コネクタと Microsoft Dataverse について確認する
組織がビジネス ソリューションを構築する場合、ソリューションの機能や性能は、通常いくつかの要因によって影響を受けます。 それらの要因として、データ ソースへの接続およびビジネス データの管理の 2 つが挙げられます。 これらを簡単に行うために、Power Platform にはデータ コネクタと Microsoft Dataverse という 2 つのツールがあります。 データ コネクタを使用すると、さまざまなサービスでデータに簡単に接続できます。 Microsoft Dataverse はビジネス データベースでありながら、ビジネス データを格納するだけでなく、セキュリティなど他の機能も組み込まれています。
これら要素について、次でもう少し詳しく見ていきましょう。
コネクタ
複数のサービスを組み合わせてソリューションを作成することは、必ずしも簡単ではありません。 なぜなら、必要な処理をすべてのシステムで実行する必要があるからです。 有効なアカウントを使用してサービスにアクセスし、その同じアカウントで必要なアクションをすべてのサービスから実行できるようにする必要があります。 ドキュメント処理について、次の例を見てみましょう。
ビルの管理会社が、テナントが退去した後に不動産を清掃したり、不動産の修景サービスを提供したりするために、ベンダーを使用するとします。 作業が終わると、ベンダーはビル管理会社に請求書を送ります。 ビル管理会社はベンダーか受け取る請求書の処理を自動化したいと考えています。
現状では、以下のように処理されています。
請求書をメールの添付ファイルとして受け取る。 ビル管理会社が Microsoft Exchange を使用してメールを処理する。
ダウンロードした添付ファイルを Microsoft SharePoint に保存する。
請求書が担当者に送信され、承認を待つ。 承認が Microsoft Teams で行われる。
承認後に、請求書の情報が会社の ERP (エンタープライズ リソース プランニング) システムに入力される。 管理会社は Oracle を使用している。
情報を入力した後に、請求書番号が記載された確認メールをベンダーに返送する必要がある。
このようなプロセスを自動化するには、複数のサービスと対話する必要があります。 おそらく、サービスごとに異なるアカウントを使用し、さまざまなデータ操作を実行する必要があるはずです。 この例では、少なくとも次の 4 種類のサービスが使用されます。
Office 365 Outlook: まず、Microsoft Exchange で指定されたメールボックスを監視する必要があります。
Microsoft SharePoint: 添付ファイルをダウンロードし、Microsoft SharePoint で指定されたフォルダーに保存します。
Microsoft Teams: 請求書の承認要求を Microsoft Teams でマネージャーに送信し、要求の承認または却下を行います。
Oracle: 承認されると、新しい請求書が Oracle で作成されます。 請求書のデータが保存され、後続の処理で使用されます。
Office 365 Outlook: 請求書を送信した会社に、専用のメールボックスを使用して確認メールを送信します。
Power Platform のデータ コネクタを使用すると、さまざまなデータ ソースを簡単に操作できます。 コネクタはデータ ソースとアプリまたはワークフローとのブリッジとして機能します。 Power Platform は、さまざまなデータ ソースで使用できる 900 以上のコネクタを備えています。 コネクタには、データ ソースとの対話処理を簡単に行うための、一連の機能も含まれています。 たとえば、Office 365 Outlook コネクタに組み込まれたアクションにより、添付ファイルのダウンロード、メールの送信、イベントの管理といったメールボックスの操作を行うことができます。 コネクタを使用すれば、基本的な情報をいくつか入力するだけでアクションを実行できます。 データ コネクタは Power Platform 全体で使用します。 たとえば、Power Apps では、アプリをデータに接続するためにコネクタを使用します。 注文のフルフィルメント アプリケーションを、現場で働く従業員向けに作成する企業もあります。 データ コネクタは、アプリを SQL データベースや Microsoft Dataverse などのデータ ソースに接続するために使用します。 Power Automate では、データ コネクタはトリガーやアクションに必要なデータ ソースに接続するために使用されます。
Microsoft Dataverse
Microsoft Dataverse を使用すると、ビジネス アプリケーションで使用するデータを組織で安全に保存および管理することができます。 Dataverse のデータはテーブルに格納されます。 テーブルは一連の行と列です。 テーブルの各列には、名前、場所、年齢、日付、給与など、特定のタイプのデータが格納されます。 Dataverse はデータを格納するだけでなく、データのセキュリティを保護する、データを検証するなど、生産性を高めるための要素も含まれています。
Dataverse の各インスタンスには、取引先企業、取引先担当者、活動など、一般的なビジネス シナリオをカバーする標準テーブルの基本セットが含まれています。 この基本セットに含まれる標準的なビジネス テーブルを使用することで、ソリューションの構築を始めるために必要な時間を節約することができます。 また、組織の固有のニーズに合わせてカスタム テーブルを作成して、データを入力することもできます。
以下にその例を示します。
不動産会社は、販売する物件を格納するテーブル、オープン ハウスを表すテーブル、内見物件を格納するテーブルを作成することができます。
金融会社は、ローンの申請や銀行口座を表すテーブルを追加することができます。
自動車整備会社は、販売する部品や提供するサービスを表すテーブルを追加することができます。
アプリケーション作成者はテーブルを作成した後に、Power Apps などのツールを使用して、このデータを利用する機能豊富なビジネス アプリケーションを作成することができます。 不動産会社であれば、現場で働くエージェント向けに不動産管理アプリケーションを作成し、 Dataverse に格納された不動産情報へのアクセスをエージェントに提供するなどができます。
Dataverse を利用すると、次の利点があります。
管理が容易: メタデータとデータのどちらもクラウドに保存されます。
保護が容易: データは安全に保存され、ユーザーは必要なデータにのみアクセスできます。 ロールベースのセキュリティにより、組織内のさまざまなユーザーのテーブルへのアクセスを制御できます。
リッチ メタデータ - データ型およびリレーションシップは、Power Apps 内で直接利用されます。
ロジックと検証: 計算列、ビジネス ルール、ワークフロー、ビジネス プロセス フローを定義して、データの品質を確保し、ビジネス プロセスを促進します。
生産性向上ツール: 生産性を高め、データのアクセシビリティを確保するために、Microsoft Excel のアドインでテーブルを使用できます。
Power Platform で構築されるソリューションの多くが、Dataverse とコネクタの両方を多用しています。 Dataverse をビジネス データを格納するプライマリ ストレージとして使用する一方、コネクタをさまざまなアプリや自動化で使用して、多くのデータ サービスに接続しています。