WCF パフォーマンスカウンタ

[アーティクル]
09/12/2008

Windows Communication Foundation (WCF) には、アプリケーションのパフォーマンス測定に役立つ多数のパフォーマンスカウンタが備わっています。

パフォーマンスカウンタの有効化

次のように、WCF サービスの app.config 構成ファイルを使用して WCF サービスのパフォーマンスカウンタを有効にできます。

<configuration>
    <system.serviceModel>
        <diagnostics performanceCounters="All" />
    </system.serviceModel>
</configuration>

特定の種類のパフォーマンスカウンタを有効にするよう performanceCounters 属性を設定できます。有効な値は次のとおりです。

All : すべてのカテゴリカウンタ (ServiceModelService、ServiceModelEndpoint、ServiceModelOperation) を有効にします。
ServiceOnly : ServiceModelService カテゴリカウンタのみを有効にします。
Off : ServiceModel* パフォーマンスカウンタを無効にします。これが既定値です。

すべての WCF アプリケーションのパフォーマンスカウンタを有効にする場合は、構成設定を Machine.config ファイルに配置します。コンピュータのパフォーマンスカウンタ用に十分なメモリを構成する方法については、「パフォーマンスカウンタのメモリサイズの増加」セクションを参照してください。

また次のように、コード内でパフォーマンスカウンタを有効にすることもできます。

using System.Configuration;
using System.ServiceModel.Configuration;
using System.ServiceModel.Diagnostics;
Configuration config = ConfigurationManager.OpenExeConfiguration(
    ConfigurationUserLevel.None);
ServiceModelSectionGroup sg = ServiceModelSectionGroup.GetSectionGroup(config);
sg.Diagnostic.PerformanceCounters = PerformanceCounterScope.All;
config.Save();

パフォーマンスデータの表示

Windows に付属のパフォーマンスモニタ (Perfmon.exe) を使用して、パフォーマンスカウンタによりキャプチャされたデータを表示できます。このツールを起動するには、[スタート] ボタンをクリックし、[ファイル名を指定して実行] をクリックして、ダイアログボックスに「perfmon.exe」と入力します****。

メモ :
エンドポイントディスパッチャによって最後のメッセージが処理される前に、パフォーマンスカウンタインスタンスが解放される場合があります。その結果、パフォーマンスデータに一部のメッセージがキャプチャされない可能性があります。

パフォーマンスカウンタのメモリサイズの増加

WCF は、パフォーマンスカウンタカテゴリごとに別々の共有メモリを使用します。

既定では、個々の共有メモリは、グローバルパフォーマンスカウンタのメモリサイズの 4 分の 1 に設定されます。グローバルパフォーマンスカウンタのメモリの既定値は 524,288 バイトです。したがって、WCF の 3 つのパフォーマンスカウンタカテゴリの既定サイズは、それぞれ約 128 KB になります。コンピュータ上での WCF アプリケーションの実行時特性によっては、パフォーマンスカウンタメモリが足りなくなる場合があります。メモリ不足が発生すると、WCF により、そのアプリケーションのイベントログにエラーが書き込まれます。エラーの内容にはパフォーマンスカウンタが読み込まれなかったことが示され、エントリには、"System.InvalidOperationException: カスタムカウンタファイルビューのメモリが足りません" という例外が含まれます。このエラーレベルでトレースが有効になっている場合は、さらにこの障害がトレースされます。パフォーマンスカウンタのメモリがなくなった場合、パフォーマンスカウンタを有効にして WCF アプリケーションを続行するとパフォーマンスが低下する可能性があります。コンピュータの管理者は、使用可能なすべてのパフォーマンスカウンタをいつでも読み込めるだけの十分なメモリを割り当てておく必要があります。詳細については、「performanceCounters」を参照してください。

レジストリで WCF カテゴリごとにパフォーマンスカウンタメモリの量を変更できます。これを行うには、次の 3 つの場所に FileMappingSize という名前の新しい DWORD 値を追加し、目的の値をバイト単位で設定します。コンピュータを再起動すると、設定した値が有効になります。

