接続参照
接続参照は、環境固有の依存関係を抽象化し、ソリューション内のクラウド フローを Microsoft Power Platform 環境間で転送することが容易になります。 この機能を使用して、正常なアプリケーション ライフサイクル管理 (ALM) を実装することができます。 ソリューションで新しいクラウド フローを作成すると、接続参照は自動的に作成されます。 ただし、接続参照の目的と手動での設定方法を理解することで、参照接続を適切に使用できるようになります。
Power Automate クラウド フローでは、トリガーにコネクタを使用し、フローのアクションを実行します。 コネクタを使用すると、ユーザーのアカウント情報を使用して、基になるサービスに対する接続が作成されます。 この例では、クラウド フローはソリューションに含まれておらず、接続に直接依存しています。 接続は Microsoft Power Platform 環境に固有です。 次の図は、接続参照を使用しない場合、どのようにクラウド フローが接続に直接依存するかを示しています。
ソリューション内のクラウド フローでこれと同じアーキテクチャを使用した場合、環境間で転送されるクラウド フローのフロー定義は、各環境で編集する必要があります。 ALM の観点からは、テストや運用などの環境ではなく、開発環境でのみフロー定義の変更を行うことが求められます。 ALM の正常性を維持し、ソリューションの展開タスクを複雑なものにしないために、ソリューション内のクラウド フローでは接続参照を使用する必要があります。
接続参照は、コネクタに関する情報を含むソリューション コンポーネントです。 接続参照を使用すると、クラウド フローのトリガーとアクションを接続に直接関連付けるかわりに、接続参照にバインドすることができます。 その後、接続参照は、フロー定義を変更せず ALM の正常性を維持する独自の方法で、接続にバインドします。 次の図は、接続参照の使用方法を示しています。
接続参照を使用するクラウド フローを含むソリューションでは、ソリューション オブジェクト リストにクラウド フローと 1 つまたは複数の接続参照が一覧表示されます。
ソリューションを別の環境にインポートし、初めて接続参照が追加されると、接続に関するメッセージが表示されます。
インポートの完了後に必要な設定はありません。 接続参照と接続の関係は、将来更新を行う際も維持されます。 フローに関連付けられている特定の接続を変更するには、接続参照の編集や選択した接続の変更を行います。
トリガーおよびアクションの設定
フローに追加するトリガーまたはアクションを選択すると、フロー デザイナーは、コネクタに対して接続参照が存在するかどうかをチェックします。存在しない場合、接続参照が追加されます。 トリガーまたはアクション カードで省略記号 (...) メニューを選択すると、使用されている接続参照や使用できる他の接続参照が表示されます。 このメニューから別の接続参照を選択したり、新しい接続参照を追加したりすることができます。 このメニューから新しい接続参照を追加する場合、接続参照の名前は自動的に決定されます。
通常は、フロー内のすべてのステップで同じ接続参照を使用します。 いくつかのシナリオでは、複数の接続参照を使用することが重要な場合があります。 たとえば、複数の接続参照を使用すると、接続ごとに異なるユーザー アカウント情報を設定できます。 複数の接続参照を使用する場合、このトピックで後述するように、接続参照を事前に手動で作成して、接続参照にわかりやすい一意の名前を付けることをお勧めします。
また、複数のクラウド フローが接続参照を使用できます。 使用する接続を後で変更する場合、接続参照を使用するすべてのクラウド フローに影響するため、どのフローでどの接続参照を使用しているかを把握しておくことが重要です。
接続参照の事前作成
ソリューションで接続参照を事前に作成することで、希望する名前を接続参照に付けることができます。 新しい接続参照を作成するには、ソリューション エクスプローラーで + 新規 > さらに表示 > 接続参照を選択します。
前の例は、高度な操作を実行するフローで使用される管理者サービス アカウント用の接続参照の作成を示しています。 接続参照に Office 365 ユーザー管理スコープと名前を付けることで、この接続参照に接続を設定する際、管理者サービス アカウントを使用すべきことがわかります。 表示名は、接続参照の意図を理解する上で重要です。 意図した目的を明確にするために、名前は簡潔で一意である必要があります。
接続参照を事前作成せず、名前だけを変更する場合、接続参照を編集することはできますが、名前フィールドを変更することはできません。これは、このフィールドが接続参照の識別に使用されるためです。 既定で、接続参照名には、対象のコネクタ、コンテキストを示すための現在のソリューション名、および一意性を保証するためのランダムな接尾辞が含まれます。 使用目的がわかるような一意の名前になるように、既定の接続参照名を変更します。
既存の接続参照の使用
Power Automate は、現在のソリューションからの既存の接続参照を使用を試みますが、同じ環境の他のソリューションの接続参照も使用します。 ソリューション オブジェクト リストで、フローの作成後に使用している接続の接続参照が見つらない場合、フローは別のソリューションからの接続参照を使用している可能性があります。 別のソリューションからの接続参照を使用しない場合、事前作成プロセスを使用して、ソリューションに新しい接続参照を追加し、追加した接続参照を使用するためにフロー アクションを変更する必要があります。 接続を共有する場合、既存の追加 > さらに表示 > 接続参照を選択して、ソリューションに追加する既存の接続参照を選択します。
接続参照の削除
他のソリューション コンポーネントと同様に、接続参照は現在のソリューションから削除したり、環境から物理的に削除したりすることができます。 接続参照を削除する一般的な理由は、接続参照が不要になった場合や、自動的に作成された接続参照を統合する場合です。 接続参照を削除する前に、接続参照が使用されているかどうかを確認する必要があります。 これを行うには、接続の参照を選択して、依存関係を表示を選択します。
次の図は、接続参照に依存しているすべてのソリューション コンポーネントを一覧表示する依存関係ページの例を示しています。
現在のソリューションに依存関係がない場合、接続参照をソリューションから問題なく削除することができます。 依存関係が一覧表示されている場合、接続参照を物理的に削除することはできません。 この場合、接続参照を削除する前に、各依存コンポーネントを編集して、接続参照が使用されていない状態にすることが必要です。