Dynamics CRM 2011 : パフォーマンス : HTC サポートとドキュメントモード
みなさん、こんにちは。
今日は北米プレミアフィールドエンジニアチームブログより、Update Rollup 12
で提供されたオプションとそのパフォーマンスに関する情報をお届けします。
情報元 : Performance: Turn off HTC’s and IE Compat Mode mode with Dynamics CRM 2011
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Update Rollup 12 でクロスブラウザのサポートを始めたことにより、新しい
設定として HTC サポートとドキュメントモードの指定が行えるようになりました。
今回はそれらの設定とパフォーマンスの関係について紹介します。
HTC サポートについて
HTC サポートは Microsoft Dynamics CRM 4.0 のクライアントサイドスクリプト
モデルを利用している場合に必要ですが、既に全てのスクリプトが更新済み
の場合、こちらの設定を無効にすることで以下の効果があります。
- CRM 4.0 API に関連するコンポーネントの読み込みが減る
- 読み込みが減った分の処理が不要となる
私自身、全体的な応答のパフォーマンス向上が体感できました。
設定の場所とその内容
OrgDBOrgSetting | システム設定 | 内容 |
DisableIECompatMode | ページを Internet Explorer の最新バージョンで読み込む | この設定を有効にすることにより、Internet Explorer の互換性表示を無効にし、また HTML 5 が利用できるようになります。内部的には CRM はX-UA-Compatibile 応答ヘッダーを送信します。Update Rollup 14 時点では、ヘッダーの値として “IE=7;IE=8;IE=9;IE=10” が利用されます。チェックがない場合は、ブラウザが互換性の設定を判断します。 参考 URL |
IncludeHTC | Microsoft Dynamics CRM のフォームに HTC サポートを含める | この設定を有効にすることにより、Microsoft Dynamics CRM 4.0 JavaScript API をサポートするコンポーネントがフォームに含まれます。これは下位互換性のためのみ存在する設定です。スクリプトを Microsoft Dynamics CRM 2011 API を利用するように変更することで、設定を無効にできます。 参考 URL |
設定の変更方法
設定は UI または OrgDbOrgSettings ツールより変更が可能です。
1. ブラウザで Microsoft Dynamics CRM に接続し、設定 | 管理 | システム
設定 | カスタマイズタブより指定が可能です。
2. OrgDbOrgSettings ツールを利用して値の確認および変更が
可能です。 OrgDbOrgSettings ツールについては以下を参照してください。
Dynamics CRM 2011 用 OrgDBOrgSettings ツールの案内
Dynamics CRM 2011 用 OrgDBOrgSettings ツールで利用できるオプションの紹介
Dynamics CRM 2011 : OrgDBOrgSettings エディターの紹介
OrgDBOrgSetting 項目 | 推奨値* | 既定値 |
DisableIECompatMode | 有効 | 無効 (X-UA-Compatible ヘッダーを送らない) |
IncludeHTC** | 無効 | 有効 (HTC が含まれる) |
*Internet Explorer で最適な体験を得るための推奨値。ただしカスタマイズが
Microsoft Dynamics CRM 2011 API を利用するよう改修する必要がある。
** クロスブラウザのサポートを行うためには、この値は無効にする必要あり。
ただしこの設定によりクロスブラウザの制御をするべきではない。
推奨値を利用する利点
カスタマイズが正常に動作することを確認する必要があるが、Internet Explorer
が最新の機能を利用でき、パフォーマンスが最適化される。さらにクロスブラウザ
サポートが実現できます。
利用するブラウザを制限するには
推奨値を使用しつつ、利用するブラウザを利用したい場合は、こちらの記事を
参照してください。組織レベルでブラウザを制御する場合には、System Center
や Windows Intune の利用も検討してください。
その他の情報
JavaScript についてはこちらの記事を参照してください。この記事では各種
ベストプラクティスの紹介をしています。よくある問題としては非サポートの
スクリプトや以前のバージョンのスクリプトです。また iFrames や埋め込まれた
Web リソースからのスクリプトも問題となることが良くあります。
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まとめ
設定の変更はいずれにしてもテストと検証が必要ですが、パフォーマンスの
最適化のためにも、是非推奨設定を使うよう検討してください。
- Dynamics CRM サポート 中村 憲一郎