配置したキューブの表示
配置したキューブを表示すれば、キューブの機能を向上するためにどのような変更を行えばよいかがわかります。たとえば、ディメンション メンバの並べ替え順序の定義、不要なディメンション属性の削除、新しいユーザー階層の定義、既存のユーザー階層の修正、メジャーのプロパティの構成などが必要になります。キューブを配置すると、キューブ デザイナの [ブラウザ] タブにキューブ データが表示され、ディメンション デザイナの [ブラウザ] タブにディメンション データが表示されます。
次の実習では、Analysis Services Tutorial キューブとそのディメンションを表示し、キューブの機能を向上するにはどのように変更すればよいかを調べます。
配置したキューブを表示するには
Business Intelligence Development Studio で、[Customer] タブをクリックするか、またはソリューション エクスプローラの ディメンション ノードにある [Customer] をダブルクリックして Customer ディメンションのディメンション デザイナに切り替えます。次に、[ブラウザ] タブをクリックします。
[ブラウザ] タブのツール バーにある [階層] ボックスに、State Province Name - Geography ユーザー階層が表示されます。ツール バーのすぐ下には、現在のレベル名 (All) が表示されます。ブラウザ ペインには、(All) レベルのメンバが 1 つだけ表示されます。(All) レベルのメンバが 1 つだけ存在する場合、そのメンバの既定の名前は All となります。また、このメンバは既定で表示されます。シナリオ ディメンションなどと同様に、このレベルの名前を変更し、非表示にすることができます。レッスン 3 では、Analysis Services Tutorial キューブのいくつかのディメンションで、(All) レベルのメンバの名前を変更します。
レベルとメンバ ペインで、(All) レベルの [All] メンバを展開し、State Province Name レベルのメンバを表示します。このレベルの [Alabama] メンバを展開して、Geography レベルを表示します。Geography レベルの [280] メンバを展開し、Customer レベルのメンバを表示します。
ディメンション デザイナの [レベルとメンバ] ペインには、キューブ ウィザードが設計したユーザー階層内のメンバがレベルごとに表示されるので、どの機能を変更すればよいかを判断できます。この階層には、City レベルが定義されていません。Geography レベルのメンバは、DimGeography テーブルのキー値になっています。また、Customer レベルには、顧客名ではなく顧客の電子メール アドレスが表示されます。この変更はレッスン 3 で行います。
次の図は、レベルとメンバ ペインで、上記の階層を展開した様子を示しています。
Customer ディメンションのディメンション デザイナのツール バーで、[階層] ボックスの一覧から [English Country Region Name] を選択します。次に、レベルとメンバ ペインで [All] メンバを展開します。
English Country Region Name 属性の属性階層が表示されます。既定では、ディメンションの各属性には 2 レベルからなる階層があります。1 つは (All) レベル、もう 1 つは各属性のメンバが格納されているレベルです。2 番目のレベルには、属性名と同じ名前が付いています。レッスン 3 では、属性階層に基づいてユーザー定義階層を定義する方法を学習します。
次の図は、English Country Region Name 属性の階層を示しています。
ソリューション エクスプローラで、[ディメンション] フォルダ内の [Time] をダブルクリックします。
BI Development Studio のディメンション デザイナに Time ディメンションが表示されます。
Time ディメンションのディメンション デザイナで、[ブラウザ] タブをクリックします。
[階層] ボックスに、CalendarYear - CalendarSemester - CalendarQuarter - EnglishMonthName - FullDateAlternateKey というユーザー階層が表示されます。
[All] メンバを展開し、Calendar Year レベルのメンバを表示します。[2003] メンバを展開し、Calendar Semester レベルのメンバを表示します。[1] メンバを展開し、Calendar Quarter レベルのメンバを表示します。[2] メンバを展開し、English Month Name レベルのメンバを表示します。[June] メンバを展開し、FullDateAlternateKey レベルのメンバを表示します。
レッスン 3 では、このユーザー階層を変更して使いやすさを向上させます。具体的には、半期と四半期に表示名を定義し、時刻値を含む日付の代わりに、シンプルな日付を定義します。
次の図は、階層を展開して、FullDateAlternateKey 属性を表示したところです。
Analysis Services Tutorial キューブのデザイナ タブをクリックして、BI Development Studio のキューブ デザイナに切り替えます。[ブラウザ] タブをクリックし、キューブ デザイナのツール バーにある [再接続] をクリックします。または、ブラウザ ペインの中央に表示される、[ブラウザを再び読み込むには、ここをクリックします] のリンクをクリックします。
