Mixed Reality アプリの種類
Windows Mixed Reality 用アプリを開発する利点の 1 つは、プラットフォームでサポートできるエクスペリエンスの範囲の広さです。 完全にイマーシブな仮想環境から、ユーザーの現在の環境に重ねて表示されるちょっとした情報まで、Windows Mixed Reality では、エクスペリエンスを実現するための堅牢な一連のツールが提供されています。 アプリ開発者は、目的とするエクスペリエンスがこの範囲のどこに位置するかを開発プロセスの早い段階で把握することが大切です。 最終的にその判断が、アプリ設計の枠組みと開発の技術的な道筋の両方に影響を及ぼすことになります。
拡張環境アプリ (HoloLens のみ)
Mixed Reality によってもたらされる価値の最も大きな点として、ユーザーの今いる環境の中にデジタル情報やデジタル コンテンツを開発者が配置できることが挙げられます。 コンテキストに沿って現実世界にデジタル コンテンツを置くことが最も重要で、かつ、そのエクスペリエンスの中でもユーザーの現実世界の環境の "存在" が不可欠であるようなアプリで、このアプローチは支持されています。 また、ユーザーは、現実世界のデジタル タスクの間を簡単に行き来できます。 このことによってユーザーは、目の前の Mixed Reality アプリが紛れもなく自分の環境の一部であると、より強く確信することになります。
拡張環境アプリ
使用例
- メモを作成して自分の環境に配置できる Mixed Reality のメモ帳スタイル アプリ
- 快適な視聴空間に配置できる Mixed Reality テレビ アプリ
- アイランド キッチンの上に配置することで料理をサポートしてくれる Mixed Reality の料理アプリ
- "透視" の感覚をユーザーに与える (つまり、現実世界のオブジェクトの上にホログラムを配置し、それを模倣しながら、その "内部" をホログラムでユーザーに見せる) Mixed Reality アプリ
- Mixed Reality による注釈を工場のいたるところに配置して、作業者に必要な情報を提供する
- Mixed Reality によるオフィス空間の案内
- Mixed Reality の卓上エクスペリエンス (ボード ゲーム スタイルのエクスペリエンス)
- Skype のような Mixed Reality の通信アプリ
混合環境アプリ
Windows Mixed Reality はユーザーの環境を認識してマッピングする機能を備えているため、ユーザーの空間にオーバーレイできるデジタル レイヤーを作成できます。 シン レイヤーではユーザーの環境の形状と境界が尊重されますが、アプリでユーザーを没入させることに適した特定の要素を変換することをアプリは選択できます。 これを混合環境アプリといいます。 拡張環境アプリとは異なり、混合環境アプリが環境について考慮するのは、その外見を利用してユーザーに特定の行動を促したり (移動や探索を促すなど)、要素を置き換えて変化を与えたり (キッチン カウンターを別のタイル パターンで覆うなど) する範囲に留まります。 この種のエクスペリエンスでは、要素がまったく異なるオブジェクトに変換されることもありますが、オブジェクトのおおよそのサイズは、そのベースが維持されます (アイランド キッチンが、犯罪スリラー ゲームの廃棄物コンテナーに変換されるなど)。
混合環境アプリ
使用例
- 壁面、調理台、床の色や模様を塗り替えることができる、Mixed Reality によるインテリア デザイン アプリ
- 自動車のデザイナーが、モデル チェンジを予定している車で既存の車の上に新しいデザインを重ねることができる Mixed Reality アプリ
- 子供向けのゲームで、ベッドを Mixed Reality のフルーツ スタンドで "覆って" 差し替える
- 犯罪スリラー ゲームで、机を Mixed Reality の廃棄物コンテナーで "覆って" 差し替える
- つり下げられた灯篭を、形状とサイズがほぼ同じ道路標識で "覆って" 差し替える
- 現実世界またはイマーシブな世界の壁に穴を開けて魔法の世界をのぞくことができるアプリ
イマーシブ環境アプリ
イマーシブ環境アプリの要となるのは、ユーザーの現実世界を完全に変更し、異なる時空にそれを配置できる環境です。 こうした環境はリアルに感じられるので、アプリ作成者の想像力が及ぶ限りのイマーシブでスリリングなエクスペリエンスが実現します。 イマーシブ環境アプリは、混合環境アプリとは異なり、Windows Mixed Reality によってユーザーの空間が認識されると、ユーザーの現在の環境を完全に無視して、すべて独自の環境に置き換えます。 これらのエクスペリエンスでは、時間と空間を切り離すこともできます。つまり、イマーシブなエクスペリエンスでは、ユーザーは現実世界の空間でじっとしたまま、ローマの通りを歩くこともできます。 イマーシブ環境アプリでは、現実世界の環境におけるコンテキストは重要ではありません。
イマーシブ環境アプリ
使用例
- ユーザーが現実とは異なる空間を見て回る (有名な建物や博物館、人気のある街を歩き回る) ことができるイマーシブ アプリ
- ユーザーの周囲でイベントやシナリオ (戦闘や演奏など) を演出するイマーシブ アプリ