診断と分析

完了

パフォーマンスのための設計とパフォーマンス テストは、Power Apps プロジェクトの重要な部分です。 パフォーマンス テストを実行する際は、実稼働システムのデータ量と同等のデータ量でテストするようにしてください。 これにより、アプリの全体的なパフォーマンスについて理解を深め、最適化する領域を特定することができます。

では、どうすればアプリの状態を診断してテストを分析できるでしょうか。 このユニットでは、役立つツールをいくつか詳しく紹介します。

Monitor

概要

先に説明した Monitor を使用すると、作成者はユーザーのセッションからイベントのストリームを参照して、問題を診断およびトラブルシューティングできます。 Monitor を使用して、Power Apps Studio で新しいアプリを構築する際にイベントを参照したり、実行時に公開済みアプリを監視したりできます。

メリット

Monitor は、問題をよりすばやく診断およびトラブルシューティングし、信頼性のより高いアプリを構築するのに役立ちます。 アプリの実行時に行われる重要な活動をすべて記録することにより、アプリについての詳細を把握できます。 さらに、Monitor を使うと、アプリに含まれているイベントや式の動作についてよく理解し、パフォーマンスを高めてエラーや問題を特定することもできます。

アプリのデバッグ

問題をデバッグする鍵は、アプリの動作とそのデバッグ方法について理解することです。 アプリの式を見たり、実行時エラーを確認したりしても、問題を分離するのが難しいことがあります。 アプリで発生したイベントを Monitor で監視すると、イベントの順序とアプリの実行内容を把握し、エラーを特定して、問題をよりすばやく診断することができます。

Monitor ダッシュボード

Monitor ダッシュボードでは、各アプリ イベントのプロパティを確認できます。 コントロールを選択するとどうなるか、プロセスの持続時間、操作の結果を知ることができます。

次に、Monitor ダッシュボードの外観の画像を示します。 下の図は、ダッシュボードの各列の情報の概要です。

列が強調表示された、Monitor ダッシュボードのスクリーンショット。

Monitor プロパティ パネル

選択した操作ごとに、プロパティ パネルを使用可能です。 パネルを表示するには、右側のサイド レールからプロパティを選択します。 プロパティ ウィンドウには、イベントに関する詳細が表示されるタブがあります。 イベントごとに 詳細 タブと タブが表示されます。イベントによって HTTP 要求/応答がトリガーされた場合、要求 タブと 応答 タブも表示されます。 次の図は、SortByColumns イベントの詳細タブを示しています。

SortByColumns イベントの「詳細」タブのスクリーンショット。

Monitor の起動

Monitor は、2 つの方法でアクティブ化できます。 キャンバス アプリを編集している際に、左側のナビゲーション バーから 高度なツール を開き、ライブ監視を開く を選択できます。

キャンバス アプリから Monitor を起動しているスクリーンショット。

Monitor を開く別の方法としては、Maker Portal でアプリの一覧に移動し、任意のアプリの 3 つの省略記号を選択した後、ヘッダー リボンから 詳細 および ライブ監視 を選択します。

Monitor ダッシュボードは新しいブラウザー インスタンスで開きます。ユーザーを招待したりつながったりして、それらのユーザーによるアプリとの対話を監視できます。 または、公開したアプリの再生を選択して独自のセッションを開始することもできます。

「招待」、「ユーザーの接続」、または「公開したアプリの再生」を行うリボンのボタンが強調表示された、空のダッシュボードのスクリーンショット。

どのオプションを選択しても、Monitor によりアプリとの対話が記録されます。 公開したアプリの再生を選択した場合、Monitor がアクティブであることを示す視覚的な記録インジケーターがアプリの横に表示されます。

Monitor によりアクティブ化される記録ライトのスクリーンショット。

Monitor を使用した Power Apps のデバッグの詳細については、入手可能なドキュメントや、このテーマに関するブログ投稿をご覧ください。

Power Apps 分析の導入

アプリの分析に利用できるよう、Microsoft では Power Apps 分析を用意しています。これは、環境レベルの使用状況、エラー、サービス パフォーマンス、変更管理サービスに関するビューを表示できる一連のレポートです。 これらのレポートは、キャンバス アプリで使用できます。

環境管理者または Power Platform 管理者の場合、これらのレポートにアクセスできます。 アクセスするには、Power Platform 管理センターにサインインし、分析 > Power Apps を選択します。 レポートは、ページ上部のメニュー バーに表示されます。 次は、利用できる各種レポートについて説明します。 管理者は、デバイスのプラットフォーム、プレーヤーのバージョン、国/地域、都道府県、市区町村などの属性によって、すべてのレポートのビューをフィルター処理できます。

Power Apps 分析ダッシュボードのスクリーンショット。左側のメニューでは分析と Power Apps が強調表示されており、ダッシュボードのレポート タブが強調表示されています。

利用可能なレポート

ログインすると、既定で使用状況レポートが表示されます。 このレポートには、アプリの合計起動回数と、環境内のすべてのアプリにおける 1 日あたりのアクティブ ユーザーが示されます。

使用状況レポートのスクリーンショット。

場所レポートには、使用状況に関する地図ベースのビューが表示されます。 このレポートには、地域での導入状況と使用情報の傾向に関する分析情報が示されます。

場所レポートのスクリーンショット。

トースト エラー レポートには、アプリの品質向上に役立つ、トースト エラーの傾向、種類、アプリあたりの件数に関する分析情報が示されます。 トースト エラーは、アプリのエンド ユーザーに表示されるエラーです。

トースト エラー レポートのスクリーンショット。

サービス パフォーマンス レポートには、アプリに接続されているすべての標準コネクタとカスタム コネクタの詳細が表示されます。 これらは、パフォーマンスのボトルネックや、クライアント側とサービス側の API の問題を理解するのに役立ちます。 ここでは、次の分析情報を取得します。

  • 環境で使用されているコネクタ。
  • サービス パフォーマンスと API サービスの応答時間。
  • 各サービスの成功率。
  • 各サービスの 50、75、90 パーセンタイル応答時間。
  • サーバーがクライアントからの呼び出しに応答しなかった問題を示す、コネクタの HTTP 500 エラー コードの数。
  • 成功した接続要求の数。

サービス パフォーマンス レポートのスクリーンショット。

コネクタ レポートには、キャンバス アプリによって使用されている標準コネクタとカスタム コネクタに関する情報が示されます。 直近 28 日間のデータが環境レベルで示されます。

管理者は、各アプリに関連付けられたコネクタの数、各アプリによって使用されている特定のコネクタ、コネクタの所有者についての分析情報を取得できます。 また、このレポートには、アプリが共有された回数、アプリ セッションの数、最後にアクセスがあった時間も示されるため、使用率の高いアプリとコネクタを把握するのに役立ちます。

コネクタ レポートのスクリーンショット。

アプリ内では、レポートをダウンロードし、環境を変更することができます。 詳しくは、Power Apps 分析をご覧ください。