ARM テンプレートを使用して Windows VM のゲスト OS メトリックを Azure Monitor メトリック ストアに送信する
Note
Azure Monitor エージェント (AMA) によって、Azure とハイブリッド仮想マシンのゲスト オペレーティング システムから監視データが収集され、それが Azure Monitor に配信されます。このデータは、さまざまな機能、分析情報、Microsoft Sentinel や Microsoft Defender for Cloud などのサービスで使用されます。
Azure Monitor エージェントを使用して Virtual Machines からログとメトリックを収集することをお勧めします。 詳細については、「Azure Monitor エージェントの概要」を参照してください。
Azure 仮想マシン (VM) のゲスト OS から収集したパフォーマンス データは、他のプラットフォーム メトリックのように自動的には収集されません。 Azure Monitor 診断拡張機能をインストールして、メトリック データベースにゲスト OS メトリックを収集し、Azure Monitor メトリックのすべての機能で使用できるようにします。 これらの機能には、ほぼリアルタイムのアラート、グラフ作成、ルーティング、REST API からのアクセスなどがあります。 この記事では、Resource Manager テンプレート (ARM テンプレート) を使用して Windows VM のゲスト OS のパフォーマンス メトリックをメトリック データベースに送信するプロセスについて説明します。
Note
Azure portal を使用してゲスト OS メトリックを収集するように診断拡張機能を構成する方法の詳細については、Windows Azure Diagnostics (WAD) 拡張機能のインストールと構成に関するページを参照してください。
ARM テンプレートを初めて利用する場合は、テンプレートのデプロイとその構造および構文についてご確認ください。
前提条件
- サブスクリプションを Microsoft.Insights に登録する必要があります
- Azure PowerShell または Azure Cloud Shell がインストールされている必要があります。
Azure Monitor をデータ シンクとして設定する
Azure Diagnostics 拡張機能では、データ シンクと呼ばれる機能を使って、メトリックとログをさまざまな場所にルーティングします。 次の手順では、ARM テンプレートと PowerShell を使用して、新しい Azure Monitor データ シンクを使って VM をデプロイする方法を説明します。
ARM テンプレート
この例では、公開されているサンプル テンプレートを使用できます。 開始用テンプレートは GitHub にあります。
- Azuredeploy.json: VM のデプロイ用に事前構成済みの ARM テンプレート。
- Azuredeploy.parameters.json: VM 用に設定するユーザー名やパスワードなどの情報が格納されているパラメーター ファイル。 デプロイ中、このファイルで設定されているパラメーターが、ARM テンプレートによって使用されます。
両方のファイルをダウンロードし、ローカルに保存します。
azuredeploy.parameters.json ファイルを更新する
azuredeploy.parameters.json ファイルを開きます。
VM の
adminUsername
とadminPassword
について値を入力します。 これらのパラメーターは VM へのリモート アクセスに使用されます。 お使いの VM がハイジャックされないように、このテンプレートの値は使用 "しないでください"。 ボットは、インターネット上にあるパブリック GitHub リポジトリのユーザー名やパスワードをスキャンします。 多くの場合、このようなボットは、これらの既定値を使用して VM をテストします。VM について一意の
dnsname
を作成します。
azuredeploy.json を変更する
azuredeploy.json ファイルを開きます。
ストレージ アカウント ID を、テンプレートの
variables
セクションの、storageAccountName
エントリの後ろに追加します。// Find these lines. "variables": { "storageAccountName": "[concat(uniquestring(resourceGroup().id), 'sawinvm')]", // Add this line directly below. "accountid": "[resourceId('Microsoft.Storage/storageAccounts', variables('storageAccountName'))]",
このマネージド サービス ID (MSI) 拡張機能を、テンプレートの
resources
セクションの先頭に追加します。 この拡張機能により、Azure Monitor が、出力されているメトリックを確実に受け取るようになります。//Find this code. "resources": [ // Add this code directly below. { "type": "Microsoft.Compute/virtualMachines/extensions", "name": "[concat(variables('vmName'), '/', 'WADExtensionSetup')]", "apiVersion": "2017-12-01", "location": "[resourceGroup().location]", "dependsOn": [ "[concat('Microsoft.Compute/virtualMachines/', variables('vmName'))]" ], "properties": { "publisher": "Microsoft.ManagedIdentity", "type": "ManagedIdentityExtensionForWindows", "typeHandlerVersion": "1.0", "autoUpgradeMinorVersion": true, "settings": { "port": 50342 } } },
identity
構成を VM リソースに追加して、Azure によってシステム ID が MSI 拡張機能に確実に割り当てられるようにします。 この手順により、VM が自身に関するゲスト メトリックを Azure Monitor に確実に出力できます。// Find this section "subnet": { "id": "[variables('subnetRef')]" } } } ] } }, { "apiVersion": "2017-03-30", "type": "Microsoft.Compute/virtualMachines", "name": "[variables('vmName')]", "location": "[resourceGroup().location]", // add these 3 lines below "identity": { "type": "SystemAssigned" }, //end of added lines "dependsOn": [ "[resourceId('Microsoft.Storage/storageAccounts/', variables('storageAccountName'))]", "[resourceId('Microsoft.Network/networkInterfaces/', variables('nicName'))]" ], "properties": { "hardwareProfile": { ...
