送信コネクタ
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2007-07-10
送信コネクタは、Microsoft Exchange Server 2007 を実行しており、ハブ トランスポート サーバーの役割とエッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータ上で構成されます。送信コネクタは、送信メッセージが送信されるときに通過する論理ゲートウェイを表します。ここでは、送信コネクタの概要を提供し、送信コネクタの構成が個々のメッセージの処理にどのように影響するかについて説明します。
送信コネクタの概要
Exchange 2007 トランスポート サーバーがメッセージをその送信先の途中にある次のホップまで配信するには、送信コネクタが必要です。送信コネクタは、送信サーバーから受信サーバーまたは送信先電子メール システムまでの送信接続を制御します。既定では、ハブ トランスポート サーバーの役割またはエッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされている場合、明示的な送信コネクタは作成されません。ただし、Active Directory ディレクトリ サービスのサイト トポロジに基づいて自動的に計算される暗黙的で不可視の送信コネクタが、ハブ トランスポート サーバー間の内部的なメッセージのルーティングで使用されます。エンド ツー エンドのメール フローが可能になるのは、エッジ サブスクリプション プロセスにより Active Directory サイトがエッジ トランスポート サーバーを購読するようになった後のみです。インターネットに直接接続されたハブ トランスポート サーバーや、購読されていないエッジ トランスポート サーバーなどの場合は、エンド ツー エンドのメール フローを確立するためにコネクタを手動で構成する必要があります。詳細については、以下のトピックを参照してください。
ハブ トランスポート サーバー上で作成した送信コネクタは Active Directory 内に保存され、組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーから利用できます。Active Directory 内では、送信コネクタは、コネクタのコンテナ内のオブジェクトとして作成されます。送信コネクタがメッセージを外部ドメインに送信するように構成されている場合、組織内のどれかのハブ トランスポート サーバーがメッセージをそのドメインにルーティングしたときには、メッセージはそのコネクタの接続元サーバーに配信されて、送信先ドメインへと中継されます。
メッセージを受信者へとルーティングするために使用される送信コネクタは、メッセージの分類のルーティング解決フェーズで選択されます。詳細については、「Active Directory サイトベースのルーティングについて」を参照してください。
送信コネクタの使用法の種類の選択
Exchange 管理コンソールを使用して送信コネクタを作成すると、SMTP 送信コネクタの新規作成ウィザードでコネクタの使用法の種類を選択するように求められます。使用法の種類は、コネクタに割り当てる既定のアクセス許可セットを決定します。そのアクセス許可は、信頼されるセキュリティ プリンシパルに与えられます。セキュリティ プリンシパルには、ユーザー、コンピュータ、およびセキュリティ グループが含まれます。セキュリティ プリンシパルは、セキュリティ識別子 (SID) で表されます。使用法の種類は、Exchange 管理シェルで New-SendConnector コマンドレットを使用して送信コネクタを作成する場合にも指定できます。ただし、Usage パラメータは必須パラメータではありません。New-SendConnector コマンドレットを実行するときに使用法の種類を指定しなければ、既定の使用法の種類は Custom
に設定されます。表 1 に、送信コネクタの使用法の種類と、その既定の設定を示します。
表 1 送信コネクタの使用法の種類
種類 | 既定のアクセス許可 | 既定のアクセス許可が与えられる SID | 既定のスマート ホスト認証機構 |
---|---|---|---|
カスタム |
なし |
なし |
なし |
内部 |
|
|
Exchange Server 認証 |
インターネット |
Ms-Exch-Send-Headers-Routing |
匿名ユーザー アカウント |
なし |
パートナー |
Ms-Exch-Send-Headers-Routing |
パートナー サーバー |
該当なし。この使用法の種類は、リモート ドメインとの相互トランスポート層セキュリティ (TLS) 認証を確立する場合に選択します。 |
注 : |
---|
