チュートリアル : レポートへの KPI の追加 (レポート ビルダー 3.0)
主要業績評価指標 (KPI) は、ビジネス上重要な測定可能な値です。このチュートリアルでは、レポートに KPI を追加する方法を説明します。このシナリオの KPI は、製品サブカテゴリ別の販売集計です。この KPI の現在の状態を、色、ゲージ、およびインジケーターを使用して表示します。
次の図に、ここで作成するレポートを示します。
学習する内容
このチュートリアルでは、テーブルのセルの背景色をセルの値に基づいて設定することによって KPI を追加する方法と、ゲージおよびインジケーターを追加して構成する方法を学習します。テーブルのセルの背景色を設定する式を作成する方法も学習します。
このチュートリアルでは以下の手順について説明します。
テーブルまたはマトリックス ウィザードを使用してテーブル レポートとデータセットを作成する
テーブルまたはマトリックス ウィザードでデータを整理し、レイアウトとスタイルを選択する
背景色を使用して KPI を表示する
ゲージを使用して KPI を表示する
インジケーターを使用して KPI を表示する
レポート タイトルを追加する
レポートを保存する
注 |
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このチュートリアルでは、ウィザードに関する複数の手順を、データセットの作成とテーブルの作成の 2 つの手順にまとめて示します。レポート サーバーの参照、データ ソースの選択、データセットの作成、およびウィザードの実行に関する詳細な手順については、このシリーズの最初のチュートリアル (「チュートリアル : 基本的なテーブル レポートの作成 (レポート ビルダー 3.0)」) を参照してください。 |
このチュートリアルの推定所要時間 : 15 分
1.テーブルまたはマトリックス ウィザードを使用してテーブル レポートとデータセットを作成する
[作業の開始] ダイアログ ボックスから共有データ ソースを選択し、埋め込みデータセットを作成して、データをテーブルに表示します。
注 |
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このチュートリアルのクエリにはデータ値が含まれているため、外部のデータ ソースを必要としません。この場合、クエリが非常に長くなります。ビジネス環境でクエリにデータを含めることはありません。これは、学習に使用することのみを目的としています。 |
新しいテーブルを作成するには
[スタート] ボタンをクリックし、[プログラム]、[Microsoft SQL Server 2008 R2 レポート ビルダー 3.0] の順にポイントして、[レポート ビルダー 3.0] をクリックします。
[作業の開始] ダイアログ ボックスが表示されます。
注 [作業の開始] ダイアログ ボックスが表示されない場合は、[レポート ビルダー] ボタンの [新規作成] をクリックします。
左ペインで、[新しいレポート] が選択されていることを確認します。
右ペインで、[テーブルまたはマトリックス ウィザード] をクリックします。
[データセットの選択] ページで、[データセットを作成する] をクリックします。
[次へ] をクリックします。
[データ ソースへの接続の選択] ページで、既存のデータ ソースを選択するか、レポート サーバーを参照してデータ ソースを選択します。使用できるデータ ソースがなく、レポート サーバーにもアクセスできない場合は、代わりに埋め込みデータ ソースを使用できます。詳細については、「チュートリアル : 基本的なテーブル レポートの作成 (レポート ビルダー 3.0)」を参照してください。
[次へ] をクリックします。
[クエリのデザイン] ページで、[テキストとして編集] をクリックします。
次のクエリをコピーし、クエリ ペインに貼り付けます。
SELECT CAST('2009-01-05' AS date) as SalesDate, 'Accessories' as Subcategory, 'Carrying Case' as Product, CAST(16996.60 AS money) AS Sales, 68 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-06' AS date) as SalesDate, 'Accessories' as Subcategory, 'Tripod' as Product, CAST(1350.00 AS money) AS Sales, 18 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-11' AS date) as SalesDate, 'Accessories' as Subcategory, 'Lens Adapter' as Product, CAST(1147.50 AS money) AS Sales, 17 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-05' AS date) as SalesDate, 'Accessories' as Subcategory, 'Mini Battery Charger' as Product, CAST(1056.00 AS money) AS Sales, 44 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-06' AS date) as SalesDate, 'Accessories' as Subcategory, 'Telephoto Conversion Lens' as Product, CAST(1380.00 