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PowerShell を使用した Azure App Service アプリの複製

Note

Azure を操作するには、Azure Az PowerShell モジュールを使用することをお勧めします。 作業を開始するには、「Azure PowerShell のインストール」を参照してください。 Az PowerShell モジュールに移行する方法については、「AzureRM から Az への Azure PowerShell の移行」を参照してください。

Microsoft Azure PowerShell バージョン 1.1.0 のリリースに伴って新しいオプションが New-AzWebApp に追加され、異なるリージョンまたは同じリージョンで新たに作成されたアプリに既存の App Service アプリを複製できるようになりました。 このオプションにより、リージョンをまたいでさまざまなアプリを迅速かつ簡単に展開できるようになります。

アプリの複製は、Standard、Premium、Premium V2、および Isolated の各 App Service プランでサポートされています。 この新機能には App Service バックアップ機能と同じ制限が適用されます。Azure App Service でのアプリのバックアップに関するページを参照してください。

既存のアプリの複製

シナリオ:ユーザーは、米国中南部リージョンに既存のアプリを持っており、そのコンテンツを米国中北部の新しいアプリに複製したいと考えています。 これを実現するには、PowerShell コマンドレットの Azure Resource Manager バージョンを使って新しいアプリを作成します (-SourceWebApp オプションを指定)。

ソース アプリを含むリソース グループの名前がわかっていれば、次の PowerShell コマンドを使ってソース アプリの情報を取得できます (この場合の名前は source-webapp)。

$srcapp = Get-AzWebApp -ResourceGroupName SourceAzureResourceGroup -Name source-webapp

新しい App Service プランを作成するには、次の例のように New-AzAppServicePlan コマンドを使います。

New-AzAppServicePlan -Location "North Central US" -ResourceGroupName DestinationAzureResourceGroup -Name DestinationAppServicePlan -Tier Standard

New-AzWebApp コマンドを使うと、米国中北部リージョンに新しいアプリを作成し、既存の App Service プランに関連付けることができます。 さらに、ソース アプリと同じリソース グループを使うことも、次のコマンドで示すように新しいリソース グループを定義することもできます。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName DestinationAzureResourceGroup -Name dest-webapp -Location "North Central US" -AppServicePlan DestinationAppServicePlan -SourceWebApp $srcapp

関連付けられているすべてのデプロイ スロットを含む既存のアプリを複製するには、IncludeSourceWebAppSlots パラメーターを使う必要があります。 IncludeSourceWebAppSlots パラメーターは、すべてのスロットを含むアプリ全体を複製する場合にのみサポートされることに注意してください。 次の PowerShell コマンドは、New-AzWebApp コマンドでのこのパラメーターの使い方を示したものです。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName DestinationAzureResourceGroup -Name dest-webapp -Location "North Central US" -AppServicePlan DestinationAppServicePlan -SourceWebApp $srcapp -IncludeSourceWebAppSlots

同じリージョン内で既存のアプリを複製するには、同じリージョンに新しいリソース グループと新しい App Service プランを作成したうえで、次の PowerShell コマンドを使ってアプリを複製する必要があります。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName NewAzureResourceGroup -Name dest-webapp -Location "South Central US" -AppServicePlan NewAppServicePlan -SourceWebApp $srcapp

App Service Environment への既存のアプリの複製

シナリオ:米国中南部リージョンに既存のアプリがあり、ユーザーはそのコンテンツを既存の App Service Environment (ASE) の新しいアプリに複製したいと考えています。

ソース アプリを含むリソース グループの名前がわかっていれば、次の PowerShell コマンドを使ってソース アプリの情報を取得できます (この場合の名前は source-webapp)。

$srcapp = Get-AzWebApp -ResourceGroupName SourceAzureResourceGroup -Name source-webapp

ASE の名前と、ASE が属すリソース グループの名前がわかっていれば、次のコマンドで示すように、既存の ASE に新しいアプリを作成できます。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName DestinationAzureResourceGroup -Name dest-webapp -Location "North Central US" -AppServicePlan DestinationAppServicePlan -ASEName DestinationASE -ASEResourceGroupName DestinationASEResourceGroupName -SourceWebApp $srcapp

