高精度タッチ テスト ツールの使用方法
高精度タッチ テスト ツール (PT3) は、高性能なタッチ デジタイザーを Windows 8 の Windows Hardware Lab Kit のタッチ テストに照らし合わせてテストする多機能ツールです。 これは、人間の操作精度では到達できないパフォーマンス レベルで動作させることができます。 定義されたポイントを正確にタップし、素早く再調整し、同時に最大 5 本の直線を完璧にトレースし、固定半径のカーブを描き、隣接する接地間の距離を調整することが可能です。
PT3 はこれらすべてのタスクを適切に実行しますが、この機能の高さをもってしても、作業が簡単になるわけではありません。 PT3 を使いこなすには、練習と準備が必要です。
用語と向きを示す図
次の図は、このトピックで参照されている PT3 の用語と向きを示しています。
図 1: X 軸
図 2: Y 軸
図 3: Z 軸
図 4: R1 軸
図 5: R2 軸
図 6: キャリッジのアクチュエータ
さらに:
R2 軸は、ベース プレートとも呼ばれます。
R1 軸は、回転ステージとも呼ばれます。
DUT は、Device Under Test (テスト対象のデバイス) を意味します。
アクチュエータとは、画面にタッチするための指のようなモジュールです。 図 6 には、5 つのアクチュエータが示されています。
キャリッジは、アクチュエーターを固定する金属製の部品です。 図 6 に示します。
基本的な使用方法
DUT をハウジングに配置する
PT3 には、DUT をハウジングに固定するためのロックが 4 つあります。 画面の中心がベース プレートと同心になるようにデバイスを配置することをお勧めします。これにより、多くの場合で位置合わせが容易になります。 簡単に行えるよう、プレートには目盛りが描かれています。 ベース プレートの中央にある隙間の直径は、3 cm です。
0° の位置でデバイスがテスターに向くように配置することをお勧めします。
アクチュエータの位置決めと接触
アクチュエータ ハウジングは、ベース プレートの平面上で水平方向および垂直方向に、ベース プレートの垂直方向で上下方向に (Z 軸)、およびベース プレートの平面上で回転方向に、という 4 軸で自由に動かすことができます。
X 軸、Y 軸方向の動きは、図 1、2 のようにレールにあるロックで制限することができます。 回転の動きは、アクチュエータ ハウジングの側面にあるノブをオンにすることで制限できます (図 5 を参照)。
アクチュエータ ハウジングの上部にある赤いレバーを使い、アクチュエータを Z 軸方向に移動させることで、アクチュエータを画面に接触させることができます。 キャリッジに 5 つのアクチュエータを設置した場合、アクチュエータのバランスはバネによって保たれ、浮いた状態を維持できるようになっています。
Windows Hardware Lab Kit (Windows HLK) テストのユーザー インターフェイス (UI) には、正確に照準を合わせるためのアフォーダンスが用意されています。 各ターゲットは、一組の同心円の中にある十字線として表示されます。 内側の円は緑色または黄色で、直径 9mm、外側の円は直径 10mm です。 できるだけ内側の円に収まるようにアクチュエータの位置を決めます。 十字線をガイドとして使用し、アクチュエータの中心をさらにターゲットの中心に近づけます。
線をなぞる
直線の動きは、X 軸と回転ステージを固定し、Y 軸に沿って行うのが一般的です。 これが、最も扱いやすい方法です。 位置合わせは一般的に次のように行います。
回転ステージを 0° でロックします。
アクチュエータ ハウジングを X 軸に沿って移動させ、開始ターゲット (緑色) 上に配置します。
ベース プレートを回転させ、画面上の線と Y 軸を大まかに合わせます。
アクチュエータを画面に接触させずに、画面上の線を終点の黄色いターゲットまでなぞります。 微調整ノブを使用して、位置を調整します。
緑色のターゲットの中心から黄色のターゲットの中心まで線をなぞることができるようになるまで、手順 2 から 4 を繰り返します。
ショートカット
以下の条件を満たす場合、アクチュエータの位置合わせにかかる時間を大幅に短縮することができます。
画面が長方形である。
デバイスの隣接する辺の角が 90° である。
