Microsoft Exchange Server 2013の保守モデルについての補足
2016 年 9 月 23 日最終更新
Microsoft Exchange Server 2013 は、記事「Exchange 2013 の保守について」で紹介されている通り、従来までの更新プログラムのロールアップ (Rollup Update, RU) とは違う、累積更新プログラム (Cumulative Update, CU) という新しい形態で更新プログラムを提供するモデルに変更になり、いままで下記のリリースを行ってまいりました。これにより、記事「Exchange 2013 の保守について」でも触れられている様々なメリットが提供されます。SharePoint Server 2013 や Lync Server 2013 も CU モデルを採用しています。
今回は、皆さまからよくお寄せいただく CU での更新プログラムの提供モデルとサポートライフサイクルポリシーに対して改めてご案内させていただきたいと思います。
Exchange Server 2013 これまでのリリースとサポート期間
製品名 | リリース日 | ビルド番号 | サポート期間 |
Exchange Server 2013 CU17 |
2017 年 6 月 27 日 |
15.00.1320.004 |
Exchange 2013 CU19 がリリースされるまで |
Exchange Server 2013 CU16 |
2017 年 3 月 22 日 |
15.00.1293.002 |
Exchange 2013 CU18 がリリースされるまで |
Exchange Server 2013 CU15 |
2016 年 12 月 12 日 |
15.00.1263.005 |
- |
Exchange Server 2013 CU14 |
2016 年 9 月 20 日 |
15.00.1236.003 |
- |
Exchange Server 2013 CU13 |
2016 年 6 月 20 日 |
15.00.1210.003 |
- |
Exchange Server 2013 CU12 |
2016 年 3 月 14 日 |
15.00.1178.004 |
- |
Exchange Server 2013 CU11 |
2015 年 12 月 15 日 |
15.00.1156.006 |
- |
Exchange Server 2013 CU10 |
2015 年 9 月 14 日 |
15.00.1130.007 |
- |
Exchange Server 2013 CU9 | 2015 年 6 月 16 日 | 15.00.1104.005 | - |
Exchange Server 2013 CU8 | 2015 年 3 月 16 日 | 15.00.1076.009 | - |
Exchange Server 2013 CU7 |
2014 年 12 月 08 日 |
15.00.1044.025 |
- |
Exchange Server 2013 CU6 |
2014 年 8 月 26 日 |
15.00.995.029 |
- |
Exchange Server 2013 CU5 |
2014 年 5 月 27 日 |
15.00.0913.022 |
- |
Exchange Server 2013 SP1 |
2014 年 2 月 25 日 |
15.00.0847.032 |
Exchange 2013 SP2 がリリースされてから 1 年間 |
Exchange Server 2013 CU3 |
2013 年 11 月 25 日 |
15.00.0775.038 |
- |
Exchange Server 2013 CU2 |
2013 年 7 月 9 日 |
15.00.0712.024 |
- |
Exchange Server 2013 CU1 |
2013 年 4 月 2 日 |
15.00.0620.029 |
- |
Exchange Server 2013 RTM |
2012 年 12 月 3 日 |
15.00.0516.032 |
- |
Exchange Server 2013では不定期のサービスパック (SP) や更新プログラムのロールアップ(RU)の提供ではなく、年 4 回累積更新プログラム(CU)が定期的に配信されるモデルが採用されています。
CU3 がリリースされた後、SP1 がリリースされましたが、こちらの SP1 は CU と同じテクノロジーを使った完全版ビルドとしてリリースされており、CU4 に相当します。従って、技術的に同じ方法で展開が可能となります。ただし、SP と CU のサポートライフサイクルポリシーは、考え方が異なりますのでご注意ください。