AS money) AS Sales, 18 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-06' AS date) as SalesDate,'Accessories' as Subcategory, 'USB Cable' as Product, CAST(780.00 AS money) AS Sales, 26 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-08' AS date) as SalesDate, 'Accessories' as Subcategory, 'Budget Movie-Maker' as Product, CAST(3798.00 AS money) AS Sales, 9 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-09' AS date) as SalesDate, 'Camcorders' as Subcategory, 'Business Videographer' as Product, CAST(10400.00 AS money) AS Sales, 13 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-10' AS date) as SalesDate, 'Camcorders' as Subcategory, 'Social Videographer' as Product, CAST(3000.00 AS money) AS Sales, 60 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-11' AS date) as SalesDate, 'Digital' as Subcategory, 'Advanced Digital' as Product, CAST(7234.50 AS money) AS Sales, 39 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-07' AS date) as SalesDate, 'Digital' as Subcategory, 'Compact Digital' as Product, CAST(10836.00 AS money) AS Sales, 84 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-08' AS date) as SalesDate, 'Digital' as Subcategory, 'Consumer Digital' as Product, CAST(2550.00 AS money) AS Sales, 17 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-05' AS date) as SalesDate, 'Digital' as Subcategory, 'Slim Digital' as Product, CAST(8357.80 AS money) AS Sales, 44 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-09' AS date) as SalesDate, 'Digital SLR' as Subcategory, 'SLR Camera 35mm' as Product, CAST(18530.00 AS money) AS Sales, 34 as Quantity UNION SELECT CAST('2009-01-07' AS date) as SalesDate, 'Digital SLR' as Subcategory, 'SLR Camera' as Product, CAST(26576.00 AS money) AS Sales, 88 as Quantity
[実行] (!) をクリックして、結果を表示します。
[次へ] をクリックします。
2.テーブルまたはマトリックス ウィザードでデータを整理し、レイアウトとスタイルを選択する
ウィザードを使用して、データを表示する最初のデザインを作成します。ウィザードのプレビュー ペインでは、テーブルやマトリックスのデザインを完了する前にデータのグループ化の結果を表示できます。
データをグループにまとめてレイアウトとスタイルを選択するには
[フィールドの配置] ページで、Product を [値] にドラッグします。
Quantity を [値] にドラッグして、Product の下に配置します。
Quantity は Sum 関数 (数値フィールドを集計するための既定の関数) を使用して集計されます。
Sales を [値] にドラッグして、Quantity の下に配置します。
手順 1. ~ 3. で、テーブルに表示するデータが指定されます。
SalesDate を [行グループ] にドラッグします。
Subcategory を [行グループ] にドラッグして SalesDate の下に配置します。
手順 4. および 5. で、フィールドの値がまず日付でまとめられ、次にその日付のすべての売上でまとめられます。
[次へ] をクリックします。
レポートを実行すると、テーブルに各日付、日付ごとのすべての注文、および注文ごとのすべての製品、数量、および売上の合計が表示されます。
[レイアウトの選択] ページの [オプション] で、[小計と総計を表示] が選択されていることを確認します。
[ブロック、小計は下] が選択されていることを確認します。
[グループの展開/折りたたみ] オプションをオフにします。
