チュートリアル : ドキュメント レベルのプロジェクトでの単純データ バインディング

このチュートリアルでは、ドキュメント レベルのプロジェクトでのデータ バインディングの基本事項について説明します。SQL Server データベース内の単一のデータ フィールドを Microsoft Office Excel 内の名前付き範囲にバインドする方法について説明します。テーブル内のすべてのレコードをスクロールできるようにするコントロールを追加する方法も説明します。

対象: このトピックの情報は、Excel 2013 と Excel 2010 のドキュメント レベルのプロジェクトに適用されます。詳細については、「Office アプリケーションおよびプロジェクト タイプ別の使用可能な機能」を参照してください。

このチュートリアルでは、次の作業について説明します。

• Excel プロジェクトのデータ ソースの作成

• ワークシートへのコントロールの追加

• データベース レコード間のスクロール

[!メモ]

お使いのマシンで、Visual Studio ユーザー インターフェイスの一部の要素の名前や場所が、次の手順とは異なる場合があります。これらの要素は、使用している Visual Studio のエディションや独自の設定によって決まります。詳細については、「Visual Studio の設定」を参照してください。

必須コンポーネント

このチュートリアルを実行するには、次のコンポーネントが必要です。

-

Microsoft Office Developer Tools が含まれているエディションの Visual Studio 2012。詳細については、「[Office ソリューションを開発できるようにコンピューターを構成する](bb398242\(v=vs.110\).md)」を参照してください。

• Excel 2013 または Excel 2010。

• Northwind SQL Server サンプル データベースがインストールされたサーバーへのアクセス

• SQL Server データベースの読み込み/書き込みアクセス許可

新規プロジェクトの作成

この手順では、Excel ブックのプロジェクトを作成します。

新しいプロジェクトを作成するには

• Visual Basic または C# を使用して、"My Simple Data Binding" という名前の Excel ブック プロジェクトを作成します。[新規ドキュメントの作成] が選択されていることを確認します。詳細については、「方法: Visual Studio で Office プロジェクトを作成する」を参照してください。

新しい Excel ブックが Visual Studio のデザイナーで開き、My Simple Data Binding プロジェクトがソリューション エクスプローラーに追加されます。

データ ソースの作成

[データ ソース] ウィンドウを使用して型指定されたデータセットをプロジェクトに追加します。

データ ソースを作成するには

1. [データ ソース] のウィンドウが表示されない場合は、これを、[ビュー]、[その他のウィンドウ] を選択する、メニュー バーの [データ ソース] 表示されます。

2. [データ ソース構成ウィザード] を開始するには [新しいデータ ソースの追加] を選択します。

3. [データベース] をクリックし、[次へ] をクリックします。

4. Northwind サンプル SQL Server データベースへのデータ接続を選択するか、または [新しい接続] をクリックして新しい接続を追加します。

5. 接続を選択または作成した後、[次へ] をクリックします。

6. 接続を保存するオプションがオンになっている場合はオフにし、[次へ] をクリックします。

7. [データベース オブジェクト] ウィンドウの [テーブル] ノードを展開します。

8. [Customers] テーブルの横にあるチェック ボックスをオンにします。

9. [完了] をクリックします。

[Customers] テーブルが [データ ソース] ウィンドウに追加されます。さらに、ソリューション エクスプローラーに表示されるプロジェクトに、型指定されたデータセットも追加されます。

ワークシートへのコントロールの追加

このチュートリアルでは、2 つの名前付き範囲と 4 つのボタンが最初のワークシートに必要です。最初に、2 つの名前付き範囲を [データ ソース] ウィンドウから追加して自動的にデータ ソースにバインドされるようにします。次に、ツールボックスからボタンを追加します。

2 つの名前付き範囲を追加するには

1. [My Simple Data Binding.xlsx] ブックが Visual Studio のデザイナーで開いていると、表示 [Sheet1] ことを確認します。

2. [データ ソース] ウィンドウを開き、[Customers] ノードを展開します。

3. [CompanyName] 列を選択し、表示されるドロップダウン矢印をクリックします。

4. ドロップダウン リストの NamedRange を選択し、CompanyName 列をセル A1 にドラッグします。

   companyNameNamedRange という NamedRange コントロールがセル A1 に作成されます。それと同時に、customersBindingSource という BindingSource、テーブル アダプター、および DataSet インスタンスがプロジェクトに追加されます。コントロールは BindingSource にバインドされ、さらにこれが DataSet インスタンスにバインドされます。

5. [データ ソース] ウィンドウの [CustomerID] 列を選択し、表示されるドロップダウン矢印をクリックします。

6. ドロップダウン リストの [NamedRange] を選択し、[CustomerID] 列をセル B1 にドラッグします。

7. customerIDNamedRange という別の NamedRange コントロールがセル B1 内に作成され、BindingSource にバインドされます。