なお、上記表内の "サポート期間" とは、有償サポートのお問い合わせ受付期間ではなく、後述するセキュリティ更新プログラムリクエストの受付期間を意味します。有償サポートを受付させていただく期間は、CUやSPのバージョンに関わらずその製品としてのサポート ライフサイクルに準じます。こちらについては、マイクロソフト サポート ライフサイクルをご参照ください。
SPのライフサイクルポリシー
SP のサポート期間は、次の SP がリリースされてから 1 年間です。従って、サポート終了日は、次の SP がリリースされた時点で決まります。また、製品サポート期間は、サービスパックのサポートポリシーよりも優先されることから、製品のサポート終了を迎えると、サービスパックもサポート終了となります。
CUのライフサイクルポリシー
CUのサポート期間は、次のCUがリリースされてから 3 か月間が目安となりますが、厳密には、現在リリースされている最新の CU ならびに、ひとつ前の CU までがサポート対象となります。これは、前述の通り CU が定期的に年 4 回、リリースされることを予定されているからです。マイクロソフトでは、新機能を真っ先に享受できるメリットをお客様に経験していただきたく、常に最新版の CU の適用を強く推奨しています。
SPとCUのセキュリティ更新プログラム
セキュリティ更新プログラムは、サポートされている CU と SP に対してリリースされます。以下に記載されているのは、Exchange Server 2013 でこれまでにリリースされたセキュリティ更新プログラムです。これまでに CU1, 2向けにセキュリティ更新プログラム(MS13061)、そして CU2, 3 向けにセキュリティ更新プログラム(MS13105)がリリースされました。
日付 | 情報番号 | サポート技術情報番号 | タイトル | 深刻度 |
2013年 12月10日 | MS13-105 | 2915705 | Microsoft Exchange Server の脆弱性により、リモートでコードが実行される | 緊急 |
2013年 8月13日 | MS13-061 | 2876063 | Microsoft Exchange Server の脆弱性により、リモートでコードが実行される | 緊急 |
参照:https://technet.microsoft.com/ja-jp/security/bulletin/dn602597.aspx
サポート切れの CU や SP に対して、新たなセキュリティ更新プログラム、更新プログラムは提供されません。したがって、最新の CU または SP の適用を強くお勧めしています。サポート外の SP をご利用の場合でも、マイクロソフトサポートをご利用いただくことは可能ですが、サポート内容が限定的になったり技術的回避策がご利用いただけない場合があることをあらかじめご了承ください。
CU はリリース時点で利用可能なすべてのセキュリティ更新プログラムが含まれ、その内容はオンプレミスとオンライン両方のお客様からの不具合のご報告、Exchange チームが特定した項目の更新プログラム、そしてお客様からリクエストいただいた機能変更(既存機能への追加や変更)などです。SP のルールと同様、サポート外のCUをご利用の場合でも、マイクロソフトサポートをご利用いただく事が可能です。万が一、サポート対応中に、公開済の CU に対して問題を解決する更新プログラムがリリースされた場合、そのインストールをお願いしています。また、マイクロソフトが新しく修正が必要だと認めた問題に対しては、将来の CU に修正が反映される予定ですので、公開後にインストールを行い、問題の修正をおこなっていただく必要がございます。
なお、セキュリティの問題に匹敵する問題は、将来の CU に対する修正だけでなく、現在サポートされている CU に対してバックポートして、個別修正(IU)として提供する場合もございます。
過去のRUモデルとの比較
CU モデルと RU モデルのリリースを分かりやすく図表で比較してみますと、以下の様になります。ご覧のとおり、CU モデルは「メジャーバージョン」の中で「累積更新プログラム (CU)」という単一のレベルで更新が行われており、セキュリティ更新プログラムを除くとほぼ一本のビルドツリーになっています。一方で、RU モデルは「メジャーバージョン」の中で「サービスパック (SP)」、「更新プログラムのロールアップ (RU)」という2つのレベルで更新が行われているので、複数のビルドツリーに分かれていきます。
Exchangeチームは、今後もより多くのお客様に改善された保守モデルを正確に理解していただけるよう、随時情報発信を行ってまいります。これからも進化し続ける Exchange にどうぞご注目ください!!