Location パラメーターは従来の理由により必要ですが、ASE にアプリを作成するときは無視されます。

既存のアプリ スロットの複製

シナリオ:アプリの既存のデプロイ スロットを新しいアプリまたは新しいスロットに複製したいと考えています。 新しいアプリは、元のアプリ スロットと同じリージョン内にあるものでも、別のリージョンにあるものでもかまいません。

ソース アプリを含むリソース グループの名前がわかっていれば、次の PowerShell コマンドを使って、source-app に関連付けられたソース アプリ スロット (この場合の名前は source-appslot) の情報を取得できます。

$srcappslot = Get-AzWebAppSlot -ResourceGroupName SourceAzureResourceGroup -Name source-app -Slot source-appslot

ソース アプリの複製を新しいアプリに作成するコマンドを次に示します。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName DestinationAzureResourceGroup -Name dest-app -Location "North Central US" -AppServicePlan DestinationAppServicePlan -SourceWebApp $srcappslot

アプリの複製時における Traffic Manager の構成

複数リージョンのアプリを作成し、これらのアプリすべてにトラフィックをルーティングするように Azure Traffic Manager を構成することは、アプリの高可用性を確保するための重要なシナリオです。 既存のアプリを複製するときは、両方のアプリを新しい Traffic Manager プロファイルまたは既存の Traffic Manager プロファイルのどちらに接続するかを選ぶことができます。 Azure Resource Manager バージョンの Traffic Manager のみがサポートされています。

アプリの複製時における新しい Traffic Manager プロファイルの作成

シナリオ:ユーザーは、アプリを別のリージョンに複製しつつ、両方のアプリを含む Azure Resource Manager Traffic Manager プロファイルを構成したいと考えています。 新しい Traffic Manager プロファイルを構成しつつ、ソース アプリの複製を新しいアプリに作成するコマンドを次に示します。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName DestinationAzureResourceGroup -Name dest-webapp -Location "South Central US" -AppServicePlan DestinationAppServicePlan -SourceWebApp $srcapp -TrafficManagerProfileName newTrafficManagerProfile

既存の Traffic Manager プロファイルへの新しい複製アプリの追加

シナリオ:ユーザーは、既に Azure Resource Manager Traffic Manager プロファイルを作成しており、両方のアプリをエンドポイントとして追加したいと考えています。 そのためには、まず既存の Traffic Manager プロファイル ID を構成する必要があります。 サブスクリプション ID、リソース グループ名、既存の Traffic Manager プロファイル名が必要です。

$TMProfileID = "/subscriptions/<Your subscription ID goes here>/resourceGroups/<Your resource group name goes here>/providers/Microsoft.TrafficManagerProfiles/ExistingTrafficManagerProfileName"

Traffic Manager ID を構成した後で、ソース アプリの複製を新しいアプリに作成しつつ、それらを既存の Traffic Manager プロファイルに追加するコマンドを次に示します。

$destapp = New-AzWebApp -ResourceGroupName <Resource group name> -Name dest-webapp -Location "South Central US" -AppServicePlan DestinationAppServicePlan -SourceWebApp $srcapp -TrafficManagerProfileId $TMProfileID

Note

"Traffic Manager のホスト名の SSL 検証が失敗しています" というエラーが表示された場合は、複製操作の実行時に powershell コマンドレットで -IgnoreCustomHostNames 属性を使用するか、ポータルを使用することをお勧めします。

現在の制限

アプリ複製に関する既知の制限を次に示します。

  • 自動スケールの設定は複製されない
  • バックアップ スケジュールの設定は複製されない
  • VNET の設定は複製されない
  • App Insights は複製先のアプリで自動的にセットアップされない
  • 簡単認証の設定は複製されない
  • Kudu 拡張機能は複製されない
  • TiP ルールは複製されない
  • データベースの内容は複製されない
  • 異なるスケール ユニットにクローニングした場合に送信 IP アドレスは変更される
  • Linux アプリでは利用できない
  • マネージド ID は複製されない
  • 関数アプリでは使用できない

References