クラシック デプロイ モデルでの ARP テーブルの取得
この記事では、Azure ExpressRoute 回線のアドレス解決プロトコル (ARP) テーブルを取得するための手順を説明します。
重要
単純な問題の診断と解決を支援することが、このドキュメントの目的です。 Microsoft サポートに代わるものではありません。 次のガイダンスを使用して問題を解決できない場合は、 Microsoft Azure のヘルプとサポートにサポート要求を申請してください。
アドレス解決プロトコル (ARP) と ARP テーブル
ARP は、 RFC 826で定義されているレイヤー 2 のプロトコルです。 Ethernet アドレス (MAC アドレス) と IP アドレスとを対応付けるために、ARP が使用されます。
ARP テーブルから、特定のピアリングに関する IPv4 アドレスと MAC アドレスのマッピングを得ることができます。 ExpressRoute 回線のピアリングで使用される ARP テーブルは、プライマリ インターフェイスとセカンダリ インターフェイスのそれぞれに関して次の情報を提供します。
- オンプレミス ルーター インターフェイスの IP アドレスから MAC アドレスへのマッピング
- ExpressRoute ルーター インターフェイスの IP アドレスから MAC アドレスへのマッピング
- マッピングがキャッシュされてからの経過時間
レイヤー 2 の構成を検証したり、レイヤー 2 の基本的な接続の問題をトラブルシューティングしたりする際に、ARP テーブルを役立てることができます。
次に、ARP テーブルの例を示します。
Age InterfaceProperty IpAddress MacAddress
--- ----------------- --------- ----------
10 On-Prem 10.0.0.1 ffff.eeee.dddd
0 Microsoft 10.0.0.2 aaaa.bbbb.cccc
次のセクションでは、ExpressRoute のエッジ ルーターによって参照される ARP テーブルの表示方法について説明します。
ARP テーブルを使用するための前提条件
続行する前に、あらかじめ次の要件が満たされている必要があります。
- 少なくとも 1 つのピアリングが構成された有効な ExpressRoute 回線。 この回線は、接続プロバイダーによって確実に構成されている必要があります。 この回線に対し、貴社または貴社の接続プロバイダーが少なくとも 1 つのピアリング (Azure プライベートまたは Microsoft) を構成済みであることが必要となります。
- ピアリング (Azure プライベートおよび Microsoft) の構成に使用する IP アドレス範囲。 貴社側インターフェイスと ExpressRoute 側インターフェイスに対する IP アドレスのマッピングについては、「ExpressRoute のルーティングの要件」に記載された IP アドレス割り当ての例をご覧ください。 ピアリングの構成については、 ExpressRoute のピアリングの構成に関するページをご覧ください。
- 各 IP アドレスで使用するインターフェイスの MAC アドレスに関する情報 (ネットワーク チーム/接続プロバイダーから支給してもらう)。
- Azure 用の最新の Windows PowerShell モジュール (バージョン 1.50 以降)。
ExpressRoute 回線の ARP テーブル
このセクションでは、PowerShell を使用してピアリングの種類ごとに ARP テーブルを表示する方法について説明します。 続行する前に、貴社または貴社の接続プロバイダーがピアリングを構成する必要があります。 それぞれの回線には 2 つのパス (プライマリとセカンダリ) があります。 それぞれのパスについて別々に ARP テーブルを確認することができます。
Azure プライベート ピアリングの ARP テーブル
Azure プライベート ピアリングの ARP テーブルは、次のコマンドレットで取得します。
# Required variables
$ckt = "<your Service Key here>"
# ARP table for Azure private peering--primary path
Get-AzureDedicatedCircuitPeeringArpInfo -ServiceKey $ckt -AccessType Private -Path Primary
# ARP table for Azure private peering--secondary path
Get-AzureDedicatedCircuitPeeringArpInfo -ServiceKey $ckt -AccessType Private -Path Secondary
該当する 1 本のパスについてのサンプル出力を次に示します。
Age InterfaceProperty IpAddress MacAddress
--- ----------------- --------- ----------
10 On-Prem 10.0.0.1 ffff.eeee.dddd
0 Microsoft 10.0.0.2 aaaa.bbbb.cccc
Microsoft ピアリングの ARP テーブル
Microsoft ピアリングの ARP テーブルは、次のコマンドレットで取得します。
# ARP table for Microsoft peering--primary path
Get-AzureDedicatedCircuitPeeringArpInfo -ServiceKey $ckt -AccessType Microsoft -Path Primary
# ARP table for Microsoft peering--secondary path
Get-AzureDedicatedCircuitPeeringArpInfo -ServiceKey $ckt -AccessType Microsoft -Path Secondary
以下に示したのは、該当する 1 本のパスについての出力例です。
Age InterfaceProperty IpAddress MacAddress
--- ----------------- --------- ----------
10 On-Prem 65.0.0.1 ffff.eeee.dddd
0 Microsoft 65.0.0.2 aaaa.bbbb.cccc
この情報の用途
ピアリングの ARP テーブルは、レイヤー 2 の構成と接続性の検証に使用できます。 このセクションでは、各種の状況下における ARP テーブルの見え方について簡単に説明します。
回線が運用 (正常な) 状態にあるときの ARP テーブル
- ARP テーブルには、オンプレミス側とマイクロソフト側とについて、有効な IP アドレスと MAC アドレスから成るエントリがそれぞれ存在します。
- オンプレミス側 IP アドレスの最後のオクテットは常に奇数です。
- マイクロソフト側 IP アドレスの最後のオクテットは常に偶数です。
- ピアリング (Azure プライベートおよび Microsoft) のいずれについても、Microsoft 側では同じ MAC アドレスが表示されます。
Age InterfaceProperty IpAddress MacAddress
--- ----------------- --------- ----------
10 On-Prem 65.0.0.1 ffff.eeee.dddd
0 Microsoft 65.0.0.2 aaaa.bbbb.cccc
オンプレミス側または接続プロバイダー側に問題がある場合の ARP テーブル
ARP テーブルに表示されるのは 1 件のエントリのみです。 この場合マイクロソフト側で使用されている MAC アドレスと IP アドレスとのマッピングが表示されます。
Age InterfaceProperty IpAddress MacAddress
--- ----------------- --------- ----------
0 Microsoft 65.0.0.2 aaaa.bbbb.cccc
Note
このような問題が発生した場合は、問題の解決について、ご利用の接続プロバイダーにサポート要求を申請してください。
マイクロソフト側に問題がある場合の ARP テーブル
- マイクロソフト側に問題がある場合は、ピアリングの ARP テーブルが表示されません。
- Microsoft Azure のヘルプとサポートにサポート要求を申請してください。 レイヤー 2 の接続に問題がある旨をはっきりと伝えてください。
次のステップ
- ExpressRoute 回線のレイヤー 3 の構成を検証します。
- ルートのサマリーを取得して BGP セッションの状態を調べます。
- ExpressRoute でアドバタイズされるプレフィックスをルート テーブルを取得して調べます。
- バイトの入出力を参照してデータ転送を検証します。
- 問題が解消しない場合は Microsoft Azure のヘルプとサポート にサポート要求を申請します。