キューブ デザイナの左側ペインには、Analysis Services Tutorial キューブのメタデータが表示されます。[ブラウザ] タブのツール バーでは、[分析観点] オプションと [言語] オプションを指定できます。また、[ブラウザ] タブのメタデータ ペインの右側には、2 つのペインが表示されています。上側はフィルタ ペイン、下側はデータ ペインです。
次の図は、キューブ デザイナの各ペインを示しています。
メタデータ ペインで [Measures] を展開し、[Internet Sales] を展開します。次に、Sales Amount メジャーを、データ ペインの [ここに詳細のフィールドをドロップします] 領域までドラッグします。
メジャーが標準の通貨書式で表示されていません。レッスン 3 では、キューブ メジャーの書式を変更する方法を学習します。詳細については、「メジャーの定義と構成」を参照してください。
メモ : Adventure Works DW データベースでは、各国の売上金額値がその国の通貨単位で入力されています。レッスン 9 では、この売上金額を共通の通貨単位に変換する方法を学習します。 メタデータ ペインで [Customer] を展開します。
Customer ディメンションのすべての属性階層がメタデータ ペインに表示されます。Customer ディメンションの一覧には、State Province Name - Geography ユーザー階層も含まれています。このうち、1 つ以上の属性階層を使用してキューブを生成することができます。ただし、各ディメンションの同じレベルにあまりに多くの階層が表示されると、ビジネス ユーザーにとって使いにくいものとなります。レッスン 3 では、これらの階層をグループ化して表示フォルダに保存し、簡単に操作できるようにします。
English Country Region Name 属性階層を、データ ペインの [ここに行のフィールドをドロップします] 領域までドラッグします。
これで、インターネット経由での売上金額が顧客の国ごとに表示されるようになりました。次の図は、この多次元化処理を示しています。
メタデータ ペインで、[Customer] と [Measures] を折りたたみます。次に、[Product] を展開し、[Product Line] を右クリックして、[列領域に追加] をクリックします。
これで、インターネット経由での売上金額が、国別および製品別に表示されます。ここで、各製品は、その名前ではなく 1 文字で表されている点に注意してください。レッスン 3 では、データ ソース ビューに名前付き計算を追加し、このディメンション属性のプロパティを変更して、製品名をわかりやすい名前に変える方法を学習します。
次の図は、国と製品によって多次元化されているインターネット売上を示しています。
メタデータ ペインで [Product] を折りたたみ、[Order Date] を展開します。次に、[Order Date.Calendar Quarter] を、データ ペインの [ここにフィルタを設定するフィールドをドロップします] 領域までドラッグします。
データ ペインのフィルタ フィールド領域で、[Order Date.Calendar Quarter] の横にある下矢印をクリックします。次に、[(すべて)] の横のチェック ボックスをオフにし、[1] の横のチェック ボックスをオンにして、[OK] をクリックします。
これで、第 1 四半期を対象に、国および製品によってインターネット売上が多次元化されます。ただし、実際に表示するのは、特定年度の第 1 四半期ではなく、各年度の第 1 四半期の売上値です。レッスン 3 では、複合キーを使用して各四半期を一意に識別し、四半期を年度別に区別できるようにする方法を学習します。
次の図は、毎年の第 1 四半期を対象に、国および製品によって多次元化されたインターネット売上を示しています。
メタデータ ペインで [Order Date.Calendar Year] を展開し、[CalendarYear] を展開します。
[Calendar Year] 属性階層の [2002] メンバを右クリックし、[サブキューブ領域に追加] をクリックします。
データ ペインの上にあるフィルタ ペインに、Order Date ディメンションの 2002 メンバが表示されます。これにより、データ ペインに表示される値が制限されます。この効果は、多次元式 (MDX) クエリ ステートメントの WHERE 句と同じです。詳細については、「MDX クエリの基礎 (MDX)」を参照してください。
次の図のように、第 1 四半期における各製品の国別インターネット売上が、2002 年度の値に限定されます。
ここでは、キューブ ウィザードで作成したキューブの内容を確認しました。また、Analysis Services Tutorial プロジェクトの使いやすさと機能性を向上するには、どの要素を変更すればよいかも確認しました。
メモ : |
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レッスン 2 までの操作内容が反映されたプロジェクトを使用する場合は、サンプルの最新版をダウンロードしてインストールしてください。詳細については、「サンプルのインストール」の「サンプルの最新版の入手」を参照してください。 |