URL の予約と登録について (Reporting Services)
Reporting Services アプリケーションの URL は、HTTP.SYS の URL 予約として定義されます。URL 予約は、Web アプリケーションへの URL エンドポイントの構文を定義します。レポート サーバーでアプリケーションを構成する際には、レポート サーバー Web サービスとレポート マネージャの両方に対して URL 予約を定義します。セットアップまたは Reporting Services 構成ツールで URL を構成すると、自動的に URL 予約が作成されます。
セットアップでは、既定値を使用して URL 予約が作成されます。既定の構成でインストールすると、レポート サーバー Web サービスの URL とレポート マネージャの URL の 2 つの URL が予約されます。Reporting Services 構成ツールを使用すると、URL をさらに追加したり、セットアップによって作成された既定の URL を変更したりできます。
Reporting Services 構成ツールでは、ツールの [Web サービス URL] ページまたは [レポート マネージャ URL] ページで指定した URL に基づいて URL 予約が作成されます。
いずれの場合も、さらに、レポート サーバー サービスへの URL に対する権限の割り当て、重複するインスタンスのチェック、および HTTP.SYS への URL 予約の追加が行われます。HttpCfg.exe やその他のツールを使用して直接 Reporting Services の URL 予約を作成したり変更したりしないでください。手順を省略したり無効な値を設定したりすると、診断や修正が困難な問題が発生する可能性があります。
注意 |
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HTTP.SYS は、ネットワーク要求をリッスンして要求キューにルーティングするオペレーティング システム コンポーネントです。このリリースの Reporting Services では、HTTP.SYS によって、レポート サーバー Web サービスとレポート マネージャの要求キューが作成され、管理されます。Reporting Services アプリケーションのホスティングやアクセスにインターネット インフォメーション サービス (IIS) は使用されなくなりました。HTTP.SYS 機能の詳細については、MSDN の「HTTP サーバー API」を参照してください。 |
このトピックの内容
このトピックでは、URL、URL の予約と登録、既定値、およびさまざまなサーバー構成の URL を作成または変更する場合に従う必要がある配置固有の推奨事項について説明します。このトピックの内容は次のとおりです。
Reporting Services の URL
URL の予約と登録
既定の URL
Reporting Services の URL の認証とサービス ID
ローカル管理用の URL
スケールアウト配置用の URL
SharePoint 統合モード用の URL
Reporting Services の URL の構成および使用や、予約または登録のエラーのトラブルシューティングの詳細については、「レポート サーバーの URL の構成」および「構成上の問題のトラブルシューティング」を参照してください。
Reporting Services の URL
Reporting Services では、以下のツール、アプリケーション、およびアイテムに URL を通じてアクセスできます。
レポート サーバー Web サービス
レポート マネージャ
レポート ビルダ
レポート サーバーにパブリッシュされたレポート
URL を指定できるその他のパブリッシュされるアイテム (モデルや共有データ ソースなど) には、URL を通じてスタンドアロンのアイテムとしてアクセスしないようにしてください。これらのアイテムは、ブラウザ ウィンドウで表示しても意味のある形式で表示されません。
注意 |
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レポート ビルダへの URL アクセスや、レポート サーバーに保存されている特定のレポートへの URL アクセスについては説明しません。これらのアイテムへの URL アクセスの詳細については、SQL Server オンライン ブックの「レポート ビルダ 1.0 の起動」および「URL を使用したレポート サーバー アイテムへのアクセス」を参照してください。 |
URL の予約と登録
URL 予約は、Reporting Services アプリケーションへのアクセスに使用できる URL を定義します。Reporting Services では、レポート サーバー Web サービスとレポート マネージャの URL を HTTP.SYS で 1 つ以上予約して、サービスの起動時に登録します。レポート ビルダとレポートの URL は、レポート サーバー Web サービスの URL 予約に基づいています。URL にパラメータを追加することにより、Web サービスを通じてそれらを開くことができます。予約と登録は、HTTP.SYS によって行われます。詳細については、MSDN の「名前空間の予約、登録、およびルーティング」を参照してください。
URL 予約とは、Web アプリケーションへの URL エンドポイントを作成して HTTP.SYS に格納するプロセスです。HTTP.SYS は、コンピュータで定義されているすべての URL 予約の共通リポジトリであり、URL 予約が一意であることを保証する一連の共通規則を定義します。