この場合、回転ステージ (R2) を 0° でロックし、R1 軸を状況に応じて 0°、90°、180°、270° に配置するだけで、水平および垂直方向のすべての位置合わせを R1 軸で行うことができます。画面がデバイスの中央にあり、デバイス自体が PT3 の中央にある場合、回転ステージの 45° の角度を使って斜めの位置合わせを行うことができます。
曲線をなぞる
曲線は、R2 軸または回転ステージの動きを使用してなぞります。 キャリッジの中心にはわかりやすい印が付いているため、さまざまな半径の円を素早く構成することができます。 テストでは、1.2 cm、3 cm、3.2 cm の 3 つの半径を使用しています。
曲線をなぞるには、まず、動きの開始点の上に位置を合わせます。 次に、ロック スイッチを使用して X 軸と Y 軸の動きをロックします。 最後に、アクチュエータ ハウジングに取り付けられているハンドルを使って、キャリッジの中心を軸に回転させます。
アクチュエータを調整する
アクチュエータは、磁石でキャリッジに固定されています。 アクチュエータを追加するには、キャリッジの下側にある凹んだ部分に、アクチュエータをカチッと音がするよう配置するだけです。 アクチュエータを取り外すには、アクチュエータが外れるまで傾けてから、キャリッジから下に引き抜きます。
アクチュエータの位置は、キャリッジにある目盛りを使って 1 ミリ単位で設定できます。 たとえば、水平および垂直方向での入力の分離テストを行うために、5 つの各接点の中心間の距離を 13mm に設定することなどができます。
テストを実行する
3 つのテスト ジョブを成功させるには、精密工具を使用する必要があります (ただし、テスト ジョブ内のすべてのケースにおいて、必ずしも精密工具が必要になるわけではありません)。 このセクションでは、PT3 を使用してこれらのテスト ジョブに合格するための方法について説明します。
デジタイザーのジッター
静止 (単一点)
Configuration:
アクチュエータ 1 つ
ロックした回転ステージ
これらのテスト ケースを実行するには、アクチュエータを緑色のエリア上に配置し、X 軸と Y 軸の両方をロックします。 その後、レバーを引いて画面に接触させ、1 秒以上接触したままにします。 テストが完了するまで、各ターゲットに対してこれを繰り返します。
静止 (複数点)
Configuration:
アクチュエータ 5 つ
隣接するアクチュエータ間の距離を最低でも 20 mm 空ける
ロックした回転ステージ
このテストを実行するには、すべてのアクチュエータを緑色のエリア上に配置し、X 軸と Y 軸の両方をロックします。 次に、レバーを引いて画面に接触させ、15 秒以上接触したままにします。 テストが完了するまで、各ターゲットに対してこれを繰り返します。 アクチュエータを早く接触させると、スクリーン上で跳ねてしまい、エラーの原因となりますのでご注意ください。 アクチュエータはゆっくりと降ろし、15 秒以上接触させることをお勧めします。
移動 (単一点)
Configuration:
アクチュエータ 1 つ
ロックした回転ステージ
これには、水平、垂直、斜め (左から右)、斜め (右から左) の 4 種類のケースがあります。 各ケースは、同じように実行されます。
まず、このトピックの「基本的な使用方法」の説明に従って、画面上に表示された線に動きを合わせます。 アクチュエータを緑色のターゲットの上に配置し、アクチュエータの接触部分が緑色のエリアの中に入るようにします。 同心円と十字線をガイドとして使用します。 緑色のターゲットの中心でアクチュエータを画面に接触させ、黄色のターゲットの中心までドラッグします。 速度に下限や上限はありません。
移動 (複数点)
Configuration:
アクチュエータ 5 つ
隣接するアクチュエータ間の距離を最低でも 20 mm 空ける
ロックした回転ステージ
これには、水平、垂直、斜め (左から右)、斜め (右から左) の 4 種類のケースがあります。 各ケースは、同じように実行されます。
まず、このドキュメントの「基本的な使用方法」の説明に従って、画面上に表示された線に動きを合わせます。 アクチュエータを緑色のターゲットの上に配置し、各アクチュエータの接触部分が、それぞれ対応しているターゲットの緑色のエリアの中に入るようにします。 同心円と十字線をガイドとして使用します。 緑色の各ターゲットの中心で各アクチュエータを画面に接触させ、黄色の各ターゲットの中心までドラッグします。 速度に下限や上限はありません。
Note
重要なのは、R2 軸を 0° の位置にロックしておくことです。そうしないと、アクチュエータをターゲットに合わせることが難しくなります。
