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Windows ドライバーでの拡張プロセッサ機能の使用

最終更新日

  • 2016 年 7 月

拡張プロセッサ機能を使用する x86 および x64 システムの Windows ドライバーは、レジスタを使用している可能性がある同時実行アプリケーションでエラーが発生しないよう、KeSaveExtendedProcessorStateKeRestoreExtendedProcessorState の呼び出しの間で浮動小数点計算をラップする必要があります。

レガシ MMX/x87 レジスタ

これらのレジスタは、XSTATE_MASK_LEGACY_FLOATING_POINT マスクに対応しており、x64 システムのドライバーでは使用できません。 これらのレジスタについて詳しくは、「WDM ドライバーでの浮動小数点の使用」をご覧ください。

SSE レジスタ

これらのレジスタは、XSTATE_MASK_LEGACY_SSE フラグに対応しており、x64 コンパイラによって浮動小数点演算に使用されます。 これらのレジスタを使用する x86 システムのドライバーは、KeSaveExtendedProcessorState の呼び出しで XSTATE_MASK_LEGACY または XSTATE_MASK_LEGACY_SSE フラグを渡して使用する前に保存する必要があります。完了したら、KeRestoreExtendedProcessorState を使用して復元します。 これは x64 システムでは不要ですが、問題を引き起こすことはありません。 これらのレジスタについて詳しくは、「WDM ドライバーでの浮動小数点の使用」をご覧ください。

AVX レジスタ

これらのレジスタは、XSTATE_MASK_GSSE または XSTATE_MASK_AVX マスクに対応しています。 Intel Sandy Bridge (旧 Gesher) プロセッサなどの新しい x86 プロセッサは、AVX 命令とレジスタ セット (YMM0-YMM15) をサポートしています。 Windows 7 Service Pack 1 (SP1)、Windows Server 2008 R2、および新しいバージョンの Windows の場合、x86 と x64 の両方のバージョンのオペレーティング システムにおいて、スレッド (およびプロセス) スイッチ間で AVX レジスタが保持されます。 AVX レジスタをカーネル モードで使用するには、ドライバー (x86 および x64) が AVX レジスタを明示的に保存して復元する必要があります。 割り込みサービス ルーチンで AVX レジスタを使用することはできず、算術例外は既定でオフになっています。

include ksamd64.inc

        subttl "Set YMM State."
;++
;
; Routine Description:
;   
;   This routine loads the first four YMM registers with the state supplied.
;
; Arguments;
;
;   rcx - Supplies a pointer to the values we want to load.
;
; Return Value:
;
;   None
;
;--

LEAF_ENTRY SetYmmValues, _TEXT$00

        vmovdqa    ymm0,  ymmword ptr[rcx + 0]
        vmovdqa    ymm1,  ymmword ptr[rcx + 32]
        vmovdqa    ymm2,  ymmword ptr[rcx + 64]
        vmovdqa    ymm3,  ymmword ptr[rcx + 96]

        ret

LEAF_END SetYmmValues, _TEXT$00

        end
typedef DECLSPEC_ALIGN(32) struct _YMM_REGISTERS {
    ULONG64 Ymm4Registers[16];
} YMM_REGISTERS, *PYMM_REGISTERS;

VOID
FASTCALL
SetYmmValues(
    __in PYMM_REGISTERS YmmRegisterValues
    );

NTSTATUS
DriverEntry (
    __in PDRIVER_OBJECT DriverObject,
    __in PUNICODE_STRING RegistryPath
    )
{

    NTSTATUS Status;
    XSTATE_SAVE SaveState;
    ULONG64 EnabledFeatures;

    //
    // Load the first 4 YMM registers as 4 vectors of 4 64-bit integers.
    //

    YMM_REGISTERS RegisterValues = { 0, 1, 2, 3,        // YMM0
                                     4, 5, 6, 7,        // YMM1
                                     8, 9, 10, 11,      // YMM2
                                     12, 13, 14, 15 };  // YMM3

    //
    // Check to see if AVX is available. Bail if it is not.
    //

    EnabledFeatures = RtlGetEnabledExtendedFeatures(-1);
    if ((EnabledFeatures & XSTATE_MASK_GSSE) == 0) {
        Status = STATUS_FAILED_DRIVER_ENTRY;
        goto exit;
    }

    Status = KeSaveExtendedProcessorState(XSTATE_MASK_GSSE, &SaveState);

    if (!NT_SUCCESS(Status)) {
        goto exit;
    }

    __try {
        SetYmmValues(&RegisterValues);
    }
    __finally {
        KeRestoreExtendedProcessorState(&SaveState);
    }

exit:
    return Status;
}

KeSaveExtendedProcessorState
KeRestoreExtendedProcessorState
WDM ドライバーでの浮動小数点の使用