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Exchange Server のサイジングについて

Exchange チーム の竹田です。

Exchange Server を導入するに当たって、気にするポイントとしてはいくつかあると思いますが、ここでは "サーバー サイジング" についてお話します。

サーバー サイジングをするにあたって、Exchange Server を利用するユーザー数や 1 日のメールの通数等を予め調べ、そこから具体的なサイジングをするのがほとんどだと思いますが、正直、実際に運用開始されるまで結果がわかりません。
実際、運用が開始されてしばらく使っていると・・・、的な話を耳にするのは少なくありません。決して多くもありませんが。

では、このギャップを埋めるにはどうすればよいか?
用意したサーバー スペックで運用した場合のシミュレートが、予めできれば、実際に運用開始するまでに、パフォーマンス測定がある程度できます。

Exchange Server には、実運用を想定して負荷をかけるツールがあります。
Exchange 2003 では  Load Simulator、Exchange 2007 では Load Generator というツールが用意されています。
これらのツールは、Active Directory ならびに Exchange Server 上にテスト アカウントとメールボックスを作成し、入力したテスト値をもとに Outlook クライアントでメッセージのやり取りを実施した際をシミュレーションしながら負荷掛けます。

具体的な使い方や、どんなことに利用できるかは、以下にご案内する技術資料を参考にしてもらえればと思いますが、ここでは、Load Genarator の基本的な使い方を説明します。Load Simulator の使い方は、ここでは割愛します。

◆ Exchange 2003
Load Simulator

Load Simulator のダウンロードはこちらから。

◆ Exchange 2007
Load generator

Load Generator のダウンロードは以下から。

  Load Generator (x86)

  Load Generator (x64)

環境にも依存してきますが、それなりに大きな規模を想定して実施する場合は、Load Generator を実行する端末も複数台必要になります。
1 台でどれぐらいのクライアント数をシミュレーションできるかは、Load Generator を実行する端末にも依存してきますが、過去の実績として、1 台で 1,000 クライアントをシミュレーションしていることもありました。この辺りはクライアント スペックやかける負荷によっても異なりますので、多めにクライアントを準備した方が良いでしょう。


[共通の設定情報を基に、複数代台の端末から、Load Generator を実行]

 

->  Load Generator 設定スクリーンショット集を見る

 

サーバーのスペックが低かったりすると、各タスクで Exception が発生する場合があります。
これは Load Generator の実行処理中のエラーであり、たとえば一時的なネットワークエラーなどもここにカウントされます。
そのため、無視できる場合がほとんどですが、サーバーのスペックが低い場合に多く記録されますので、その場合はサーバースペックを見直していただき、ハードウェアの増強を検討しましょう。

なお、Load Generator の結果には、CPU、メモリ、ネットワーク、ディスク IO などのリソースの使用状況は含まれておりません。そのため、パフォーマンス モニタとの併用を実施していただければ、さらに詳細な状況の確認、ボトルネックの確認などができると思います。
また、サイジングする上で、具体的なハードウェアの構成については、技術情報 (サーバーおよびストレージ アーキテクチャの計画) も併せてご確認ください。

Exchange 2007 になりますが、ハードウェアの推奨値を各役割ごとに確認することができます。
特に、物理メモリの搭載容量については注意が必要です。
Exchange Server 2007 では、Exchange Server 2003 に比べ 64bit となったこともあり大幅なパフォーマンスの向上が得られますが、その半面、Exchange Server 2003 に比べより多くのメモリを必要とします。例えば 1 台のサーバーに複数の役割をインストールする場合に搭載する物理メモリの容量は 8GB 以上を推奨としています。メモリのサイズはできる限り推奨値に近いサイズを搭載できるようにしましょう。
また、メモリのサイズが上記サイズに比べて少なめの場合には仮想メモリのサイズに注意が必要です。物理メモリの容量が少ない場合、仮想メモリの容量をある程度大きく設定していないと、メモリ不足によりサーバーが動作しなくなる場合もあります。
このような場合、過去の問合せの中では、物理メモリの 1.5 倍に設定することで、現象回避している事例もありますが、。物理メモリのサイズが推奨のサイズより大幅に下回っている場合には物理メモリの増設を検討しましょう。

最後になりますが、Load Generator やパフォーマンス カウンタの情報を基にサイジングを行い、Exchange Server を導入したとしても、運用していく中で徐々にメールの流量が増えていったり、メール サイズもヘビーになっていったり、はたまた、メールボックス数もサイジング時より遥かに増えていたりと…そんな話をたまに聞きます。

パフォーマンスの低下を実感した際は、サイジング時に想定していた規模と変わりないのかを確認し、大幅に変わっているときにはサーバー増強などの対処が必要になることがあります。なので、環境の変化をとらえておくことも重要です。 ご利用は計画的に !