一部のシナリオでは、スマート ホストを通じてメッセージを中継するのではなく、ドメイン ネーム システム (DNS) の MX レコード解決を使用してメッセージがルーティングされます。送信コネクタに DNS 解決を選択した場合は、認証機構は構成されません。 |
送信コネクタのアクセス許可とスマート ホスト認証機構については、このトピック内で後から説明します。
送信コネクタの使用シナリオ
使用法の各種類は、特定の接続シナリオに適しています。目的の構成に最も適している既定の設定を備えた使用法の種類を選択してください。アクセス許可は、Add-ADPermission コマンドレットおよび Remove-ADPermission コマンドレットを使用して変更できます。詳細については、以下のトピックを参照してください。
表 2 に、一般的な接続シナリオと、各シナリオに適した使用法の種類を示しています。
表 2 コネクタ使用のシナリオ
コネクタのシナリオ | 使用法の種類 | コメント |
---|---|---|
インターネットへ電子メールを送信するエッジ トランスポート サーバー |
インターネット |
エッジ トランスポート サーバーが Exchange 組織に購読されている場合は、すべてのドメインに電子メールを送信するように構成された送信コネクタが自動的に作成されます。 |
インターネットへ電子メールを送信するハブ トランスポート サーバー |
インターネット |
これは、推奨される構成ではありません。詳細については、「インターネット メール フローのためにコネクタを構成する方法」を参照してください。 |
ハブ トランスポート サーバーに電子メールを送信する購読済みエッジ トランスポート サーバー |
内部 |
このコネクタは、エッジ サブスクリプション プロセスにより自動的に作成されます。 |
Exchange Server 2003 または Exchange 2000 Server ブリッジヘッド サーバーに電子メールを送信するエッジ トランスポート サーバー |
内部 |
Exchange 2003 または Exchange 2000 ブリッジヘッド サーバーが送信コネクタのスマート ホストとして構成されます。 |
ハブ トランスポート サーバーに電子メールを送信するハブ トランスポート サーバー |
内部 |
同一組織内のハブ トランスポート サーバー間の送信コネクタは構成する必要がありません。この使用法の種類は、クロス フォレスト送信コネクタの構成に使用できます。 |
同一フォレスト内の Exchange 2003 または Exchange 2000 ブリッジヘッド サーバーに電子メールを送信するハブ トランスポート サーバー |
内部 |
これはオプションの構成です。Exchange 2007 と以前のバージョンの Exchange Server の間のトランスポートは、双方向ルーティング グループ コネクタを通じて実行されます。Exchange 2003 または Exchange 2000 ルーティング グループへの SMTP コネクタを作成する場合は、ルーティング グループ コネクタも存在している必要があります。詳細については、「Exchange 2007 から Exchange Server 2003 へのルーティング グループ コネクタを作成する方法」を参照してください。 |
ハブ トランスポート サーバーに電子メールを送信するエッジ トランスポート サーバー |
カスタム |
エッジ サブスクリプション プロセスを使用しない場合、手動コネクタを作成する必要があります。Add-AdPermission コマンドレットを使用して、拡張された権利を設定します。認証機構を基本認証または外部セキュリティ保護に設定します。 |
1 つのフォレスト内のハブ トランスポート サーバーに電子メールを送信する、別のフォレスト内のハブ トランスポート サーバー用のクロス フォレスト送信コネクタ |
カスタム |
詳細な構成手順については、「フォレスト間コネクタの構成」を参照してください。 |
1 つのフォレスト内の Exchange 2003 または Exchange 2000 ブリッジヘッド サーバーに電子メールを送信する、別のフォレスト内のハブ トランスポート サーバー用のクロス フォレスト送信コネクタ |
カスタム |
詳細な構成手順については、「フォレスト間コネクタの構成」を参照してください。 |
サード パーティのメッセージ転送エージェントに電子メールを送信するハブ トランスポート サーバー |
カスタム |
Add-AdPermission コマンドレットを使用して、拡張された権利を設定します。すべてのメッセージをスマート ホストにルーティングし、認証機構を基本認証または外部セキュリティ保護に設定します。 |
サード パーティのメッセージ転送エージェントに電子メールを送信するエッジ トランスポート サーバー |
カスタム |
Add-AdPermission コマンドレットを使用して、拡張された権利を設定します。すべてのメッセージをスマート ホストにルーティングし、認証機構を基本認証または外部セキュリティ保護に設定します。 |
