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結果を取得するためのアプリの起動

重要な API

別のアプリからアプリを起動し、2 つのアプリの間でデータを交換する方法について説明します。 これは、"結果を取得するためのアプリの起動" と呼ばれます。 この例では、LaunchUriForResultsAsync を使って、結果を取得するためのアプリの起動方法を示しています。

Windows 10 での新しいアプリ間通信 API により、各 Windows アプリ (および Windows Web アプリ) 間でのアプリの起動と、データおよびファイルの交換が可能になります。 このため、複数のアプリを基にマッシュアップ ソリューションを構築できます。 これらの新しい API を使うと、複数のアプリを使う必要のあった複雑な作業をシームレスに処理できるようになります。 たとえば、アプリでソーシャル ネットワーキング アプリを起動して連絡先を選んだり、チェックアウト アプリを起動して支払処理を実行したりすることができます。

結果を得るために起動するアプリは、起動されたアプリと呼ばれます。 アプリを起動するアプリは、呼び出し元アプリと呼ばれます。 この例では、呼び出し元アプリと、起動されたアプリの両方を記述します。

手順 1: 結果を取得するために起動するアプリで処理されるプロトコルを登録する

起動アプリの Package.appxmanifest ファイルで、プロトコル拡張機能を <Application> セクションに追加します。 この例では、test-app2app という名前の架空プロトコルを使います。

プロトコル拡張機能の ReturnResults 属性に指定できる値は、次の 3 つのうちいずれかです。

  • optional—結果を取得するためにアプリを起動する場合は、LaunchUriForResultsAsync メソッドを使います。結果を取得しない場合は、LaunchUriAsync を使います。 optional を使うとき、起動アプリでは、結果を取得するためにアプリが起動されたかどうかを判別する必要があります。 これを行うには、OnActivated イベント引数を調べます。 引数の IActivatedEventArgs.Kind プロパティが ActivationKind.ProtocolForResults を返した場合、またはイベント引数の型が ProtocolActivatedEventArgs である場合は、アプリが LaunchUriForResultsAsync を介して起動されます。
  • always—アプリは、結果を取得するためにのみ起動することができます。つまり、LaunchUriForResultsAsync に対してのみ応答できます。
  • none—アプリは、結果を取得するために起動することはできません。LaunchUriAsync に対してのみ応答できます。

次のプロトコル拡張機能の例では、アプリは結果を取得するためにのみ起動することができます。 以下で説明するように、この例では、OnActivated メソッド内部のロジックが簡素化されます。これは、"結果を取得するために起動する" ケースのみを処理し、アプリをアクティブ化する他の方法を処理する必要がないためです。

<Applications>
   <Application ...>

     <Extensions>
       <uap:Extension Category="windows.protocol">
         <uap:Protocol Name="test-app2app" ReturnResults="always">
           <uap:DisplayName>Test app-2-app</uap:DisplayName>
         </uap:Protocol>
       </uap:Extension>
     </Extensions>

   </Application>
</Applications>

手順 2: 結果を取得するために起動するアプリで Application.OnActivated をオーバーライドする

このメソッドが起動アプリにまだ存在しない場合は、App.xaml.cs で定義されている App クラス内に作成します。

ソーシャル ネットワークで友だちを選ぶことができるアプリでは、この関数によって友だちを選ぶためのページを開くことができます。 次の例では、LaunchedForResultsPage という名前のページが、結果を取得するためにアプリがアクティブ化されたときに表示されます。 ファイルの先頭に、次の using ステートメントが含まれていることを確認します。

using Windows.ApplicationModel.Activation;
...
protected override void OnActivated(IActivatedEventArgs args)
{
    // Window management
    Frame rootFrame = Window.Current.Content as Frame;
    if (rootFrame == null)
    {
        rootFrame = new Frame();
        Window.Current.Content = rootFrame;
    }

