管理フォルダーについて
適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3
トピックの最終更新日: 2014-01-14
管理フォルダーとは、Microsoft Exchange Server 2007 で導入され、Exchange Server 2010 でも利用できる、メッセージング レコード管理 (MRM) 機能です。管理フォルダーを使用すると、受信トレイや削除済みアイテム、送信済みアイテムなどの既定のフォルダーの保存期間の設定を指定し、独自の保存期間の設定を持つカスタム管理フォルダーを作成できます。管理フォルダーは、メッセージを保存期間で分類したり、メッセージを保存要件に基づいて適切な管理フォルダーに移動したりする際にユーザーに依存します。
目次
管理フォルダー
管理コンテンツの設定
ジャーナリングと管理フォルダー
管理フォルダー メールボックス ポリシー
管理フォルダー アシスタント
管理フォルダー
管理フォルダーとは、メールボックス内のフォルダーの Active Directory 表現です。2 つの種類の管理フォルダーを定義できます。
[管理された既定フォルダー] 管理された既定フォルダーとは、受信トレイや削除済みアイテム、送信済みアイテムなどの既定のフォルダー用に作成された管理フォルダー オブジェクトです。Exchange 2010 セットアップ プログラムによって、一連の管理された既定のフォルダーが作成されます。これらのフォルダーを使用するか、異なる一連のユーザーに対して追加のフォルダーを作成できます。
注意
Exchange 2010 Service Pack 1 のみの組織では、管理された既定フォルダーはセットアップ プログラムによって作成されません。作成方法については、「管理された既定フォルダーの作成」を参照してください。
[管理されたカスタム フォルダー] 管理されたカスタム フォルダーとは、ユーザーのメールボックスにカスタム フォルダーを作成するための管理フォルダー オブジェクトです。これらのフォルダーは、[管理フォルダー] という最上位フォルダーの下に作成されます。
注意
管理されたカスタム フォルダーは、MRM のプレミアム機能です。管理されたカスタム フォルダーを持つ各メールボックスには、Exchange Server Enterprise のクライアント アクセス ライセンス (CAL) が必要です。
管理フォルダー
管理コンテンツの設定
管理コンテンツの設定には、管理フォルダーの保存期間およびジャーナリングの設定を指定します。これらの設定は、特定のメッセージ クラス (電子メール メッセージ、予定表アイテム、タスクなど) またはすべてのメッセージ クラスを対象にできます。異なるメッセージ クラスに対して複数の管理コンテンツの設定を指定すると、同じフォルダー内の異なる種類のアイテムに対して異なる保存期間の設定を指定できます。
これらの保存期間の設定には、メッセージ クラス (指定されたメッセージ クラスに対して保存を有効にするかどうか)、保存期間、および保存期間用のアクションが含まれています。保存期間には、メッセージをメールボックスに保存する期間を指定します。保存期間用のアクションには、アイテムが保存期間を経過後に行うアクションを指定します。たとえば、120 日後にすべてのアイテムを削除済みアイテム フォルダーに移動するという、管理された既定フォルダー用の管理コンテンツの設定を作成できます。
次のいずれかの保存期間用のアクションを選択できます。
[削除済みアイテム フォルダーに移動する] 一定期間が過ぎたアイテムを削除済みアイテム フォルダーに移動するには、このアクションを使用します。
[管理されたカスタム フォルダーに移動する] アイテムを管理されたカスタム フォルダーに移動するには、このアクションを使用します。このアクションを使用するには、最初に管理されたカスタム フォルダーを作成する必要があります。
[削除して回復を許可する] アイテムを回復可能なアイテム フォルダーに移動するには、このアクションを使用します。削除済みアイテムは、メールボックス データベースまたはユーザーのメールボックスに指定された削除済みアイテムの保存期間が経過するまでの間、回復可能なアイテム フォルダーから回復できます。
[完全に削除] アイテムを完全に削除するには、このアクションを使用します。ユーザーは、完全に削除されたアイテムを回復することはできません。
[保存期限経過としてマークする] 保存期間経過としてアイテムにマークするには、このアクションを使用します。保存期間経過としてマークされたアイテムは、Microsoft Outlook 2010 および Office Outlook 2007 で取り消し線付きのテキストで表示されます。
保存期間の計算の起点を、メッセージがメールボックスに配信された時点、またはメッセージが現在存在しているフォルダーに移動された時点にするかどうかも指定できます。予定表アイテムおよび定期的なタスクの場合、保存期間はアイテムの終了日を起点として計算されます。保有期間の計算方法の詳細については、「保存期間の計算方法」を参照してください。管理フォルダー用の管理コンテンツの設定を作成する方法の詳細については、「管理コンテンツ設定の作成」を参照してください。
