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型指定された XML と型指定されていない XML の比較

適用対象: SQL Server Azure SQL Database Azure SQL Managed Instance

xml 型の変数、パラメーター、および列を作成できます。 必要に応じて、XML スキーマのコレクションを、 xml 型の変数、パラメーター、または列に関連付けることができます。 XML スキーマ コレクションを関連付けた場合、この xml データ型のインスタンスを 型指定されていると呼びます。 それ以外の場合は、XML インスタンスを 型指定されていないと呼びます。

整形式の XML と XML データ型

xml データ型には、ISO 標準の xml データ型が実装されています。 したがって、型指定されていない XML 列には、適切な形式の XML Version 1.0 ドキュメントを保存できるほか、テキスト ノードや任意の数の最上位要素が含まれた、いわゆる XML コンテンツ フラグメントを保存することもできます。 システムにより、データが適切な形式であることが確認されます。このとき XML スキーマに列をバインドする必要はなく、広義の整形式でないデータは拒否されます。 このことは、型指定されていない XML の変数やパラメーターにも該当します。

XML スキーマ

XML スキーマでは、次のものが提供されます。

  • 検証制約。 型指定された xml インスタンスが割り当てまたは変更されるときは、常に、SQL Server によってそのインスタンスが検証されます。

  • データ型情報。 スキーマでは、 xml データ型のインスタンス内の属性と要素の型に関する情報が提供されます。 この型情報により、インスタンスに含まれている値には、型指定されていない xmlより正確な演算のセマンティクスが提供されます。 たとえば、10 進数の算術演算は 10 進数値では実行できますが、文字列値では実行できません。 スキーマで型情報が指定されるので、型指定された XML ストレージは、型指定されていない XML よりも大幅に小さくすることができます。

型指定された XML と型指定されていない XML の選択

次の条件に該当する場合は、型指定されていない xml データ型を使用してください。

  • XML データに対応するスキーマがない場合。

  • スキーマはあるが、サーバーでデータを検証しない場合。 サーバーにデータを保存する前にクライアント側で検証を行う場合、スキーマに従っていない無効な XML データを一時的に保存する場合、サーバーでサポートされていないスキーマ コンポーネントを使用する場合などが該当します。

次の条件に該当する場合は、型指定されている xml データ型を使用してください。

  • 使用する XML データのスキーマがあり、その XML スキーマに従ってサーバーで XML データを検証する場合。

  • 型情報を基にしたストレージやクエリの最適化を行う場合。

  • クエリをコンパイルするときに型情報を使用する場合。

型指定された XML の列、パラメーター、および変数には、XML ドキュメントまたは XML コンテンツを保存できます。 ただし、宣言のときに保存の対象がドキュメントなのかコンテンツなのかをフラグで指定する必要があります。 また、XML スキーマのコレクションを指定する必要があります。 各 XML インスタンスの最上位要素が 1 つだけの場合、DOCUMENT を指定します。 それ以外の場合は CONTENT を指定します。 クエリのコンパイルで型を確認するとき、クエリ コンパイラにより DOCUMENT フラグが使用され、シングルトンの最上位要素が推測されます。

型指定された XML の作成

型指定された xml 変数、パラメーター、または列を作成するには、「CREATE XML SCHEMA COLLECTION (Transact-SQL)」を参考にして、あらかじめ XML スキーマ コレクションを登録しておく必要があります。 その後、XML スキーマ コレクションを xml データ型の変数、パラメーター、または列に関連付けることができます。

次の例では、XML スキーマ コレクション名を指定する際に、2 つの要素で構成された名前付け規則が使用されます。 最初の要素はスキーマ名で、2 番目の要素は XML スキーマ コレクション名です。

例: スキーマ コレクションと XML 型の変数の関連付け

次の例では、xml 型の変数を作成し、それにスキーマ コレクションを関連付けます。 例で指定されているスキーマ コレクションは、 AdventureWorks のデータベースに既にインポートされています。

DECLARE @x xml (Production.ProductDescriptionSchemaCollection);

例: XML 型の列のスキーマの指定

次の例では、 xml 型の列を持つテーブルを作成し、列のスキーマを指定します。

CREATE TABLE T1(
Col1 int,
Col2 xml (Production.ProductDescriptionSchemaCollection));

例: XML 型のパラメーターのストアド プロシージャへの受け渡し

次の例では、 xml 型のパラメーターをストアド プロシージャに渡し、変数にスキーマを指定します。

CREATE PROCEDURE SampleProc
  @ProdDescription xml (Production.ProductDescriptionSchemaCollection)
AS
...

