方法 : プロジェクトテンプレートを組み合わせたウィザードを使用する

[アーティクル]
08/16/2008

更新 : 2007 年 11 月

Visual Studio には、IWizard インターフェイスが用意されています。このインターフェイスを実装すると、ユーザーがテンプレートからプロジェクトを作成する際にカスタムコードを実行できるようになります。

プロジェクトテンプレートのカスタマイズを使用すると、次の操作を実行できます。

ユーザー入力を収集してテンプレートをパラメータ化するカスタム UI を表示できます。
テンプレートで使用するパラメータ値を追加できます。
テンプレートに他のファイルを追加できます。
Visual Studio オートメーションオブジェクトモデルによって許可されたアクションを実際にプロジェクトで実行できます。

IWizard インターフェイスメソッドは、プロジェクトの作成中にさまざまな時点で呼び出されます。プロジェクトの作成は、ユーザーが [新しいプロジェクト] ダイアログボックスの [OK] をクリックすると同時に開始されます。インターフェイスの各メソッドには、そのメソッドが呼び出される時点を表す名前が付けられます。たとえば、Visual Studio は、プロジェクトの作成の開始直後に RunStarted を呼び出します。この時点が、ユーザー入力を収集するためのカスタムコードの記述に適した場所になります。

カスタムウィザード用に記述するコードのほとんどでは、DTE オブジェクトを使用します。このオブジェクトは、プロジェクトをカスタマイズするための、Visual Studio オートメーションオブジェクトモデルの主要なオブジェクトです。オートメーションオブジェクトモデルの詳細については、「Visual Studio 環境の拡張」および「オートメーションと機能拡張のリファレンス」を参照してください。

カスタムテンプレートウィザードの作成

このトピックでは、プロジェクトを作成する前に Windows フォームを開くカスタムウィザードを作成する方法を紹介します。このフォームを使用すると、ユーザーは、プロジェクトの作成時にソースコードに後から追加されるカスタムパラメータ値を追加できます。主な手順を次に示し、各手順の詳細について説明します。

カスタムテンプレートウィザードを作成するには

IWizard インターフェイスを実装するアセンブリを作成します。
アセンブリをグローバルアセンブリキャッシュにインストールします。
プロジェクトを作成し、テンプレートのエクスポートウィザードを使用して、そのプロジェクトからテンプレートを作成します。
テンプレートを変更します。ここでは、.vstemplate ファイルに WizardExtension 要素を追加し、IWizard を実装するアセンブリにテンプレートをリンクします。
カスタムウィザードを使用し、新しいプロジェクトを作成します。

IWizard の実装

このプロセスでは、最初に、IWizard を実装するアセンブリを作成します。このアセンブリは、RunStarted メソッドを使用し、ユーザーがカスタムパラメータ値を追加できる Windows フォームを表示します。このパラメータ値は、プロジェクトの作成時に使用されます。

メモ :
この例では、IWizard の実装に Visual C# を使用していますが、Visual J# または Visual Basic を使用することもできます。

IWizard を実装するには

新しいクラスライブラリプロジェクトを作成します。
IWizard インターフェイスを実装するクラスを作成します。完全に実装された IWizard インターフェイスの Visual C# の例については、後述のコードを参照してください。

この例には、2 つのコードファイルが含まれています。1 つは、IWizardImplementation という、IWizard インターフェイスを実装するクラスで、もう 1 つは、UserInputForm という、ユーザー入力用の Windows フォームです。

IWizardImplementation クラス

IWizardImplementation クラスには、IWizard のすべてのメンバに対するメソッドの実装が含まれています。この例では、RunStarted メソッドだけがタスクを実行します。他のすべてのメソッドは、何もしないか、true を返します。

RunStarted メソッドは、次の 4 つのパラメータを受け取ります。

Object パラメータ。プロジェクトをカスタマイズできるように、ルートの _DTE オブジェクトにキャストできます。
Dictionary<TKey, TValue> パラメータ。テンプレートで定義済みのすべてのパラメータのコレクションが含まれます。テンプレートパラメータの詳細については、「テンプレート名」を参照してください。
WizardRunKind パラメータ。使用されているテンプレートの種類に関する情報が含まれます。
Object 配列。Visual Studio によってウィザードに渡される一連のパラメータが格納されます。

