Office ソリューションの配置
Office ソリューションを配置するときに ClickOnce と Windows インストーラー (MSI) という配置テクノロジを使用できます。 Office ソリューションでは、Visual Studio Tools for Office Runtime に実装されている ClickOnce と、.NET Framework 3.5 を使用します。これは、Windows フォーム アプリケーションで利用できる機能とは少し異なります (Windows フォーム アプリケーションでは、.NET Framework の機能だけを使用しています)。ClickOnce ソリューションはユーザーの特権でインストールするため、ClickOnce はソリューションの配置と保守を簡略化するように設計されています。
対象: このトピックの情報は、Microsoft Office 2010 および 2007 Microsoft Office system のドキュメント レベルのプロジェクトおよびアプリケーション レベルのプロジェクトに適用されます。 詳細については、「Office アプリケーションおよびプロジェクト タイプ別の使用可能な機能」を参照してください。
Windows インストーラーを使用してファイルを配布する場合、作成した Microsoft Office ソリューションをユーザーが実行できるようにするには、Visual Studio Tools for Office Runtime と ClickOnce のセキュリティ要件を満たす必要があります。 Office ソリューションのセキュリティ モデルの詳細については、「Office ソリューションのセキュリティ保護」を参照してください。
Windows インストーラーを使用することの主な利点は、現在のユーザーのみではなく、すべてのユーザーに Office ソリューションを配置できることです。 Windows インストーラーを使用して Office ソリューションを配置する方法の詳細については、「Windows インストーラーを使用した Office ソリューションの配置」を参照してください。
ClickOnce の一般的な情報については、「ClickOnce のセキュリティと配置」を参照してください。
配置プロセスについては、次の考慮事項があります。
Office ソリューションの要件
Office ソリューションの配置
Office ソリューションのインストール
Office ソリューションの更新
開発時の配置
ClickOnce キャッシュ
Office ソリューションの要件
Microsoft Office ソリューションを実行するためには、.NET Framework 3.5 や Visual Studio Tools for Office Runtime など、いくつかのコンポーネントをコンピューターにインストールする必要があります。 通常、これらのコンポーネントはソリューションと共に配置できます。 必須コンポーネントの一覧については、「Office ソリューションを配置するための必須コンポーネント」および「方法: Office ソリューションを実行するための必須コンポーネントをエンド ユーザーのコンピューターにインストールする」を参照してください。
さらに、ソリューションに信頼を付与する方法についても検討する必要があります。 セキュリティについては、「Office ソリューションのセキュリティ保護」を参照してください。
Office ソリューションの配置
Office ソリューションを配置するときには、発行ウィザードまたは [発行] プロパティ ページを使用して以下の配置設定を行うことができます。
バージョン番号
必須コンポーネント
更新間隔
これらの配置設定を構成すると、Visual Studio は発行場所にソリューション ファイルを発行できるようになります。
CD またはリムーバブル ドライブを使用して配置する場合は、インストールの場所を空白のままにして、[更新] を [更新の確認をしない] に設定します。 詳細については、「方法: ClickOnce を使用して Office ソリューションを配置する」および「Office ソリューションの発行」を参照してください。
Office ソリューションのインストール
ソリューションをインストール場所にコピーすると、エンド ユーザーがソリューションをダウンロードしてインストールできます。 ソリューションのインストールには、セットアップ プログラムの実行、配置マニフェスト (.vsto ファイル) を開く操作、ドキュメントを開く操作など、さまざまな方法があります。 詳細については、「方法: ClickOnce Office ソリューションをインストールする」および「方法: ClickOnce Office ソリューションをアンインストールする」を参照してください。
ユーザーが配置マニフェストを開くことによってソリューションをインストールする場合は、必要に応じて、.vsto MIME 型を認識するように IIS を構成します。 詳細については、「方法: Office ソリューションの配置用に IIS を準備する」を参照してください。
高度な配置
Office ソリューション用のカスタム セットアップ プログラムを作成するには、Office ソリューション インストーラー (VSTOInstaller.exe) を直接実行します。 詳細については、「Office ソリューションのインストールのカスタマイズ」を参照してください。
または、ドキュメント レベルのプロジェクトとアプリケーション レベルのプロジェクトを単一のパッケージで配置し、ソリューションの組み合わせをグループとしてインストールおよびアンインストールすることもできます。 たとえば、Windows XP の [プログラムの追加と削除] または Windows Vista の [プログラムと機能] を使用して、Contoso Software Company が開発した Outlook アドインと Excel ワークシートを Contoso Office Solutions としてまとめてインストールおよびアンインストールできます。 詳細については、「チュートリアル: 複数の Office ソリューションを .NET Framework 4 用の 1 つの ClickOnce インストーラーのみで配置する」を参照してください。
インストール後に追加のアクションを実行する必要がある場合は、インストールをカスタマイズして、配置後アクションと呼ばれるプロセスを作成できます。 たとえば、エンド ユーザーのコンピューターへの文書またはブックのコピー、追加のレジストリ キーの作成、または構成ファイルの変更ができます。 詳細については、「チュートリアル: ClickOnce によるインストール後にドキュメントをエンド ユーザーのコンピューターにコピーする」を参照してください。
