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Exchange 2013 の保守について

(この記事は2013 年 2 月 8 日に The Exchange Team Blog に公開された記事 Servicing Exchange 2013 の翻訳です。最新情報については翻訳元の記事を参照してください。)

 

6 年前 Exchange は製品保守について大きな一歩を踏み出しました。Exchange Server 2007 からマイクロソフトは、昔からのホットフィックスモデルの替わりにお客様にロールアップ更新プログラム (Rollup Update, RU) を提供する累積的モデルに移行しました。これによるお客様の主なメリットは、多くの更新プログラムが1つのパッケージで提供されるという、提供の仕組みが単純化されたことでした。複数の個別のパッケージを追跡してインストールするという従来の方法は必要なくなりました。より小さな更新パッケージをより多くの頻度で提供することで、お客様が変更を制御された形でより迅速に導入できるようになりました。この保守モデルは多くのお客様で受け入れられましたが、すべてのお客様ではありませんでした。ロールアップ更新プログラム モデルはセキュリティ更新プログラムを切り離して提供していなかったため、お客様がセキュリティ更新プログラムを適用したい場合にそれ以外の更新プログラムも必須になってしまうのが一部のお客様にとって課題となっていました。

同時に、お客様が Exchange を使う方法も同じくらい大きく変化しました。多くのお客様はメッセージ環境をクラウドに完全に移行し、メールボックスをオンプレミスとクラウドに分けて展開するがひとつの Exchange 組織として動作するハイブリッド環境を選択するお客様も増えてきました。  

これらすべての点を考えた結果、Exchange チームは Exchange Server 2013  という製品で新しい保守モデルを発表しました。新しいモデルはマイクロソフトが提供してきた方法の中で最善を目指しており、従来の方法の課題で解決できるところを解決し、お客様の Exchange の展開方法を考慮したものにしています。

本日、Exchange Server 2013 の更新方法についての決まり事を発表します。更新プログラムは四半期に一回、累積更新プログラム (Cumulative Update, CU) の形で提供されます。四半期毎の各CUパッケージは Exchange 製品の完全なリフレッシュ版として提供され、「ビルド番号を更新するアップグレード」という形でインストールされます。この方式は前のバージョンの Exchange でもサービスパックを展開するときの仕組みでしたので、すでに Exchange のお客様にもなじみの深いものです。各 CU でオンプレミスのお客様に出荷されるExchangeのバージョンは、Office 365 でホスティングされる Exchange Online と同じバージョンです。セキュリティ更新プログラムは独立したパッケージで提供され、前にリリースされた累積更新プログラムパッケージに適用することもでき、現在の累積更新プログラムパッケージと一緒にインストールされます。

このアプローチによるお客様の主なメリットは以下の通りです。

  • 予測可能な製品サイクル – CU はあらかじめ決められた一年に4回のスケジュールで提供されます。これによりお客様は展開をより計画的に行うことが可能となります。Lync と SharePoint も定期的に CU をリリースします。
  • 独立したセキュリティ更新プログラム – セキュリティ更新プログラムを独立させることで、お客様はそれが特定の問題に対する修正のみを含んでいるという確信のもとに素早く更新プログラムを適用することが可能となります。特定の CU に複数のセキュリティ更新プログラムが提供される場合は、複数のセキュリティ更新プログラムの展開を単純化するためにすべてのセキュリティの修正を含んだ単一のパッケージが提供されます。
  • データセンタースケールでの検証 – オンプレミスとハイブリッドのお客様は、同じコードがすでに世界で一番大きな Exchange 環境である Exchange Online サービスにて展開されており、数百万ものメールボックスで検証されている CU を自分の組織に展開することができます。
  • ハイブリット展開サポートの改善 – オンプレミス サーバーとデータセンターのサーバーが同じコードで動作するため、システム要件が両者でより合致します
  • 言語リソースのより迅速な変更 – RU モデルでは、言語リソースの変更はサービスパックリリースに限定されていました。CU モデルでは、言語リソースの変更は各リリースで行われます。

当然、CU モデルへの移行はロールアップ更新プログラムの時に慣れ親しんでいたことをいくつか変更する必要があります。

  • より大きなサイズの更新パッケージ – 各更新プログラムが製品の完全版のリリースとなるため、前の更新方法よりもパッケージサイズが大きくなります。
  • アップグレード時にサーバーのカスタマイズが失われる – サービスパックのインストール時と同様に CU モデルは web.config、レジストリへの変更やその他サーバーのカスタマイズ構成を保持しません。これは前の Exchange バージョンからのガイダンスを変更するものではありません。
  • インストール失敗からの復旧 – CU インストール中の不慮の事故でインストールが失敗し普及不能になった場合、サーバーの再インストールが必要となります。不慮の事故によるインストール失敗が起こってもメールボックスやキューのデータは失われません。