4 つのボタンを追加するには

1. ツールボックスの [コモン コントロール] タブからワークシートのセル A3 へ、Button コントロールをドラッグします。

   このボタンは Button1 という名前になります。

2. 残りの 3 つのボタンを次の順序でセルに追加し、ボタンがこのとおりの名前になるようにします。

   セル	(Name)
   B3	Button2
   C3	Button3
   D3	Button4

次の手順で、テキストをボタンに追加します。C# ではイベント ハンドラーを追加します。

コントロールの初期化

ボタン テキストを設定し、Startup イベント中にイベント ハンドラーを追加します。

コントロールを初期化するには

1. ソリューション エクスプローラーの Sheet1.vb または Sheet1.cs を右クリックし、ショートカット メニューの [コードの表示] をクリックします。

2. 各ボタンにテキストを設定する次のコードを Sheet1_Startup メソッドに追加します。

   With Me
       .Button1.Text = "|<"
       .Button2.Text = "<"
       .Button3.Text = ">"
       .Button4.Text = ">|"
   End With
   

   this.button1.Text = "|<";
   this.button2.Text = "<";
   this.button3.Text = ">";
   this.button4.Text = ">|";
   

3. C# の場合のみ、ボタン クリック イベントのイベント ハンドラーを Sheet1_Startup メソッドに追加します。

   this.button1.Click += new EventHandler(button1_Click);
   this.button2.Click += new EventHandler(button2_Click);
   this.button3.Click += new EventHandler(button3_Click);
   this.button4.Click += new EventHandler(button4_Click);
   

Click ボタンのイベントを処理するコードを追加し、ユーザーがレコード間を移動できるようにします。

レコード間をスクロールするためのコードの追加

レコード間を移動するためのコードを各ボタンの Click イベント ハンドラーに追加します。

最初のレコードに移動するには

• Button1 ボタンの Click イベントにイベント ハンドラーを追加し、最初のレコードに移動するための次のコードを追加します。

  Private Sub Button1_Click(ByVal sender As Object, ByVal e As System.EventArgs) _
      Handles Button1.Click
  
      Me.CustomersBindingSource.MoveFirst()
  End Sub
  

  private void button1_Click(object sender, System.EventArgs e)
  {
      this.customersBindingSource.MoveFirst();
  }
  

後方のレコードに移動するには

• Button2 ボタンの Click イベントにイベント ハンドラーを追加し、位置を 1 つ後方に移動するための次のコードを追加します。

  Private Sub Button2_Click(ByVal sender As Object, ByVal e As System.EventArgs) _
      Handles Button2.Click
  
      Me.CustomersBindingSource.MovePrevious()
  End Sub
  

  private void button2_Click(object sender, System.EventArgs e)
  {
      this.customersBindingSource.MovePrevious(); 
  }
  

次のレコードに移動するには

• Button3 ボタンの Click イベントにイベント ハンドラーを追加し、位置を 1 つ前方に移動するための次のコードを追加します。

  Private Sub Button3_Click(ByVal sender As Object, ByVal e As System.EventArgs) _
      Handles Button3.Click
  
      Me.CustomersBindingSource.MoveNext()
  End Sub
  

  private void button3_Click(object sender, System.EventArgs e)
  {
      this.customersBindingSource.MoveNext();
  }
  

最後のレコードに移動するには

• Button4 ボタンの Click イベントにイベント ハンドラーを追加し、最後のレコードに移動するための次のコードを追加します。

  Private Sub Button4_Click(ByVal sender As Object, ByVal e As System.EventArgs) _
      Handles Button4.Click
  
      Me.CustomersBindingSource.MoveLast()
  End Sub
  

  private void button4_Click(object sender, System.EventArgs e)
  {
      this.customersBindingSource.MoveLast();
  }
  

アプリケーションのテスト

ブックをテストして、データベース内のレコード間を移動できることを確認できます。

ブックをテストするには

1. F5 キーを押してプロジェクトを実行します。

2. 最初のレコードがセル A1 とセル B1 に表示されることを確認します。

3. [>] (Button3) ボタンをクリックし、次のレコードがセル A1 とセル B1 に表示されることを確認します。

4. 他のスクロール ボタンをクリックして、レコードが適切に変わることを確認します。

次の手順

このチュートリアルでは、名前付き範囲をデータベース内のフィールドにバインドする際の基本事項について説明します。次に行う作業は以下のとおりです。

• データをキャッシュしてオフラインで使用できるようにします。詳細については、「方法 : オフラインで使用するデータまたはサーバー上で使用するデータをキャッシュする」を参照してください。

• セルを 1 つのフィールドではなくテーブル内の複数の列にバインドします。詳細については、「チュートリアル : ドキュメント レベルのプロジェクトでの複合データ バインディング」を参照してください。

• BindingNavigator コントロールを使用してレコード間をスクロールします。詳細については、「方法 : Windows フォーム BindingNavigator コントロールを使用してデータ間を移動する」を参照してください。

参照

処理手順

チュートリアル : ドキュメント レベルのプロジェクトでの複合データ バインディング

その他の技術情報

Office ソリューションでのコントロールへのデータのバインド

Office ソリューションにおけるデータ