メールからYammerへシフトする
先日、セミナーで話をした時にコミュニケーションツールが沢山あり、どのように使い分けるのかという質問がございました。特にメール中心のコミュニケーションをやられているということでしたので、メールとYammerの違いや位置づけについて本日は考えてみたいと思います。
これらを考える上で、先ず働き方について振り返ってみたいと思います。
企業において働くとは、多くの場合一人で仕事をするのではなく、複数の人とコミュニケーションをとり最終的に何かしらのアウトプットを出します。それは受注データ、提案書、規定、作業指示、計画書、設計仕様書など様々です。この時、仕事を進めていく上での制約条件として場所や時間があります。
少し前までは対面会議、電話連絡が当たり前でしたが、メールが普及し連絡手段の主役となりました。昨今はさらにビジネスのグローバル化、競合他社の脅威、在宅勤務などの働き方の多様性を求める背景から、ワークスタイル変革という取り組みが非常に活発で場所と時間の制約をできるだけなくし、いつでもどこでも連絡が取れ、必要な情報にアクセスできるようにするという働き方に多くの企業がシフトしてきております。
これでもう十分なんじゃないかという様に捉えている方も多いと思いますが、本当にそうでしょうか。
現在においても多くの企業ではコミュニケーションのシステムとアウトプットを管理するシステムの分断は続いていないでしょうか。
思い返してください。
・会社の資産として管理されているアウトプットだけあれば、円滑に仕事は回りますか?
・過去のコミュニケーションの履歴情報が必要と感じたことはありませんか?
→なんで、この資料はこのような体裁になっているのか??
→変更された背景がわからないなぁ・・・
と感じたことはありませんか?
・他の人が行った過去のやり取りの情報は簡単に探せますか?
おそらく、きちんとした正式書類に限っては承認ワークフローで改訂履歴を管理しているかと思いますが、日々扱っている多くの文書や帳票などに関して言えば、レビューひとつとってみてもメールで行っているケースが多いのではないでしょうか。
つまり、多くの企業でメールがキーシステムとなり、メールの中身こそナレッジとなってしまっている現実があると言えます。
メールはコミュニケーションツールの中でも今や一番馴染みがあり誰でも気軽に使えるので、とても便利ですが反面いくつか課題を抱えております。皆様も少なからず感じておられるのではないでしょうか。
【メールの抱える課題】
①メールは派生しコミュニケーションの本流がわからなくなる
・全員へ返信したり、一部に返信したり、転送したり・・・
・結果、「そのメール知りません。」という問題が発生する
②自分に関係ないメールが多く、あふれがちとなる
・「了解」の一言も1つのメール
・メーリングリスト(配布リスト)で連絡
③メールはあくまでも個人管理
・過去のやり取りは転送してもらう必要がある
→抜け漏れが発生する、時系列がめちゃくちゃ
→アウトプット側から過去のメールのやり取りは当然追えない
・業務引継が難しい
いかがでしょうか?思い当たるところはありませんか?
これらの課題の解決のアプローチとしては、メールのリテラシーを向上して解決しようという方法も取れます。但し、それで解決できるのは課題①と②だけとなります。③についてはメールという仕組み、特性上解決し難い問題なのです。そして、これを解決できるのがエンタープライズソーシャル、つまりYammerとなります。
社内コミュニケーションをメールからYammerへシフトしていくことで、①②の課題を解決しつつ、これまでできなかった③を解決することができるようになります。
もしYammerについてはあまり詳しくないという方がいらっしゃいましたら、こちら記事をご参照いただきたいのですが、簡単にポイントを書くと
・グループという共有された場でコミュニケーションを行う
・「いいね」ボタンでポジティブな反応は返信せずに返せる
・添付文書やリンクされた他システムと紐づいたままコミュニケーション履歴を保管できる
という特性があります。
3つ目の会話と文書や他システムとの紐づきとは、今後リリースされるSharePoint OnlineとYammer連携を例にとって説明すると
※インラインソーシャルについてはこちらの記事をご参照ください
通常、外部システムのURL(文書ファイルリンク)を張って(紐づけて)会話を行うというのはよくあることです。この時リンクが張られている文書が他の会話でも同じようにリンクが張られていたとしても、そのことに気づける人は2つの会話に関係している人だけです。
この連携機能が実装されると、文書管理しているSharePoint Onlineで文書を開いた時にこの文書に紐づけられた様々な会話が文書の右側に表示されます。つまり、この文書が紐づけられた会話を逆引きで辿ることができるようになります。これにより文書ができた背景や文書を見た反応など今までの仕組みでは知りうることができなかったコミュニケーションを企業の資産であるアウトプット情報とつなげることで知ることができるようになります。
今回、SharePoint Onlineでの文書という例でご紹介しましたが、Webの仕組みでクラウド(Yammer)との連携ができるシステムであれば同じようにつなげることができるので今後ソーシャルでどんどんつながっていくと思います。なお、Dynamics CRMとYammerの連携アプリは既に用意されています。
※参考情報としてSharePoint OnlineでYammerを連携させる開発はこちらのサイトが参考になります。掲示板とYammerの連携を題材にしています。
https://idea.tostring.jp/?p=1143
これらを踏まえて各ツールの位置づけを整理するとこのようになります。
これまで社内のコミュニケーション手段としてはメールが中心ですが、Yammerへシフトすることでコミュニケーションがオープンになり、企業の資産である業務システムや文書管理システムと連携したコミュニケーション履歴が保管可能となります。
リアルタイム性を重視したコミュニケーション手段としては対面会議、電話、チャット、Web会議で行って頂き、そのアウトプット(議事メモ、議事録、会議ビデオなど)は文書管理システムなりYammerに書き込んで頂ければ、アウトプットとその後のコミュニケーションとがつながります。
プライベートなやり取りやお客様とのコミュニケーションの中心としては今後もメールが活躍すると思います。
ただ、企業内コミュニケーションは今後Yammerを中心とすることで単なるコミュニケーションツールではなく、従業員とコミュニケーションとアウトプットをつなぐプラットフォームとなります。そしてそれを使う企業は、より俊敏な競争力のある組織になっていけると信じております。