入力する文字や使用するフォントによって、文字幅が異なる場合がある
今回は、入力する文字や使用するフォントの差によって、文字幅が異なる場合がある事象についてご案内いたします。
同じ文字、たとえば「し」を入力した際、その文字の前後に来る文字が「しす」や「して」のように変わることによって、
「し」という文字単体で入力いただいた際と文字幅が変化する場合がございます。
このような事象の原因ですが、1 つのフォントの中に、特定の文字に対するグリフがひとつだけではなく複数含まれていることに起因します。
どのフォントでもこのようになっているわけではありませんが、これは、主に以下のような機能を実現するために用意されています。
- 読みやすさのため、横書き向けと縦書き向けにそれぞれ用意された異なる字形を選択する
- 毛筆風を再現するために前後の文字ときれいにつながるような字形を選択する
- 画数の多い漢字の直後にシンプルなひらがなが来る場合等、バランスを考慮して若干大きさの異なる字形を用意し選択する
フォントに含まれる字形のバリエーションや字形選択のロジックに依存するため、
フォントの種類やバージョンによっても、変化する文字幅の量や変化する文字同士の組み合わせが変化いたします。
また、すべてのフォントがこのような処理を行ってはいないため、全く事象が発生しないフォントもございます。
この事象によって、テキストの行末の折り返し位置が変わったり、行末がきれいに揃わない等の差異が発生する場合がございますが、
Windows の設定等で制御することはできず、フォントまたは文字列を変更いただくことでしかご対応いただけません。
必ず文字間で同じ文字幅であることが要求される文書を作成される際には、「MS ゴシック」や「MS 明朝」など、等幅フォントをご利用ください。
Windows に付属の游ゴシック フォント ファミリーおよび游明朝 フォント ファミリーにおいても、
バージョンや種類による差異はございますが、前述の事象が発生することを検証により確認いたしました。下記表をご覧ください。
<テスト結果>
※表内の数字はフォント ファイルのバージョンとなります。
【游ゴシック】 | Windows102016 LTSB | Windows 10version 1703 | Windows 10version 1709 | Windows 10version 1803 | Windows 10version 1809 | |||||
細字 (游ゴシック Light) | 1.72 | × | 1.80 | 〇 | 1.81 | 〇 | 1.83 | 〇 | 1.83 | 〇 |
太字 (游ゴシック) | 1.73 | × | 1.80 | 〇 | 1.80 | 〇 | 1.83 | 〇 | 1.83 | 〇 |
中 (游ゴシック Medium) | 1.73 | × | 1.80 | 〇 | 1.82 | 〇 | 1.83 | 〇 | 1.83 | 〇 |
標準 (游ゴシック) | 1.72 | × | 1.80 | 〇 | 1.81 | 〇 | 1.83 | 〇 | 1.83 | 〇 |
【游明朝】 | Windows102016 LTSB | Windows 10version 1703 | Windows 10version 1709 | Windows 10version 1803 | Windows 10version 1809 | |||||
細字 (游明朝 Light) | 1.61 | × | 1.61 | × | 1.71 | × | 1.71 | × | 1.71 | × |
中太 (游明朝 Demibold) | 1.70 | × | 1.70 | × | 1.71 | × | 1.71 | × | 1.71 | × |
標準 (游明朝) | 1.70 | × | 1.70 | × | 1.71 | × | 1.71 | × | 1.71 | × |
× : 「し」と、「しす」の「し」の文字幅が異なる
〇 : 「し」と、「しす」の「し」の文字幅が同じ