確認後支払の設定
適用: Microsoft Dynamics AX 2012 R3, Microsoft Dynamics AX 2012 R2
このトピックでは、確認後支払ファイルの安全なフォルダーの作成、確認後支払ファイルの送信ポートの設定、確認後支払ファイルを生成するバッチ ジョブの設定、確認後支払ファイルの番号順序の設定、確認後支払形式の銀行口座への割り当て、および確認後支払のユーザー セキュリティの設定に役に立つ方法を説明します。
確認後支払を設定し、銀行に渡す小切手の電子リストを生成します。小切手が銀行に提出されたら、銀行はその小切手を小切手リストと比較します。小切手が銀行にあるリストのファイルの小切手と一致する場合、銀行は小切手を決済します。違いがある場合、銀行は確認のために小切手を保留にします。
注意
このトピックは Microsoft Dynamics AX 2012 R2 の累積更新プログラム 6 または累積更新プログラム 7 で追加または変更された機能に関する情報を含む、更新情報を提供します。この情報は CU6、CU7、およびそれ以降の累計更新プログラムに適用されます。この情報は、AX 2012 R3 にも適用されます。
次の図は、確認後支払の設定方法を示します。番号は、このトピックの後の手順に対応します。
1.確認後支払ファイルの安全なフォルダーの作成
確認後支払ファイルには、受取人と小切手金額に関する機密情報が含まれている場合があります。したがって、ファイルを生成時から銀行がそのファイルを受領するまで、適切なセキュリティ対策をかならず使用します。次のセキュリティ上の脅威と緩和を考慮に入れます。
脅威 |
緩和 |
---|---|
フォルダーおよびフォルダー内のデータへの無許可のアクセス |
確認後支払ファイルの生成時にそのファイルを保存するフォルダーへのアクセスを制限します。確認後支払形式ごとに 1 つのフォルダーを作成し、アクセス制御リスト (ACL) を使用して各フォルダーにアクセスできるドメイン ユーザーを指定することを推奨します。詳細については、http://msdn.microsoft.com/en-us/library/windows/desktop/aa374872.aspxを参照してください。 |
データを非保護ネットワーク経由でフォルダーに送信 |
保護されたネットワークを使用します。 |
データを銀行に転送 |
セキュリティで保護されたシステムを使用して、銀行に確認後支払ファイルを転送します。詳細については、銀行に問い合わせてください。 |
確認後支払ファイルのフォルダーを設定するには、次の手順に従います。:
Windows エクスプローラーで、[D:\AX\PositivePay] またはネットワーク上の場所など、確認後支払ファイルを格納するフォルダーを開きます。
[D: \AX\PositivePay\Out] などのフォルダーを作成します。
手順 1 で開始したフォルダー内に、[D:\AX\PositivePay\BankXSLT] などの XSL 変換ファイル用フォルダーを作成します。
Microsoft Dynamics Ax Application Object Server (AOS) サービス アカウントに対して、[D:\AX\PositivePay] フォルダーの**[書き込み]** アクセス権を付与します。ほかの者には [書き込み] アクセス権を付与しないでください。
2.確認後支払ファイル用の送信ポートの設定
確認後支払ファイルがサービスを使用して作成されます。確認後支払ファイルを生成する前に、確認後支払サービスの送信ポートを設定する必要があります。
注意
既存の送信ポートの XSLT ファイルの場所または発信フォルダーは変更できません。代わりに、この手順に従って、新しい送信ポートを作成する必要があります。
確認後支払ファイルの送信ポートを設定するには、次の手順に従います。
Microsoft Dynamics Ax にシステム管理者としてログオンします。
システム管理 >設定 >サービス アプリケーション統合フレームワーク >確認後支払サービス >確認後支払用の送信ポート をクリックします。
[支払形式] フィールドで、[PayFormat01] などの形式名を指定します。
[XSLT] フィールドで、銀行が要求する形式と一致する XSL 変換ファイルを選択します。この変換ファイルを作成する必要があります。たとえば、XSLT ファイルの場所が [D:\AX\PositivePay\BankXSLT\ExampleXSLT.xsl] であるかもしれません。
[送信フォルダー] フィールドで、変換後に確認後支払ファイルを保存する場所を選択します。たとえば、場所は [D:\AX\PositivePay\Out] であるかもしれません。
支払を生成する Microsoft Dynamics Ax ユーザーが、このフォルダーへの [書き込み] アクセス権を保持していることを確認します。
明細行プロパティの詳細については、「ポートの作成」を参照してください。メッセージが、ポートが正常に配置されたことを示します。
例: 確認後支払ファイル用 XSLT ファイル
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <xsl:stylesheet version="1.0" xmlns:xsl="http://www.w3.org/1999/XSL/Transform" xmlns:msxsl="urn:schemas-microsoft-com:xslt" exclude-result-prefixes="msxsl s0 s1 xslthelper" xmlns="urn:iso:std:iso:20022:tech:xsd:pain.001.001.02" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns:xslthelper="http://schemas.microsoft.com/BizTalk/2003/xslthelper" xmlns:s0="http://schemas.microsoft.com/dynamics/2008/01/sharedtypes" xmlns:s1="http://schemas.microsoft.com/dynamics/2008/01/documents/BankPositivePay" > <xsl:template match="/"> <xsl:apply-templates select="//s1:BankPositivePay"></xsl:apply-templates> </xsl:template> <xsl:template match="//s1:BankPositivePay"> <Document> <xsl:value-of select="' '" /> <xsl:for-each select="s1:BankAccountTable"> <xsl:if test="count(child::s1:BankChequeTable) >0"> <!