Compartilhar via


小売業界の AI 戦略 (1/6) 購入体験にAIを ~ 新たな消費者ニーズに対応する AI 活用

購入体験に AI を ~ 新たな消費者ニーズに対応する AI 活用

「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」---オンラインショッピングサイトでよく見かける商品のレコメンデーション (お薦め) 機能です。オンラインの世界では、消費者の行動や好みに基づいて小売業者側が消費者のニーズを把握し、その人に合った商品を提案することが普通に行われています。

これまで消費者が買い物の際に重視していた点は主にこの 3 つです。
・価格
・選択肢の豊富さ
・利便性
この 3 つはすべてオンライン ショッピングで満たされるようになりました。豊富なセレクションの中から安価な製品を選び、自宅にいながらにして買い物ができるのが、今では当たり前のことになったのです。このような世界に慣れてしまった消費者は、価格や選択肢、利便性といった視点を超えた、新しいショッピング体験を求めるようになりました。


消費者が求める新たなショッピング体験とは?

では、実際に消費者が求めているものとは何でしょうか。そのひとつは「リアルタイム コミュニケーション」です。時と場所を問わずオンライン ショッピングが可能となった今、消費者は利便性の高いコミュニケーション チャネルを通じて疑問点をリアルタイムに解決し、時間を無駄にすることなく迅速に買い物を済ませたいと考えています。

また、「パーソナライゼーション」も重要です。忙しい日々を送っている消費者が買い物をするのは、気が向いた時や場所でのみ。こうした中、消費者が求めているのがパーソナライゼーションです。小売業者は、消費者の活動や嗜好を把握し、一人ひとりに対してパーソナライズしたショッピング体験を提供する必要があるのです。

そのパーソナライゼーションの一環といえるのが「レコメンデーション」です。消費者は、購買履歴や好みなどのデータを日々小売業者に提供しています。小売業者側はそのデータを活用し、消費者が今求めている商品やサービスを提案することが求められているのです。もちろん、消費者の現在の状況によって異なるニーズにも対応しなくてはなりません。

このような細やかなニーズに対応していくと、消費者と小売業者との関係が深まります。この関係性も消費者にとっては重要です。というのも、長期間かけて関係性を築いたショップやブランドに対しては、何度も自分の好みやニーズを伝える必要がないためです。消費者は、さまざまな販売チャネル上で自分が認識される消費者プロフィールをショップ側に作成してもらい、時間をかけて発展していくような関係性を構築したいと考えています。

このように、消費者は小売業者側に価値のあるジュ応報を提供してもらいたい、自分の購買意欲を高めてもらいたい、買い物の意志決定を支えてもらいたいと考えています。これが価値のあるショッピング体験へとつながり、返品や交換の削減にもつながるのです。


新たな消費者ニーズに対応する AI

小売業者がこうした新たな消費者の期待に応じ価値ある存在であり続けるには、小売体験を再構築するしかありません。そのために活用できるのが AI です。

AI やコグニティブ (認識) サービスにより、消費者データを分析してパーソナライズされたショッピング体験を提供し、その体験をより価値のあるものへと高めることができるのです。これはオンラインショッピングだけに限ったことではありません。オンラインと実店舗での販売チャネルは融合が進んでおり、すべての販売チャネルでイノベーションを起こす必要があるのです。サプライチェーンや店舗、消費者などから自社のビジネスに関するさまざまなデータを駆使して、小売業者は品質向上やサービスの改善を進めなければなりません。

これらの目的のために、AI は小売業界に欠かせない技術となりつつあります。AI やコグニティブサービスを駆使し、小売チャネルにイノベーションをもたらすブランドこそが、Web 上から実店舗に至るまであらゆる場面におけるカスタマーサービス分野で真のリーダーとなれるのです。

・消費者の 53% は、疑問点への回答がすぐに見つからない場合、オンラインでの購入をやめてしまう
※出典: Forrester「AI はカスタマーサービスをどう変えるのか」(2017年)

・米国のミレニアル世代のうち 70% は、小売業者に AI を活用してもらい、より興味深い製品を提案してもらいたいと考えている
※出典: JWT Intelligence「辺境なしの小売業」(2016年)

・2019 年までに約 40% の小売業者は AI を駆使した顧客体験アーキテクチャを開発するでしょう。こうしたプラットフォームで非常に細やかなパーソナライゼーションが可能となり、コンバージョンは 30%、売上は 25% 向上します
※出典: International Data Corporation「IDC小売業界インサイト」(2016年)

小売業界の AI 戦略 (全 6 回)

  • 第 1 回 小売体験に AI を ~ 新たな消費者ニーズに対応する AI 活用