    // Code specific to launch for results
    var protocolForResultsArgs = (ProtocolForResultsActivatedEventArgs)args;
    // Open the page that we created to handle activation for results.
    rootFrame.Navigate(typeof(LaunchedForResultsPage), protocolForResultsArgs);

    // Ensure the current window is active.
    Window.Current.Activate();
}
using namespace winrt::Windows::ApplicationModel::Activation;
...
protected override void OnActivated(IActivatedEventArgs args)
{
    // Window management
    Frame rootFrame{ nullptr };
    auto content = Window::Current().Content();
    if (content)
    {
        rootFrame = content.try_as<Frame>();
    }
    
    if (rootFrame == null)
    {
        rootFrame = Frame();
        Window::Current().Content(rootFrame);
    }

    // Code specific to launch for results
    auto protocolForResultsEventArgs{ args.as<ProtocolForResultsActivatedEventArgs>() };
    // Open the page that we created to handle activation for results.
    rootFrame.Navigate(xaml_typename<LaunchedForResultsPage>(), protocolForResultsArgs);

    // Ensure the current window is active.
    Window::Current().Activate();
}

Package.appxmanifest ファイル内のプロトコル拡張機能では ReturnResultsalways と指定されているため、上記のコードでは argsProtocolForResultsActivatedEventArgs に直接キャストすることができます。このとき、ProtocolForResultsActivatedEventArgs のみが、このアプリの OnActivated に送信されます。 結果を取得するための起動以外の方法でアプリがアクティブ化される可能性がある場合は、結果を取得するためにアプリが起動されたかどうかを判別するために IActivatedEventArgs.Kind プロパティが ActivationKind.ProtocolForResults を返すかどうかを確認してください。

手順 3: 結果を取得するために起動するアプリに ProtocolForResultsOperation フィールドを追加する

private Windows.System.ProtocolForResultsOperation _operation = null;
Windows::System::ProtocolForResultsOperation _operation = nullptr;

ProtocolForResultsOperation フィールドを使うと、起動されたアプリが呼び出し元のアプリに結果を返すことができるようになった場合に、そのタイミングを通知することができます。 この例では、このフィールドは LaunchedForResultsPage クラスに追加されます。これは、結果を取得するための起動処理をそのページから実行し、そのページにアクセスする必要があるためです。

手順 4: 結果を取得するために起動するアプリで OnNavigatedTo() をオーバーライドする

結果を取得するためにアプリを起動するときに表示するページで、OnNavigatedTo メソッドをオーバーライドします。 このメソッドがまだ存在しない場合は、<ページ名>.xaml.cs で定義されているページのクラス内に作成します。 ファイルの先頭に、次の using ステートメントが含まれていることを確認します。

using Windows.ApplicationModel.Activation
using namespace winrt::Windows::ApplicationModel::Activation;

OnNavigatedTo メソッド内の NavigationEventArgs オブジェクトには、呼び出し元アプリから渡されたデータが含まれます。 データは最大で 100 KB になります。また、データは ValueSet オブジェクトに格納されます。

次のコード例では、起動されたアプリは、呼び出し元のアプリから送信されたデータが TestData というキーで ValueSet に格納されていることを想定しています。これは、サンプルの呼び出し元アプリで、データを送信するためにそのようにコード化されているためです。

using Windows.ApplicationModel.Activation;
...
protected override void OnNavigatedTo(NavigationEventArgs e)
{
    var protocolForResultsArgs = e.Parameter as ProtocolForResultsActivatedEventArgs;
    // Set the ProtocolForResultsOperation field.
    _operation = protocolForResultsArgs.ProtocolForResultsOperation;

    if (protocolForResultsArgs.Data.ContainsKey("TestData"))
    {
        string dataFromCaller = protocolForResultsArgs.Data["TestData"] as string;
    }
}
...
private Windows.System.ProtocolForResultsOperation _operation = null;
using namespace winrt::Windows::ApplicationModel::Activation;
...
protected override void OnNavigatedTo(NavigationEventArgs e)
{
    auto protocolForResultsArgs = e.Parameter().try_as<ProtocolForResultsActivatedEventArgs>();
    // Set the ProtocolForResultsOperation field.
    _operation = protocolForResultsArgs.ProtocolForResultsOperation();

