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Azure SQL Managed Instance のライセンスフリー スタンバイ レプリカを構成する

適用対象: Azure SQL Managed Instance

この記事では、Azure SQL Managed Instance を使用するときに、セカンダリ マネージド インスタンスをスタンバイ用に指定することで、ライセンス コストを節約する方法について説明します。

Note

フェールオーバー特典は、フェールオーバー グループ内でセカンダリ インスタンスをスタンバイとして構成する場合にのみ適用されます。 SQL Server と SQL Managed Instance 間のハイブリッド環境では、代わりにハイブリッド フェールオーバー特典を使用してください。

概要

Azure SQL Managed Instance のセカンダリ デプロイをディザスター リカバリーのスタンバイとして使用し、セカンダリ インスタンスに読み取りワークロードまたはアプリケーションが接続されていない場合は、レプリカを "スタンバイ インスタンス" として指定することでライセンス コストを節約できます。

セカンダリ インスタンスがスタンバイ インスタンスとして指定されている場合、Microsoft は、製品ライセンス条項のフェールオーバー権利特典に基づき、プライマリ インスタンスにライセンスされた仮想コア数を追加料金なしで提供します。 セカンダリ インスタンスで使われるコンピューティングとストレージに対しては、引き続き課金されます。

SQL Managed Instance デプロイのフェールオーバー グループでは、1 つのレプリカのみがサポートされます。 レプリカは、読み取り可能なレプリカであるか、スタンバイ レプリカとして指定されている必要があります。

費用便益

マネージド インスタンス レプリカをスタンバイとして指定すると、スタンバイ レプリカで使用される仮想コアの SQL Server ライセンス コストが Microsoft から請求されることはありません。 ただし、インスタンスは 1 時間全体に対して課金されるため、1 時間の途中で状態が変更された場合でも、1 時間全体のライセンス コストを請求されることがあります。

従量課金制モデルを利用するお客様と、Azure ハイブリッド特典モデルを利用するお客様では、特典の適用方法が異なります。 従量課金制のお客様の場合、仮想コアはその請求書で割引されます。 スタンバイ レプリカの Azure ハイブリッド特典を使用するお客様の場合、セカンダリ レプリカで使用する仮想コア数がそのライセンス プールに戻されます。

たとえば、従量課金制のお客様であって、セカンダリ インスタンスに 16 個の仮想コアが割り当てられている場合、セカンダリ インスタンスをスタンバイ専用として指定すると、請求書に 16 個の仮想コアの割引が表示されます。

別の例としては、16 個の Azure ハイブリッド特典ライセンスがあり、それぞれ 8 個の仮想コアを持つ 2 つのマネージド インスタンスをフェールオーバー グループにデプロイした場合、セカンダリ インスタンスをスタンバイとして指定した後、他の Azure SQL デプロイで使用するために 8 個の仮想コアがライセンス プールに戻されます。

機能

次の表では、スタンバイ セカンダリ マネージド インスタンスの機能について説明します。

機能 説明
読み取りワークロードの制限 インスタンスをスタンバイとして指定した後、セカンダリ インスタンスで実行できる読み取りワークロードの数は制限されます (動的管理ビュー (DMV)、バックアップ、データベース コンソール コマンド (DBCC) クエリなど)。
計画されたフェールオーバー 復旧訓練、データベースの異なるリージョンへの再配置、データベースのプライマリへの復帰など、計画されたすべてのフェールオーバー シナリオは、スタンバイ レプリカでサポートされます。 セカンダリがプライマリに切り替わると、読み取りクエリと書き込みクエリに対応できます。 新しいセカンダリ (元のプライマリ) はスタンバイ レプリカになり、読み取りワークロードに使用すべきではありません。
計画外のフェールオーバー 計画外のフェールオーバー中にセカンダリがプライマリ ロールに切り替わると、読み取りクエリと書き込みクエリに対応できます。 停止していた機能が復旧して元のプライマリが再接続されると、それが新たなセカンダリ スタンバイ レプリカになるため、読み取りワークロードには使わないでください。
バックアップと復元 スタンバイ レプリカと読み取り可能なセカンダリ マネージド インスタンスで、バックアップと復元の動作は同じです。
監視 読み取り可能なセカンダリ レプリカでサポートされるすべての監視操作は、スタンバイ レプリカによってサポートされます。
RPO と RTO スタンバイ レプリカは、読み取り可能なセカンダリ レプリカと同じ回復ポイントの目標 (RPO) と回復時刻の目標 (RTO) を提供します。
フェールオーバー グループの削除 Remove-AzSqlDatabaseInstanceFailoverGroup コマンドレットを使う方法などによってフェールオーバー グループを削除すると、スタンバイ レプリカは読み取りおよび書き込みスタンドアロン インスタンスになります。 ライセンス モデルは、スタンバイとして指定される前の状態 (Azure ハイブリッド特典または従量課金制) に戻ります。

