PerformancePoint Services スコアカード変換の概要
最終更新日: 2011年8月30日
適用対象: SharePoint Server 2010
Microsoft SharePoint Server 2010 の PerformancePoint Services では、変換は、スコアカードの外観、内容、または機能を変更するパラメーター化された関数です。たとえば、PerformancePoint Services では、スコアカード ビューをレンダリングする前に変換を使用して、名前付きセットの展開、重ね合わせの計算、集計など、複数の操作を実行します。この変更は実行時に適用され、変更によってスコアカード オブジェクトが変更されることはありません。
適用先: PerformancePoint Services for SharePoint Server (Enterprise バージョン)
注意
変換によってスコアカードのデータ値が変更される場合、その変更は、スコアカードをデータ ソースとして使用する戦略マップ レポートに直接伝達されます。スコアカードへの変更は、KPI の詳細レポートにも影響する可能性があります。
グローバルに、または一連の条件に基づいて適用できるカスタム変換を作成できます。グローバル変換は、各スコアカードまたはスタイル シートを変更せずに既定の書式設定オプションを設定するときに役立ちます。条件付き変換は、スコアカードの内容を強力かつ柔軟に制御できます。たとえば、スコア、親のディメンションなどの条件に基づいてスコアカードのセルの背景色を変更するために特定のスコアカードで実行する変換を作成できます。
レンダリング処理
3 つの変換の種類は、PreQuery、PostQuery、および PreRender です。
注意
スコアカード変換のサンプルには、この 3 つの変換の種類を実装した変換が含まれています。サンプル変換に基づいて変換を作成する方法については、「[方法] PerformancePoint Services のスコアカード変換を作成する」を参照してください。
次に示すように、変換の種類によって、変換が適用されるレンダリング処理内の場所が決まります。
スコアカードの構成されたビュー定義は、メタデータ リポジトリから逆シリアル化され、システムに渡されます。この定義には、スコアカードによって使用されるデータ ソース、主要業績評価指標 (KPI)、ページ フィルター、行と列のヘッダー ツリー、書式設定、および変換に関する情報が格納されています。
PreQuery 変換が適用されます。
クエリが構築され、下位データ ソースに対して実行されます。
スコアカードのセルが作成され、クエリの結果が入力されます。
PostQuery 変換が適用されます。
PreRender 変換が適用されます。PostQuery 変換とは異なり、PreRender 変換は、スコアカード ビューがレンダリングされるたびに適用されます。
スコアカード ビューが生成されます。
注意
スコアカード ビューが HTML キャッシュからレンダリングされると、PreRender 変換からの変更が表示されない可能性があります。詳細については、「使用する変換の種類の決定」を参照してください。
変換では、GenerateView または GenerateViewDirect メソッドを使用してスコアカード データを取得します。GenerateView ではリポジトリから直接スコアカード定義を使用しますが、GenerateViewDirect ではアドホック定義を渡すことができます。
注意
GenerateView または GenerateViewDirect メソッドの出力は、スコアカードや戦略マップ レポート以外の視覚エフェクトで使用できる整形式のオブジェクトです。
スコアカード ビューのランタイム オブジェクトの詳細については、「PerformancePoint Services のスコアカード ランタイム オブジェクトのアーキテクチャ」を参照してください。
使用する変換の種類の決定
使用する変換の種類は、変換の機能によって決まります。1 番目の決定要因は、変換で値をデータ ソースによって計算する必要があるかどうかです。計算する必要がある場合、PreQuery 変換を使用します。PreQuery 変換は、データ ソースのクエリが実行される前に適用されます。したがって、クエリに影響を与える変更がデータ ソースによって計算されます。たとえば、PreQuery 変換を使用してメンバーを追加または置換する場合、メンバーの値はデータ ソースによって計算されます。
変換で、値をデータ ソースによって計算する必要がない場合、2 番目の決定要因は、変換を適用する頻度です。PostQuery 変換と PreRender 変換は、次に説明するように、頻度によって異なります。
PostQuery 変換は、GridViewData オブジェクト (スコアカード ビュー) が生成されるときにだけ適用されます。この変換の種類は、GridViewData が生成されるときにだけ変換を適用する必要がある場合に便利です。
PreRender 変換は、GridViewData オブジェクトが生成されるときに適用されます。また、スコアカード ビューがレンダリングされるたびに適用されます (ただし、スコアカード ビューが HTML キャッシュからレンダリングされている場合は、変更が表示されない可能性があります)。
すべての変換の種類は、GridViewData オブジェクトが生成されるときに実行されますが、PreRender 変換だけは、GridViewData がキャッシュされている状態のときに実行されます。GridViewData オブジェクトがキャッシュされるのは、そのオブジェクトが初めて生成された後、スコアカードへの KPI の追加など、オブジェクトの依存関係が変更されたときです。PreRender 変換の適用によって表示が変更された場合 (列の追加など)、その変更は、ツール バーでの並べ替え、フィルター処理、重ね合わせの種類の変更など、一時的なナビゲーション操作中に必ずレンダリングされます。ただし、サーバーが HTML キャッシュから内容を取得して、スコアカード ビューをレンダリングしている場合、表示の変更は、その変更が HTML キャッシュに保存されるまでレンダリングされません。
注意
この処理では、スコアカード ビューが正しくレンダリングされない可能性があります。1 つの回避策は、PreRender 変換を使用して、現在の日付と時刻を使用するように GridViewData.LastAnnotationUpdatedOn プロパティを設定することです。これにより、スコアカード ビューをレンダリングするときに HTML キャッシュの回避が強制されます。
次の表では、PerformancePoint Services によって実装されている変換の種類の例を示します。この情報は、使用する変換の種類を決めるときに役立ちます。
表 1. PreQuery、PostQuery、および PreRender 変換の標準実装
変換 |
説明 |
|---|---|
PreQuery |
UpdateDisplayText 変換は、GridHeaderItem.UseLinkedElementDisplayText プロパティが true に設定されているスコアカードと KPI ヘッダーの表示テキストを更新します。 |
PostQuery |
AnnotationTransform 変換は、各セルの注釈を取得します。 |
PreRender |
ComputeAggregations 変換は、目的の KPI の集計値をその子 KPI の値に基づいて計算します。 |
関連項目
タスク
[方法] PerformancePoint Services のスコアカード変換を作成する