コラム: 目的と手段
こんにちは。今日は夕刻から雨。今も降り続けています。このまま降り続けると明日の朝、愛犬の散歩ができないことになります。我が家の愛犬は、散歩に行けないとその分、家の中で暴れるのです。私は仕事があるため、家を出ますが、残された家族はそれはもう大変です。
何かを「成し遂げたい」、「改善したい」といった 『目的』 は、非常に大切です。動機があって、それに基づきモチベーションも上がってきます。また利害関係者での協調性も強化されます。チームで同じ 『目的』 に向かって進んでいくことはとてもすばらしいことです。『目的』 を達成するためには、何らかの 『手段』 をとる必要があります。
例えば、「ソフトウェアの品質を均一化させたい、向上させたい」といった 『目的』 があったとして、そのために、「チームでの開発を円滑に行い、成果物や資産の説明責任を果たすソフトウェア構成管理システムを導入する」という 『手段』 を選んだとします。
しかしながら、『手段』 は、時として 『目的』 に化けてしまいます。 『手段』 を実現する、こなすことが 『目的』 に変わってしまうとも言えます。『手段』 は、『目的』 を実現するためにあるのですから、『手段』 を実現する、こなすことは、もちろんいけないことではありません。
例えば、先の例で、ソフトウェア構成管理システムを導入することが、『目的』となってしまうと、システムを導入して満足してしまい、本来の 『目的』 であった品質の均一化、向上といったことが本当に見込めているのかということが忘れ去られてしまうことがあります。また、システムの機能に目が行ってしまい、過剰にシステムを活かすことに注力し、結果として余計な導入工数やコストがかかり、(違った意味で)品質に影響を与えてしまうような事態になってしまうかもしれません。
『手段』 が一人歩きをし始めると往々にして、『目的』 を見失いがちになります。『目的』 を達成するための 『手段』 は一つだけとは限りません。むしろ複数の 『手段』 があるのが一般的ではないでしょうか。複数の 『手段』 は、より 『目的』 を見失わせる危険性を高めることにもなります。
ソフトウェア開発の現場、特に、プロセス改善やツール導入などを行っているときには、結構陥りやすいです。私がコンサルタントをしていたときには、常に 『目的』 と 『手段』 を意識し、誤った方向へ行かないように気を配っていましたし、現場の実行役の皆さんにもそういう意識を持っていただき、『目的』 を見失わず、かつ より最適な 『手段』 を状況に応じて柔軟に選択しながら、実践をしていただきました。
もし、今、そういった状況かも・・・という方がいらっしゃいましたら、一度一息ついて、それは 『目的』 なのか? 『手段』 なのか? ・・・ 振り返ってみてください。
ながさわ
Comments
- Anonymous
December 11, 2007
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