レッスン 1: 概要
これは、Windows Server AppFabric の機能を導入する 6 つのタスクのうち最初のタスクです。
目標: チュートリアルを実行する準備をします。AppFabric はスタンドアロン アプリケーションではありません。Windows Communication Foundation サービスとして実行する Windows ワークフロー アプリケーションを監視し、管理する設計となっています。そのため、チュートリアルには、チュートリアルを実行するコンピューターに配置するために必要な機能ワークフロー アプリケーションが含まれています。
目的: このレッスンでは、チュートリアル ファイルをインストールし、コンピューターに必要なソフトウェアを確認するウィザードを実行します。
前提条件
AppFabric をインストールします。詳細については、「はじめに」を参照してください。
HRContoso ソリューションをインストールします。「WF4 ワークフロー サービス/AppFabric サンプル - Contoso HR」からダウンロードできます。
CheckDependencies コマンド (下記参照) を実行します。
CheckDependencies コマンドの実行
コンピューターに HRContoso ソリューションを正常にインストールした後、依存関係を確認するウィザードを実行し、アプリケーションに必要な特別なデータベースを作成する必要があります。
[スタート] メニューで、[すべてのプログラム] をクリックし、[Microsoft Visual Studio 2010] をクリックして、[Visual Studio Tools] フォルダーを開きます。[Visual Studio コマンド プロンプト (2010)] を右クリックし、[管理者として実行] をクリックします。
[Setup] という名前のフォルダーに移動します。相対パスは \ContosoHR\Setup です。
ウィザードを実行するには、「CheckDependencies.cmd」と入力し、Enter キーを押します。
ウィザードは、Visual Studio 2010、Windows Powershell、.NET Framework 4 などの必須ソフトウェアの有無を確認します。基底となるスクリプトが、SQL Express を使用して、2 つの新しいデータベースである WF4Persistence と HRApplicationData を作成します。
Contoso 求人ワークフロー
このシナリオでは、求人応募プロセスを応募者が開始できる Web サイトを Contoso 社が持っているとします。応募者は、名前、電子メール アドレス、学歴のフィールドに入力します。学歴のフィールドに入力する値は、[なし]、[学士]、[修士]、[博士] です。応募者が応募フォームの入力を完了した後、ワークフローでは学歴を検証します。学歴が低い場合、応募者には、必要条件が満たされていないことを示すメッセージが送信されます。最低条件が満たされている場合、この応募者を採用するかどうか、人間によって決定する必要があります。長期にわたるワークフローでは、このプロセスに日数を要する場合があります。決定が行われると、決定を通知するメッセージが送信されます。
次の図は、ワークフローの構成要素を示しています。
応募者はオンライン フォームに入力し、送信します。
応募内容が保存され、応募者の学歴が自動的に評価されます。
学歴が最低条件を満たしている場合、審査担当者が採用または不採用の決定を行うよう要求されます。このステップでは時間を要し、その間ワークフローがアイドル状態となります。
最終決定が記録されます。
応募者に最終決定が通知されます。
上記のシナリオは、Windows ワークフローを作成することによって可能となります。人的ワークフローを実装するには、より多くのステップが必要となります。Windows ワークフローをよりわかりやすく理解するには、ContosoHR ソリューションを開きます。[HRApplicationServices] プロジェクト ノードを展開します。SubmitApplication.xamlx をダブルクリックして、ワークフローを実行します。
ヒント
アプリケーションを簡単にするために、電子メール メッセージが作成され、コンピューターのルート レベルの mailbox ディレクトリ (<ドライブ>:\mailbox) に保存されます。電子メール メッセージがメールボックスに作成されると、メッセージが正常に「送信された」とワークフローによって認識されます。メールボックスは「依存関係の確認」ウィザードによって作成されます。
このシナリオにおける AppFabric の役割
AppFabric では、インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャーを開くとダッシュボードが表示されます (このダッシュボードについては、次のレッスンで詳細に検証します)。ダッシュボードを使用して、コンピューターで実行するワークフローのステップのインスタンスをすべて確認できます。ワークフローのステップが何らかの理由で失敗すると、アクティビティが中断され、永続化されます。つまり、メモリからアンロードし、障害が復旧した後回復できるよう、ワークフローのステップがデータベース内にキャプチャされます。障害の原因が修正されると、中断されたすべてのステップを再開できます。多くのアクティビティを含み、日数をかけて実行する数多くのワークフローを持っている場合があるため、ダッシュボードを使用して対象のインスタンスのみを問い合わせることもできます。また、完了したワークフローは、ダッシュボードで追跡されます。完了したワークフローの数によって、システムのスループットを測定し、障害または障害の原因を特定できます。
次に、AppFabric を使用して Web サービスのワークフローを監視および管理する利点を示します。
例外発生時にワークフローは自動的に中断されます。
問題のトラブルシューティングと解決に役立つ AppFabric ツールを使用できます。
AppFabric ではツールとスクリプトを使用してワークフローを簡単に再開できます。
次のステップ
サンプル アプリケーションをインストールし、データベースとメールボックスをセット アップするスクリプトを実行し、次のステップ「レッスン 2: HRApplicationServices ワークフロー サービスの配置」に進みます。
関連項目
概念
レッスン 2: HRApplicationServices ワークフロー サービスの配置
レッスン 3: HRApplicationServices アプリケーションの構成
レッスン 4: HRApplicationServices アプリケーションの正常性の監視
レッスン 5: AppFabric を使用した中断されているワークフローの再開
その他のリソース
2011-12-05