外部の中継ドメインに電子メールを送信するエッジ トランスポート サーバー |
カスタム |
エッジ トランスポート サーバーは、外部の中継ドメイン向けの電子メールを受け付けて、メッセージをそのドメインに対する特権のある電子メール システムへと中継することができます。すべてのメッセージをスマート ホストにルーティングし、適切な認証機構を設定し、Add-AdPermission コマンドレットを使用して、拡張された権利を設定します。 |
相互 TLS 認証が確立済みのドメインに電子メールを送信するエッジ トランスポート サーバー |
パートナー |
相互 TLS 認証は、以下の条件が満たされている場合にのみ正しく機能します。
詳細については、「Set-SendConnector」を参照してください。 |
送信コネクタのアクセス許可
送信コネクタのアクセス許可をセキュリティ プリンシパルに割り当てます。セキュリティ プリンシパルが送信コネクタとのセッションを確立すると、電子メール メッセージと一緒に送信できるヘッダー情報の種類が送信コネクタのアクセス許可により決まります。電子メール メッセージに送信コネクタのアクセス許可で許可されないヘッダー情報が含まれている場合、そのヘッダーは送信時にメッセージから削除されます。表 3 に、送信コネクタでセキュリティ プリンシパルに割り当てることができるアクセス許可を示します。Exchange 管理コンソールを使用して送信コネクタのアクセス許可を設定することはできません。送信コネクタの既定のアクセス許可を変更するには、Exchange 管理シェルで Add-AdPermission コマンドレットを使用する必要があります。
表 3 送信コネクタのアクセス許可
送信コネクタのアクセス許可 | 説明 |
---|---|
ms-Exch-Send-Exch50 |
このアクセス許可は、EXCH50 コマンドを含むメッセージを送信することをセッションに許可します。このアクセス許可が与えられていなくて、EXCH50 コマンドを含むメッセージが送信された場合には、サーバーはメッセージを送信しますが、EXCH50 コマンドは含めません。 |
Ms-Exch-Send-Headers-Routing |
このアクセス許可は、受け取ったヘッダーをすべてそのまま含んだメッセージを送信することをセッションに許可します。このアクセス許可が与えられてないと、サーバーはすべての受信ヘッダーを削除します。 |
Ms-Exch-Send-Headers-Organization |
このアクセス許可は、すべての組織ヘッダーをそのまま含んだメッセージを送信することをセッションに許可します。組織ヘッダーはすべて "X-MS-Exchange-Organization-" で始まります。このアクセス許可が与えられていないと、送信サーバーはすべての組織ヘッダーを削除します。 |
Ms-Exch-Send-Headers-Forest |
このアクセス許可は、すべてのフォレスト ヘッダーをそのまま含んだメッセージを送信することをセッションに許可します。フォレスト ヘッダーはすべて "X-MS-Exchange-Forest-" で始まります。このアクセス許可が与えられていないと、送信サーバーはすべてのフォレスト ヘッダーを削除します。 |
アドレス スペースおよびコネクタのスコープ
送信コネクタのアドレス スペースは、送信コネクタが電子メールをルーティングする受信者ドメインを指定します。ハブ トランスポート サーバー上で構成されている送信コネクタで、SMTP アドレス スペースまたは SMTP 以外のアドレス スペースを指定できます。エッジ トランスポート サーバー上に構成されている送信コネクタでは、SMTP アドレス スペースのみ指定できます。SMTP 以外のアドレス スペースの種類を使用する場合は、スマート ホストを使用して電子メールをルーティングする必要があります。
注 : |
---|
ハブ トランスポート サーバー上の送信コネクタで SMTP 以外のアドレス スペースを構成できますが、送信コネクタはトランスポート メカニズムとして SMTP を使用して他のメッセージング サーバーにメッセージを送信します。ハブ トランスポート サーバーの外部コネクタは、SMTP をプライマリ トランスポート メカニズムとして使用しない、サード パーティの FAX ゲートウェイ サーバーなどのローカルのメッセージング サーバーにメッセージを送信するために使用されます。詳細については、「外部コネクタ」を参照してください。 |
表 4 に、送信コネクタの SMTP アドレス スペースに有効なエントリの一覧を示します。
表 4 送信コネクタの SMTP アドレス スペースに有効なエントリ
アドレス スペースのエントリ | 送信コネクタがメールをルーティングする先 |
---|---|
* |
他の送信コネクタ エントリの明示的なアドレス スペース エントリを持たない、または他の送信コネクタのアドレス スペースに含められたサブドメインではないすべてのドメイン。 |
