人工知能との会話のハードルを下げることで「AI の民主化」を進めるマイクロソフト
[2016 年 12 月 13 日]
マイクロソフトは、1991 年に Microsoft Research を設立してから25 年以上にわたり、AI の可能性に投資してきました。複数の業界標準ベンチマークにおいて、マイクロソフトの画像認識アルゴリズムは業界他社を凌駕しました。10 月に、マイクロソフトは、業界で初めて音声認識で人間と同等の成績を達成しました。 9 カ国語をサポートする Skype Translator も功績を達成しています。これは、研究開発から製品への移行が加速している実例です。また、マイクロソフトのビジョンが HoloLens などの製品や AI を活用したアプリを構築している Uber などのお客様によって具体的成果を上げています。
「みんなの AI」で AI の民主化を推進
エージェント、アプリケーション、サービス、インフラの領域で真の意味での人工知能を持つシステムを構築するというマイクロソフトのビジョンは大胆で広範囲にわたります。マイクロソフトは常にテクノロジの民主化を目指してきました。これには2つの方向性があります。すなわち、Office 365 などの製品に AI を取り込むこと、そして、他の人々がイノベーションを行えるプラットフォームを提供することです。
プラットフォームには Cognitive Services(コグニティブサービス) と呼ばれる 25 種の API が提供され、音声、言語、知識、検索の機能を提供します。私たちは、コンピューティングプラットフォームの大きな転換を今まさに目撃しようとしています。その転換とは、AI の進化がもたらしたものであり、人間にとって最も自然な行為、すなわち、会話を中心としたものです。
人工知能との会話「AI ボットエージェント」の進化
会話型コンピューティングは2つの側面を備えています。すなわち、作業を完了させる、あるいは生産性という側面(すなわち高い IQ を持つ) と、感情に関連した側面 (すなわち高い EQ を持つ) です。AI の夢を実現するためには両方の側面が重要です。
マイクロソフトのチャットボットの取り組みは、2014 年 5 月に中国におけるシャオアイスにより始まりました。シャオアイスには 4,000 万人以上のユーザーがいます。この成功に引き続き、2015 年 7 月、日本において「りんな」をスタートしました。現在では、りんなは日本の人口の約 20 パーセントに相当する人々と定期的に会話しています。
そして、チャットボットの進化の次のステップとなるのがZo です。メッセンジャーKik上で、あたかも友だちとやり取りするようにZoと対話できます。マイクロソフトは、将来的に Zo を Skype や Facebook Messenger などのソーシャルや対話チャネルでも提供する計画です。Zo はインターネット上の膨大なソーシャルコンテンツを使用して構築されています。人間の会話から学んで、感情と知性があるように応答し、ユニークな視点を提供し、礼儀を心得ており、感情も表現します。そして、同時に悪用を防ぐための強力なチェックとバランス機能も備えています。Zo は既に米国において 10 万人以上の人々との会話を行っています。
インテリジェントボットを簡単に作れるプラットフォームの提供~Bot Framework そして Cortana
マイクロソフトは、Bot Framework とその関連ツール、サービス、データを提供し、開発者そしてお客様が共に、企業規模を問わずマイクロソフトのテクノロジで構築や実験を行えるようにしています。現在、67,000 人以上の開発者が、マイクロソフトの Bot Framework と Cognitive Services を利用しています。企業がよく受ける質問に対して回答できるボットを開発者以外の人々でも容易に開発できるようにする QnA Maker サービス、そして、Microsoft Teams と Cortana Bing Location 向けのボットコネクターなどのアップデートが提供予定です。
会話型コンピューターを形作るもうひとつの技術として、マイクロソフトではデジタルエージェント「コルタナ」を提供しています。13 カ国で 1 億 4,500 万人の人々がコルタナを使用しています。コルタナは多様なプラットフォームとネット接続されたデバイス上で利用可能です。マイクロソフトは、コルタナをネット接続されたデバイスに統合するために多様なカテゴリーのデバイス向けにパートナーと協業しています。デバイス SDK は、プロダクティビティ、音楽、ホームオートメーション、デバイスコントロールのコルタナ スキルを提供します。まもなく、コルタナは、高級オーディオメーカーの Harman Kardon とのパートナーシップにより新しい形で家庭において使われるようになります。
今後の展開にご期待ください
マイクロソフトは、テクノロジの躍進は、たゆまない実験、大胆な探求、そして、長期的なイノベーションへのコミットメントによって作られると考えています。大きな進歩があったものの、AI の世界ではまだ多くの未解決の問題があります。インターネット、モバイル、アプリエコノミー等、テクノロジの新しい波が生まれた時には必ず成長の痛みがあります。AIもその例外ではありません。マイクロソフトは技術の限界を押し広げ、学んでいきます。そして、学んだことを業界と共有していき、AI を民主化し、社会に貢献できる存在にできることを望んでいます。
この文章は以下の原文を要約したものです:
- 2016/12/13: Microsoft’s AI vision, rooted in research, conversations (Microsoft Features)
- 2016/12/13: Building Intelligent Bots for Business (Cortana Intelligence and Machine Learning Blog)
- 2016/12/13: More Ways to Make Smart Bots (Bot Framework Blog)
- 2016/12/14: マイクロソフトの AI のビジョン:長年の研究活動に根ざし、会話にフォーカス (Microsoft News Center Japan)