CU をお客様に公開する前に Office 365 環境で検証するという追加のメリットがあっても、お客様環境で相応の検証を行っていただく必要があります。これは特にサードパーティのカスタムアプリケーションがメッセージシステムと統合している場合に当てはまります。Exchange チームでは本番環境に展開する前に同等の検証環境でアップグレードテストを行うというガイダンスを引き続きすべてのお客様に出しています。

Exchange チームは改善された保守モデルを Exchange Server 2013 のお客様に提供できると信じています。Exchange チームでは2013 年第一四半期の最初の CU パッケージのリリース日を決めようとしています。CU を導入したことにより最もよく聞かれるであろう質問とその答えを以下に用意しました。

Q: CU には製品の修正のみが含まれますか、それとも新機能も含まれる予定ですか ?

A: CUはオンプレミスとオンラインのお客様からいただいた不具合の報告、およびExchangeチームで特定された項目の更新プログラムを提供します。お客様からの設計変更要求による機能変更も含まれる可能性があります。これは既存の機能に追加または変更を加えるものです。

Q: サービスパックの提供は継続されますか ?

A: 前のリリースと同様、サービスパック更新プログラムも定期的に提供される予定です。

Q: AD スキーマの変更があった場合は CU に含まれますか ?

A: 機能変更をサポートするために必須である場合、ADスキーマの変更はCUに含まれる可能性があります。ExchangeによるADスキーマ変更は「追加」であり、前のリリース、バージョンと常に後方互換性があります。

Q: 特定の CU に複数のセキュリティ更新プログラムがリリースされますか ?

A: リリースされるセキュリティ更新プログラムはCU固有のものであり、CUがリリースされるときはその時に利用可能なすべてのセキュリティ更新プログラムが単一の累積パッケージに含まれます。特定のCUに対して複数のセキュリティ更新プログラムがリリースされた際には、最新のセキュリティ更新プログラムのみ適用する必要があり、最新のものには前の修正も含まれます。

Q: 提供されている最新の CU をインストールしている場合、さらにセキュリティ更新プログラムを提供する必要がありますか ?

A: 必要ありません。CUをリリースする際には、その時に利用可能なすべてのセキュリティ更新プログラムを含みます。CUのリリース後にリリースされたセキュリティ更新プログラムのみ、CUの上に追加で適用する必要があります。セキュリティ更新プログラムは、どのCUに適用されるべきかが明確に指定されます。

Q: CU をインストールするとサーバーのバージョンは変更されますか ?

A: はい、これもお客様からのフィードバックを受けてのことです。

Q: CU はどれくらいサポートされますか ?

A: CUは次のCUがリリースされてから3か月サポートされます。たとえば、CU1が3/1にリリースされ、CU2が6/1にリリースされたとすると、CU1のサポートは9/1で終了します。

Q: CU のインストールが失敗した場合、どのように復旧すればよいですか ?

A: Exchange Server 2013 では単一のサーバーのアップグレードによるデータや機能の喪失を防ぐ高可用性オプションが実装されています。また、Exchange セットアップはサーバーのインストールやアップグレードが完了するまで必要に応じてリトライするように設計されています。CU のアップグレードが失敗し場合の実際の復旧手順は、どの時点で失敗したかとお客様の構成によって異なります。サービスパックのインストールが失敗した場合の復旧方法と同じ方法が適用され、SETUP /m:RecoverServer や新規のサーバー オブジェクトをインストールして既存のデータベースを再添付する方法などがあります。

Q: CU はどのように提供されますか ?

A: CUはMicrosoft ダウンロードセンターに公開されます。CUのセキュリティ更新プログラムはMicrosoft UpdateとMicrosoft ダウンロードセンターからご利用になれます。

Q: データベース可用性グループ (DAG) 構成の中のすべてのサーバーは同じ CU レベルである必要がありますか ?

A: お客様は、データベース可用性グループの中のすべてのサーバーが同じCUレベルで実行されるように計画するべきです。CUのアップグレードの中で、データベース可用性グループ内の個々のサーバーが異なる CU バージョンで実行されることをサポートしています。これはすべてのサーバーがアップグレードされるまでの一時的な処置となります。

Q: クライアント アクセス アレイの中のすべてのサーバーは同じ CU レベルである必要がありますか ?

A: データベース可用性グループと同様、単一のアレイの中での複数のCUレベルの共存がアップグレードプロセスの中でサポートされています。

Brent Alinger