RichTextBox コントロール (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)
更新 : 2007 年 11 月
Visual Basic 2008 では、Visual Basic 6.0 の RichTextBox コントロールは Windows フォームの RichTextBox コントロールに置き換えられています。プロパティ、メソッド、イベント、および定数の中には、名称が異なるものや、動作の異なるものもあります。
概念の違い
AutoVerbMenu プロパティ
Visual Basic 6.0 では、RichTextBox コントロールの AutoVerbMenu プロパティを使用して、一連の標準コマンドを含んだコンテキスト メニューを表示できます。
Visual Basic 2008 では、AutoVerbMenu プロパティは使用されなくなりました。RichTextBox コントロールにコンテキスト メニューを用意するには、ContextMenuStrip コンポーネントを使用します。詳細については、「AutoVerbMenu プロパティはアップグレードされませんでした。」を参照してください。
DisableNoScroll プロパティ
Visual Basic 6.0 では、DisableNoScroll プロパティを使用して、RichTextBox コントロール内のテキスト行が少なくて縦方向にスクロールできない場合、または文字が少なくて横方向にスクロールできない場合に、スクロール バーを無効として表示するかどうかを決定します。
Visual Basic 2008 では、DisableNoScroll プロパティは使用されなくなりました。ScrollBars プロパティを使用するとスクロール バーを強制的に表示できますが、スクロール バーを無効として表示することはできません。
FileName プロパティと LoadFile メソッド
Visual Basic 6.0 では、FileName プロパティまたは LoadFile メソッドを使用して、.rtf ファイルまたはテキスト ファイルを RichTextBox コントロールに読み込むことができます。
Visual Basic 2008 では、LoadFile メソッドのみ使用できます。デザイン時にファイルを割り当てることはできません。
SelPrint メソッド
Visual Basic 6.0 では、RichTextBox コントロールの SelPrint メソッドを使用して、このコントロールの内容を印刷できます。このメソッドは、デバイスのデバイス コンテキストを指定する 1 つの引数 hDC を受け取ります。
Visual Basic 2008 では、SelPrint メソッドは使用されなくなりました。また、デバイス コンテキストが印刷に使用されなくなりました。RichTextBox コントロールには、内容を印刷するためのメソッドはありません。しかし、EM_FORMATRANGE メッセージを使用して RichTextBox クラスを拡張することはできます。これにより、RichTextBox の内容をプリンタなどの出力デバイスに送信できるようになります。詳細については、「SelPrint プロパティはアップグレードされませんでした。」を参照してください。
SelTabCount プロパティ
Visual Basic 6.0 では、SelTabCount プロパティを使用して、選択された段落、またはカーソル位置に続く段落におけるタブ位置の数を決定します。
Visual Basic 2008 では、SelTabCount プロパティは使用されなくなり、SelectionTabs プロパティの Length パラメータ (SelectionTabs.Length) に置き換えられています。
Span メソッド
Visual Basic 6.0 では、RichTextBox コントロールの Span メソッドを使用して、指定した文字セットに基づいてテキスト範囲を選択できます。
Visual Basic 2008 では、Span メソッドは使用されなくなりました。Find メソッドと characterSet() 引数を使用して指定された文字を検索し、SelectedText プロパティを使用して範囲を選択できます。
Upto メソッド
Visual Basic 6.0 では、RichTextBox コントロールの Upto メソッドを使用して、カーソル位置を、指定した文字セット メンバの先頭文字まで移動できます。ただし、この先頭文字は含みません。
Visual Basic 2008 では、Upto メソッドは使用されなくなりました。Find メソッドと characterSet() 引数を使用して指定された文字を検索し、SelectionStart プロパティを使用してカーソル位置を移動できます。
他の違い
また、データ バインディング、フォント処理、ドラッグ アンド ドロップ機能、ヘルプ サポートなど、すべてのコントロールに当てはまる概念上の相違が数多くあります。詳細については、「Windows フォームの概念 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
RichTextBox コントロールを扱うコードの変更
次のコード例は、Visual Basic 6.0 と Visual Basic 2008 のコーディング テクニックの違いを示します。
RichTextBox コントロール内を検索するコードの変更点
次のコードは、RichTextBox コントロール内で、カーソル位置からセンテンスの終端までの範囲で検索を行い、結果を強調表示する方法を示しています。この例では、Text プロパティに複数のセンテンスが入力された RichTextBox コントロールが必要であり、Button コントロールが必要です。コードはボタンの Click イベントから呼び出されるため、RichTextBox の HideSelection プロパティは False に設定する必要があります。False に設定しないと、強調表示されません。
' Visual Basic 6.0
' Make sure that HideSelection is set to False.
Private Sub Command1_Click()
RichTextBox1.Span ".?!", True, True
End Sub
' Visual Basic
' Make sure that HideSelection is set to False.