Contoso.com |
Contoso.com ドメイン内の電子メール アドレスを持つすべての受信者。 |
*.Contoso.com |
Contoso.com ドメイン内または Contoso.com の任意のサブドメイン内の電子メール アドレスを持つすべての受信者。Exchange 管理コンソールでは、[すべてのサブドメインを含む] を選択するとこの構成を設定できます。 |
ルーティング解決中に、電子メールが送信先アドレス スペースに配信されるためにルーティングされるルーティング先の送信コネクタが選択されます。受信者の電子メール アドレスに最も近いアドレス スペースを持つ送信コネクタが選択されます。たとえば、Recipient@marketing.contoso.com が宛先になっている電子メール メッセージなら、*.Contoso.com アドレス スペースを使用するように構成されているコネクタを通じてルーティングされます。特定のアドレス スペースのための送信コネクタを構成すると、そのアドレス スペース宛てに送信された電子メールは必ずそのコネクタを通じてルーティングされます。また、そのアドレス スペース宛てに送信された電子メールには、常にそのコネクタ用の構成設定が適用されます。
送信コネクタのスコープを使用して Exchange 組織内の送信コネクタの可視性を制御できます。既定では、作成したすべての送信コネクタは、Exchange 組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーが使用できます。ただし、同じ Active Directory サイトに存在する他のハブ トランスポート サーバーのみが使用できるように送信コネクタのスコープを制限できます。
Exchange 2007 RTM におけるアドレス スペースおよびコネクタのスコープ
Exchange 2007 の RTM (Release To Manufacturing) 版でアドレス スペースを指定するための完全な構文は以下のとおりです。
<ConnectorScope>:<AddressSpaceType>:<AddressSpace>;<AddressSpaceCost>
次の一覧で、アドレス スペースの要素について説明します。
- ConnectorScope
Local
の値を指定すると、同じ Active Directory サイト内の他のハブ トランスポート サーバーのみがこのコネクタを使用できます。ConnectorScope 修飾子を省略すると、Exchange 2007 組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーがこのコネクタを使用できます。 - **AddressSpaceType ** アドレス スペースの種類は、
SMTP
、X400
、またはその他のテキスト文字列です。アドレス スペースの種類を省略すると、種類は SMTP アドレス スペースと見なされます。 - AddressSpace SMTP アドレス スペースの種類には、RFC 1035 準拠のアドレス スペースを入力する必要があります。たとえば、
*
、*.com
および*.contoso.com
は使用できますが、*contoso.com
は使用できません。X.400 アドレス スペースの種類には、o=MySite;p=MyOrg;a=adatum;c=us などの RFC 1685 準拠のアドレス スペースを入力する必要があります。その他のアドレスの種類の値には、アドレス スペースに任意のテキストを入力できます。 - **AddressSpaceCost ** コストの有効な入力の範囲は 1 ~ 100 です。低いコストは、より良いルートを示します。アドレス スペースのコストを省略すると、コストとして 1 が使用されます。セミコロン (;) を含む SMTP 以外のアドレス スペースを入力する場合は、アドレス スペースのコストを指定する必要があります。
コネクタのスコープ、アドレス スペースの種類、またはアドレス スペースのコストを指定する場合、アドレス スペースを二重引用符 ("
) で囲む必要があります。たとえば、次のアドレス スペース エントリは同等です。
"SMTP:contoso.com;1"
"contoso.com;1"
"SMTP:contoso.com"
contoso.com
複数のアドレス スペースを指定するには、アドレス スペースをコンマで区切ります。たとえば、"contoso.com,fabrikam.com
" のようにします。コネクタのスコープ、アドレス スペースの種類、またはアドレス スペースのコストを指定する場合、アドレス スペースを二重引用符 ("
) で囲む必要があります。たとえば、""contoso.com;2","Local:fabrikam.com;3"
" のようにします。.