--Header Begin--> <xsl:value-of select='string("Vendor ID,Vendor Name,Voided,Document Type,Check Date,Check Number,Check Amount,Checkbook ID,Vendor Class ID,Posted Date")'/> <xsl:value-of select="' '" /> <!--Header End--> <!--Cheque Detail begin--> <xsl:for-each select="s1:BankChequeTable"> <xsl:value-of select='s1:RecipientAccountNum/text()'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='s1:BankNegInstRecipientName/text()'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:choose> <xsl:when test='s1:ChequeStatus/text()=normalize-space("Void") or s1:ChequeStatus/text()=normalize-space("Rejected") or s1:ChequeStatus/text()=normalize-space("Cancelled")'> <xsl:value-of select='string("Yes")'/> </xsl:when> <xsl:when test='s1:ChequeStatus/text()=normalize-space("Payment")'> <xsl:value-of select='string("No")'/> </xsl:when> <xsl:otherwise> <xsl:value-of select='string(" ")'/> </xsl:otherwise> </xsl:choose> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='string("Payment")'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='s1:TransDate/text()'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='s1:ChequeNum/text()'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='s1:AmountCur/text()'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='string("BOA-#1812")'/> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:choose> <xsl:when test='s1:RecipientType/text()=normalize-space("Vend")'> <xsl:for-each select="s1:VendTable"> <xsl:value-of select='s1:VendGroup/text()'/> </xsl:for-each> </xsl:when> <xsl:otherwise> <xsl:for-each select="s1:CustTable"> <xsl:value-of select='s1:CustGroup/text()'/> </xsl:for-each> </xsl:otherwise> </xsl:choose> <xsl:value-of select="','" /> <xsl:value-of select='s1:TransDate/text()'/> <xsl:value-of select="' '" /> </xsl:for-each> </xsl:if> </xsl:for-each> </Document> </xsl:template> <msxsl:script language="C#" implements-prefix="xslthelper"> <![CDATA[ public string PadLeft(string value,int length,string paddingchar) { if(paddingchar!=String.Empty) { return value.PadLeft(length,(paddingchar.ToCharArray())[0]); } else { return value.PadLeft(length); } } public string FormatDate(string date) { DateTime dateTime=DateTime.Parse(date); if(dateTime!=null) { return dateTime.ToString("MMddyyyy"); } else { return String.Empty; } } public int ConvertToInt(string s) { Double f=Convert.ToDouble(s); return (int)f; } ]]> </msxsl:script> </xsl:stylesheet>
3.確認後支払ファイルを生成するバッチ ジョブの設定
確認後支払サービスによって作成されたファイルを自動的に処理するバッチ ジョブを設定します。バッチ ジョブも、銀行が要求する形式に合わせてファイルの変換を実行する必要があります。バッチ ジョブは定期的に実行されます。詳細については、「Create a batch job」を参照してください。
Microsoft Dynamics Ax に管理者としてログオンします。
ユーザーが確認後支払ファイルを生成する法人に切り替えます。
システム管理 >照会 >バッチ ジョブ >バッチ ジョブ をクリックします。
