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W3C Web パフォーマンス ワーキング グループ: レビューの年

本記事は、マイクロソフト本社の IE チームのブログ から記事を抜粋し、翻訳したものです。 

【元記事】The Year in Review_W3C Web Performance Working Group (2011/8/18 1:36 AM)

高速に動作する HTML5 Web アプリケーションは、Web をブラウズするユーザーにも、革新的な新しいエクスペリエンスを構築する開発者にも利点があります。

Web サイトを高速化するためには、Web アプリケーションのパフォーマンス特性の計測と、効率的なアプリケーションの作成という 2 つの点が重要です。また、各ブラウザーの製造元は、W3C を通じて協力し相互運用性のある API を使うことで、開発者のニーズに迅速に応えることができます。

ちょうど 1 年前の今日、W3C は 2 つの目標に取り組む Web パフォーマンス ワーキング グループの設置を発表しました。2 つの目標とは、Web アプリケーションのパフォーマンス特性について計測と理解を容易にすることと、CPU 効率および電力効率のより良いアプリケーションを相互運用可能な形で作成する方法を定義することです。

Web パフォーマンス ワーキング グループに参加する、Google、Mozilla、Facebook、さらに業界やコミュニティのリーダーたちと共に、マイクロソフトは、開発者が Web アプリケーションのパフォーマンスを正確に計測できるように、Navigation TimingResource TimingUser TimingPerformance Timeline の仕様を策定しました。

Navigation Timing、Resource Timing、User Timing の 3 つの仕様は、それぞれ、ドキュメントのナビゲーション、ページ上のリソース、開発者スクリプトについて、その時間情報にアクセスする Web アプリケーションのインターフェイスを定めています。Performance Timeline 仕様は、このような時間情報を取得するための統一されたインターフェイスを定義しています。

Resource Timing、User Timing、Performance Timeline の各仕様は、現在最終草案の段階に入っています。最終草案とは、その仕様が機能的に完成しており、他のワーキング グループや一般の人々から広くレビューを受ける準備が整ったとワーキング グループが確信していることを意味します。この最終草案の期間は、2011 年 9 月 15 日まで延長されます。Navigation Timing の仕様は既に勧告候補となっており、Internet Explorer 9 および Chrome 6 から相互運用性のある実装が始まっています。これらの API を併用することで、Web 開発者はアプリケーションのこれまで知ることができなかったパフォーマンス特性を知ることができるようになり、より高速でより効率的なアプリケーションの作成が可能になります。

この 4 か月間で Web パフォーマンス ワーキング グループは ページの可視性スクリプトベース アニメーションの時間制御効率的なスクリプトの生成に関する仕様を策定し、CPU 効率と電力効率のより良いアプリケーションを相互運用可能な形で作成する方法を定義してきました。

ページの可視性 (Page Visibility) の仕様は 9 月 8 日まで最終草案とされており、IE10 Platform Preview 2 および Chrome 13 からそれぞれ実装が始まっています。requestAnimationFrame API (スクリプトベース アニメーションの時間制御に関する仕様に含まれる) は、IE 10 Platform Preview 2、Firefox 4、Chrome 10 からそれぞれ実装が始まっています。この仕様も間もなく最終草案となるはずです。この 2 つの API に関する詳細については、ブログ記事「HTML5 で、コンピューター ハードウェアをより効率的に使用する」 (パート 1パート 2) を参照してください。IE 10 は、効率的なスクリプトの生成に関する仕様から生まれた setImmediate API を実装する最初のブラウザーです。

多大な協力の下、わずか 1 年の間で多くのことを実施でき大変うれしく思っています。この記事で紹介した API を見ればわかるように、新しいアイデアでも、ごく短期間のうちに、HTML5 対応ブラウザーで開発者が安心して使用できる相互運用性のある標準になる可能性があります。これらの API の設計にご協力くださった W3C Web パフォーマンス ワーキング グループの皆様に、感謝の意を表します。また、相互運用性の確立に向け、これらの API の実装にいち早く着手してくださった他のブラウザー ベンダーの皆様にも感謝いたします。

Jatinder Mann、プログラム マネージャー、IE パフォーマンス