放射状
Configuration:
2 つのアクチュエータ
各アクチュエータをキャリッジの中心から 3cm のところに配置
ロックが解除された回転ステージ
このテストは、画面の左側をカバーする領域と、画面の右側をカバーする領域の 2 つに分かれています。
まず、2 つのアクチュエータを中心から 5cm の距離でキャリッジに固定します。 各アクチュエータを緑色のターゲットの上に配置し、中央に配置されていることを確認します。 次に、画面に表示されている線が示す方向に、端点に到達するまで回転します。
Note
デバイスの短辺がテスターに向くようにベース プレートを回転させる (一般的には、ベース プレートを 90° または 270° の位置に配置) と、アクチュエータの位置合わせと動作の実行が簡単になります。
放射状 (内側向き)
Configuration:
2 つのアクチュエータ
中心から 1.2cm のところに 1 つのアクチュエータ、中心から 3.2cm のところにもう 1 つのアクチュエータ
ロックが解除された回転ステージ
このテストは、画面の左側をカバーする領域と、画面の右側をカバーする領域の 2 つに分かれています。
このテストを行うには、キャリッジに 2 つのアクチュエータを取り付け、それぞれを中央の片側に配置します。 内側の半円の半径は 1.2cm で、外側の半円の半径は 3.2cm です。放射状テストと同様に、動きを開始する前にソフトウェアが示す方向に注意してください。
移動して静止
Configuration:
アクチュエータ 1 つ
ロックした回転ステージ
テストを実行するには、緑色のターゲットから黄色のターゲットまで直線でなぞり、黄色のターゲットで 5 秒以上静止します。
入力の分離
垂直/水平
Configuration:
アクチュエータ 5 つ
間の距離が 13 mm に設定された 4 つのアクチュエータ
5 番目のアクチュエータと隣接するアクチュエータの距離は 24 mm に設定
ロックした回転ステージ
アクチュエータを調整して、最初の 4 つの間の距離がそれぞれ 13 mm になるようにします。 右端にある最後のアクチュエータを、隣接するアクチュエータから 24mm 離して固定します。 ここからは、移動 (複数点) テストの指示に従います。
Diagonal
Configuration:
アクチュエータ 5 つ
各アクチュエータは、隣接する両方のアクチュエータから 15 mm 離す
ロックした回転ステージ
移動 (複数点) テストの指示に従います。
集合
Configuration:
集合アタッチメントをキャリッジに固定
ロックした回転ステージ
このテストの 4 つのケースは、配置以外はすべて同じです。
このテストを実行するには、2 つの開始点の中心になるよう、2 つのアクチュエータをハウジングにセットします。 接点が滑って広がらないよう、ロックが用意されています。 次に、アクチュエータを画面にしっかり接触するまで下げてから、すぐに中央の位置に集合させます。 その後、アクチュエータを即座に持ち上げます。 アタッチメントは、アクチュエータの中心から中心までの距離が 12 mm になるように設計されています。
Note
最初のアクチュエータが画面に触れてから 5 秒以内に一連の動きを実行する必要があります。
入力の分離
垂直/水平
Configuration:
アクチュエータ 5 つ
間の距離が 13 mm に設定された 4 つのアクチュエータ
5 番目のアクチュエータと隣接するアクチュエータの距離は 24 mm に設定
ロックした回転ステージ
アクチュエータを調整して、最初の 4 つのアクチュエータ間の距離がそれぞれ 13 mm になるようにします。 右端にある最後のアクチュエータを、隣接するアクチュエータから 24mm 離して固定します。 ここからは、移動 (複数点) テストの指示に従います。
Diagonal
Configuration:
アクチュエータ 5 つ
各アクチュエータは、隣接する両方のアクチュエータから 15 mm 離す
ロックした回転ステージ
移動 (複数点) テストの指示に従います。
集合
Configuration:
集合アタッチメントをキャリッジに固定
ロックした回転ステージ
このテストの 4 つのケースは、配置以外はすべて同じです。