URL の登録は、サービスの起動時に行われます。サービスが起動すると、要求キューが作成され、HTTP.SYS がそのキューへの要求のルーティングを開始します。URL エンドポイントは、そのエンドポイントに転送される要求がキューに追加される前に登録される必要があります。レポート サーバー サービスの起動時には、有効化されているすべてのアプリケーションに対して予約されているすべての URL が登録されます。したがって、登録が行われるためには Web サービスが有効化されている必要があります。ポリシー ベースの管理の Reporting Services のセキュリティ構成ファセットで WebServiceAndHTTPAccessEnabled プロパティを False に設定すると、Web サービスの URL がサービスの起動時に登録されません。
サービスを停止したり、Web サービスやレポート マネージャのアプリケーション ドメインの再利用を行うと、URL の登録が解除されます。サービスの実行中に URL 予約を変更すると、古い URL の登録を解除して新しい URL を使用できるようにするために、アプリケーション ドメインの再利用処理が直ちに行われます。
次の例は、URL 予約の概念と、Reporting Services アプリケーション用に使用される URL アドレスと URL 予約の関連付けを示しています。URL 予約の構文が、アプリケーションへのアクセスに使用する URL とは異なる点に注目してください。
HTTP.SYS の URL 予約 |
URL |
説明 |
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http://+:80/reportserver |
http://<computername>/reportserver http://<IPAddress>/reportserver https://localhost/reportserver |
この URL 予約では、ポート 80 でワイルドカード (+) を指定しています。これにより、ポート 80 のレポート サーバー コンピュータに解決されるホストが指定されているすべての受信要求がレポート サーバー キューに送られます。この URL 予約を使用すると、任意の数の URL を使用してレポート サーバーにアクセスできます。 ほとんどのオペレーティング システムでは、これが Reporting Services レポート サーバーの既定の URL 予約です。 |
http://123.45.67.0:80/reportserver |
http://123.45.67.0/reportserver |
この URL 予約では IP アドレスを指定しています。これは、ワイルドカードの URL 予約よりはるかに制限の厳しい URL 予約です。レポート サーバーへの接続に使用できるのは、この IP アドレスを含む URL だけです。この URL 予約では、http://<computername>/reportserver や https://localhost/reportserver のレポート サーバーへの要求は失敗します。 |
既定の URL
Reporting Services を既定の構成でインストールすると、レポート サーバー Web サービスとレポート マネージャの URL が自動的に予約されます。これらの既定値は、Reporting Services 構成ツールで URL 予約を定義するときにも使用できます。SQL Server Express をインストールした場合や、Reporting Services を名前付きインスタンスとしてインストールした場合は、既定の URL にインスタンス名が含まれます。
重要 |
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インスタンスの文字はアンダースコア文字 (_) です。 |
URL 予約にはポート番号が含まれます。Windows Server 2003、Windows Vista、および Windows Server 2008 では、複数の Web アプリケーションで 1 つのポートを共有できます。Windows XP を使用している場合は、固有のポートを使用する必要があります。
インスタンスの種類 |
アプリケーション |
既定の URL |
HTTP.SYS の実際の URL 予約 |
---|---|---|---|
既定のインスタンス |
レポート サーバー Web サービス |
http://<servername>/reportserver |
http://<servername>:80/reportserver |
既定のインスタンス |
レポート マネージャ |
http://<servername>/reportserver |
http://<servername>:80/reportserver |
名前付きインスタンス |
レポート サーバー Web サービス |
http://<servername>/reportserver_<instancename> |
http://<servername>:80/reportserver_<instancename> |
名前付きインスタンス |
レポート マネージャ |
http://<servername>/reports_<instancename> |
http://<servername>:80/reports_<instancename> |
SQL Server Express |
レポート サーバー Web サービス |
http://<servername>/reportserver_SQLExpress |
http://<servername>:80/reportserver_SQLExpress |
SQL Server Express |
レポート マネージャ |
http://<servername>/reports_SQLExpress |
http://<servername>:80/reports_SQLExpress |
Reporting Services の URL の認証とサービス ID
