Game Building日誌 その7「5日目、ゲームらしくする」
9月23日(木) 12:00PM 疲れ気味
日曜からずっと寝不足なので疲れ気味ですが、Game Buildingも残すところ今日一日、厳密に言えば明日の午後四時までに完成させれば良いのですが、直前でバグが入ってしまって発表中に止まってしまうのは避けたいので、やはり今日中に仕上げるよう頑張ります。
9月23日(木) 02:03PM キューブマップの背景追加
さて、今まで背景にはなにも無かったので、この段階でキューブマップテクスチャを使った背景を追加します。キューブマップテクスチャの作り方の一つとしてはカスタムモデルエフェクトサンプル(4.0版は英語版のみ)についているCubemapProcessor.csを使うことで一枚の背景テクスチャからキューブマップテクスチャをコンテントパイプライン内でコンパイル時に生成することができます。
この方法は反射マッピングなどの見た目の整合性が多少とれていなくても気づかないような用途では問題ないのですが、背景テクスチャとして使う場合には、上下のテクスチャ部分が歪んでいるのが判りやすくなってしまうという問題があります。
そこで、今回はLightwaveを使ってキューブマップテクスチャを作るのに必要な6枚のテクスチャを生成します。やり方は簡単でアスペクト比が1:1になるカメラを作り、6フレームのアニメーションを作ってイメージファイルへ書き出します。
今回の舞台は宇宙なので、星雲とかをパーティクル使って出来たら良いとは思いましたが、時間が無いのでLightwaveのバックドロップ機能を使います。この機能を使うと背景にフラクタルなどを使ったテクスチャを張ることができるので、複数のテクスチャを設定すると簡単に宇宙っぽい背景をつくることができます。
こうして出来た6枚のテクスチャからDirectX SDKに付属するテクスチャツールなどを使ってDDSファイルを生成します。
9月23日(木) 08:52PM 惑星上、キャノンシード突入直前まで完成
さて、キューブマップの背景を追加し終えたのが午後3時頃。この時点で手来ているのはいままで作ってきたシーンを再生するだけでゲームプレイ的なものは全くありませんでした。残り時間が25時間となったので、本来であればゲームプレイ部分を作るべきですが、せっかく半日かけてモデリングしたキャノンシードは見せたいという欲求が勝って最悪ゲームプレイができなくても良いというリスクを承知で最後のシーンを追加することにしました。
最後のシーンは惑星上なので、地上部分のモデリングをしました。カメラから見える部分だけをモデリングしていきます。
岩山は分割数を多くした立方体にfractalizeという機能を使えば、一つ一つの頂点を修正するより手軽にそれっぽいモデルを作ることができます。ただし、やり過ぎると表裏が反対になってしまうこともあるので注意が必要でした。左下の図をみるとポリゴンが重なり合っているのが判ると思います。修正したいところですが、この岩山がゲーム内で表示されるのは一瞬なので気づく人は居ないだろうということで、こままにしておくことで時間節約。
そして、メインディッシュであるキャノンシードと、その前の地上砲台を設置し、カメラパスを作って完成。
9月24日(金) 04:25AM 敵の飛行パス完成
帰宅して夕食をとって午後10時、ここでようやっとゲームプレイ部分を作り始めることになります。敵の移動パターンもLightwave上で作っていきます。敵の飛行経路はワールド座標ではなく、ビュー空間で指定します。つまり、カメラをどんなに激しく動かしても、その動きが敵の飛行経路に影響を与えることはありません。と、書くと変に思えますが、実際に出来たものを見てみると特に大きな問題はないことが判ります。
ビュー空間で飛行経路を作るのにはいくつかの理由があります。第一にツール上で再生したときに実際にゲーム上で動かしているときと同じように見えるのでデザインや調整がしやすいのが一つ。次にカメラの移動に左右されないので使い回しが効くと言った利点があります。もちろん、カメラの移動経路とあまりにもかけ離れたものを作ると見た目が破綻してしまう事に注意する必要があります。また、建物の間を縫って飛ぶような経路を作りたい場合にはビュー空間ではなくワールド空間で作った方が良い場合もあります。
大事なのは短い時間で敵の飛行経路を繰り返し調整が簡単にできることがゲームのクオリティアップへつながるということです。
と、言うわけで幾つかの飛行パターンを作った後はゲーム上で再生するコードを書きます。これもシーンを再生させるコードの再利用で、再生中に撃破されるように変更を加えるだけで済みます。
9月24日(金) 07:42AM ゲームプレイ基礎部分が完成
さて、敵の動きができたので、次は実際に撃ってみたくなります。オリジナルのゲームではゲーム画面上にある照準を移動させてボタンを押すとレーザーがでるというものでした。ですから、堅い敵が出てきたりしたときにはボタンを連打する必要がありました。今時ボタン連打もアレだし、ネットワークプレイに対応したときに大変そうだということで、ホーミングレーザー形式を試してみることにしました。
ホーミングレーザーは今まで何度か作ったことがあるし、XNA上でもWindows Phone 7のマルチタッチのテストする時にタッチした場所に沿って線を描くプログラムがあったので、そのコードを流用して3D用に修正を加えて使いました。
レーザーを撃って、敵が消えるまでできたので、次は爆発エフェクトです。ここまで来たら爆発エフェクトも作りましょう(徹夜でハイになってる)ということで、Lightwaveのパーティクル機能を使って爆発するシーンを作ります。ここでは100個のパーティクルをHyperVoxelsと呼ばれるボリュメトリックレンダリング機能を使ってそれっぽいものを作っていきます。
で、複数のフレームをレンダリングしたものを下図のようにまとめたスプライトシート(4.0用プロジェクトは英語版のみ)を作りました。
そして、パーティクルサンプル(4.0用プロジェクトは英語版のみ)を流用したものを使ってゲームの中に組み込みます。
これで、移動する敵、レーザー発射、撃墜、爆発エフェクトとゲームプレイの基本部分ができました。下のスクリーンショットを見てもだいぶゲームらしくなったのが判ると思います。
この段階で周りはすっかり明るくなってしまいました。
Game Buildingの発表会まであと8時間18分……
つづく