HKLM\System\CurrentControlSet\Services\ServiceModelEndpoint 3.0.0.0\Performance
HKLM\System\CurrentControlSet\Services\ServiceModelOperation 3.0.0.0\Performance
HKLM\System\CurrentControlSet\Services\ServiceModelService 3.0.0.0\Performance

膨大な数のオブジェクト (ServiceHost など) が破棄され、ガベージコレクトされるまで待機している場合、PrivateBytes パフォーマンスカウンタには非常に高い数値が登録されます。この問題を解決するには、アプリケーション固有の独自のカウンタを追加するか、performanceCounters 属性を使用してサービスレベルのカウンタだけを有効にします。

パフォーマンスカウンタの種類

パフォーマンスカウンタには、サービス、エンドポイント、操作の 3 つのレベルがあります。

WMI を使用してパフォーマンスカウンタのインスタンス名を取得できます。コード例を次に示します。

サービスカウンタのインスタンス名は、WMI サービスインスタンスの "CounterInstanceName" プロパティを使用して取得できます。
エンドポイントカウンタのインスタンス名は、WMI エンドポイントインスタンスの "CounterInstanceName" プロパティを使用して取得できます。
操作カウンタのインスタンス名は、WMI エンドポイントインスタンスの "GetOperationCounterInstanceName" メソッドを使用して取得できます。

WMI の詳細については、「診断用の WMI (Windows Management Instrumentation) の使用」を参照してください。

サービスのパフォーマンスカウンタ

サービスのパフォーマンスカウンタはサービス動作全体を測定し、サービス全体のパフォーマンスを診断するために使用できます。パフォーマンスモニタを使用して表示する場合、これらのカウンタは、ServiceModelService 3.0.0.0 パフォーマンスオブジェクトの下にあります。インスタンスには次のパターンの名前が付けられています。

ServiceName@ServiceBaseAddress

サービススコープ内のカウンタは、エンドポイントのコレクションのカウンタが集計されています。

サービスインスタンス作成のパフォーマンスカウンタは、新しい InstanceContext が作成されるとインクリメントされます。新しい InstanceContext は、非アクティブ化メッセージを (既存のサービスで) 受信した場合でも、あるセッションからインスタンスに接続し、セッションを終了後に別のセッションから再接続した場合でも作成されることに注意してください。

エンドポイントのパフォーマンスカウンタ

エンドポイントのパフォーマンスカウンタにより、エンドポイントでのメッセージの受信状況を表すデータを参照できます。パフォーマンスモニタを使用して表示する場合、これらのカウンタは、ServiceModelEndpoint 3.0.0.0 パフォーマンスオブジェクトの下にあります。インスタンスには次のパターンの名前が付けられています。

(ServiceName).(ContractName)@(endpoint listener address)

このデータは、個々の操作で収集されるデータに似ていますが、エンドポイントから集計されただけのデータです。

エンドポイントスコープ内のカウンタは、操作のコレクションのカウンタから集計されます。

メモ :
コントラクト名とアドレスが同一の 2 つのエンドポイントは、同じカウンタインスタンスにマップされます。

操作のパフォーマンスカウンタ

パフォーマンスモニタを使用して表示する場合、操作パフォーマンスカウンタは、ServiceModelOperation 3.0.0.0 パフォーマンスオブジェクトの下にあります。それぞれの操作に個別のインスタンスがあります。つまり、指定したコントラクトに 10 の操作がある場合、10 の操作カウンタインスタンスがそのコントラクトに関連付けられます。オブジェクトのインスタンスには次のパターンの名前が付いています。

(ServiceName).(ContractName).(OperationName)@(first endpoint listener address)

このカウンタにより呼び出しがどのように使用されている、操作がどれほど効率的に実行されているかを調べることができます。

カウンタが複数のスコープで表示される場合、上位のスコープで収集されたデータは、下位のスコープからのデータが集計されています。たとえば、エンドポイントの Calls は、エンドポイント内のすべての操作呼び出しの合計を表します。サービスの Calls は、サービス内のすべての操作呼び出しの合計を表します。

メモ :
1 つのコントラクトに重複した操作名がある場合は、その両方の操作に対してカウンタインスタンスは 1 つだけ取得されます。