管理フォルダー
ジャーナリングと管理フォルダー
管理フォルダーを使用すると、特定のアイテムのコピーを別の場所にジャーナル (自動的に転送) 処理できます。コンテンツは、別の Exchange メールボックスまたはメール連絡先を含め、SMTP 電子メール アドレスを持つ任意の場所にジャーナル処理できます。テキスト ラベルをメッセージに割り当てると、分類情報を保持したり、受信者がジャーナル処理を行ったメッセージの自動的な並べ替えを有効にしたりできます。アイテムはジャーナル処理されると、変更されないコピーとして新しい電子メール メッセージに添付されます。ジャーナル処理されているアイテムのプロパティには新しい電子メール メッセージのプロパティとして割り当てられるものがあり、確認や自動的な並べ替えが容易になります。
重要
メールボックス サーバーの管理フォルダー アシスタントによって生成されるジャーナル レポートは、標準 (メールボックスごとのデータベース) およびプレミアム ジャーナリングの使用時に、ハブ トランスポート サーバー上のジャーナリング エージェントによって生成されるジャーナル レポートとは異なります。ジャーナルの詳細については、「ジャーナルについて」を参照してください。
管理フォルダー メールボックス ポリシー
管理フォルダー メールボックス ポリシーは、メールボックスに適用できる管理フォルダーの論理的なグループで、複数の管理フォルダーの管理コンテンツの設定をユーザーに適用できるようになります。ポリシーには、管理された既定フォルダーと管理されたカスタム フォルダーを混在させることができます。ただし、同じ種類の 2 つの管理された既定フォルダー (受信トレイなど) を同じポリシーに追加することはできません。管理フォルダーは、いつでも管理フォルダー メールボックス ポリシーに追加または削除できます。メールボックス ユーザーには、1 つの管理フォルダー メールボックス ポリシーのみ適用できます。
管理フォルダー メールボックス ポリシーの作成または適用方法の詳細については、「管理フォルダー メールボックス ポリシーの作成」および「ユーザーに管理フォルダー メールボックス ポリシーを適用する」を参照してください。
管理フォルダー
管理フォルダー アシスタント
管理フォルダー アシスタントとは、メールボックス サーバー上で実行され、管理フォルダー メールボックス ポリシーをそのサーバー上にあるメールボックスに適用するプロセスです。このアシスタントは、ポリシーに関連付けられている管理フォルダー、メールボックス内の以前の管理フォルダーの一覧を取得し、これらのフォルダー内のアイテムを処理します。保存期間が有効なアイテムには、保存期間のスタンプが付けられます。保存期間に達したアイテムには、適用可能な管理コンテンツの設定に指定されている保存期間用のアクションが実行されます。
Exchange 2010 SP1 では、管理フォルダー アシスタントは調整ベースのアシスタントです。調整ベースのアシスタントはスケジュールに従って実行されません。代わって、一定の期間内に (ワーク サイクル) メールボックス サーバーのすべてのメールボックスを処理するように管理フォルダー アシスタントを構成できます。 さらに、ワーク サイクル チェックポイントと呼ばれる指定した間隔で、管理フォルダー アシスタントは処理対象となるメールボックス リストを更新します。更新中に、管理フォルダー アシスタントは新しく作成されたメールボックスや移動されたメールボックスをキューに追加します。また、失敗のためしばらくの間正常に処理されなかった既存のメールボックスを再度順位付けし、同じワーク サイクル中に処理できるようにキュー内のより高い優先順位に移動します。
Exchange 2010 では、管理フォルダー アシスタントは毎日 01:00 ~ 09:00 ( 1:00 AM~ 9:00 AM) に実行するようにスケジュールされたスケジュールベースのアシスタントです。アシスタントのスケジュールは、ユーザーへの影響を最小限に抑えるように変更できます。Exchange 管理シェルを使用して、アシスタントを手動で起動および停止することもできます。アシスタントのスケジューリングの詳細については、「管理フォルダー アシスタントをスケジュールする」を参照してください。
注意
Exchange 2010 では、管理フォルダー アシスタントは、MRM のアイテム保持ポリシーも適用します。メールボックスには、アイテム保持ポリシーまたは管理フォルダー メールボックス ポリシーのいずれかを適用できます。管理フォルダー アシスタントのスケジュールを変更すると、両方の MRM 機能に影響を与えます。
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