チュートリアル : Visual C# による Windows フォーム コントロールからの継承
更新 : 2007 年 11 月
Visual C# 2005 では、継承によって強力なカスタム コントロールを作成できます。継承を使用すると、標準の Windows フォーム コントロールの固有の機能をすべて保持しながら、カスタム機能も組み込んだコントロールを作成できます。このチュートリアルでは、ValueButton という名前の簡単な継承コントロールを作成します。このボタンは、標準の Windows フォーム Button コントロールの機能を継承し、ButtonValue というカスタム プロパティを公開します。
メモ : |
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使用している設定またはエディションによっては、表示されるダイアログ ボックスやメニュー コマンドがヘルプに記載されている内容と異なる場合があります。設定を変更するには、[ツール] メニューの [設定のインポートとエクスポート] をクリックします。詳細については、「Visual Studio の設定」を参照してください。 |
プロジェクトの作成
新しいプロジェクトを作成するときには、その名前を指定することにより、ルート名前空間、アセンブリ名、およびプロジェクト名を設定し、既定のコンポーネントが正しい名前空間に含まれるようにします。
ValueButtonLib コントロール ライブラリおよび ValueButton コントロールを作成するには
[ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックして [新しいプロジェクト] ダイアログ ボックスを開きます。
[Visual C# プロジェクト] ボックスの一覧の [Windows コントロール ライブラリ] プロジェクト テンプレートを選択し、[プロジェクト名] ボックスに「ValueButtonLib」と入力します。
プロジェクト名 ValueButtonLib は、既定でルート名前空間にも割り当てられます。ルート名前空間は、アセンブリ内のコンポーネント名の修飾に使用されます。たとえば、ValueButton という名前のコンポーネントが 2 つのアセンブリに含まれる場合は、ValueButtonLib.ValueButton という形で目的の ValueButton コンポーネントを指定できます。詳細については、「名前空間 (C# プログラミング ガイド)」を参照してください。
ソリューション エクスプローラで、[UserControl1.cs] を右クリックし、ショートカット メニューの [名前の変更] をクリックします。ファイル名を「ValueButton.cs」に変更します。コード要素 "UserControl1" へのすべての参照の名前を変更するかどうかを確認するメッセージが表示されたら、[はい] をクリックします。
ソリューション エクスプローラで [ValueButton.cs] を右クリックし、[コードの表示] をクリックします。
class ステートメント行 public partial class ValueButton を見つけ、このコントロールの継承元である種類を UserControl から Button に変更します。これによって、継承されたコントロールは Button コントロールのすべての機能を継承できます。
ソリューション エクスプローラで、[ValueButton.cs] ノードを開き、ValueButton.Designer.cs というデザイナ生成のコード ファイルを表示します。コード エディタでこのファイルを開きます。
InitializeComponent メソッドを見つけ、AutoScaleMode プロパティを割り当てる行を削除します。このプロパティは、Button コントロールには存在しません。
[ファイル] メニューの [すべてを保存] をクリックしてプロジェクトを保存します。
メモ : ビジュアルなデザイナは使用できなくなりました。Button コントロールは独自の描画を実行するため、デザイナでは表示を変更できません。ビジュアル表示は、コードで変更しない限り、継承元のクラス (つまり、Button) とまったく同じです。UI 要素のないコンポーネントをデザイン サーフェイスに追加することはできます。
継承したコントロールへのプロパティの追加
継承した Windows フォーム コントロールの可能な用途の 1 つとして、標準の Windows フォーム コントロールと同じ外観と操作性を持ちながらカスタム プロパティを公開するコントロールを作成できます。ここでは、コントロールに ButtonValue という名前のプロパティを追加します。
Value プロパティを追加するには
ソリューション エクスプローラで、[ValueButton.cs] を右クリックし、ショートカット メニューの [コードの表示] をクリックします。
class ステートメントを探します。始まりの中かっこ ({) の直後に、次のコードを入力します。
[C#]
// Creates the private variable that will store the value of your // property. private int varValue; // Declares the property. public int ButtonValue { // Sets the method for retrieving the value of your property. get { return varValue; } // Sets the method for setting the value of your property. set { varValue = value; } }
このコードは、ButtonValue プロパティの格納方法と取得方法を設定します。get ステートメントは、返された値をプライベート変数 varValue に格納されている値に設定します。set ステートメントは、value キーワードを使用してプライベート変数の値を設定します。
[ファイル] メニューの [すべてを保存] をクリックしてプロジェクトを保存します。
コントロールのテスト
コントロールはスタンドアロン プロジェクトではないため、コンテナでホストする必要があります。コントロールをテストするには、コントロールを動作させるテスト プロジェクトを用意する必要があります。また、コントロールをビルド (コンパイル) して、テスト プロジェクトでコントロールにアクセスできるようにする必要があります。このセクションでは、コントロールをビルドして Windows フォームでテストします。
コントロールをビルドするには
[ビルド] メニューの [ソリューションのビルド] をクリックします。
ビルドは、コンパイル エラーも警告もなしに完了します。
テスト プロジェクトを作成するには
[ファイル] メニューの [追加] をポイントし、[新しいプロジェクト] をクリックして [新しいプロジェクトの追加] ダイアログ ボックスを表示します。
[Visual C#] ノードの下の [Windows] ノードを選択し、[Windows アプリケーション] をクリックします。
[プロジェクト名] ボックスに「Test」と入力します。
ソリューション エクスプローラで、テスト プロジェクトの [参照設定] ノードを右クリックし、ショートカット メニューの [参照の追加] をクリックして [参照の追加] ダイアログ ボックスを表示します。
[プロジェクト] タブをクリックします。ValueButtonLib プロジェクトが [プロジェクト名] の下に表示されます。プロジェクトをダブルクリックしてテスト プロジェクトへの参照を追加します。
ソリューション エクスプローラで、[Test] を右クリックし、[ビルド] をクリックします。
フォームにコントロールを追加するには
ソリューション エクスプローラで、[Form1.cs] を右クリックし、ショートカット メニューの [デザイナの表示] をクリックします。
ツールボックスの [ValueButtonLib コンポーネント] をクリックします。[ValueButton] をダブルクリックします。
ValueButton がフォームに表示されます。
[ValueButton] を右クリックし、ショートカット メニューの [プロパティ] をクリックします。
[プロパティ] ウィンドウで、このコントロールのプロパティを調べます。標準のボタンによって公開されるのと同じプロパティの他に、追加のプロパティ ButtonValue が含まれています。
ButtonValue プロパティを 5 に設定します。
ツールボックスの [すべての Windows フォーム] タブで、[Label] をダブルクリックしてフォームに Label コントロールを追加します。
ラベルをフォームの中央に配置し直します。
valueButton1 をダブルクリックします。
コード エディタが開き、valueButton1_Click イベントが表示されます。
次のコード行を挿入します。
[C#]
label1.Text = valueButton1.ButtonValue.ToString();
ソリューション エクスプローラで [Test] を右クリックし、ショートカット メニューの [スタートアップ プロジェクトに設定] をクリックします。
[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックします。
Form1 が表示されます。
[valueButton1] をクリックします。
label1 に数字 "5" が表示され、継承したコントロールの ButtonValue プロパティが valueButton1_Click メソッドを介して label1 に渡されたことを示します。このようにして、ValueButton コントロールは標準の Windows フォーム ボタンの機能をすべて継承しながら、追加のカスタム プロパティを公開します。
参照
処理手順
方法 : [ツールボックスのカスタマイズ] ダイアログ ボックスにコントロールを表示する
チュートリアル : Visual C# による複合コントロールの作成