Private Sub Button1_Click(ByVal sender As System.Object, ByVal e As _
System.EventArgs) Handles Button1.Click
Dim endChars() As Char = New Char() {".", "!", "?"}
Dim intEnd As Integer
intEnd = RichTextBox1.Find(endChars, RichTextBox1.SelectionStart)
RichTextBox1.SelectionLength = intEnd - RichTextBox1.SelectionStart
End Sub
RichTextBox コントロールのプロパティ、メソッド、およびイベントの同等物
次の表は、Visual Basic 6.0 のプロパティ、メソッド、およびイベントと、対応する Visual Basic 2008 のプロパティ、メソッド、およびイベントの一覧です。同じ名前で同じ動作を持つプロパティ、メソッド、およびイベントは、一覧に含まれていません。特に明記されていない限り、すべての Visual Basic 2008 列挙型は System.Windows.Forms 名前空間に対応します。
この表では、動作の相違点について説明するトピックへのリンクを示します。Visual Basic 2008 に直接対応するものがない場合は、代わりの項目について説明したトピックへのリンクを示します。
プロパティ
Visual Basic 6.0 |
Visual Basic 2008 で対応するもの |
---|---|
Appearance |
新規に実装されました。詳細については、「Appearance プロパティおよび BorderStyle プロパティ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
AutoVerbMenu |
新規に実装されました。詳細については、「AutoVerbMenu プロパティはアップグレードされませんでした。」を参照してください。 |
BackColor |
メモ :
Visual Basic 2008 では、色は別の方法で処理されます。詳細については、「色の処理 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
Container |
|
DataBindings DataChanged DataField DataFormat DataMember DataSource |
新規に実装されました。詳細については、「データ アクセス (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
DisableNoScroll |
新規に実装されました。 |
DragIcon DragMode |
新規に実装されました。詳細については、「ドラッグ アンド ドロップ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
FileName |
LoadFile メソッド |
Font FontBold FontItalic FontName FontSize FontStrikethrough FontUnderline |
メモ :
Visual Basic 2008 では、フォントは別の方法で処理されます。詳細については、「フォント オブジェクト (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
ForeColor |
メモ :
Visual Basic 2008 では、色は別の方法で処理されます。詳細については、「色の処理 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
Height |
メモ :
Visual Basic 2008 では、座標は別の方法で処理されます。詳細については、「座標系 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
HelpContextID |
新規に実装されました。詳細については、「ヘルプ サポート (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
HWnd |
|
Index |
新規に実装されました。詳細については、「コントロール配列 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
Left |
メモ :
Visual Basic 2008 では、座標は別の方法で処理されます。詳細については、「座標系 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
MouseIcon |
新規に実装されました。詳細については、「カスタム MousePointer を設定できない」を参照してください。 |
MousePointer |
定数の一覧については、「MousePointer (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
OLEDragMode OLEDropMode |
新規に実装されました。詳細については、「ドラッグ アンド ドロップ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
Parent |
FindForm メソッド |
SelAlignment |
|
SelBold |
|
SelBullet |
|
SelCharOffset |
|
SelColor |
|
SelFontName |
|
SelFontSize |
|
SelHangingIndent |
|
SelIndent |
|
SelItalic |
|
SelLength |
|
SelProtected |
|
SelRightIndent |
|
SelRTF |
|
SelStart |
|
SelStrikethru |
|
SelTabCount |
SelectionTabs.Length |
SelTabs |
|
SelText |
|
SelUnderline |
|
TextRTF |
|
ToolTipText |
ToolTip コンポーネント 詳細については、「ツールヒントのサポート (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
Top |
メモ :
Visual Basic 2008 では、座標は別の方法で処理されます。詳細については、「座標系 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
WhatsThisHelpID |
新規に実装されました。詳細については、「ヘルプ サポート (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
Width |
メモ :
Visual Basic 2008 では、座標は別の方法で処理されます。詳細については、「座標系 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
メソッド
Visual Basic 6.0 |
Visual Basic 2008 で対応するもの |
---|---|
Drag |
新規に実装されました。詳細については、「ドラッグ アンド ドロップ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
GetLineFromChar |
|
LinkExecute LinkPoke LinkRequest LinkSend |
対応する項目はありません。詳細については、「ダイナミック データ エクスチェンジ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
Move |
メモ :
Visual Basic 2008 では、座標は別の方法で処理されます。詳細については、「座標系 (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。
|
OLEDrag |
新規に実装されました。詳細については、「ドラッグ アンド ドロップ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
SelPrint |
新規に実装されました。詳細については、「SelPrint プロパティはアップグレードされませんでした。」を参照してください。 |
SetFocus |
|
ShowWhatsThis |
新規に実装されました。詳細については、「ヘルプ サポート (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
Span |
直接対応する項目はありません。Find メソッドと characterSet 引数を使用します。 |
Upto |
直接対応する項目はありません。Find メソッドと characterSet 引数を使用します。 |
ZOrder |
BringToFront 関数または SendToBack 関数 |
イベント
Visual Basic 6.0 |
Visual Basic 2008 で対応するもの |
---|---|
Change |
|
DblClick |
|
DragDrop DragOver |
新規に実装されました。詳細については、「ドラッグ アンド ドロップ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
GotFocus |
|
LostFocus |
|
OLECompleteDrag OLEDragDrop OLEDragOver OLEGiveFeedback OLESetData OLEStartDrag |
新規に実装されました。詳細については、「ドラッグ アンド ドロップ (Visual Basic 6.0 ユーザー向け)」を参照してください。 |
SelChange |
|
Validate |
アップグレード メモ
Visual Basic 6.0 アプリケーションを Visual Basic 2008 にアップグレードすると、RichTextBox コントロールは Windows フォームの RichTextBox コントロールにアップグレードされ、プロパティ、メソッド、およびイベントは、それぞれに相当するものにアップグレードされます。動作が異なる場合は、アップグレードに関するコメントがコードに挿入されます。
参照
参照
RichTextBox コントロールの概要 (Windows フォーム)