CSocket クラス

[アーティクル]
09/17/2008

更新 : 2007 年 11 月

CAsyncSocket の派生クラスで、Windows ソケット API のカプセル化を継承し、CAsyncSocket オブジェクトよりも高いレベルで Windows ソケット API の抽象化を表現しています。

class CSocket : public CAsyncSocket

解説

CSocket は、CSocketFile と CArchive を組み合わせて動作し、データの送受信を管理します。

CSocket オブジェクトは CArchive の同期操作に欠かせないブロッキングも用意します。CSocket では、Receive、Send、ReceiveFrom、SendTo、Accept (すべて CAsyncSocket から継承されます) などのブロッキング関数は WSAEWOULDBLOCK エラーを返しません。その代わりにこれらの関数は、操作の完了を待ちます。さらに、これらの関数の 1 つがブロッキング中に CancelBlockingCall が呼び出されると、元の呼び出しは WSAEINTR エラーで終了します。

CSocket オブジェクトを使うには、コンストラクタを呼び出します。その後、Create を呼び出して元になる SOCKET 型の SOCKET ハンドルを作成します。既定のパラメータの Create はストリームソケットを作成します。しかし、ソケットを CArchive オブジェクトと組み合わせて使わないときは、代わりのパラメータを指定してデータグラムソケットを作成できます。あるいは、サーバーソケットを作成するために特定のポートに連結することもできます。クライアント側では Connect を使い、サーバー側では Accept を使って接続します。その後 CSocketFile のコンストラクタで CSocketFile オブジェクトを構築して、CSocket オブジェクトに関連付けます。次に CArchive のコンストラクタで、データ送信用と (必要な場合は) 受信用の CArchive オブジェクトをそれぞれ構築して、CArchive コンストラクタ内の CSocketFile オブジェクトに関連付けます。通信が完了したら、CArchive オブジェクト、CSocketFile オブジェクトおよび CSocket オブジェクトを破棄します。SOCKET データ型については、「Windows ソケット : 予備知識」を参照してください。

CArchive を CSocketFile および CSocket と共に使用した場合、CSocket::Receive が、要求するバイト数を待機するループ (PumpMessages(FD_READ) による) に入る場合があります。これは、Windows ソケットが 1 回の FD_READ 通知につき 1 つの RECV 呼び出しのみ許可するのに、CSocketFile と CSocket は FD_READ ごとに複数の RECV 呼び出しを許可するために起こる現象です。読み込むデータがない状態で FD_READ を取得した場合、アプリケーションはハングアップします。別の FD_READ を取得しない場合、アプリケーションはソケット上での通信を停止します。

この問題は次のように解決できます。ソケットから読み込まれるデータが TCP パケット 1 つのサイズを超える (ネットワークメディアの最大伝送単位は通常 1,096 バイト以上) 場合は、メッセージクラスの Serialize メソッドを呼び出す前に、ソケットクラスの OnReceive メソッドで、CAsyncSocket::IOCtl(FIONREAD, ...) を呼び出します。利用可能なデータが必要以下のサイズである場合は、すべてのデータを受け取るまで待機し、その後読み取り操作のみ開始します。

次の例の m_dwExpected は、ユーザーが受信すると予想されるバイト数の概数です。これをコード内のどこかで宣言していると仮定します。

void CChatSocket::OnReceive(int nErrorCode)
{
   CSocket::OnReceive(nErrorCode);

   DWORD dwReceived;

   if (IOCtl(FIONREAD, &dwReceived))
   {
      if (dwReceived >= m_dwExpected)   // Process only if you have enough data
         m_pDoc->ProcessPendingRead();
   }
   else
   {
      // Error handling here
   }
}

詳細については、「MFC における Windows ソケット」、「Windows ソケット : アーカイブ付きソケットの使用」、「Windows ソケット : アーカイブ付きソケットの動作」、「Windows ソケット : 動作シーケンス」、「Windows ソケット : アーカイブを使用するソケットの例」を参照してください。