この例では、ユーザー入力フォームから Dictionary<TKey, TValue> パラメータにパラメータ値を追加します。プロジェクト内の $custommessage$ パラメータのすべてのインスタンスは、ユーザーが入力したテキストと置き換えられます。

using System;
using System.Collections.Generic;
using Microsoft.VisualStudio.TemplateWizard;
using System.Windows.Forms;
using EnvDTE;

namespace CustomWizard
{
    public class IWizardImplementation:IWizard
    {
        private UserInputForm inputForm;
        private string customMessage;

        // This method is called before opening any item that 
        // has the OpenInEditor attribute.
        public void BeforeOpeningFile(ProjectItem projectItem)
        {
        }

        public void ProjectFinishedGenerating(Project project)
        {
        }
        
        // This method is only called for item templates,
        // not for project templates.
        public void ProjectItemFinishedGenerating(ProjectItem 
            projectItem)
        {
        }

        // This method is called after the project is created.
        public void RunFinished()
        {
        }

        public void RunStarted(object automationObject,
            Dictionary<string, string> replacementsDictionary,
            WizardRunKind runKind, object[] customParams)
        {
            try
            {
                // Display a form to the user. The form collects 
                // input for the custom message.
                inputForm = new UserInputForm();
                inputForm.ShowDialog();

                customMessage = inputForm.get_CustomMessage();

                // Add custom parameters.
                replacementsDictionary.Add("$custommessage$", 
                    customMessage);
            }
            catch (Exception ex)
            {
                MessageBox.Show(ex.ToString());
            }
        }

        // This method is only called for item templates,
        // not for project templates.
        public bool ShouldAddProjectItem(string filePath)
        {
            return true;
        }        
    }
}

ユーザー入力フォーム

ユーザー入力フォームには、カスタムパラメータを入力するための簡単なフォームが用意されています。このフォームには、textBox1 という名前のテキストボックスおよび button1 という名前のボタンがあります。このボタンをクリックすると、テキストボックスのテキストが customMessage パラメータに格納されます。

Windows フォームをソリューションに追加するには

[プロジェクト] メニューの [新しい項目の追加] をクリックします。
[Windows フォーム] をクリックし、ファイルに「UserInputForm.cs」という名前を付けて、[OK] をクリックします。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.ComponentModel;
using System.Data;
using System.Drawing;
using System.Text;
using System.Windows.Forms;

namespace CustomWizard
{
    public partial class UserInputForm : Form
    {
        private string customMessage;

        public UserInputForm()
        {
            InitializeComponent();
        }
       
        public string get_CustomMessage()
        {
            return customMessage;
        }

        private void button1_Click(object sender, EventArgs e)
        {
            customMessage = textBox1.Text;

            this.Dispose();
        }
    }
}

グローバルアセンブリキャッシュへのアセンブリのインストール

IWizard を実装するアセンブリは、厳密な名前で署名して、グローバルアセンブリキャッシュにインストールする必要があります。

アセンブリをグローバルアセンブリキャッシュにインストールするには

アセンブリに厳密な名前で署名します。詳細については、「方法 : 厳密な名前でアセンブリに署名する」または「方法 : アセンブリに署名する (Visual Studio)」を参照してください。
厳密な名前付きアセンブリをグローバルアセンブリキャッシュにインストールします。詳細については、「方法 : グローバルアセンブリキャッシュにアセンブリをインストールする」を参照してください。

テンプレートとして使用するプロジェクトの作成

この例でテンプレートとして使用されるプロジェクトは、カスタムウィザードのユーザー入力フォームで指定されたメッセージを表示するコンソールアプリケーションです。

サンプルプロジェクトを作成するには

Visual C# コンソールアプリケーションを新しく作成します。
アプリケーションの Main メソッドに次のコード行を追加します。
```
Console.WriteLine("$custommessage$");
```
$custommessage$ パラメータは、プロジェクトをテンプレートから作成する際にユーザー入力フォームに入力したテキストで置き換えられます。
[ファイル] メニューの [テンプレートのエクスポート] をクリックします。
テンプレートのエクスポートウィザードで、[プロジェクトテンプレート] をクリックし、適切なプロジェクトを選択して、[次へ] をクリックします。
テンプレートのエクスポートウィザードで、テンプレートの説明情報を入力します。[テンプレートを自動的に Visual Studio にインポート] チェックボックスをオンにし、[完了] をクリックします。

これで、テンプレートは [新しいプロジェクト] ダイアログボックスに表示されるようになりますが、カスタムウィザードは使用しません。

テンプレートにエクスポートされる前のコードファイル全体の例を次に示します。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Text;

namespace TemplateProject
{
    class WriteMessage
    {
        static void Main(string[] args)
        {
            Console.WriteLine("$custommessage$");
        }
    }
}