このチュートリアルで作成するレポートでは、ユーザーが親グループ階層を展開して子グループ行および詳細行を表示できるようにするドリル ダウン機能は使用されません。
[次へ] をクリックします。
[スタイルの選択] ページのスタイル ペインで、スタイルを選択します。
先ほどの図の完成したレポートでは、[オーシャン] スタイルが使用されています。
[完了] をクリックします。
テーブルがデザイン画面に追加されます。テーブルには 5 列および 5 行が含まれています。行グループ ペインには、SalesDate、Subcategory、および Details の 3 つの行グループが表示されます。詳細データは、データセット クエリによって取得されるすべてのデータです。
[実行] をクリックして、レポートをプレビューします。
テーブルには、特定の日付に販売された製品ごとに製品名、販売数量、および売上合計が表示されます。このデータがまず販売日でまとめられ、次にサブカテゴリでまとめられます。
3.背景色を使用して KPI を表示する
背景色を、レポートの実行時に評価される式に設定することができます。
背景色を使用して KPI の現在の状態を表示するには
デザイン ビューに戻ります。テーブルで、[Sum(Sales)] セルの 2 つ下のセル (サブカテゴリの売上を表示する小計行) を右クリックし、[テキスト ボックスのプロパティ] をクリックします。
[塗りつぶし] で、[塗りつぶしの色] オプションの横にある [fx] ボタンをクリックし、[式の設定: BackgroundColor] に次の式を入力します。
=IIF(Sum(Fields!Sales.Value) >= 5000 ,"Lime", IIF(Sum(Fields!Sales.Value) < 2500, "Red","Yellow"))
これにより、[Sum(Sales)] の集計値が 5000 以上になる各セルの背景色が、"ライム" という色の網掛けを使用した緑色に変わります。[Sum(Sales)] の値が 2500 ~ 5000 であれば、黄色になります。値が 2500 未満であれば赤色になります。
[OK] をクリックします。
[式] ダイアログ ボックスが閉じます。
[OK] をクリックします。
[テキスト ボックスのプロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
[実行] をクリックして、レポートをプレビューします。
サブカテゴリの売上を表示する小計行のセルの背景色が、合計売上の値に応じて赤、黄、または緑になります。
4.ゲージを使用して KPI を表示する
ゲージは、データセットの単一の値を表示します。このチュートリアルでは、水平方向の線形ゲージを使用します。このゲージは、その形と単純さにより、テーブルのセルで使用してサイズが小さくなっても読み取りやすいからです。詳細については、「ゲージ (レポート ビルダー 3.0 および SSRS)」を参照してください。
ゲージを使用して KPI の現在の状態を表示するには
デザイン ビューに切り替えます。
テーブルで、前の手順で変更したセルの列ハンドルを右クリックし、[列を挿入] をポイントして [右] をクリックします。テーブルに新しい列が追加されます。
列見出しに「KPI」と入力します。
[挿入] タブの [データ ビジュアライゼーション] で [ゲージ] をクリックして、テーブル外部のデザイン画面内をクリックします。[ゲージの種類の選択] ダイアログ ボックスが表示されます。
[線形] をクリックします。線形ゲージの最初の種類 ([横]) が選択されます。
[OK] をクリックします。
デザイン画面にゲージが追加されます。
レポート データ ペインで、データセット ノードを展開し、Sales をゲージにドラッグします。Sales をゲージにドラッグすると、ゲージ データ ペインが開きます。
Sales を [値] の一覧にドロップします。
フィールドをゲージにドロップすると、組み込みの Sum 関数を使用してフィールドが集計されます。
ゲージのポインターを右クリックし、[ポインターのプロパティ] をクリックします。
[ポインターの種類] で [バー] を選択します。これにより、ポインターがマーカーからバーに変更され、テーブルにゲージを追加したときに見やすくなります。
[ポインターの塗りつぶし] をクリックします。[2 番目の色] で [黄] を選択します。グラデーションの塗りつぶしパターンが白から黄色に変更されます。
[OK] をクリックします。
ゲージのスケールを右クリックし、[スケールのプロパティ] をクリックします。
[最大] オプションを 25000 に設定します。[OK] をクリックします。
注 25000 などの定数の代わりに、[最大] オプションの値を動的に計算する式を使用することもできます。その式では、入れ子になった集計の機能を使用します (例: =Max(Sum(Fields!Sales.value), "Tablix1"))。
ゲージを、テーブル内の挿入した列の、サブカテゴリの売上を表示する小計行の 3 番目のセルにドラッグします。
注 水平方向の線形ゲージがセルに収まるように、列のサイズを変更する必要があります。列のサイズを変更するには、列ヘッダーをクリックし、ハンドルを使用してセルの横方向と縦方向のサイズを変更します。
[実行] をクリックして、レポートをプレビューします。
ゲージ内のバーの幅が、KPI の値によって変わります。
(省略可) オーバーフローを処理するための最大ピンを追加します。これにより、値がスケールの最大値を超えた場合は常に最大ピンを指すようにできます。
デザイン ビューで、プロパティ ペインを開きます。
スケールをクリックします。線形スケールのプロパティがプロパティ ペインに表示されます。
