タスクのバッチの項目メタデータ
MSBuild には、項目メタデータに基づき、項目リストをさまざまなカテゴリまたはバッチに分割し、各バッチで一度に 1 つのタスクを実行する機能があります。 厳密にどの項目がどのバッチで渡されるのかは少々複雑です。 このトピックでは、バッチ処理を伴う一般的なシナリオについて説明します。
1 つの項目リストをバッチに分割する
複数の項目リストをバッチに分割する
一度に 1 つの項目をバッチ処理する
項目リストをフィルター処理する
MSBuild でのバッチ処理については、バッチ処理に関する記事をご覧ください。
1 つの項目リストをバッチに分割する
バッチ処理では、項目メタデータに基づいて 1 つの項目リストを複数のバッチに分割し、各バッチを 1 つのタスクに個別に渡すことができます。 サテライト アセンブリのビルドに便利です。
次の例は、項目メタデータに基づいて 1 つの項目リストをバッチに分割する方法を示しています。 ExampColl
項目リストが Number
項目メタデータに基づいて 3 つのバッチに分割されます。 Text
属性に %(ExampColl.Number)
があることで、バッチ処理を実行する必要があることが MSBuild に通知されます。 ExampColl
項目リストは Number
メタデータに基づいて 3 つのバッチに分割され、各バッチが個別にタスクに渡されます。
<Project
xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/msbuild/2003">
<ItemGroup>
<ExampColl Include="Item1">
<Number>1</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item2">
<Number>2</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item3">
<Number>3</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item4">
<Number>1</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item5">
<Number>2</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item6">
<Number>3</Number>
</ExampColl>
</ItemGroup>
<Target Name="ShowMessage">
<Message
Text = "Number: %(ExampColl.Number) -- Items in ExampColl: @(ExampColl)"/>
</Target>
</Project>
Message タスク には、次の情報が表示されます。
Number: 1 -- Items in ExampColl: Item1;Item4
Number: 2 -- Items in ExampColl: Item2;Item5
Number: 3 -- Items in ExampColl: Item3;Item6
複数の項目リストをバッチに分割する
MSBuild では、同じメタデータに基づいて複数の項目リストをバッチに分割できます。 異なる項目リストをバッチに分割し、複数のアセンブリをビルドする作業が簡単になります。 たとえば、.cs ファイルの項目リストをアプリケーション バッチとアセンブリ バッチに分割し、リソース ファイルの項目リストをアプリケーション バッチとアセンブリ バッチに分割します。 それからバッチ処理を利用し、これらの項目リストを 1 つのタスクに私、アプリケーションとアセンブリの両方をビルドできます。
Note
タスクに渡される項目リストにメタデータを参照する項目が含まれていない場合、その項目リストのすべての項目がすべてのバッチに渡されます。
次の例は、項目メタデータに基づいて複数の項目リストをバッチに分割する方法を示しています。 ExampColl
と ExampColl2
の項目リストが Number
項目メタデータに基づいてそれぞれ 3 つのバッチに分割されます。 Text
属性に %(Number)
があることで、バッチ処理を実行する必要があることが MSBuild に通知されます。 ExampColl
と ExampColl2
の項目リストは Number
メタデータに基づいて 3 つのバッチに分割され、各バッチが個別にタスクに渡されます。
<Project
xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/msbuild/2003">
<ItemGroup>
<ExampColl Include="Item1">
<Number>1</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item2">
<Number>2</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item3">
<Number>3</Number>
</ExampColl>
<ExampColl2 Include="Item4">
<Number>1</Number>
</ExampColl2>
<ExampColl2 Include="Item5">
<Number>2</Number>
</ExampColl2>
<ExampColl2 Include="Item6">
<Number>3</Number>
</ExampColl2>
</ItemGroup>
<Target Name="ShowMessage">
<Message
Text = "Number: %(Number) -- Items in ExampColl: @(ExampColl) ExampColl2: @(ExampColl2)"/>
</Target>
</Project>
Message タスク には、次の情報が表示されます。
Number: 1 -- Items in ExampColl: Item1 ExampColl2: Item4
Number: 2 -- Items in ExampColl: Item2 ExampColl2: Item5