Exchange 2007 SP1 におけるアドレス スペースおよびコネクタのスコープ
Microsoft Exchange Server 2007 Service Pack 1 (SP1) のアドレス スペース構文は、Exchange 2007 RTM のアドレス スペース構文と多少異なります。Exchange 2007 SP1 でアドレス スペースを指定するための完全な構文は以下のとおりです。
<AddressSpaceType>:<AddressSpace>;<AddressSpaceCost>
以下のいずれかの方法を使用して、送信コネクタのスコープを指定できます。
- Exchange 管理コンソールで、SMTP 送信コネクタの新規作成ウィザードの [アドレス スペース] ページ、または既存の送信コネクタのプロパティにある [アドレス スペース] タブにある "範囲が限定された送信コネクタ" プロパティを使用します。
[範囲が限定された送信コネクタ] を選択すると、同じ Active Directory サイト内のハブ トランスポート サーバーのみがこのコネクタを使用できます。[範囲が限定された送信コネクタ] を選択しないと、Exchange 組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーがこのコネクタを使用できます。 - Exchange 管理シェルで、New-SendConnector コマンドレットまたは Set-SendConnector コマンドレットを使用して IsScopedConnector パラメータを指定します。
このパラメータの値が$True
である場合、同じ Active Directory サイト内のハブ トランスポート サーバーのみがこのコネクタを使用できます。このパラメータの値が$False
である場合、Exchange 組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーがこのコネクタを使用できます。
ネットワーク設定
送信コネクタは、ドメイン ネーム システム (DNS) アドレス解決を使用して電子メールを配信するか、または電子メールをスマート ホストにルーティングするように設定できます。
電子メールのルーティングに DNS を使用
DNS MX レコードを使用してメールを自動的にルーティングするように送信コネクタを設定する場合は、送信元サーバー上の DNS クライアントがパブリック DNS レコードを解決できる必要があります。既定では、送信元サーバーの内部ネットワーク アダプタで構成されている DNS サーバーが名前解決に使用されます。Exchange 管理コンソールを使用して Exchange サーバーのプロパティの DNS 設定を変更することにより、内部 DNS 検索および外部 DNS 検索に特定の DNS サーバーが使用されるようにすることも可能です。また、Exchange 管理シェルを使用して、Set-TransportServer コマンドレットでパラメータを構成することもできます。
外部 DNS 検索にトランスポート サーバー上の特定の DNS サーバーが使用されるように構成する場合は、SMTP 送信コネクタの新規作成ウィザードの [ネットワーク設定] ページで [トランスポート サーバーで外部 DNS 参照の設定を使用する] を選択するか、または Exchange 管理シェルで、Set-TransportServer コマンドレットの UseExternalDNSServersEnabled パラメータを $True
に設定する必要があります。また、送信コネクタの DnsRoutingEnabled パラメータも $True
に設定する必要があります。
詳細については、以下のトピックを参照してください。
電子メールのルーティングにスマート ホストを使用
