Windows 2016 で SAP の利用が可能に
執筆者: Cameron (MSFT SAP Program Manager)
このポストは、2017 年 3 月 7 日に投稿された Windows 2016 is now Generally Available for SAP の翻訳です。
Windows 2016 で、SAP NetWeaver 7.0 以上のすべてのコンポーネントが利用できるようになりました。リリース情報については、「SAP Note 2384179 – Windows Server 2016 上での SAP システム」を参照してください。
この記事では、関連する SAP Note とリリース情報を説明します。個々の SAP アプリケーションの正式なリリース状況については、SAP の製品出荷マトリクス (PAM) をご参照ください。
Windows 2016 には、Azure パブリック クラウド プラットフォームとの統合を深めた機能が多数含まれます。SAP on Windows 2016 は、オンプレミス展開用と Azure クラウド展開用が同時にリリースされています。
1. Windows 2016 の Long Term Servicing Branch
Windows Server 2016 から、サーバー製品では「Long Term Servicing Branch」と「Current Branch for Business」の 2 つの展開モデルが提供されるようになりました。
SAP がサポートするのは、Windows Server 2016 64 ビット LTSB の GUI を搭載するフル インストール (Desktop Experience) のみです。LTSB と CBB やバージョンの違いの詳細については、こちらの記事を参照してください。
SAP アプリケーションは Datacenter エディションと Standard エディションのどちらでもサポートされます。エディションの違いが SAP NetWeaver アプリケーション サーバーに影響することはありません。どちらのエディションも、640 個の論理プロセッサと 24 TB の RAM をサポートしています。Datacenter エディションと Standard エディションで技術的に最も大きく異なる点は、仮想化機能と、それに関連するネットワークおよびストレージ領域の機能です。ライセンスの詳細はこちらを参照してください。
2. SAP カーネルの要件
Windows 2016 がサポートする SAP カーネルは、7.21_EXT、7.22_EXT、および 7.49 以上のカーネルです。推奨されるのは、最新世代のカーネルである 7.22_EXT または 7.49 のいずれかです。7.22_EXT は SAP_BASIS 7.00 と完全な下位互換性があります。つまり、NetWeaver 7.00 ~ 7.31 のアプリケーションはすべて最新の 7.22_EXT カーネルで実行できます。一般的には 7.00、7.01、7.21、7.40、7.42 などの古いカーネルを使用しないことが推奨されます。これは、システムがサポートされなくなるおそれがあるためです。
SAP JVM 4.1 を必要とする Java ベースの SAP コンポーネントは、現在のところ、Windows 2016 ではサポートされません。SAP JVM 4.1 は既にサポートが終了しており、Windows 2016 では検証されない見込みです。Java ベースのシステムは、Windows 2016 上でサポートされるためには、7.30 以上である必要があります。
下のスクリーンショットは SAP PAM の選択画面です。サポートされる 7.2x ベースのカーネルのうち、Windows 2016 でサポートされるカーネルを示しています。
3. サポートされるデータベースと SAP スタンドアロン エンジン
Windows 2016 は以下をサポートします。
SQL Server 2012、2014、2016 以上
DB2 11.1 以上
Sybase 16 SP2 以上
MaxDB 7.9
HANA 1.0 SP12 および HANA 2.0 SP00 クライアント コンポーネント
SAP のお客様は Windows 2016 を使用することにより、Windows に組み込まれているセキュリティ機能や高可用性機能を Suite on HANA、BW on HANA、S4 HANA の展開に活用できるようになります。
Oracle 12c は今後サポートされる予定です。「Note 2384179 – SAP Systems on Windows Server 2016 」と SAP 製品出荷マトリクスをご確認ください。
4. Windows 2016 Hyper-V のサポート
2017 年 3 月時点で、Windows 2016 の Hyper-V シナリオはサポートされていません。Windows Server 2016 の Hyper-V に変更があったため、SAP では、Hyper-V 2016 で SAP アプリケーションを実行することをサポートしていません。Windows Server 2016 Hyper-V のサポートは、適切なソリューションがマイクロソフトから提供された後で開始される予定です。「Note 1409608 – Virtualization on Windows」は、このプロセスの完了後に更新される予定です。
5. Windows 2016 のメリット
Azure クラウド監視 (英語): クラスターのファイル共有監視には、異なるネットワーク接続のある第三の場所が必要です。これをAzure クラウド上とすることが可能になりました。
記憶域スペース ダイレクト (S2D): 新世代のストレージ ソリューションです (Datacenter SKU でのみ提供)。
記憶域レプリカ: 非同期または同期レプリケーション。Hyper-V、重複除去、ReFS の機能改善と連携して機能します。
PowerShell 5.0: ネットワークと Hyper-V 向けに多数の新しい PowerShell コマンドレットが提供されています。
6. Windows 2016 に関して参照すべき SAP Note
SAP アプリケーションを Windows 2016 にインストールする前に、次の OSS Note を必ずお読みください。
2356977 – Error during connection of JDBC Driver to SQL Server: このエラーのため、SQL Server を使用する Java ベースのシステムを Windows 2016 にインストールすることができません。
2424617 – Correction of OS version detection for Windows Server 2012R2 and higher
2287140 – Support of Failover Cluster Continuous Availability feature (CA)
1869038 – SAP support for ReFs filesystem: Windows 2016 では NTFS の代わりに ReFS を使用することがサポートされます (現時点では、SAP アプリケーション サーバーと SQL Server についてのみ)。
2055981 – Removing Internet Explorer & Remotely Managing Windows Servers: すべての不要なソフトウェアを Windows サーバーから削除することが推奨されます。この手法は Windows 2016 でも有効です。
1928533 – SAP Applications on Azure: Supported Products and Azure VM types
2325651 – Required Windows Patches for SAP Operations
2419847 – Support of Windows in-place upgrade in Failover Cluster environments
重要なリンク
Windows Server 2016 評価版: ダウンロード
Windows Server 2016 についての資料: 概要
Windows 2016 に関する Channel 9 のビデオ (英語)