Ctrl + N キーを押して、バッチ ジョブを作成します。
[ジョブ記述] フィールドに説明を入力します。たとえば、確認後支払ファイルの生成を入力する場合があります。
バッチ ジョブを保存します。
明細行プロパティの詳細については、「タスクの表示」を参照してください。
次の作業を作成します。
タスクの説明
会社コード
クラス名
1
ユーザーが確認後支払ファイルを生成する法人を選択します。
AIFGatewaySendService
2
ユーザーが確認後支払ファイルを生成する法人を選択します。
AIFOutboundProcessingService
"バッチ タスク" フォームを閉じます。
[バッチ ジョブ] フォームで、手順 4 と 5 で作成したバッチを選択し、[再実行] をクリックします。
[再実行のパターン] フィールド グループで、[分] を選択します。[カウント] フィールドに時間 (分) を入力します。たとえば、それぞれ 1 分ごとに支払ファイルを処理するには、1 を入力できます。
[OK] をクリックして、"再実行" フォームを閉じます。
[バッチ ジョブ] フォームで、手順 4 と 5 で作成したバッチを選択し、[機能 > ステータスの変更] をクリックします。
[待機中] を選択します。
4.確認後支払ファイルの番号順序の設定
各確認後支払ファイルには固有の番号を付ける必要があります。確認後支払ファイルの番号順序を作成するには、[番号順序] フォームを使用します。
確認後支払ファイルの番号順序を設定するには、次の手順に従います。:
Microsoft Dynamics Ax ワークスペースを開き、確認後支払を設定する法人に切り替えます。
組織管理 >共通 >番号順序 >番号順序 をクリックします。
確認後支払に使用する番号順序を作成します。番号順後の作成方法については、「番号順序の設定」を参照してください。
現金および銀行管理 >設定 >現金および銀行管理パラメーター をクリックします。
番号順序 領域をクリックします。
確認後支払番号 参照のための番号順序を選択します。
5.銀行口座に確認後支払形式の割り当て
確認後支払情報を作成する銀行口座ごとに、前の手順で指定した確認後支払形式を割り当てる必要があります。
銀行口座に確認後支払形式を割り当てるには、次の手順に従います。
現金および銀行管理 >共通 >銀行口座 をクリックします。
銀行口座をダブルクリックします。
[アクション ウィンドウ] で [編集] をクリックします。
[一般] クイック タブの [確認後支払形式] フィールドで、この銀行用に前に作成した確認後支払形式を選択します。
[確認後支払の開始日] フィールドに、確認後支払ファイルを生成する最初の日付を入力します。日付をここで入力することは重要です。日付がない場合、生成する最初の確認後支払ファイルには、この銀行口座に対してこれまでに作成されたすべての小切手が含まれることになるからです。
確認後支払ファイルを作成する残りの銀行口座について、手順 2 から 5 を繰り返します。
6.確認後支払のユーザー セキュリティの設定
確認後支払ファイルには、受取人と小切手金額に関する機密情報が含まれている場合があります。承認されたユーザーのみが、Microsoft Dynamics Ax内のこの情報を生成および表示するためのアクセス権限を持つことが重要です。
確認後支払のユーザー セキュリティを設定するには、次の手順に従います。
確認後支払ファイルに関係するタスクを実行するユーザーとそれらのタスクに必要な権限を識別します。次の表を使用すれば、その決定が容易になります。
タスク
権限
[銀行口座] リスト ページまたは [銀行口座] フォームから確認後支払ファイルを生成します
銀行の確認後支払情報の管理 (BankPositivePayProcess)
銀行の確認後支払サービス検索工程 (BankPositivePayServiceFind)
複数の法人の確認後支払ファイルと銀行口座を [確認後支払ファイルの生成] フォームから生成します
銀行の確認後支払情報の管理 (BankPositivePayProcess)
銀行の確認後支払サービス検索工程 (BankPositivePayServiceFind)
[確認後支払ファイルの概要] フォームに確認後支払ファイルを表示します
複数の法人に関する銀行確認後支払情報の表示 (BankPositivePayView)
[確認後支払ファイルの概要] フォームで銀行の確認後支払ファイルを確認します
確認後支払ファイルの確認 (BankPositivePayConfirm)
[確認後支払ファイルの概要] フォームで銀行の確認後支払ファイルを取り消します
確認後支払ファイルの取り消し (BankPositivePayRecall)
給与の銀行口座の確認後支払ファイルを生成する
給与の確認後支払情報の管理 (PayrollPositivePayProcess)
給与確認後支払ファイルの概要 フォームに給与の確認後支払ファイルを表示する
給与の確認後支払情報の表示 (PayrollPositivePayView)
給与の確認後支払情報の管理 (PayrollPositivePayProcess)
給与確認後支払ファイルの概要 フォームで給与銀行の確認後支払ファイルを確認する
給与の確認後支払情報の管理 (PayrollPositivePayProcess)
給与確認後支払ファイルの概要 フォームから給与の確認後支払ファイルを取り消す
給与の確認後支払情報の管理 (PayrollPositivePayProcess)
前の手順で指定した権限を含むロールにユーザーを割り当てます。詳細については、「Set up user security」を参照してください。
関連タスク
システム管理者向け技術情報
このタスクを完了するために使用するページに対するアクセス権限がない場合は、システム管理者に連絡し、次の表に示される情報を提供します。
カテゴリ |
前提条件 |
---|---|
コンフィギュレーション キー |
コンフィギュレーション キーはこのタスクには必要ではありません。 |
[セキュリティ ロールと権限] |
このタスクを実行するには、[-SYSADMIN-] セキュリティ ロールのメンバーである必要があります。 銀行口座に確認後支払形式を割り当てるには、次の職務権限を含むセキュリティ ロールのメンバーである必要があります。
確認後支払の番号順序を設定するには、次の権限と職務権限を含むセキュリティ ロールのメンバーである必要があります。
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