[スケールのピン] カテゴリで [MaximumPin] ノードを展開します。
[有効化] プロパティを True に設定します。スケールの最大値の後にピンが表示されます。
[BorderColor] を [LimeGreen] に設定します。
[実行] をクリックして、レポートをプレビューします。
5.インジケーターを使用して KPI を表示する
インジケーターは、データ値をひとめでわかるようにするための単純で小さなゲージです。そのサイズと単純さのために、テーブルやマトリックスでよく使用されます。詳細については、「インジケーター (レポート ビルダー 3.0 および SSRS)」を参照してください。
インジケーターを使用して KPI の現在の状態を表示するには
デザイン ビューに切り替えます。
テーブルで、前の手順で変更したセルの列ハンドルを右クリックし、[列を挿入] をポイントして [右] をクリックします。テーブルに新しい列が追加されます。
列見出しに「KPI」と入力します。
サブカテゴリの小計のセルをクリックします。
[挿入] タブの [データ ビジュアライゼーション] で [インジケーター] をダブルクリックします。
[インジケーターの種類の選択] ダイアログ ボックスが表示されます。
[図形] をクリックします。図形の最初の種類 ([3 つの信号 (枠なし)]) が選択されます。
このチュートリアルではこのインジケーターを使用します。
[OK] をクリックします。
インジケーターがデザイン画面に追加されます。
インジケーターを右クリックし、[インジケーターのプロパティ] をクリックします。
[値と状態] をクリックします。
[値] ボックスの一覧で、[Sum(Sales)] を選択します。その他のオプションは変更しないでください。
既定では、データ領域のデータが同期され、Tablix1 という値 (レポートのテーブル データ領域の名前) が [同期スコープ] ボックスに表示されます。
このレポートでは、サブカテゴリの小計のセルに配置したインジケーターのスコープを変更して、SalesDate フィールドのデータが同期されるようにすることもできます。
[OK] をクリックします。 [インジケーターのプロパティ] ページが閉じます。
[実行] をクリックして、レポートをプレビューします。
6.レポート タイトルを追加する
レポート タイトルは、レポートの最上部に表示されます。レポート ヘッダーがあれば、そこにレポート タイトルを配置します。レポート ヘッダーを使用しない場合は、レポート本文の一番上のテキスト ボックスに配置します。その場合は、自動的にレポート本文の一番上に配置されるテキスト ボックスを使用します。
テキストの語句や文字のフォントのスタイル、サイズ、および色を変更して、テキストをさらに強調することもできます。詳細については、「テキスト ボックス内のテキストを書式設定する方法 (レポート ビルダー 3.0 および SSRS)」を参照してください。
レポート タイトルを追加するには
デザイン画面で、[クリックしてタイトルを追加] をクリックします。
「Product Sales KPI」と入力し、テキスト ボックスの外側をクリックします。
必要に応じて、"Product Sales KPI" が含まれているテキスト ボックスを右クリックして [テキスト ボックスのプロパティ] をクリックし、[フォント] タブでフォントのスタイル、サイズ、および色を変更します。
[OK] をクリックします。
[実行] をクリックして、レポートをプレビューします。
7.レポートを保存する
レポートをレポート サーバーまたは自分のコンピューターに保存します。レポート サーバーに保存しない場合は、Reporting Services のいくつかの機能 (レポート パーツ、サブレポートなど) が使用できなくなります。詳細については、「レポート サーバーと SharePoint レポート サーバー (レポート ビルダー 3.0 および SSRS)」を参照してください。
レポート サーバーにレポートを保存するには
レポート ビルダーのボタンの [名前を付けて保存] をクリックします。
[最近使ったサイトとサーバー] をクリックします。
レポートを保存する権限があるレポート サーバーの名前を入力するか選択します。
"レポート サーバーに接続しています" というメッセージが表示されます。接続が完了すると、レポート サーバー管理者がレポートの既定の場所として指定したレポート フォルダーのコンテンツが表示されます。
[名前] に入力されている既定の名前を「Product Sales KPI」に置き換えます。
[保存] をクリックします。
レポートがレポート サーバーに保存されます。接続しているレポート サーバーの名前がウィンドウ下部のステータス バーに表示されます。
コンピューターにレポートを保存するには
レポート ビルダーのボタンの [名前を付けて保存] をクリックします。
[デスクトップ]、[マイ ドキュメント]、または [マイ コンピューター] をクリックして、レポートを保存するフォルダーを参照します。
注 |
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レポート サーバーにアクセスできない場合は、[デスクトップ]、[マイ ドキュメント]、または [マイ コンピューター] をクリックして、コンピューターにレポートを保存してください。 |
[名前] に入力されている既定の名前を「Product Sales KPI」に置き換えます。
[保存] をクリックします。
次の手順
これで、「レポートへの KPI の追加」チュートリアルを終了します。詳細については、「ゲージ (レポート ビルダー 3.0)」および「インジケーター (レポート ビルダー 3.0 および SSRS)」を参照してください。