次の構成を追加して、Windows VM の診断拡張機能を有効にします。 シンプルな Resource Manager ベースの VM については、拡張機能の構成を、VM のリソース配列に追加できます。 このセクションで後ほど出てくる
"sinks": "AzMonSink"
行と、対応する"SinksConfig"
によって、拡張機能でメトリックを Azure Monitor に直接出力できます。 必要に応じて、パフォーマンス カウンターを自由に追加または削除してください。"networkProfile": { "networkInterfaces": [ { "id": "[resourceId('Microsoft.Network/networkInterfaces',variables('nicName'))]" } ] }, "diagnosticsProfile": { "bootDiagnostics": { "enabled": true, "storageUri": "[reference(resourceId('Microsoft.Storage/storageAccounts/', variables('storageAccountName'))).primaryEndpoints.blob]" } } }, //Start of section to add "resources": [ { "type": "Microsoft.Compute/virtualMachines/extensions", "name": "[concat(variables('vmName'), '/', 'Microsoft.Insights.VMDiagnosticsSettings')]", "apiVersion": "2017-12-01", "location": "[resourceGroup().location]", "dependsOn": [ "[concat('Microsoft.Compute/virtualMachines/', variables('vmName'))]" ], "properties": { "publisher": "Microsoft.Azure.Diagnostics", "type": "IaaSDiagnostics", "typeHandlerVersion": "1.12", "autoUpgradeMinorVersion": true, "settings": { "WadCfg": { "DiagnosticMonitorConfiguration": { "overallQuotaInMB": 4096, "DiagnosticInfrastructureLogs": { "scheduledTransferLogLevelFilter": "Error" }, "Directories": { "scheduledTransferPeriod": "PT1M", "IISLogs": { "containerName": "wad-iis-logfiles" }, "FailedRequestLogs": { "containerName": "wad-failedrequestlogs" } }, "PerformanceCounters": { "scheduledTransferPeriod": "PT1M", "sinks": "AzMonSink", "PerformanceCounterConfiguration": [ { "counterSpecifier": "\\Memory\\Available Bytes", "sampleRate": "PT15S" }, { "counterSpecifier": "\\Memory\\% Committed Bytes In Use", "sampleRate": "PT15S" }, { "counterSpecifier": "\\Memory\\Committed Bytes", "sampleRate": "PT15S" } ] }, "WindowsEventLog": { "scheduledTransferPeriod": "PT1M", "DataSource": [ { "name": "Application!*" } ] }, "Logs": { "scheduledTransferPeriod": "PT1M", "scheduledTransferLogLevelFilter": "Error" } }, "SinksConfig": { "Sink": [ { "name" : "AzMonSink", "AzureMonitor" : {} } ] } }, "StorageAccount": "[variables('storageAccountName')]" }, "protectedSettings": { "storageAccountName": "[variables('storageAccountName')]", "storageAccountKey": "[listKeys(variables('accountid'),'2015-06-15').key1]", "storageAccountEndPoint": "https://core.windows.net/" } } } ] //End of section to add
両方のファイルを保存して閉じます。
ARM テンプレートをデプロイする
Note
Azure Diagnostics 拡張機能バージョン 1.5 以上を実行中であり、"かつ" ARM テンプレートで autoUpgradeMinorVersion:
プロパティが true
に設定されている必要があります。 その後、Azure によって VM の開始時に適切な拡張機能が読み込まれます。 ご自身のテンプレートにこれらの設定がない場合は、テンプレートを変更して再デプロイします。
ARM テンプレートのデプロイには、Azure PowerShell を使用します。
PowerShell を開始します。
Login-AzAccount
を使用して Azure にサインインします。Get-AzSubscription
を使用して、サブスクリプションの一覧を取得します。VM を作成または更新するために使用しているサブスクリプションを設定します。
Select-AzSubscription -SubscriptionName "<Name of the subscription>"
デプロイする VM の新しいリソース グループを作成するために、次のコマンドを実行します。
New-AzResourceGroup -Name "<Name of Resource Group>" -Location "<Azure Region>"
次のコマンドを実行して、ARM テンプレートを使用して VM をデプロイします。
Note
既存の VM を更新する場合は、-Mode Incremental を以下のコマンドの末尾に追加します。
New-AzResourceGroupDeployment -Name "<NameThisDeployment>" -ResourceGroupName "<Name of the Resource Group>" -TemplateFile "<File path of your Resource Manager template>" -TemplateParameterFile "<File path of your parameters file>"
デプロイが成功した後、Azure portal に VM が表示されるようになります。この VM によって、メトリックが Azure Monitor に出力されます。
Note
選択した
vmSkuSize
に関連するエラーが発生することがあります。 このエラーが発生した場合は、azuredeploy.json ファイルに戻り、vmSkuSize
パラメーターの既定値を更新します。 この場合は、"Standard_DS1_v2"
を試してみることをお勧めします。
メトリックをグラフ化する
Azure portal にサインインします。
左側のメニューで [モニター] を選択します。
[モニター] ページで、 [メトリック] を選択します。
集計の期間を [過去 30 分間] に変更します。
リソースのドロップダウン メニューで、作成した VM を選択します。 テンプレートの名前を変更しなかった場合は、SimpleWinVM2 のはずです。
名前空間のドロップダウン リストで、azure.vm.windows.guestmetrics を選択します。
メトリックのドロップダウン リストで、Memory%Committed Bytes in Use を選択します。
次のステップ
カスタム メトリックの詳細を確認します。