XNA Game Studio 3.1のSoundEffect変更点
XNA Game Studio 3.1のSoundEffect
ゲームで使用する効果音を簡単に再生するためにXNA Game Studio 3.0で導入されたSoundEffect機能がありますが、この機能は以下の二つのシナリオを実現するようにデザインされました。
- 簡易再生(Fire & forget) : プログラムは単にPlayメソッドを呼ぶだけ。後は効果音が鳴り終わった後に自動的にメモリ開放処理をしてくれる機能
- 生成と設定(Create & configure): 効果音を鳴らしている間に、音量、再生ピッチ、パンなどのさまざまなパラメーターを自由に設定できる機能。細かい設定ができる代わりに、プログラム側で再生中のインスタンスの保持、管理をする必要がある
この二つのシナリオを実現する為に、XNA GS 3.0ではSoundEffect.Play、SoundEffect.Play3DメソッドはSoundEffectInstanceオブジェクトを返すようになっていました。再生中に設定を変更したい場合は、このインスタンスに対して処理をします。簡易再生させたい場合はインスタンスを保持しないでおきます。この場合、次にガーベージコレクション(GC)が発生した時に再生が終了したインスタンスを破棄するようになっていました。
この方法には以下の二つの問題がありました。
- Play/Play3Dメソッドには、プログラムが簡易再生をしたいのか、細かい設定をしたいのかを知る術がないので常にSoundEffectInstanceを生成していました。これは簡易再生をしている場合に常に不必要なメモリ確保が起きていることになります。
- 確保されたSoundEffectInstanceはGCが発生された時に再生が終了しているインスタンスを自動的に破棄されるようになっています。GCがいつ発生するかはゲームがどのようにメモリを確保するかによって左右されます。GCの不必要な発生はゲームのパフォーマンスに影響するので、極力GC発生を抑えるようにプログラミングするのが望ましいのですが、GC発生数が少ないと、SoundEffectinstanceを開放する機会が減るのことになるので、最終的には同時再生できる効果音の上限に達してしまいます。
XNA GS 3.1では、この二つのシナリオを明確に分けることで、この問題を解決しました。
- SoundEffect.Playメソッドは簡易再生専用のメソッドとなり、SoundEffectInstanceではなく、bool値を返すようになりました。このbool値は単純に再生が成功したかを示します。これで不必要なメモリ確保がなくなりました。また、このメソッドを使った場合はループ再生ができないようになっています。
- 生成と設定のシナリオ用にSoundEffect.CreateInstanceメソッドが追加されました。このメソッドはSoundEffectInstanceを返すので、このオブジェクトを介して音量、ピッチ、パンなどを設定することができます。
SoundEffect.Play3Dメソッドは無くなりました。3Dサウンドを再生する場合は、SoundEffect.CreateInsntaceメソッドを使い、SoundEffectInstance.Apply3Dメソッドを使用します。3Dサウンドは簡易再生することができません。
また、XNA GS 3.0では再生数が上限に達したときに更に効果音を再生しようとするとInstancedPlayLimitException例外が発生しました。XNA GS 3.1でもCreateInstanceメソッドを使った場合には同じように例外が発生しますが、簡易再生の場合は例外を発生せずに単にbool値を返すようになっています。ですから、簡易再生時にいちいちtry~catchブロックを書く必要がなくなりました。
原文:
http://blogs.msdn.com/shawnhar/archive/2009/06/12/soundeffect-changes-in-xna-game-studio-3-1.aspx