このテストを実行するには、2 つの開始点の中心になるよう、2 つのアクチュエータをハウジングにセットします。 接点が滑って広がらないよう、ロックが用意されています。 次に、アクチュエータを画面にしっかり接触するまで下げてから、すぐに中央の位置に集合させます。 その後、アクチュエータを即座に持ち上げます。 アタッチメントは、アクチュエータの中心から中心までの距離が 12 mm になるように設計されています。
Note
最初のアクチュエータが画面に触れてから 5 秒以内に一連の動きを実行する必要があります。
物理入力位置
精度
Configuration:
アクチュエータ 1 つ
ロックした回転ステージ
このテストは、アクチュエータの位置決めと接触に関するセクションに記載されている情報があれば実施することができますが、以下の情報もぜひご参考ください。
このテストは、ツールのロック機構を利用するために分割されています。 アクチュエータ ハウジングを X 軸に沿ってスライドして各ターゲット上に配置できるよう、各エッジ テスト時に Y 軸をロックすることを意図しています。
タップを行う場合の推奨される方法は、アクチュエータの位置決めと接触に関するセクションの手順のとおりです。ただし、レバーは画面上から少し (約 1 cm) 浮かせるためにのみ使用し、Z 軸に沿って動かす際はアクチュエータの上部をタップして行います。 この動きはアクチュエータで想定されているため、適度な強さで叩くとバネによって画面上の所定の位置まで戻してくれます。 適切なバランスを見つけるには多少の練習が必要ですが、テストを行うためにレバーを使用して接触させるよりも素早く行うことができます。
Z 軸の許容値
Configuration:
- アクチュエータ 5 つ
このテストを行うには、画面と最も近いアクチュエータの間の隙間が 1 mm になるまで、アクチュエータを下ろします。 テストの間は、この距離を維持したまま、アクチュエータを浮かせておきます。
タップを行う場合の推奨される方法は、アクチュエータの位置決めと接触に関するセクションの手順のとおりです。ただし、レバーは画面上から少し (約 1 cm) 浮かせるためにのみ使用し、Z 軸に沿って動かす際はアクチュエータの上部をタップして行います。 この動きはアクチュエータで想定されているため、適度な強さで叩くとバネによって画面上の所定の位置まで戻してくれます。 適切なバランスを見つけるには多少の練習が必要ですが、テストを行うためにレバーを使用して接触させるよりも素早く行うことができます。
ITRI PT3 デバイスのその他の手順
機器 :
X/Y/Z の移動メカニズムが備わっている ITRI PT3
X、Y、Z ケーブル、USB-RS232C ケーブル
CCD カメラと USB ケーブル
電源コード
TouchWhere のインストール CD とソフトウェア
3 軸ディスプレイ
カメラ ソフトウェアを実行して表示するためのコンピューターも必要です。
図 7: ITRI が製造した大規模な PT3
設置
PT3 から X、Y、Z ケーブルを 3 軸ディスプレイに接続します。
3 軸ディスプレイと CCD カメラ ケーブルを USB RS232C ケーブルで接続します
USB アダプターをコンピューターに接続し、USB ドライバーをインストールします
TouchWhere ソフトウェアをインストールします
コンピューターに CCD ドライバーをインストールします
調整
TouchWhere ソフトウェアおよび touch_all.exe を実行します。 コンピューターと CCD カメラが接続されていることを示す緑色の点が画面の左下に表示されていることを確認します。 点が赤い場合は、カメラとコンピューターが通信できていないことを示します。
Configuration (構成) タブで、3 軸ディスプレイの X と Y の値、およびカメラが接続されている COM ポートを入力します。
Calibration (調整) タブで、PT3 のテスト フィンガーをページに表示されている緑色の円に合わせ、[Start point](開始点) をクリックします。 黄色の円にも同じように合わせ、[End point](終了点) をクリックします。 次に、[Run calibration](調整の実行) をクリックします。 すべてのテストでテスト フィンガーの位置を合わせたら、X と Y のオフセットができるだけ 0 に近くなるようにフィンガーを移動させます。
図 8: DUT とカメラの調整方法を示している TouchWhere ソフトウェア
重要
PT3 のベース プレートにテスト対象のデバイスを乗せる際は、水平になっていることを確認してください。