スタンバイ インスタンスは、ディザスター リカバリーにのみ使用する必要があります。 レプリカに運用アプリケーションを接続することはできません。 スタンバイ レプリカで許可されるアクティビティは次のとおりです。

  • バックアップの実行
  • checkDB のようなメンテナンス操作の実行
  • 監視アプリケーションの接続
  • ディザスター リカバリーの訓練を実施する

スタンバイ レプリカを構成する

セカンダリ マネージド インスタンスをスタンバイとして指定するには、次の 2 つのオプションがあります。

  • フェールオーバー グループを作成するときにスタンバイとして指定する。
  • 既存のフェールオーバー グループの構成を更新する。

新しいフェールオーバー グループ

Azure portal、Azure PowerShell、Azure CLI を使って新しいフェールオーバー グループを作成するときに、セカンダリ インスタンスをスタンバイ レプリカとして指定できます。

Azure portal でフェールオーバー グループを作成するときに、[フェールオーバー権利] に対して [オン] を選択します。 [セカンダリ インスタンスをスタンバイ レプリカとして使用することを確認します] の横にあるチェックボックスをオンにします。 [作成] を選択して、フェールオーバー グループを作成します。

Azure portal での新しいフェールオーバー グループの作成を示すスクリーンショット。[フェールオーバー権利] オプションが強調表示されています。

詳細については、フェールオーバー グループを参照してください。

既存のフェールオーバー グループ

Azure portal、Azure PowerShell、Azure CLI を使って、既存のフェールオーバー グループのフェールオーバー権限を更新できます。

Azure portal を使って既存のフェールオーバー グループのフェールオーバー権限を更新するには、次の手順を実行します。

  1. Azure portal で、セカンダリ SQL Managed Instance リソースにアクセスします。

  2. 左側のメニューの [データ管理] で、[フェールオーバー グループ] を選択します。

  3. コマンド バーで、[構成の編集] を選択します。

    ポータルの [フェールオーバー グループ] ペインと [構成の編集] が強調表示されているスクリーンショット。

  4. フェールオーバー グループの [構成の編集] で、[フェールオーバー権利] に対して [オン] を選択します。 [セカンダリ インスタンスをスタンバイ レプリカとして使用することを確認します] チェックボックスをオンにします。

    ポータルの [フェールオーバー グループ] ペインと [フェールオーバー権利] が強調表示されているスクリーンショット。

  5. [適用] を選び、新しい設定を保存し、構成ペインを閉じます。

または、"セカンダリ" マネージド インスタンスの [コンピューティングとストレージ] でフェールオーバー権利を有効にすることもできます。 詳細については、「ライセンスの権利を表示する」を参照してください。

重要

フェールオーバー権限ではなく、ハイブリッド フェールオーバー権限が表示される場合は、プライマリ マネージド インスタンスを使用している可能性があります。 セカンダリ マネージド インスタンスに移動して、フェールオーバー権限を適切にアクティブ化します。 プライマリ インスタンスでハイブリッド フェールオーバー権限をアクティブ化しても、フェールオーバー グループと併用する場合、セカンダリ インスタンスのライセンス コストは節約できません。

ライセンスの権利を表示する

Azure portal、Azure PowerShell、Azure CLI を使って、既存のフェールオーバー グループの例センス権利を確認することができます。

Azure portal では、2 つの場所でセカンダリ マネージド インスタンスのライセンスを確認できます。

  • "プライマリ マネージド インスタンス" のフェールオーバー グループ
  • "セカンダリ マネージド インスタンス" の [コンピューティングとストレージ]

[フェールオーバー グループ] で、[フェールオーバー権利] の状態[オン] に設定されていることと、セカンダリ インスタンスのライセンス モデルが [フェールオーバー権利は現在アクティブ化されています] であることを確認します。

[フェールオーバー グループ] ページを示すスクリーンショット。フェールオーバー権利のオンとライセンス モデルが強調表示されています。

既定のライセンス モデルは、フェールオーバー グループがフェールオーバーし、現在のセカンダリ インスタンスが新たなプライマリ インスタンスになった場合に、インスタンスが戻るライセンス モデルを示します。 既定のライセンス モデルによっては、フェールオーバー時に料金が発生する場合があります。

"セカンダリ マネージド インスタンス" の [コンピューティングとストレージ] で、[フェールオーバー権利] ライセンスがアクティブ化されていることを確認します。 [コストの概要] で、そのインスタンスに対して現在受け取っているフェールオーバー割引を表示します。

[コンピューティングとストレージ] ページを示すスクリーンショット。フェールオーバー権利が強調表示されています。

フェールオーバー権利がアクティブ化されておらず、特典の利用資格がある場合は、いずれかのインスタンスの [概要] に次の推奨事項も表示されます。 特典をアクティブにするには、推奨事項を選択して [構成の編集] に移動します。

SQL Managed Instance の概要ペインを示すスクリーンショット。フェールオーバー権利を示す推奨事項は使用されません。

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