Office ソリューションの更新
指定した間隔で更新を確認して自動的に更新をインストールするようにソリューションを構成できます。 自動更新の既定の間隔は 7 日です。 間隔を設定してソリューションをインストールすると、更新プログラムをインストールしない限り、間隔を変更することはできなくなります。 定期的な更新間隔以外のときにユーザーが更新を強制する場合は、Office ソリューションを手動で更新できます。
更新は、発行ウィザードを使用して配置できます。 発行ウィザードによって新しいアプリケーション マニフェストが生成され、ソリューション ファイルが以前のバージョンと同じ発行場所にコピーされます。 更新は任意であるため、ユーザーはダウンロード段階でソリューションの更新を取り消しても、アドインを実行できます。
このとき、発行と同時に配置マニフェストの参照先がソリューションの新しいバージョンの場所に更新されます。 エンド ユーザーがインストールしたソリューションは、指定された間隔で更新をチェックし、最後に配置されたバージョンをダウンロードしてインストールします。 ソリューションのバージョンを更新するには、配置場所のマニフェスト ファイルとソリューション ファイルを更新します。 詳細については、「方法: 配置した Office ソリューションを更新する」を参照してください。
Office ソリューションを以前のバージョンにロールバックするには、「方法: ClickOnce Office ソリューションを旧バージョンにロールバックする」を参照してください。
発行場所が変更された場合は、Visual Studio に戻って発行ウィザードやプロジェクト デザイナーの [発行] ページを使用しなくても、セットアップ プログラムでパスを変更できます。 詳細については、「方法: Office ソリューションのインストール パスを変更する」を参照してください。
Office ソリューションのアプリケーション マニフェストと配置マニフェストは、手動で編集できます。 アプリケーション マニフェストと配置マニフェストを編集した後は、マニフェストの生成および編集ツール (mage.exe) を使用して再署名する必要があります。 詳細については、「方法: 配置プロパティを変更する」を参照してください。
開発時の配置
開発用コンピューターにソリューションを発行およびインストールしてアプリケーション レベルのアドインをテストする場合は、ソリューションをアンインストールしてから、再発行またはコード変更を行い、F5 キーを押してもう一度テストします。 発行済みのソリューションをインストールすると、アドインのアセンブリが ClickOnce キャッシュにインストールされます。 セットアップ プログラムによってレジストリ キーも作成されるため、Office アプリケーションがアセンブリを検索して読み込むことができるようになります。 ソリューションをビルドし直すとレジストリ キーが更新されるため、2 番目のバージョンを発行して実行する前に、最初のバージョンをアンインストールする必要があります。
開発用コンピューターで配置をテストするには、アプリケーションレベルのアドインのインストールとテスト用に別のユーザー アカウントを作成します。
複数の Office ソリューションを開発している場合は、ビルドはインストールと見なされるため、すべての Office アドインが実行されます。 ソリューションを閉じる前に、[ビルド] メニューの [ソリューションのクリーン] を実行することをお勧めします。
ClickOnce キャッシュ
ClickOnce Office ソリューションは ClickOnce アプリケーション キャッシュまたはグローバル アセンブリ キャッシュ (GAC) にインストールされます。ClickOnce キャッシュは、ソリューションのすべてのファイル (アセンブリ、構成ファイル、アプリケーションおよびユーザーの設定、データ ディレクトリ) が格納される一連の隠しディレクトリです。 ClickOnce Office ソリューションは、Windows フォーム ClickOnce アプリケーションと同じキャッシュを使用します。 ClickOnce キャッシュを使用した操作の実行中にインターネットまたはネットワーク上の他の場所へのリンクを開くことができ、キャッシュされたソリューションをオフライン モードで使用することもできます。ドキュメント レベルのカスタマイズでは、ドキュメントを ClickOnce キャッシュにインストールせず、ユーザーのコンピューターまたはネットワーク ファイル共有に配置できます。 ClickOnce キャッシュの詳細については、「ClickOnce キャッシュの概要」を参照してください。
アセンブリを GAC に保存することもできます。 インストール後に毎回実行する配置後アクション (PDA) が Office ソリューションにある場合は、PDA を GAC に保存できます。 たとえば、Visio テンプレートをインストールするたびに実行する必要がある配置後アクションを GAC に保存できます。
ソリューション更新時のデータの移行
Office ソリューションは、更新中に、あるバージョンから次のバージョンに対して、ローカルにキャッシュされたデータを移行します。
更新中にソリューションの以前のバージョンのインスタンスを実行している場合、その更新の間に実行しているインスタンスにキャッシュされたデータに加えた変更は、移行されません。 データが正しく移行されるようにするには、更新を行う前に、ソリューションのすべてのインスタンスを閉じます。
データ ファイル
.xml、.mdb、および .mdf の拡張子を持つファイルは、アプリケーション データ ディレクトリに自動的にコピーされます。 [アプリケーション ファイル] ダイアログ ボックスを使用してこれらのデータ ファイルを構成することはできません。 データ ディレクトリの場所を調べるには、DataDirectory プロパティを使用します。 詳細については、「ClickOnce アプリケーションにおけるローカル データおよびリモート データへのアクセス」を参照してください。
リフレクションを使用して異なるディレクトリのファイルを検索するには、GetExecutingAssembly メソッドを呼び出してから、CodeBase プロパティまたは EscapedCodeBase プロパティを使用してディレクトリ パスを取得します。 次に、絶対パスを使用してファイルを検索します。
参照
概念
配置の概要 (Visual Studio での Office 開発)