テンプレートの変更

テンプレートが作成され、[新しいプロジェクト] ダイアログボックスに表示されたら、前の手順で作成したアセンブリを使用するように、そのテンプレートを変更する必要があります。

カスタムウィザードをテンプレートに追加するには

テンプレートを含む .zip ファイルを探します。
1. [ツール] メニューの [オプション] をクリックします。
2. [プロジェクトおよびソリューション] をクリックします。
3. [Visual Studio ユーザープロジェクトテンプレートの場所] ボックスを確認します。詳細については、「[全般] ([オプション] ダイアログボックス - [プロジェクトおよびソリューション])」を参照してください。
既定の場所は、My Documents\Visual Studio 2008\Templates\ProjectTemplates です。
.zip ファイルを解凍します。
Visual Studio で .vstemplate ファイルを開きます。
TemplateContent 要素の後に、カスタムウィザードアセンブリの厳密な名前の付いた WizardExtension 要素 (Visual Studio テンプレート) 要素を追加します。アセンブリの厳密な名前を検索する方法の詳細については、「方法 : グローバルアセンブリキャッシュの内容を表示する」および「方法 : 厳密な名前のアセンブリを参照する」を参照してください。

WizardExtension 要素の例を次に示します。
```
<WizardExtension>
    <Assembly>CustomWizard, Version=1.0.0.0, Culture=Neutral, PublicKeyToken=fa3902f409bb6a3b</Assembly>
    <FullClassName>CustomWizard.IWizardImplementation</FullClassName>
</WizardExtension>
```

カスタムウィザードの使用

これで、テンプレートからプロジェクトを作成し、カスタムウィザードを使用できるようになりました。

カスタムウィザードを使用するには

[ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックします。
[新しいプロジェクト] ダイアログボックスで、テンプレートを指定し、名前を入力して、[OK] をクリックします。

ウィザードのユーザー入力フォームが開きます。
カスタムパラメータの値を入力し、ボタンをクリックします。

ウィザードのユーザー入力フォームが終了し、プロジェクトがテンプレートから作成されます。
ソリューションエクスプローラで、ソースコードファイルを右クリックし、[コードの表示] をクリックします。

$custommessage$ は、ウィザードのユーザー入力フォームに入力されたテキストで置き換えられています。

参照

WizardExtension 要素 (Visual Studio テンプレート)

IWizard

その他の技術情報

詳細なテンプレート手順

次の方法で共有

方法 : プロジェクトテンプレートを組み合わせたウィザードを使用する

カスタムテンプレートウィザードの作成

カスタムテンプレートウィザードを作成するには

IWizard の実装

IWizard を実装するには

IWizardImplementation クラス

ユーザー入力フォーム

Windows フォームをソリューションに追加するには

グローバルアセンブリキャッシュへのアセンブリのインストール

アセンブリをグローバルアセンブリキャッシュにインストールするには

テンプレートとして使用するプロジェクトの作成

サンプルプロジェクトを作成するには

テンプレートの変更

カスタムウィザードをテンプレートに追加するには

カスタムウィザードの使用

カスタムウィザードを使用するには

参照

参照

その他の技術情報

その他のリソース

次の方法で共有

方法 : プロジェクト テンプレートを組み合わせたウィザードを使用する

カスタム テンプレート ウィザードの作成

カスタム テンプレート ウィザードを作成するには

IWizard の実装

IWizard を実装するには

IWizardImplementation クラス

ユーザー入力フォーム

Windows フォームをソリューションに追加するには

グローバル アセンブリ キャッシュへのアセンブリのインストール

アセンブリをグローバル アセンブリ キャッシュにインストールするには

テンプレートとして使用するプロジェクトの作成

サンプル プロジェクトを作成するには

テンプレートの変更

カスタム ウィザードをテンプレートに追加するには

カスタム ウィザードの使用

カスタム ウィザードを使用するには

参照

参照

その他の技術情報

その他のリソース

方法 : プロジェクトテンプレートを組み合わせたウィザードを使用する

カスタムテンプレートウィザードの作成

カスタムテンプレートウィザードを作成するには

グローバルアセンブリキャッシュへのアセンブリのインストール

アセンブリをグローバルアセンブリキャッシュにインストールするには

サンプルプロジェクトを作成するには

カスタムウィザードをテンプレートに追加するには

カスタムウィザードの使用

カスタムウィザードを使用するには