Visual Studio 2012 の Visual F# の新機能
Visual Studio 2012 の Visual F# の特長である F# 3.0 は、簡潔で表現力が豊かな F# 言語を拡張して F# インフォメーションリッチ プログラミングをサポートします。このテクノロジを使用すると、データベース、Web サービス、Web データ フィード、データ ブローカーなど、今日のエンタープライズや Web プログラミングで重要な役割を果たすことの多い広大なデータとサービスに対して直接プログラミングできます。
F# インフォメーションリッチ プログラミングはコード指向であり、スクリプトとプロジェクトの両方で使用できます。また、IntelliSense の機能を使用して厳密な型を指定しながら、コード内で直接 OData および SQL Server データベース接続を指定することができます。メカニズムは拡張可能で、SharePoint、Web オントロジ、Windows Management Instrumentation (WMI)、XML、その他の情報ソースなど、データ、コード、およびサービス テクノロジ用の新しいプロバイダーの作成や参照が可能になります。F# インフォメーションリッチ プログラミングには、F# 型プロバイダー メカニズム、F# LINQ クエリ、およびデータベース、OData、Web サービスなどのプログラミングに使用する一連の組み込み型プロバイダーが含まれています。
また、Visual Studio 2012 の Visual F# には、F# コードを記述する際の生産性を向上するために設計されたコード エディターへの多くの拡張機能が含まれています。
F# 言語およびコンパイラの新機能
F# 3.0 には次の新機能が導入されています。
型プロバイダー型プロバイダーは、構造化データに基づいて型を生成します。これにより、データのさまざまなソースにアクセスしやすくなります。一般に使用されるデータ ソース用の型プロバイダーは F# ライブラリに含まれています。型プロバイダーの概要については、「型プロバイダー」を参照してください。以下に例を示します。
OData サービス。OData または Open Data は、ネットワークまたはインターネット経由でデータを転送できるネットワーク サービス プロトコルです。詳細については、「チュートリアル : 型プロバイダーを使用した OData サービスへのアクセス (F#)」を参照してください。
SQL などのデータベース接続。詳細については、「チュートリアル : 型プロバイダーを使用した SQL データベースへのアクセス (F#)」を参照してください。
データベース スキーマ。.dbml ファイルなどで表されます。これは、LINQ to SQL で使用されるデータベース スキーマ ファイル形式です。詳細については、「チュートリアル : DBML ファイルからの F# 型の生成 (F#)」を参照してください。
エンティティ データ モデル形式で指定されるデータ。詳細については、「チュートリアル : 型プロバイダーおよびエンティティを使用した SQL データベースへのアクセス (F#)」および「チュートリアル : EDMX スキーマ ファイルからの F# 型の生成 (F#)」を参照してください。
WSDL 形式の Web サービス。詳細については、「チュートリアル : 型プロバイダーを使用した Web サービスへのアクセス (F#)」を参照してください。
さらに、独自の型プロバイダーを作成できます。詳細については、「チュートリアル : 型プロバイダーの作成 (F#)」を参照してください。
クエリ式。この機能により、F# の LINQ を実装します。これにより、F# 言語で SQL に似た構文でクエリを記述できるようになります。詳細については、「クエリ式 (F#)」を参照してください。
自動実装プロパティ。これにより、プロパティのバッキング ストアを宣言せずにプロパティを宣言できるようになります。詳細については、「プロパティ (F#)」を参照してください。
開発環境の新機能
Visual F# のこのバージョンには、エディターと統合開発環境 (IDE) における次の拡張機能が含まれています。
パラメーター ヘルプ。関数またはメソッド呼び出しを入力すると、各パラメーターの情報が入力時に表示されます。
強化された IntelliSense。これらの機能により、F# でコードを記述するときにツールヒントに有益な情報が表示されます。
F# ライブラリの新機能
F# コア ライブラリのこのバージョンには次の新機能があります。
クエリ式をサポートするライブラリ機能。詳細については、「クエリ式 (F#)」を参照してください。QueryBuilder 型は query コンピュテーション式を定義します。
変換演算子と算術演算子を含む null 許容型 (Nullable<T>) のサポート。詳細については、「Linq.Nullable モジュール (F#)」および「Linq.NullableOperators モジュール (F#)」を参照してください。
国際単位系 (SI) の測定単位の型。これは、以前は F# PowerPack にありましたが、F# コア ライブラリに移動しました。詳細については、「Microsoft.FSharp.Data.UnitSystems.SI 名前空間 (F#)」を参照してください。
対象のフレームワークとプラットフォーム
このバージョンの Visual F# を使用すると、.NET Framework 2.0、3.0、3.5、4、および 4.5 に対して実行されるアプリケーションを作成できます。また、Silverlight 5 のアプリケーションを対象とし Windows ストア の apps を [F# ポータブル ライブラリ] のプロジェクト テンプレートを使用して、使用するコンポーネントとライブラリを作成できます。
注意 |
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ほとんどの F# プロジェクトは、Visual Studio 2012 で最初に開いたときにそのバージョンにアップグレードできます。ただし、Silverlight プロジェクトは、Visual Studio の古いバージョンから Visual Studio 2012 にアップグレードできません。代わりに、Visual Studio 2012 で Silverlight プロジェクトを作成し、その新しいプロジェクトにコードをコピーします。Visual Studio 2012 を使用して作成した Silverlight プロジェクトは、Silverlight 5 を対象とします。 |
細部の変更
また、次に示す細部の変更にも注意してください。
- 三重引用符で囲まれた文字列。これらの文字列に、単一引用符文字を含めることができます。詳細については、「文字列 (F#)」を参照してください。