Reporting Services の URL 予約では、レポート サーバー サービスのサービス アカウントが指定されます。サービスが実行されているアカウントが、同じインスタンスで実行される Reporting Services アプリケーションに対して作成されるすべての URL に対して使用されます。レポート サーバー インスタンスのサービス ID は、RSReportServer.config ファイルに格納されます。
サービス アカウントには既定値はありません。ただし、セットアップ時には (ファイルのみのモードでサーバーをインストールする場合でも) サービス アカウントを指定する必要があります。サービス アカウントは、RSReportServer.config の URLReservation に指定されます。サービス アカウントの有効な値は、ドメイン ユーザー アカウント、LocalSystem、および NetworkService です。
既定のセキュリティが RSWindowsNegotiate であるため、匿名アクセスは無効になっています。イントラネット アクセスの場合、レポート サーバーの URL ではネットワーク コンピュータの名前が使用されます。Reporting Services をインターネット接続用に構成する場合は、別の設定を使用する必要があります。詳細については、「エクストラネット/インターネット配置の計画」を参照してください。認証の詳細については、「Reporting Services での認証の構成」を参照してください。
ローカル管理用の URL
URL 予約に対して強いワイルドカードや弱いワイルドカードを指定した場合は、https://localhost/reportserver や https://localhost/reports を使用できます。
https://localhost の URL は、http://127.0.0.1 と解釈されます。URL 予約をコンピュータ名や 1 つの IP アドレスに設定した場合は、ローカル コンピュータの 127.0.0.1 に対して追加の予約を作成しないと localhost を使用できません。同様に、localhost や 127.0.0.1 がコンピュータで無効になっている場合も、その URL を使用できません。
Windows Vista と Windows Server "Longhorn" には、プログラムを高度な特権で実行してしまうリスクを最小限に抑える新しいセキュリティ機能が含まれています。これらのオペレーティング システムでローカル管理を有効にするには、追加の手順が必要です。詳細については、「Windows Vista および Windows Server 2008 でレポート サーバーをローカル管理用に構成する方法」を参照してください。
スケールアウト配置用の URL
このリリースではこのセクションの情報はありません。
SharePoint 統合モードのレポート サーバー用の URL
スタンドアロンのレポート サーバーを、大規模に配置された SharePoint 製品またはテクノロジの内部で実行するように構成すると、URL と仮想ディレクトリの構成が次のような影響を受けます。
レポートやその他のアイテムの URL が、SharePoint Web アプリケーションの URL を通じて指定されます。特定のレポートに URL でアクセスする場合は、常に完全修飾 URL を使用します。完全修飾 URL は、サイト パス、ドキュメント ライブラリ、アイテム名、およびファイル名拡張子 (レポートの場合は .rdl) で構成されます。レポートで共有データ ソースとモデルを参照するとき、およびレポート サーバーへのパブリッシュ操作のために対象サーバーとフォルダを指定するときに、完全修飾 URL を指定する必要があります。
さまざまな種類のレポート サーバー アイテムを区別するためにファイル名拡張子が使用されます。有効な拡張子は、.rdl (レポート定義)、.smdl (レポート モデル)、および .rsds (SharePoint サイトに対して作成された共有データ ソース) です。
SharePoint 製品およびテクノロジでも URL 予約が定義されていますが、サーバーへのパブリッシュの際にはそれらを無視できます。SharePoint Web アプリケーションの URL 予約は内部操作です。
統合されたレポート サーバーと SharePoint テクノロジ インスタンスを同じコンピュータにインストールするシングル サーバー配置では、https://localhost/reportserver を使用できません。https://localhost を使用して SharePoint Web アプリケーションにアクセスする場合は、既定以外の Web サイトを使用するか一意のポートを割り当てて、レポート サーバーにアクセスする必要があります。さらに、レポート サーバーが SharePoint ファームと統合されている場合は、リモート コンピュータにインストールされている配置内のノードではレポート サーバーへの localhost アクセスは解決されません。
レポート マネージャの URL 予約と URL エンドポイントは、SharePoint 統合モードで実行されているレポート サーバーに対しては構成できません。構成した場合、SharePoint 統合モードでレポート サーバーを配置した後で機能しなくなります。レポート マネージャは SharePoint 統合モードではサポートされません。
大規模に配置された SharePoint 製品またはテクノロジの内部で実行するためにレポート サーバーのスケールアウト配置を統合した場合は、レポート サーバー ノードの負荷を分散して、スケールアウト配置への 1 つの仮想サーバー URL を定義します。レポート サーバーの統合設定で指定できるレポート サーバーの URL は 1 つだけです。スケールアウト配置の場合は、スケールアウト配置のサーバー ノードのアクセス ポイントをその URL に指定する必要があります。
アイテムをパブリッシュする際の配置モードと URL の要件の詳細については、「配置モードの計画」および「SharePoint サイトへのモデルおよび共有データ ソースの配置」を参照してください。