送信コネクタの使用法の種類に「内部」を選択した場合は、スマート ホストを指定する必要があります。スマート ホストを通じてメールをルーティングする場合は、配信先までの次のホップへの配信をスマート ホストが処理します。スマート ホストの識別情報を指定するには、スマート ホストの IP アドレスまたは完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用できます。スマート ホストの識別情報としては、スマート ホスト サーバーの FQDN、MX (メール エクスチェンジャ) レコード、または A (アドレス) レコードを使用できます。FQDN をスマート ホストの識別情報として構成する場合は、送信コネクタの送信元サーバーがスマート ホスト サーバーの場所を特定するために DNS 名前解決を使用できる必要があります。
注 : |
---|
Windows Server 2008 を実行しているコンピュータに Exchange Server 2007 SP1 を展開する場合、IPv4 (インターネット プロトコル Version 4) 形式、IPv6 (インターネット プロトコル Version 6) 形式、または両方の形式で IP アドレスとその範囲を入力できます。Windows Server 2008 の既定のインストールでは、IPv4 および IPv6 のサポートが有効になります。IPv6 アドレスに対する Exchange 2007 SP1 のサポートの詳細については、「Exchange 2007 SP1 および SP2 での IPv6 サポート」を参照してください。 |
使用法の種類が "インターネット" の送信コネクタのスマート ホストは、インターネット サービス プロバイダによりホストされているサーバーでもかまいません。使用法の種類が「カスタム」または「内部」の送信コネクタのスマート ホストには、組織内の他の電子メール サーバーまたはリモート ドメイン内の電子メール サーバーを使用できます。
スマート ホストのセキュリティ設定
スマート ホストを通じてメールをルーティングする場合は、セキュア サーバーがスマート ホスト コンピュータに対してどのように認証されるかを指定する必要があります。スマート ホストの送信先が指定されないと、送信コネクタのセキュリティ設定を要求することはできません。たとえば、インターネットに面しているコネクタを TLS を要求するように設定することはできません。
表 5 に、送信コネクタに構成できるスマート ホストの認証機構の一覧を示します。
表 5 スマート ホストの認証機構
セキュリティ設定 | 説明 |
---|---|
なし |
匿名アクセスが許可されます。 |
基本認証 |
基本認証では、ユーザー名とパスワードの入力が要求されます。基本認証では、資格情報がクリア テキストで送信されます。この送信コネクタが認証される必要のあるすべてのスマート ホストが、同じユーザー名とパスワードを受け付けるようになっている必要があります。 |
TLS 経由の基本認証 |
資格情報の送信を暗号化するには、TLS を選択します。受信サーバーがサーバー証明書を持っている必要があります。また、送信コネクタ上でスマート ホストの識別情報として定義されるスマート ホストの正確な FQDN、MX レコード、または A レコードが、サーバー証明書に存在する必要があります。送信コネクタは、送信先サーバーへの STARTTLS を試行し、TLS セッションが確立された後にのみ基本認証を実行します。相互 TLS 認証をサポートするには、クライアント証明書も必要です。 |
Exchange Server 認証 |
Exchange Server 認証 (GSSAPI および相互 GSSAPI) |
外部的なセキュリティ (たとえば IPsec) |
ネットワーク接続のセキュリティが、Exchange サーバーの外部にある方法を使用して確保されます。 |
送信元サーバー
送信コネクタには、少なくとも 1 つの送信元サーバーを選択する必要があります。送信元サーバーとは、選択した送信コネクタを通じて配信するためのメッセージのルーティング先となるトランスポート サーバーです。Exchange 組織用に構成された送信コネクタには、複数の送信元サーバーを設定できます。複数の送信元サーバーを指定すると、負荷分散や、サーバーに障害が発生した場合の冗長性を提供できます。Exchange 組織用に構成された送信コネクタに関連付ける送信元サーバーには、ハブ トランスポート サーバーまたは購読済みエッジ トランスポート サーバーを使用できます。
FQDN
