきたのですが、実現できず、情けない思いでいっぱいだったのですが、ようやく他の方の力もお借りして実現しそうです。まずは下記のラボを今 本番化に向けて手がけています。これに加えてあと5つほど登場する予定です。
https://www.microsoft.com/japan/technet/traincert/virtuallab/default.mspx
Internet Information Services 7.0:
インストールと新しいモジュール方式のアーキテクチャ
Internet Information Services 7.0:
IIS マネージャの使用
Internet Information Services 7.0:
APPCMD の使用
●日本語書籍:「IIS7.0 Webサーバー管理ガイド」 発行決定!
原書は How to Cheat at IIS 7 Server Administration という元 IIS 開発チームの Chris Adams さんが書いた本なのですが、Vistaのベータ段階で書かれた本だけあって、Vista と 2008 の両方を取り上げている、どちらかというと文章体ではなく、かなりカジュアルな表現の多い本です。彼は元々 IISのサポートチームでお客様サポートを担当していたことから、IISのソースコードもよく見ていた関係でかなり開発素養が高い人です。なのでAdministrationと言いつつ、本書ではプログラムコードも書かれています。私の方でこの本を監修させていただき、下記の詳細をMSCで発表しました。これも概要を掴むための第一歩としてご利用いただければと思います。原書の まえがき を書いている IIS 開発チーム責任者である Bill Staples には今回の日本語に向けてコメントをもらいましたのでそれも記載されています。(●^o^●)
出版:日経BPソフトプレス社
https://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/C06100.html
タイトル:IIS 7.0 Webサーバー管理ガイド
ページ数:248ページ
ISBN:978-4-89100-570-2
定価:本体2800円+税
発行日:2008年5月19日
ちなみにセッションでは言いませんでしたが、ここでは再度 英語の本の現在ラインアップも紹介しておきます。
How to Cheat at IIS 7 Server Administration Syngress Media Inc 上記の本の原書
Chris Adams , Conrad, Jr. Agramont , Gene Whitley
Mastering IIS 7 Implementation and Administration Sybex Inc
John Paul Mueller
Professional IIS 7.0 Wrox Press
Ken Schaefer, Jeff Cochran, Scott Forsyth, Rob Baugh, Mike Everest
Professional IIS 7 and ASP.NET Integrated Programming Wrox Press
Shahram Khosravi
Internet Information Services (IIS) 7.0 Administrator's Pocket Consultant Microsoft Press
William R. Stanek
Internet Information Services (IIS) 7.0 Resource Kit Microsoft Press
Mike Volodarsky, Olga Londer, Brett Hill, Bernard Keach, Steve Schofield
※Mike は https://mvolo.com でよく知られたIIS開発チームメンバー、Olga はヨーロッパのエバンジェリストマネージャー、Brett は元 IIS エバンジェリスト、他の二人も IIS の MVPさん です。実は Olga とは先週の出張で会ってきたので、リソキ買ったよーと言ったら喜んでくれました。事実としてはかなり彼女が書いたようで。。。
Microsoft Press の本は有力な日本語化対象だと思います。私は IIS7 の新たな可能性を広げるために Shahram の本をなんとか日本語化したいと思って促進運動を今しています。どうなるかは今後にご期待ということで。
●プランニングの重要性
IIS7.0は色々な面で拡張され、セキュアになり、多機能化し、ASP.NETと統合していますが、その影響で今までよりも検討するべきことが多いかもしれません。なので、プランニングがすごく重要になってきます。セッションで取り上げたのは下記の要点です。
- 数台の話なのかもっと多い台数なのか?
IIS7は設計段階からホスティングを意識した製品構造になっているので、展開手法も数多く存在します。その中で台数が多いケースでの展開手法も考慮されています。その一例が「共有構成」という機能だったり、サーバーOS+アルファでMDTなどを利用してイメージで展開してしまう方法だったりします。なのでどう展開するかの計画が欠かせません。もう一つあげたのはアクティベーションです。実際に今回 バーチャルラボを私の方で本番環境向けにレビューをしているわけですが、そこでもアクティベーションを本社環境でするなど、事前検討が足りないことがありました。
- 何を実行するWebサーバーなのか?
ご存じのように IIS7 は各機能がモジュール化されています。これにより、セキュリティリスクとキャパシティプランニングに影響がありますので、ASP.NETだけ動けばいいのか、それ以外のアプリケーションタイプも動くのかなど検討することが結構あります。多く機能を搭載すれば、セキュリティリスクが増大するわけで、同様にしてモジュールを多く動かすことでプロセスが使用するメモリフットプリントが増大します。
- アップグレード?新規インストール?
アップグレードの検討は常に新プラットフォームの検討段階においては発生すると思いますが、今回も同様です。二つの影響事例を挙げました。IIS5.0 からは直接アップグレードできないこと、それから IIS6.0に無い機能(モジュール化 等)は自動構成されることです。後者が特に要注意で、アップグレードした時点では思うように動かず、設定をその上でする必要があるケースがあったり、入れるつもりではないモジュールがインストールされていたりします。これはIIS6.0とIIS7.0の機能相違から発生するのでこの検討を省くのであれば新規インストールを前提としてください。
- どのような管理・運用を行っていくのか?
IIS7.0にはかなり優秀な新診断機能があり、これを活用しない手はありません。あるいはアプリケーションのエラー処理実装を現行のもののまま行うのではなく、一度は再考察すべきです。これは新診断機能がかなり今までできなかったことを実現してくれるためで、アプリ側でも何か新しいことをする想定をすべきだからです。
●いざ、インストール でもその前に
IIS7.0はモジュール化されています。これは Windows Server 2008 自身 でも同様で、インストールする前に実は選択すべきことがいっぱいあります。
- オペレーティングシステムは?
開発用であれば Windows Vista、運用環境であれば Windows Server 2008 を選択しましょう。そして、Windows Server 2008 を選択した場合には今度は 今まで同様のフルインストールを選択するのか、Server Coreを選択するのかという次の検討があります。Server Core についてはASP.NETが動作しないので注意しましょう。
- 32 ビット か 64 ビットか?
どうしても互換性を重視するのであれば 32ビット、そうでないのであれば迷わず 64ビット を選択しましょう。特にヘビーなパフォーマンス要求のある環境(重厚長大なサーバーをイメージしてますが)では物理メモリと仮想メモリのマッピング(PTE)で32ビット上限をヒットするケースが出てくるでしょう。この場合、CPUもメモリもネックじゃないのにスループットが伸びないケースが出てきます。それを防ぐ意味でも 64ビットをできるだけ選択しましょう。
- インストール方法は?
とにかくインストール方法は多くありますので、@ITの記事か、以前の投稿(提供形態, インストール方法)を参照してください。既定ではHTMLをホストする最低限で抑制されていますので、ASP.NETがいるのか、ASPがいるのか、PHPがいるのか、それ以外で利用するのかを決定しておかないとセキュリティリスクが増したり、パフォーマンスの最適化ができなかったりします。
- 新規なのか、アップグレードなのか?
アップグレードは事前検証を入念にすべきです。実はOSだけでも既存環境を確認するためにインストール時間が余計にかかることがわかっていますから、必ず実行時間の事前調査をまず行うべきでしょう。
次回へ続く...(*^_^*)