シナリオ 1: 単純な BizTalk メッセージの追跡データベースのサイズ設定
次の図は、BizTalk Server が、メッセージを一切変換せずに単純に送受信するようすを示したものです。
なし
変換の適用されない単純な BizTalk Server メッセージ
このシナリオについて前セクションの式を適用する前に、いくつかのファクトを収集しておく必要があります。 この例では、次のファクトを使用します。
メッセージのサイズは、5 K です。
プロパティの昇格は行われません。
1 年に受け取るメッセージ数は、350 万件です。
追跡は、すべてのイベントに対して有効になっています。 このシナリオには、次の 4 つのイベントがあります。 イベントは次のとおりです。
メッセージ M0 の受信
受信ポートからのメッセージ M1 の出力
送信パイプラインによるメッセージ M1 の受信
送信パイプラインからのメッセージ M2 の出力
このシナリオでは、2 つの追加メッセージが作成されます。 メッセージ M0 は受信メッセージであり、BizTalk Server によって作成されるものではありません。 M1 は受信ポートからの出力メッセージです。M2 は送信ポートからの出力メッセージです。 M1 と M2 は BizTalk Server によって作成されます。
この情報を式に適用すると、結果は次のようになります。
[(5*252 bytes) + (10*182 bytes) + (0*5(40 bytes + 0) * 3,500,000]/1024/1024
[(1620 + 1820 + 0) * 3,500,000]/1024/1024 = 10280.61 MB ~ 10.04 GB per year
メッセージのプロパティを 1 つ昇格させた場合
この例のシナリオに、もう 1 つファクトを追加してみることにします。 元のメッセージのフィールド (サイズは約 10 バイト) を 1 つ昇格させます。 昇格後のフィールドの最大サイズは 256 文字、つまり約 256 バイトです (Unicode 文字の場合は 512 バイト)。
このファクトを追加した場合、式は次のようになります。
[(2*150 bytes) + (4*230 bytes) + (1*2(52 bytes + 10 bytes)) * 3,500,000]/1024/1024
[(300 + 920 + 124) * 3,500,000]/1024/1024 = 4486 MB ~ 4.38 GB per year
サイズが 10 バイトのフィールドをさらにもう 1 つ昇格させた場合、式は次のようになります。
[(2*150 bytes) + (4*230 bytes) + ((1*2*(52 bytes + 10 bytes) + (1*2*(52 bytes + 10 bytes)) * 3,500,000]/1024/1024
[(300 + 920 + 248) * 3,500,000]/1024/1024 = 4899 MB ~ 4.78 GB per year
この結果から、このシナリオでは、単一の 10 バイト プロパティを昇格させた場合、BizTalk 追跡データベースのサイズに加え、1 年あたり 333.79 MB (約 0.33 GB) が追加で必要になることがわかります。
同様に、10 バイトのプロパティを 2 つ昇格させた場合は、BizTalk 追跡データベースのサイズに加え、1 年あたり 667.58 MB (約 0.65 GB) の容量が追加で必要になります。
メッセージ本文の追跡を有効にした場合
この例で、さらに、メッセージ本文の追跡を有効にした場合を想定してみましょう。 メッセージ追跡用に、前のセクションで取り上げたもう 1 つの式を追加する必要があります。 この場合は、次のような式になります。
[3,500,000 * 4 * 5KB]/1024 = 68359.375 MB ~ 66.75 GB per year
2 つの式の結果を加算することにより、BizTalk 追跡データベースのサイズは、年間で約 54.48 GB ~ 54.88 GB 増加すると見積もることができます。
参照
メッセージ変数を使用して追跡データベースのサイズを求める方法
メッセージの本文を追跡するための追跡データベースのサイズ設定
シナリオ 2: オーケストレーション内のメッセージの追跡データベースのサイズ設定
シナリオ 4: すべてのメッセージの追跡データベースのサイズ調整
シナリオ 3: 配布リストに送信されるメッセージの追跡データベースのサイズ設定