Number: 3 -- Items in ExampColl: Item3 ExampColl2: Item6
一度に 1 つの項目をバッチ処理する
バッチ処理は、作成時にすべての項目に割り当てられる既知の項目メタデータでも実行できます。 それにより、コレクション内のすべての項目にバッチ処理に使用するメタデータが与えられます。 Identity
メタデータ値は、1 つの項目リスト内のすべての項目を 1 つの個別バッチに分割するときに役立ちます。 既知の項目メタデータの一覧については、「既知の項目メタデータ」をご覧ください。
次の例では、項目リストの各項目を 1 つずつバッチ処理する方法を示しています。 ExampColl
項目リストは 6 つのバッチに分割されます。各バッチには、項目リストの 1 項目が含まれます。 Text
属性に %(Identity)
があることで、バッチ処理を実行する必要があることが MSBuild に通知されます。
<Project
xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/msbuild/2003">
<ItemGroup>
<ExampColl Include="Item1"/>
<ExampColl Include="Item2"/>
<ExampColl Include="Item3"/>
<ExampColl Include="Item4"/>
<ExampColl Include="Item5"/>
<ExampColl Include="Item6"/>
</ItemGroup>
<Target Name="ShowMessage">
<Message
Text = "Identity: '%(Identity)' -- Items in ExampColl: @(ExampColl)"/>
</Target>
</Project>
Message タスク には、次の情報が表示されます。
Identity: 'Item1' -- Items in ExampColl: Item1
Identity: 'Item2' -- Items in ExampColl: Item2
Identity: 'Item3' -- Items in ExampColl: Item3
Identity: 'Item4' -- Items in ExampColl: Item4
Identity: 'Item5' -- Items in ExampColl: Item5
Identity: 'Item6' -- Items in ExampColl: Item6
ただし、Identity
が一意であるとは限りません。その値は、Include
属性の評価後の最終値です。 そのため、Include
属性が複数回使用されている場合、まとめてバッチ処理されます。 次の例からわかるように、この手法では、グループ内の項目ごとに Include
属性が一意になる必要があります。 この点について説明するために、次のコードを検証してください。
<Project xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/msbuild/2003">
<ItemGroup>
<Item Include="1">
<M>1</M>
</Item>
<Item Include="1">
<M>2</M>
</Item>
<Item Include="2">
<M>3</M>
</Item>
</ItemGroup>
<Target Name="Batching">
<Warning Text="@(Item->'%(Identity): %(M)')" Condition=" '%(Identity)' != '' "/>
</Target>
</Project>
出力からは、最初の 2 つの項目が同じバッチにあることがわかります。この 2 つではInclude
属性が同じであるからです。
test.proj(15,5): warning : 1: 1;1: 2
test.proj(15,5): warning : 2: 3
項目リストをフィルター処理する
バッチ処理を利用すれば、1 つの項目リストをタスクに渡す前に特定の項目をフィルター処理できます。 たとえば、既知の項目メタデータ Extension
でフィルター処理すると、特定の拡張子を持つファイルのみでタスクが実行されます。
次の例は、項目メタデータに基づいて項目リストをバッチに分割し、タスクに渡すときにバッチをフィルター処理する方法を示しています。 ExampColl
項目リストが Number
項目メタデータに基づいて 3 つのバッチに分割されます。 タスクの Condition
属性は、Number
項目メタデータ値が 2
のバッチのみをタスクに渡すことを指定します。
<Project
xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/msbuild/2003">
<ItemGroup>
<ExampColl Include="Item1">
<Number>1</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item2">
<Number>2</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item3">
<Number>3</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item4">
<Number>1</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item5">
<Number>2</Number>
</ExampColl>
<ExampColl Include="Item6">
<Number>3</Number>
</ExampColl>
</ItemGroup>
<Target Name="Exec">
<Message
Text = "Items in ExampColl: @(ExampColl)"
Condition="'%(Number)'=='2'"/>
</Target>
</Project>
Message タスク には、次の情報が表示されます。
Items in ExampColl: Item2;Item5