XML スキーマ コレクションに関して次の点に注意してください。

  • XML スキーマ コレクションは、「 CREATE XML SCHEMA COLLECTION (Transact-SQL)」を使用して登録されたデータベースでのみ使用できます。

  • 文字列から型指定された xml データ型にキャストする場合、指定したコレクションの XML スキーマの名前空間に基づいて、解析時に検証と型指定も行われます。

  • 型指定された xml データ型から、型指定されていない xml データ型にキャストできます。その逆も可能です。

SQL Server で XML を生成するその他の方法の詳細については、「 XML データのインスタンスの作成」を参照してください。 XML を生成後、それを xml データ型の変数に代入できます。また、その後の処理のために xml 型の列に格納することもできます。

データ型の階層では、 xml データ型は sql_variant やユーザー定義型の下、組み込み型の上に表示されます。

例: 型指定された XML 列を制約するためのファセットの指定

型指定された xml 列では、格納されているインスタンスごとに、最上位要素を 1 つだけ許可するように、列を制約できます。 これを行うには、次の例で示すように、テーブルを作成するときに、オプションの DOCUMENT ファセットを指定します。

CREATE TABLE T(Col1 xml
   (DOCUMENT Production.ProductDescriptionSchemaCollection));
GO
DROP TABLE T;
GO

既定では、型指定された xml 列に格納されるインスタンスは、XML ドキュメントではなく、XML コンテンツとして格納されます。 これにより、次のことが可能になります。

  • ゼロ (0) 個以上の最上位要素

  • 最上位要素のテキスト ノード

また、次の例に示すように、 CONTENT ファセットを追加することにより、この動作を明示的に指定することもできます。

CREATE TABLE T(Col1 xml(CONTENT Production.ProductDescriptionSchemaCollection));
GO -- Default

XML 型 (型指定された XML) を定義する場所ならどこでも、オプションの DOCUMENT/CONTENT ファセットを指定することができます。 たとえば、型指定された xml 変数を作成するときに、次に示すように DOCUMENT/CONTENT ファセットを追加できます。

declare @x xml (DOCUMENT Production.ProductDescriptionSchemaCollection);

DTD (文書型定義)

xml データ型の列、変数、およびパラメーターは XML スキーマを使用して型指定できますが、DTD では型指定できません。 ただしインライン DTD は型指定された XML にも型指定されていない XML にも使用できるので、それを使用して既定値を指定したり、エンティティ参照を展開した形に置き換えることができます。

サード パーティのツールを使用すると、DTD を XML スキーマ ドキュメントに変換できます。変換した XML スキーマはデータベースに読み込むことができます。

型指定された XML の SQL Server 2005 からのアップグレード

SQL Server 2008 (10.0.x) では、lax 検証のサポート、 xs:datexs:time 、および xs:dateTime のインスタンス データの処理の強化、list 型と union 型のサポートの追加など、XML スキーマのサポートがいくつかの点で拡張されています。 ほとんどの場合は、アップグレードの際にこれらの変更を意識する必要はありません。 ただし、SQL Server 2005 (9.x) で、xs:date 型、xs:time 型、または xs:dateTime 型 (またはこれらのサブタイプ) の値を許可する XML スキーマ コレクションを使用していた場合は、その SQL Server 2005 (9.x) データベースをそれ以降のバージョンにアタッチすると、以下のアップグレード手順が実行されます。

  1. XML スキーマ コレクションに xs:anyTypexs:anySimpleTypexs:date (またはそのサブタイプ)、 xs:time (またはそのサブタイプ)、または xs:dateTime (またはそのサブタイプ) として型指定されている要素や属性、あるいはこれらの型を含む union 型または list 型の要素や属性が含まれる場合、その XML スキーマ コレクションで型指定されているすべての XML 列で、次の状況が発生します。

    1. 列のすべての XML インデックスが無効になります。

    2. SQL Server 2005 (9.x) の値はすべて Z タイムゾーンで正規化されているため、引き続き Z タイムゾーンで表されます。

    3. 1 年 1 月 1 日より小さい xs:date 値や xs:dateTime 値があると、インデックスが再構築されるときや、その値を含む xml データ型に対して XQuery ステートメントや XML-DML ステートメントが実行されるときに、実行時エラーが発生します。

  2. xs:date ファセット、 xs:dateTime ファセット、または XML スキーマ コレクションの既定値に負の年がある場合は、 xs:date 基本型または xs:dateTime 基本型で許可されている最も小さな値 (たとえば、 xs:dateTimeの場合は 0001-01-01T00:00:00.0000000Z) に自動的に更新されます。

負の年が含まれていても、Transact-SQL SELECT ステートメントを使用して xml データ型全体を取得することはできます。 負の年は、新たにサポートされた範囲内の年に置き換えるか、要素や属性の型を xs:stringに変更することをお勧めします。

関連項目