次の方法で共有


Visual Basic における有効期間

宣言された要素の有効期間とは、その要素を使用できる期間です。 変数は、有効期間がある唯一の要素です。 このために、コンパイラでは、プロシージャ パラメーターおよび関数の戻り値が、変数の特別な例として扱われます。 変数の有効期間は、変数が値を保持できる期間を表します。 保持されている値は変わっても、有効期間中は常になんらかの値が保持されています。

さまざまな有効期間

(プロシージャ外部の、モジュール レベルで宣言された) メンバー変数は、通常、宣言された要素と同じ有効期間を持っています。 クラスまたは構造体で宣言された非共有変数は、宣言されたクラスまたは構造体の各インスタンスの別個のコピーとして存在します。 そのような各変数は、インスタンスと同じ有効期間を持っています。 ただし、共有 (Shared) 変数の有効期間は 1 つだけで、アプリケーションが終了するまで存続します。

(プロシージャの内部で宣言された) ローカル変数は、宣言されたプロシージャが実行されている間だけ存在します。 そのプロシージャのパラメーター、および関数の戻り値についても同様です。 ただし、プロシージャが他のプロシージャを呼び出した場合は、呼び出されたプロシージャの実行中もローカル変数の値は保持されます。

有効期間の開始

ローカル変数の有効期間は、宣言されたプロシージャの制御が開始されるときに始まります。 すべてのローカル変数は、プロシージャの実行が開始されるとすぐに、データ型の既定値に初期化されます。 プロシージャは、初期値を指定する Dim ステートメントを検出すると、コードで他の値が既に割り当てられていたとしても、その初期値をローカル変数に設定します。

構造体変数の各メンバーは、独立した変数として初期化されます。 同様に、配列変数の各要素も個別に初期化されます。

プロシージャ内部のブロック内で宣言された変数 (For ループなど) は、そのプロシージャへのエントリ時点で初期化されます。 これらの初期化は、コードによってそのブロックが実行されるかどうかにかかわらず、有効になります。

有効期間の終了

プロシージャが終了すると、ローカル変数の値は保持されず、Visual Basic によってメモリが解放されます。 次にプロシージャを呼び出すときに、すべてのローカル変数が再度作成され、再初期化されます。

クラスまたは構造体のインスタンスが終了すると、非共有変数はメモリおよび値を失います。 クラスまたは構造体のそれぞれの新しいインスタンスによって、非共有変数が作成および再初期化されます。 しかし、Shared 変数はアプリケーションが実行を停止するまで保持されます。

有効期間の延長

Static キーワードを持つローカル変数を宣言した場合、有効期間はプロシージャの実行時間よりも長くなります。 Static 変数が存在する長さが、どのようにプロシージャ宣言によって決定されるのかを、次の表に示します。

プロシージャの場所および共有

静的変数の有効期間の開始

静的変数の有効期間の終了

モジュール内 (既定で共有)

プロシージャが最初に呼び出されたとき

アプリケーションの実行が停止されたとき

クラスの Shared (プロシージャはインスタンス メンバーではありません)

特定のインスタンス、またはクラス名や構造体名自体のいずれかで、プロシージャが最初に呼び出されたとき

アプリケーションの実行が停止されたとき

Shared ではなく、クラスのインスタンス (プロシージャはインスタンス メンバーではありません)

特定のインスタンスで、プロシージャが最初に呼び出されたとき

ガベージ コレクション (GC) に対して、インスタンスが解放されたとき

同じ名前の静的変数

複数のプロシージャで、同じ名前の静的変数を宣言できます。 これを実行すると、Visual Basic のコンパイラは、このような各変数は別々の要素であると見なします。 いずれか 1 つの変数を初期化しても、その他の変数の値には影響しません。 これは、一連のオーバーロードを持つプロシージャを定義し、それぞれのオーバーロードで同じ名前の静的変数を定義した場合も同様です。

静的変数のコンテナー要素

静的ローカル変数は、クラス内 (つまりクラスのプロシージャの中) で宣言できます。 ただし、構造体のメンバーまたはその構造体内部のプロシージャのローカル変数のいずれとしてでも、ローカルの静的変数を構造体内部で宣言することはできません。

説明

Static (Visual Basic) キーワードを使用して変数を宣言する例を、次に示します (Dim ステートメント (Visual Basic) で、Static などの修飾子を使用している場合は、Dim キーワードは不要です)。

コード

Function runningTotal(ByVal num As Integer) As Integer
    Static applesSold As Integer
    applesSold = applesSold + num
    Return applesSold
End Function

コメント

前の例では、変数 applesSold は、プロシージャ runningTotal が呼び出し元のコードに戻された後でも、引き続き存在します。 次に runningTotal が呼び出されたとき、applesSold は前に計算した値を保持しています。

Static を使用しないで applesSold が宣言された場合、は runningTotal が呼び出されても事前に蓄積された値は保持されません。 次に runningTotal が呼び出されたときに、applesSold は再作成され、0 に初期化されます。runningTotal は、呼び出されたときと同じ値を返すだけです。

コードのコンパイル

静的ローカル変数の値は、宣言の一部として初期化できます。 配列を Static として宣言する場合は、ランク (次元数)、各次元の長さ、および各要素の値を初期化できます。

セキュリティ

前の例では、applesSold をモジュール レベルで宣言して、同じ有効期間にできます。 ただし、この方法で変数のスコープを変更すると、プロシージャが変数に排他的にアクセスできなくなります。 この場合、他のプロシージャが applesSold にアクセスして値を変更する可能性があるため、現在の合計を信頼できなくなり、コードの管理が難しくなります。

参照

処理手順

データ型のトラブルシューティング (Visual Basic)

参照

Shared (Visual Basic)

Nothing (Visual Basic)

Static (Visual Basic)

概念

宣言された要素の名前 (Visual Basic)

Visual Basic におけるスコープ

Visual Basic でのアクセス レベル

Visual Basic における変数

Visual Basic での変数宣言

その他の技術情報

宣言された要素の参照 (Visual Basic)