LucasArts and ILM (SIGGRAPH 2007 Course 22)
SIGGRAPH 2007 Course 22 (A Case Study in Film and Game Convergence)でフィルム プロダクションのILM(Industrial Light + Magic)とゲーム プロダクションのLucasArtsがゲームとフィルムの制作パイプラインの統合に関して講演しました。これは2006年のGDC(Game Developers Conference)でLucasArtsが話した、ゲーム制作でのフィルム リソース(データ)の利用の講演の続編にあたります。
ILMもLucasArtsもGeorge Lucasがオーナーの兄弟会社です、Lucas Groupとしてはその他にLucasFilmなどもあります。数年前Presidoという同じ場所に引っ越して、アセットとツールとテクノロジを統合しました。ゲーム制作とフィルム制作で共通のツールを使い、ツール開発・保守のためのR&Dエンジニアを共有しているとのことです(ILMのR&Dには65名のエンジニアがおり、うち20人はphDと言ったように思う)。
フィルムのデータをゲームでも使うというレベルをはるかに超える統合でした。統合と言ってもピンと来ないかもしれませんが、例えばILMのシーンエディタとLucasArtsのレベルエディタを統合し、ILMが映画のシーンを制作するとき、Xbox 360でリアルタイム プレビューして、シーンを確認することができるようになっています。その他にもシェーダネットワークエディタ、地形編集、エフェクト作成、アニメーション、表情キャプチャ、クロス シミュレーションなども共有されているそうです。
さて、日本で20人ものphDを擁するR&Dを持つプロダクションは、フィルムにもゲームにもありません(もしあれば以前書いた研究者の就職先問題も少しは解決されるでしょうね)。確かに日本の映画の市場規模はハリウッドに比べ小さいのでしょうがないかもしれませんが、ゲームマーケットは決して桁違いに小さくはないので、ゲームプロダクションやパブリッシャーによる同様のアプローチは可能だと思うんですけどね。映画のリソースにあまり魅力がないという事情はありますが...
本文とはあまり関係ありませんが、SIGGRAPH 2007 Emerging Technology で展示されていた Microsoft Surface (左) と Interactive 360-degree Light Field Display (右) 。