    if (protocolForResultsArgs.Data().HasKey("TestData"))
    {
        string dataFromCaller{ unbox_value<hstring>(protocolForResultsArgs.Data().Lookup("TestData")) };
    }
}
...
Windows::System::ProtocolForResultsOperation _operation = nullptr;

手順 5: 呼び出し元のアプリにデータを返すコードを記述する

起動アプリで、ProtocolForResultsOperation を使って呼び出し元のアプリにデータを返します。 次のコード例では、呼び出し元のアプリに返す値を格納する ValueSet オブジェクトが作成されます。 その後で、ProtocolForResultsOperation フィールドを使って、呼び出し元のアプリに値を送信します。

    ValueSet result = new ValueSet();
    result["ReturnedData"] = "The returned result";
    _operation.ReportCompleted(result);
    ValueSet result;
    result.Insert("ReturnedData", "The returned result");
    _operation.ReportCompleted(result);

手順 6: 結果を取得するためにアプリを起動し、返されたデータを取得するコードを記述する

次のコード例に示すように、呼び出し元のアプリの非同期メソッド内で、アプリを起動します。 using ステートメントは、コードをコンパイルするために必要となります。

using System.Threading.Tasks;
using Windows.System;
...

async Task<string> LaunchAppForResults()
{
    var testAppUri = new Uri("test-app2app:"); // The protocol handled by the launched app
    var options = new LauncherOptions();
    options.TargetApplicationPackageFamilyName = "67d987e1-e842-4229-9f7c-98cf13b5da45_yd7nk54bq29ra";

    var inputData = new ValueSet();
    inputData["TestData"] = "Test data";

    string theResult = "";
    LaunchUriResult result = await Windows.System.Launcher.LaunchUriForResultsAsync(testAppUri, options, inputData);
    if (result.Status == LaunchUriStatus.Success &&
        result.Result != null &&
        result.Result.ContainsKey("ReturnedData"))
    {
        ValueSet theValues = result.Result;
        theResult = theValues["ReturnedData"] as string;
    }
    return theResult;
}

この例では、キー TestData を含んでいる ValueSet が、起動アプリに渡されます。 起動アプリは、ReturnedData という名前のキーを持つ ValueSet を作成します。これには、呼び出し元に返される結果が含まれています。

結果を取得するために起動するアプリは、呼び出し元アプリを実行する前にビルドし、展開する必要があります。 このように操作しないと、LaunchUriResult.StatusLaunchUriStatus.AppUnavailable を報告します。

TargetApplicationPackageFamilyName を設定するときは、起動アプリのファミリ名が必要です。 ファミリ名を取得する方法の 1 つは、起動アプリ内から、次の呼び出しを行うことです。

string familyName = Windows.ApplicationModel.Package.Current.Id.FamilyName;

注釈

この方法の例については、結果を取得するためのアプリの起動の概要を説明した "hello world" アプリをご覧ください。 重要な注意点は、新しい LaunchUriForResultsAsync API を使うと、アプリを非同期的に起動し、ValueSet クラスを使って通信できるようになることです。 ValueSet を使って渡すデータは、100 KB に制限されます。 より多くのデータを渡す必要がある場合は、アプリ間で渡すことができるファイル トークンを作成するための、SharedStorageAccessManager クラスを使ってファイルを共有することができます。 たとえば、inputData という名前の ValueSet を指定し、起動アプリと共有するファイルのトークンを格納できます。

inputData["ImageFileToken"] = SharedStorageAccessManager.AddFile(myFile);

その後で、LaunchUriForResultsAsync を使って、トークンを起動アプリに渡します。