Exchange 管理コンソール内の送信コネクタ プロパティの [全般] タブには、[HELO または EHLO に応答してこのコネクタが提供する FQDN を指定する] というオプションがあります。Exchange 管理シェルでは、このプロパティは、Set-SendConnector コマンドレットで Fqdn パラメータを使用することにより設定されます。SMTP セッションが確立されると、送信側の電子メール サーバーと受信側の電子メール サーバーとの間で SMTP プロトコル通信が開始されます。送信側の電子メール サーバーまたはクライアントは、EHLO または HELO SMTP コマンドとその完全修飾ドメイン名 (FQDN) を受信側のサーバーに送信します。それに応答して、受信側のサーバーは成功コードを送信し、自身の FQDN を提供します。Exchange 2007 では、送信コネクタでこのプロパティを構成する場合、送信側サーバーにより提供される FQDN をカスタマイズすることができます。Fqdn パラメータの値は、次の例で示すように送信元サーバー名が必要な場合に常に接続済みメッセージング サーバー側で表示されます。
- ハブ トランスポート サーバーまたはエッジ トランスポート サーバーからのメッセージの送信後、次ホップのメッセージング サーバーによりメッセージに追加される、メッセージの最新の
Received:
ヘッダー フィールド内 - TLS 認証中
注 : |
---|
メールボックス サーバーの役割もインストールされているハブ トランスポート サーバー上で送信コネクタを構成する場合、Fqdn パラメータに指定する値は使用されません。代わりに、Get-ExchangeServer コマンドレットを使用することで表示されるサーバーの FQDN が常に使用されます。 ハブ トランスポート サーバーおよびメールボックス サーバーの両方の役割がインストールされているサーバーの場合、送信メッセージの Received: ヘッダーからサーバー名を削除する唯一の方法は、Remove-ADPermission コマンドレットを使用して、該当コネクタを使用するセキュリティ プリンシパルから Ms-Exch-Send-Headers-Routing アクセス許可を削除することです。この操作により、ハブ トランスポート サーバーからメッセージが送信されるときに、メッセージからすべての Received: ヘッダーが削除されます。Received: ヘッダーは最大ホップ数の計算に使用されるため、内部メッセージの Received: ヘッダーを削除することはお勧めしません。Remove-ADPermission コマンドレットおよび Get-ExchangeServer コマンドレットの詳細については、以下のトピックを参照してください。• Remove-ADPermission • Get-ExchangeServer |
その他の送信コネクタのプロパティ
送信コネクタのプロパティ構成は、メールがコネクタを通じて送信される方法を定義します。すべてのプロパティが Exchange 管理コンソールで構成可能なわけではありません。Exchange 管理シェルを使用して構成できるプロパティの詳細については、「Set-SendConnector」を参照してください。送信コネクタのこれらの追加プロパティには、プロトコルのログ出力レベル、リンクされた受信コネクタなどがあります。送信コネクタを受信コネクタとリンクすると、その受信コネクタを通じて受信されたすべてのメッセージが、それにリンクされている送信コネクタを使用して配信されます。
詳細情報
詳細については、以下のトピックを参照してください。
- コネクタの管理
- Exchange 組織でのエッジ トランスポート サーバーの購読
- 受信コネクタ
- Active Directory サイトベースのルーティングについて
- 新しい送信コネクタを作成する方法
- 送信コネクタの構成を変更する方法
- 送信コネクタを削除する方法
- Set-SendConnector
- New-SendConnector
- 送信コネクタの構成を表示する方法
- リンクされたコネクタを作成する方法
- Exchange 2007 のトランスポート アクセス許可モデル
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。